蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月15日

(平成22年7月15日(木) 18:02~18:25  於:第4合同庁舎4階408号室)

1.発言要旨

 今日は、私から2つ御報告、1つはお願いでもあるのですが、1つはまず、なるべく多く報道していただいて、1つでも多くの法人にぜひ公益認定申請をしていただきたいというお願いでございます。従来の公益法人は、御案内のとおり、3年後の25年11月までに、公益社団・財団法人、あるいは一般社団・財団法人に移行することになっておりまして、移行申請をしなければ解散ということになっております。ただ、現時点で、移行期間は3分の1を経過しつつあるのですけれども、申請をいただいている数が伸び悩んでいます。7月9日現在、国に対しての移行申請は376件、これはすべての特例民法法人数と比較すると、申請率が5.7%で6%に満たない状況となっております。
 なお、都道府県に対しての移行申請件数も392件で、これは国よりも比率が下がるのですが、特例民法法人数と比較すると2.2%。残り3年でございますので、できれば早く申請していただいて、私どもも丁寧な対応をさせていただきたいと思っております。
 法人側からは、検討を始めてから申請を行うまで1年以上かかるという声もありまして、なるべく申請を検討している法人へのサポートも強化したいと事務方に指示しております。先月、視察にも行きましたけれども、5月末から外部専門家による検討会を始めています。月に1回から2回、年間で大体 1,000法人を対象に行っておりまして、これまでの内閣府の相談に比べますと、約1.6倍の相談体制をしいております。是非相談に来ていただいて、また、公益認定等委員会にも迅速で柔軟な対応もお願いしております。現段階で申請数も少ないということもございますので、より親身な丁寧な対応で御相談させていただき、迅速な認定作業につなげていきたいと思っております。あと3年しかございませんので、是非報道等を通じて、1つでも多くの法人により早く申請をしていただければという、これは1つ、お願いでございます。
 次に、「国丸ごと仕分け」(行政事業レビュー)です。去年の事業仕分けを行って以降、本当に多くの皆様方から、「あの事業仕分けの結果はその後どうなっているのでしょうか。引き続き予算に反映しているのでしょうか」という御相談、御意見等をいただいておりますが、特に第1回目の事業仕分け、当時、仕分け人として参加させていただきましたが、とにかく事業の執行実態の把握、事業がどのように行われているのかを、残念ながら各府省の担当者がいまいち把握していないという現状を感じました。
 そこで、やはり1つでも多くの事業の執行実態を把握していただいて、それを検証していただいて、適切な事業の流れになっているかを調査していただいて、そしてそれを予算要求に反映させていただくことが無駄を省くことだと各府省にお願いしまして、今年から各府省において、行政事業レビュー、「国丸ごと仕分け」を行ってきているところでございます。公開プロセスも、インターネット等を通じて事業仕分けの手法、外部仕分け人も取り入れていただいて、行ってきているところです。公開プロセスにおいては、169の事業、これはもうちょっと細分化すると、全部で182の事業が評価対象になったのですが、これは私も驚いたのですけれども、182の公開プロセス、いわゆる行政事業レビュー「国丸ごと仕分け」では、現状どおり行うべきだとお認めいただいたものがゼロ件でした。何らかの改善を求められたものが136件、廃止は46件ありました。今日、資料として配布させていただいておりますが、4つの行政事業レビューシートというものを皆様方にお配りしております。レビューシートには、事業所管部局が事業の概要や予算・執行額のほかにも、自己点検の内容ですとか資金の流れ、費目や使途などを記入する。特に、私たちの事業仕分けのときと違って、表の2枚目にはフローチャートでお金の流れがわかるように、少し進化させていただきました。大変御努力いただいております。
 この4つは極めてわかりやすいのですが、例えば1つ目は、総務省所管のユビキタス特区事業の推進ですけれども、これは事業概要を見ると、「我が国初のICTサービスの開発を推進し、新たな市場の創出」、この目的自体は否定するものでは全くありませんけれども、ここに52億円の予算が組まれております。細かく見ていきますと、公募・委託という形でいろいろな民間企業にお金が流れていっているのですが、例えばある株式会社の事業を見ますと、「農業用センサーネットワークを活用した生産性向上の実証」という、この言葉を聞いただけでは否定し得るものではないのですが、具体的にいくと「e-案山子」事業で、何をやっているかというと、携帯電話で農地をマネジメントする事業です。農地をマネジメントするのは人であって、これはICTでやるものではないと私も思うのですが、実際に公開プロセスでは、「プロジェクトの考え方が明快ではない」、「各プロジェクトがユビキタスに関係ないものも多い」という意見が幅広く出されまして、これは廃止を前提とした全面的見直しになっています。
 2つ目の行政事業レビュー、これは文部科学省なのですが、国際協力イニシアティブ、「我が国の大学教員が開発途上国の現場で国際協力に携わる人々に役立つ教材を作成し、開発途上国が直面する様々な課題の対応に貢献する」、国際貢献で極めて美しい目的なのですけれども、中の2枚目を見ますと、ABCというのはどこがこの事業を委託しているか、どのようなお金が使われているかというのを費目で書かせていただいておりますが、よく見ると人件費と旅費でほとんど委託費が消えている実態が明らかになっています。事業費にほとんどお金が使われていない。これが本当に国際貢献に役立つのかどうなのかという視点で公開プロセスでも御議論いただきましたが、もうちょっと進めていただくと、6ページ目から国際協力イニシアティブの活動事例があるのですが、8ページ目に写真を載せて、9ページ目がわかりやすい効果、国際貢献という形で大学の研究者がミャンマーに行って、子どもたちの猫背を治すという事業を国際協力で行っています。この猫背が生まれた原因は、いわゆる家庭環境であったり、学習環境であったり、体に合わない教材あるいは机等を使っていることに起因するものであって、国際協力で文部科学省が大学の知見を利用して、事業費内容・内訳を見ると、旅費と人件費だけでほとんど使われて、猫背を治すことが本当に必要なのかどうなのかというのは、公開プロセスで御議論いただきました。「大学の研究所がミャンマーに行って猫背を治すという取組は意味があるのか」という声が果たしてやはり多くて、これは廃止という結果になっています。
 あともう一つだけ、3つ目は経済産業省のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金です。「クリーンエネルギー自動車の普及を促進して、クリーンエネルギー自動車の導入に必要な費用の一部を補助する」、どんどんクリーンエネルギーの車を買っていただきましょう、そのために補助するという事業で、目的自体は全く否定されるものではないのですが、まず見ていただくと、レビューシートの表紙の裏側が、お金の流れが表になっているのですけれども、4つの民間団体にまずお金が流れて、その民間団体が審査等を通じて、個人や更なる民間企業等に補助金を流しているのですけれども、この4つの民間団体、4枚目を見ていただくと、ABCDで4つの民間団体に流れたお金がどのように使われているかという費目を表させていただいています。この費目を見ると、例えばAという団体、ある一般社団のセンターなのですが、ここでハイブリッド自動車導入者への補助、事業費という費目があります。これが1,500万円。ところが、このセンターが補助するために経産省からいただいたお金は8,000万円。では、1,500万円だけが実際に補助金で回っているのですが、それ以外の6,500万円が何に回っているかというと、労務費―人件費ですね、事務所賃料、システム運営、一般管理費、旅費。つまり、このセンターを維持するための費用にほとんど消えていて、実際に補助金で回っているのは8,000万円分の1,500万円でしかない。また、ABCDでもほぼ同じ構図がおわかりになると思います。結局、経産省がやりたいクリーンエネルギーの自動車を普及させるために、まず普及させる前に、その普及させようとして交付金を受け取っている団体が、その団体を維持するためにお金が消費されているという実態が明らかになりまして、公開プロセス等でも廃止という結果になっています。
 こうした「国丸ごと仕分け」のレビューシートは、5,500に上りました。すべての各省庁のホームページに、お手数ですが、ぜひアクセスしていただいて、すべて公開させていただいております。併せて、国民の声として皆様方から、このシートを見ることによって皆様方がどのようにお感じになられるかというのも受け付けていて、実際にそれを省庁にフィードバックして、来年度の概算予算要求に反映させていきたいと思っています。また、この部分で反映されないものがあるとしましたら、先に皆様方に御案内申し上げましたが、10月に行われる第3弾の事業仕分けの特会の仕分けと同時に、再仕分けという手法でも取り上げたいと考えています。
 これからも、今後、来年度予算の概算要求に結果が反映されているかどうか、行政刷新会議としても取組の把握には努めていきたいと思っております。
 以上、私からは2つの御報告です。

2.質疑応答

(問)フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。
 ちょっと視点が違うのですけれども、先日の参議院選挙で与党である民主党は大敗ということで―大敗というか、これは負けたということなのですけれども、それで衆参のねじれが起きたということで、一部閣僚からは、法案に関してはほかの党との部分連合も有り得るというようなお話が流れているのですが、事業仕分け、先ほど10月に特会の仕分けがあるというふうにおっしゃったのですけれども、これは法的根拠はないというような言い方をされるのですが、予算を決めるということは、だいぶ国家にとっては大きいことなのですけれども、これは仕分け人に民主党議員、もしくは国民新党の議員以外を入れていくというお考えが、今のところあるのかないのか、もしくは検討していくのかということをお伺いできればと思います。
(答)いろいろな可能性は否定しません。
(問)では、自民党も入る?
(答)まだ全く考えていませんが。
(問)フリーランスの上出と申します。よろしくお願いします。
 参院選に絡んだことですが、蓮舫さん御自身は、もう圧勝ということなのですけれども、いろいろな選挙の予測が出ていて、それがどのように影響したかということは評価が分かれるところなのですが、今回の選挙を通じて、正しくないと思われるような形の世論誘導があったのではないかと思われることがあったかどうかというのが1点と、もう一つ、消費税については、事前に菅さんから何か話があったのか。一般には、勝栄二郎さんという今度財務省の次官になる方が、G8に向けて、このままでは各国―カナダなどが強く数値目標を上げることを要望していると。それが引き金になって、ああいう形でとにかくそ上にのせてしまったというふうに言われていますが、その2つについて、蓮舫さん御自身としてはどういうふうに押さえているかお答えいただけますでしょうか。
(答)本当に大変厳しい選挙結果になりましたが、世論誘導があったと私は思っていません。この国のメディアの健全性というのは、私は今なおあると思っていますし、その部分では適切に行政監視をしてくださっていると思っています。結果をメディアの責任にするのは、極めて適切ではないと思っています。
 消費税に関しては、事前に、あれはたしかマニフェストを発表された場所で菅総理がお話しになったのですが、その前に聞いていることはありません。
 勝さん御自身と、私はお会いしたことがないので、この件は話したことがございませんので、ぜひそちらで別の取材をしていただければと思います。
(問)毎日新聞、エコノミストのライターをやっています横山と申します。
 10月中旬ですか、下旬ですか、特別会計の仕分けをやるということなのですが、そのやり方について、今現時点でどこら辺まで決まっているのか。つまり、また同じように項目ごとにやるとか、何かそういうことももし決まっていることがあれば教えてほしいということです。
 それから、特別会計というのは、もうずっと随分前から問題になっていまして、これをやはり最終的な目標としては、一般会計にできるだけ繰り入れていきたいというふうに考えていらっしゃるのかどうか。そこら辺のところを、ちょっとお聞かせいただければと思います。
(答)特別会計においては、これまでの事業仕分けのように、一つ一つの事業を対象に仕分けをしていくと、やはり180兆円規模なので、あまりにも膨大な日数がかかる作業だと思います。どちらかというと、これまでの事業仕分けの手法というよりは、制度設計、区分会計をして一般会計と別に離れてあることが本当に適切なのかどうかを含めた制度仕分け的色彩が強くなると思っています。もちろんその中で、事業仕分けの手法そのものがなくなるとは思っていませんが、そこも含めて、今、調整を始めたところです。それで、今回の第3弾の仕分けには、党の政調のお力をお借りさせていただくことを玄葉大臣にお願いして、御了承いただいております。党の政調が立ち上がって動き出しましたら、この特別会計仕分け、前回、公益法人と独法の仕分けをしたときにも、特に衆議院の一回生の方々のお力を調査員という形でお借りしましたので、そこは一つのひな形になってきて、今回の特別会計にもお知恵、お力、御尽力をいただくことになる。その部分では、関与する国会議員が相当数増えると思っています。
(問)どのくらい一般会計に組み入れたいとか、そういう目標値というのはあるのですか。
(答)現段階で目標値はまだ定めていません。どうしてもこれまでの事業仕分けのときにも、目標額とか削減額とか、数値をよく言われるのですけれども、正直なところ、我々も与党になって初めて見る数値、初めて見る国庫というところも大きいものですから、まず予断を与えないほうがよいかなと。結局、そこをクリアしなければ「後退した」、クリアしたら「まだ足りないのではないか」という議論は、あまり建設的ではないと思っています。既に、もう国の事業仕分けをしたときと、独法と公益法人をしたときにも、財源が特別会計で行き渡っているものもありますので、そこの整理という形も改めて出てくるのかなと思っています。
(問)特別会計を一般会計に組み入れることによって、やはり予算編成に当然影響もあるだろうし、すごく、予算を編成するときに、言ってみれば楽になると思うのです。だから、そういう意味ではこの第3弾というのは、非常に大きな影響を持つのかなというふうには思うのですけれども。
(答)去年のマニフェストで、4年間かけて一般会計にすべて繰り入れるというのを私たちは掲げていますので、この目標は今なお生きています。2年目の今でそれをすべて達成し得るには、私はまだ時間が足りないと思います。
(問)フジテレビの羽山と申します。
 ちょっと事業仕分けとは変わってしまうのですが、今日、小沢前幹事長が不起訴不当という議決が審査会のほうで出たのですが、これについて党内、政権を含めて、どういった影響があると思われますか。
(答)ここから先は、検察側がどのように御判断されるかということですので、私から発言するのは適切ではないと思います。
(問)選挙期間中、枝野さんはどうも、みんなの党に対して秋波を送ったとか送らないとかということで、いろいろマスコミ上では騒がれていますが、一方、昨日の新聞報道によると、仙谷さんなどはどうも慎重であるという立場みたいですが、蓮舫さん御自身は、みんなの党との距離感みたいなものをどんなふうにお感じになっていらっしゃいますか。
(答)基本的に今後の国会運営をどうしていくのかというのは、国会の中でお決めいただくことですし、例えば連立という話になった場合には、これは菅総理、菅代表がお決めになることだと思っています。
 ただ、私としては、一つでも多くの改革の法案をお認めいただきたいという立場でございますので、賛同していただけるところがあれば、どの政党にかかわらず、御協力はその都度都度、丁寧に対応をお願いしたいと思います。
(問)NHKの徳丸です。
 最初のほうに戻ってしまうのですが、仕分け人に他党の人を入れるかどうかで、「可能性は否定しません」というコメントをいただいたのですけれども、仮の話になってしまうのですけれども、例えば本当にみんなの党とか、具体的に「仕分けの作業に入らせろ」という要求が来たら、それについて大臣としてはどのように対応していくべきだと。もう少し具体的に。
(答)仮の話で……仮の仮ぐらいですよね、今の前提は。今回の参議院選挙の結果を受けて、これから先の参議院のあり方というのは、未体験ゾーンが更に一歩深まると思っています。だから、その部分では、どんな可能性があるのかも含めて、否定、排除はしないで私は臨みたいと思っています。
(問)逆に、呼びかけるということはありますか。「仕分けに参加しませんか」ということで。
(答)どのような仕分け形態を行っていくのかを、ようやく玄葉大臣と始めたばかりですので、今そこまで先の話は、ちょっとまだ見えないですね。徳丸さんも見えていないと思いますが。
(問)時事通信の赤間です。よろしくお願いします。
 またちょっと仕分けに他党の人を入れるかどうかという話になってしまうのですけれども、これまで事業仕分けは、民主党政権の政権浮揚の手段というか、そういうものとして機能してきた面もおそらくあると思うのですけれども、そういうことを考えてみますと、他党の人を入れるということについて、国民新党とか社民党の議員が入ったことはありますけれども、ほかに更に対象を広げて入れるということに対しては、党内からも異論が出てくる可能性もあろうかと思うのですけれども、そこら辺はどうお考えでしょうか。
(答)是非急いた報道をしないでいただきたいと思うのですけれども、現段階で全ての政党にオープンにするという前提ではなくて、基本的には私どもの政権の中で行っていくものですが、これから先の参議院が一体どういう形になるのか、熟議の民主主義的手法で考えたときに、どのような手法・手段が考えられるのかというのは、全て否定はしていません、私は。
 ただ、各党とも無駄遣いの削減は今回のマニフェストに掲げておられますし、事業仕分けという形態に否定的な方でも、例えば結果として国の無駄を削減する有り方があるのであれば、それは参議院で一体となって取り組んでいく可能性も、なきにしもあらずだと思っています。

(以上)