玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月24日

(平成22年12月24日(金) 18:21~19:04  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

  こんばんは。
 資料がそれぞれお手元に配布をされていると思います。平成23年度予算の重点テーマについて御説明をさせていただきたいと思います。
 予算全体の詳細は、財務大臣から説明があろうかと思いますし、また別途、財務省としてのレクがあるのではないかと思いますので、ここでは国家戦略担当大臣という立場から、平成23年度予算がどういう理念でどういう点に重点を置いたのかということを説明させていただきたいと考えております。簡単に申し上げれば、いつも申し上げておりますけれども、1つは成長・雇用、デフレ脱却、2つ目には「国民の生活が第一」、3つ目は、新たに追加すれば地方重視と、こういったことが一つの特徴ではないかと思っていますし、こういった理念でつくられたということでございます。同時に、一定の財政規律を守る、つまりは、国債発行は今年度のが44.3兆円を下回るとともに、歳出の大枠の71兆円を守るということを再三申し上げてきたわけでありますけれども、そういった一定の財政規律を守った上で、そういったメリハリというか、特色を出した予算であるということでございます。
 まず、予算全体について、どのようなメリハリをつけたのかということを説明いたしますけれども、昨年に引き続いて、公共事業の縮減をいたしました。その財源を、社会保障、そして国民生活に直結する分野に充てるという流れが続いていると理解をしていただいてよいかと思います。
 配布資料の別紙を御覧になっていただくと、一つの特徴が出ておりまして、結果としてどうなったかといいますと、一般会計歳出の構成比でありますけれども、社会保障が1番、地方交付税交付金等が2番ということでありますが、前年度とは3番目と4番目が逆転しています。つまりは、文教及び科学技術と公共事業の予算の比率が逆転しています。実は、これは昭和30年代以降初めてのことであるということで、一つの大きな特色ではないかなと思っております。
 ただ、公共事業縮減したと申し上げましたけれども、一方で地方向けの投資的補助金は一括交付金化しておりますので、地方により使いやすい形にして中身の改善を図っているということもつけ加えたいと思います。
 また、先ほど、地方重視と申し上げたのは、結局、見かけ上は地方交付税交付金は減っているのですけれども、実際は、補正予算における交付税特会の繰り入れの問題があって、地方税も含めた地方が自由に使えるお金、地方の一般財源総額というのは増えています。ですから、そういう意味では地方を重視した予算と申し上げてもよいかと思いますし、恐らくそれぞれ自治体の責任者の方々は、腕を振るえる中身になっているのではないかと考えております。
 また、参考資料の2を御覧になっていただきたいと思いますけれども、「元気な日本復活特別枠」を通じて、思い切った予算の組み替え、メリハリづけを行ってきました。要求時点で2.5兆円の歳出を削減いたしまして、要求後に事業仕分けなどがあったことは皆さんも御存じでありますけれども、事業仕分け等による歳出削減が1.0兆円、もっと正確に言うと、0.3兆円が事業仕分けで、0.7兆円が地方交付税です。それに税制改正、つまりは成年扶養控除とか給与所得控除の見直しがございましたけれども、これは恒久財源ではありますが、すぐには増収につながらないものなので、つなぎということで予備費を使うなどして、合計約3.7兆円の財源を生み出しました。これを、社会保障の自然増等1.3兆円、そして特別枠2.1兆円、そしてマニフェスト施策財源見合い検討事項0.2兆円に充てているということでございます。
 なお、特別枠要望につきましては、評価会議の評価を踏まえ、メリハリのある予算配分を行っております。補正を含む予算措置率について見ますと、評価Aは99%、評価Bは88%、評価Cは77%、評価Dは6%というように、完全に一対一対応はしておりませんけれども、基本的にトータルで見ると、そういうことになっているということでございます。
 さらに、特別枠の活用等を通じて、科学技術振興費についてプラス0.1%、中小企業対策費がプラス3.0%、エネルギー対策費プラス1.7%などに増やして、成長と雇用を重視したメリハリづけを行っております。また、各経費のそれぞれの内訳も、それぞれ分野ごとというか、府省の中での見直しなどを通じて、新成長戦略関連などに重点化するなど、メリハリづけを行ったということでございます。
 具体的な施策について、主なものを御紹介いたしますけれども、まずは資料の2ページ目を御覧ください。第1に、新成長戦略の本格実施でありますけれども、これは3段構えの経済対策の、いわば予備費活用のステップ1、補正予算のステップ2、そして今回の予算のステップ3ということであります。特別枠につきましては、私は夏からずっと2兆円という規模を申し上げてきたわけでありますけれども、結果として2兆円を上回る規模となりました。このうち、新成長戦略、マニフェスト関連施策が0.9兆円を占めております。要求部分も含めて、新成長戦略関連施策に重点的な配分を行ったところであります。ここに挙げてあるのは、正にごく一例ということで、7つの戦略分野というのが新成長戦略にはありますけれども、それぞれにおいて各種の施策を実施するということにしております。
 また、科学技術振興費につきましては、特に厳しい財政事情でありましたけれども、対前年度比でプラスにしました。これはもう率直に申し上げて、菅総理の強いこだわりが科学技術予算についてはおありであったということも関係しております。特に、科学研究費補助金につきましては、対前年度3割を超える大幅な増額ということで、使い勝手をよくするために基金化を導入しておりまして、抜本的な拡充を図っているところでございます。
 因みに、このポスドクというのもかなり強い要望がございました。若手研究者に対する支援の充実は、正に日本の将来の成長に対する礎になる部分でありますけれども、このポスドクの予算もプラス31.7%になっております。
 農業予算でありますけれども、EPAの基本方針は、私の下でまとめたわけでありますけれども、高いレベルの経済連携と農業の両立を、今、検討を始めたところであります。したがって、こうした状況の変化を踏まえて、平成23年度予算から農業の体質強化、競争力強化に向けた第一歩を踏み出したいということでございまして、関係4大臣会合を開催し議論を行った結果、農地の規模拡大、流動化促進、更には農林水産物の輸出拡大、農林水産業の6次産業化、成長産業化へ向けた施策を実施することにしておりまして、資料の3ページにありますように、いわば輸出拡大にしても、成長産業化、6次産業化にしても、特に輸出についての予算というのは今までなかったわけでありますけれども、芽出しをしているというのも一つの特徴なのではないかと思います。
 そして、資料の4ページ目を御覧になっていただきたいのですけれども、雇用対策でありますが、求職者支援制度につきまして、これもマニフェストで約束をしていた制度でありますが、第二のセーフティネット、失業給付が切れた方に対して、職業訓練を前提に生活支援を行う制度を創設し、所要の予算を計上しております。次期通常国会において、法制化を目指したいと思います。また、新卒者就職支援など、経済対策のステップ1、ステップ2と合わせた施策を展開したいと考えております。
 なお、雇用保険の国庫負担の本則復帰については、平成23年度は見送ることといたしましたけれども、重要な課題なので、安定財源を確保し、速やかに実現を目指したいと考えております。
 重要分野への大胆な配分ということで、改めて申し上げる面もありますけれども、いわゆる特別枠の活用などで、科学技術振興費、中小企業対策、エネルギー対策費、あるいは文化関係予算、これも実は過去最高額でございまして、やはり国力というのは経済力と、日本の場合は防衛力、そして文化力から成っており、中でもこのソフトパワーが持つ意味というのは、実は大きいと思っておりまして、これらについて府省横断で、より戦略的な考え方に基づいて、これからは考えていくべきだということもあり、プラスを確保しております。予算全体として、相当のメリハリづけができたと考えております。
 なお、税制改正につきましても、予算と直接関係いたしますので若干申し上げれば、法人税率の実効税率引き下げ5%、中小企業軽減税率3%引き下げ、また投資減税、雇用促進税制ということで、成長と雇用の実現、デフレ脱却に向けた大きな一歩になるのではないかと思います。
 次に、資料の5ページ目でございますけれども、「国民の生活が第一」ということは、改めての説明になるところが多いのですけれども、子ども・子育て支援ということで、子ども手当については5大臣会合での議論を踏まえて、3歳未満について月額1万3,000円から2万円へ子ども手当の上積みを図りました。また、現物サービスについて、いわゆるこれまでの交付金を改組して拡充して、現金・現物のベストミックスを目指すという姿勢を明確にしてきました。菅総理が直接指示をされた待機児童解消「先取り」プロジェクトの予算も、ここに入っているということでございます。
 高校授業料の実質無償化につきましても、引き続き着実に実施します。また、一括交付金につきましても、5,000億円を超える規模の交付金を内閣府に計上することになります。これは、地域主権改革の大きな一歩になることは間違いないと考えております。
 さらに、民主党として、これまで十分に光が当てられなかった分野に光を注ぐということで、6つの例をお配りした資料にも挙げてございます。求職者支援制度は改めて書いてあるわけでありますけれども、例えば補正予算で措置した住民生活に光を注ぐ交付金もそうでありましたし、また離島の方々に対して、ガソリンの助成、つまり、生活コストがどうしても高いということがありますので、それらに対して手当てをしていきます。また、自殺対策、あるいは硫黄島の遺骨収集等、決して華々しくはないと思いますけれども、そういった大切な分野に配慮しているところでございます。
 以上、予算の中身については大体そういうことでございます。今回、政治主導がどこまでできたのかという議論が当然あるわけでございますが、私は相当程度の前進はあったと考えております。もちろん、パーフェクトだとは申し上げませんが、相当程度の前進はあったのではないか。つまり、まず6月に国家戦略室が中心になって、財政運営戦略、中期財政フレームをつくり、財政運営、予算編成の基本的な枠組みを定めております。この枠組みの中で、概算要求の組替え基準ができてきました。
 財源探しは財務省任せだったのではないかという批判をする方がいらっしゃいますが、財務省の方々と協力して行うのは当然のことでありますが、まずお考えいただきたいのは、一つはその2.5兆円の組み替えについては、党が提言をしたということがまず一つあります。そして、仕分けも、正に党主導であり、政治主導で行っているということもあるわけです。また、税制改正も、別に我々は減税だけを提言したわけではなくて、これは党の立場で申し上げるわけでありますが、増税のこともしっかりと申し上げているわけで、決して財務省頼りだったという批判は、私は当たらないと思います。ただ、協力してやっていくのは当たり前のことではないかと思います。
 因みに、1.2兆円を確保した鉄運機構特例業務勘定の利益剰余金の話も、私自身が政策調査会で一任を受けた上で行ってきたということでありまして、すべて財務省に探してもらって、財務省が実質取ってきたみたいな話ではないということは申し上げたいと思います。
 さらに、10月から特別枠について、政策コンテストを私が評価会議の議長という立場で行いましたけど、189の事業について、少しでも「見える化」を実現しようということで行ったわけであります。こういったものも今までは主計局だけがやっていましたが、今回はそれぞれの事業について政治家同士で意見を闘わせました。見えるところでもやりましたし、見えないところでも政治家同士がやりました。評価付けも、正に政治家がやりました。それによって、先ほど申し上げたように評価付けに沿って額がつけられているわけです。今までは、そこは全部、主計局がやっていたということを考えれば、私はやはり間違いなく相当程度の前進があったのではないかと思っております。
 また、同時に、国家戦略室が中心になって子ども手当について取りまとめを行い、あるいは農業予算もそうでありました。一括交付金は国家戦略室ということではありませんけど、もちろん片山大臣が一番頑張ってこられたわけでありますが、政調会長兼務である私が間に入って、党の方針でもあるということで、それぞれ国土交通大臣を始め関係府省の大臣の皆さんにお願いをさせていただいて、まとめていったという経緯を考えれば、これなどは絶対に財務省主導ではできない話でありまして、政治主導でなければ実現できなかったことではないかと思います。そういうことを前提に予算編成の基本方針を国家戦略室でつくり上げて、予算の仕上がりにおいては、この基本方針がしっかりと反映されていると考えているところでございます。
 今回、民主党政権として、ゼロからの予算編成という意味では初めてでありました。これは一つのトライアルでありますが、改善できるところがないかどうか、これから更に検証していきたいと考えております。
 また、敢えてもう一つ申し上げれば、党と政府の一元化であります。私自身が政調会長と国家戦略担当大臣を兼任するという形で、今回、予算編成の中で私も一つの役割というか、そういう立場で関わったわけでありますけれども、一つの雛形になり得るかなと思います。
 ただ、これが完全にシステム化できるかどうかということになれば、今後、継続して検討していく必要もあるかなと思っております。
 政調会長と国家戦略担当大臣を兼任していましたが、政調が全体を考えながら、幹部やそれぞれの座長、調査会の会長、PTの座長が提言をまとめてくださった。要所要所で非常にいいチームワークが働いたということで、全体的にスムーズな予算編成になったのではないかと考えております。
 大体以上でございますけれども、同時に改めてもう一つ、敢えてつけ加えるとすれば、今回の予算編成を通じて感じたことでありますけれども、やはり我が国の場合は社会保障費の増大というものが避けて通れません。したがって、ぎりぎりの無駄の削減ということは、今後も当然、行ってまいりますけれども、あるべき社会保障の姿を分かりやすく数字でお示しをし、同時に、それに対応する形で消費税も含めた税制の抜本改革を行っていくということは必要なことであると感じているということは、最後に申し上げておきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)最後におっしゃったことと関連するかと思うのですけれども、今回の予算を見ますと、いわゆる埋蔵金と言われるような独法の剰余金などをすべて活用したというような印象がありまして、気が早いですけれども、再来年度の予算編成が非常に大変になってくるのかなと思うのですけれども、今、おっしゃった税制の抜本改革の来年の進め方について、大臣はどのようなスケジュール感を現在持っていらっしゃいますか。
(答)基本的には、6月までに政府のほうで、これは党も並行して議論を進めますけれども、社会保障のあるべき姿についてのより具体的な姿を示すということになってございます。
 したがって、基本的には、これは社会保障の改革案も含めて、それに対応する形での消費税を含めた税制の抜本改革案について、来年度中に国会で成案を得ることができるように、やはり議論を進めていかなくてはいけないのではないかと考えております。
(問)関連ですけれども、そうすると、来年の今ごろにできる政府税制大綱には、消費税の引き上げ率、あるいは時期を盛り込むことも含めて検討しているということなのでしょうか。
(答)そこは先ほど申し上げたように、まず、元々いわゆる平成21年度税制改正法附則第104条というのがあって、これについて来年度中にそもそも結論を出そうではないかということになっているわけであります。与野党を超えて、当然、この議論は行って、正に来年度中に国会で成案を得るということが求められていると思っております。
(問)関連なのですけれども、これまで総理ですとか大臣もおっしゃっていたと思いますが、税制抜本改革前には必ず総選挙を経ると言っていたと思うのですけれども、総選挙を経ないで税制抜本改革をするということになるのでしょうか。
(答)今の質問は、その実施時期と成案を得るということをどう考えるのかということだと思います。ですから、まず大事なことは、国会で成案を得ることが大切で、実施時期については景気への配慮とかもあります。おっしゃったとおり、選挙での約束もございますから、そういったことをすべて勘案して実施時期を考えていくということに、当然なるのではないかと思います。
(問)そうすると、成案を得て、選挙で確認して実施するという段取りを考えているのですか。税制の抜本改革を成立させた上で、総選挙を経て税率引き上げとかを実施するという段取りを考えているのですか。
(答)やはり選挙を経なければ実施はできないというのが参議院選挙での約束事だったのではないかと私自身は考えております。
(問)予算本体は、自然成立が可能なわけですけれども、税制ですとか、国債の発行の特例法案、関連法案は、今の状態では野党の協力を得ないと成立しないわけですが、現状、どうやって野党に呼びかけていくのか。それから、社民党への協力も模索していたかと思うのですけれども、この間、石田芳弘議員が名古屋市長選に出るということで、社民党プラス無所属を加えても3分の2に達しない状況にもなったと思うのですけれども、そういうことも含めて、公明党等々の協力をどう得るのか。その辺はどうでしょうか。
(答)これは、やや政局的な質問になろうかと思いますので、後で少し申し上げます。まず、先ほど私が説明させていただいた内容について、もしあればどうぞ。
(問)元々、去年の総選挙のマニフェストというのは、予算を総組み替えして財源を生み出していくということでマニフェストを実施していくというのが一番大きな柱だったと思うのですけれども、民主党政権となって予算をつくってみて、実際にその予算の組み替えというのはどの程度実現できたのか。一つは、まず実際に事業仕分けで今回、3,000億円しか出てきていない。地方交付税交付金を含めて1兆円というような話があったわけですけれども、こういったことも含めて、特別枠に関しても、実際に要望として出てきた事業の中には思いやり予算など、元々既存の予算も入っているわけですから、これで本当に府省を越えた大きな組み替えが実現できたと大臣はお考えでしょうか。
(答)基本的に、今、考え得る最大限のことはできたと思っております。3.7兆円の財源を生み出したと、先ほど申し上げましたけど、おっしゃるとおり、特別枠には例えば在日米軍の駐留経費などが入っていることは事実でございますので、そういったことも含めて、これから精査したいと思います。1年目にどのぐらい財源捻出ができて、何に使って、そして今回、マニフェストに沿って、どのぐらいの財源捻出ができて、何に使ったのかということは、よく精査する必要があると思います。その上で、やはり一定の限界というものを感じるということになれば、やはりどこかの段階でマニフェストについて、ぎりぎりの努力をしていきますけれども、見直しの議論というのは当然避けられないと私自身は考えております。
 一方で、この間、財源捻出のマニフェストで捻出した分だけ前進させますということを申し上げてきたわけで、実は今回も、例えばマニフェスト工程表の主要事項でいくと、大体、新たにマニフェストの主要事項に1.1兆円使っているのです。また来年にでも整理した上で分かりやすく説明いたしますが、全体の事業費で4.7兆円、そのうち今回は新たに1.1兆円を実は使っているということがあります。そういったことも、きちっと整理していきたいと考えているということでございます。
(問)もう一つ、今回の予算編成で、ペイゴー原則というのが一つ大きな原則としてあったわけですけど、これが、法人税の引き下げの件でちょっと緩んだように感じるわけですが、今後の民主党政権として、このペイゴー原則をどう考えていくのか。今後も、この組み替えを続けながら、これはカチッとやっていくのか。方針についてはいかがでしょうか。
(答)基本的には、ペイゴー原則は生きていると思います。
 ただ、まず大事なことは、強い経済をつくることです。つまりは、デフレ脱却、成長・雇用をつくっていくという中で、44兆円の国債発行、71兆円の歳出の大枠ということを守ることがより大切であるということを私自身は考えて、法人税の実効税率5%引き下げ、事実上の実質減税ということを主張し、また調整もしたところでございます。
 つまりは、まず経済を成長軌道に一定程度乗せていかないと、因みに見通しとして、来年度のCPI、消費者物価指数の伸び率は0.0ということでありますが、何とかデフレから脱却していかないと、社会保障のあるべき姿と税制の抜本改革の議論についての国民の皆様からの合意がなかなか得られにくいのではないかと考えておりまして、そういう意味では、無駄の削減をし、国会経費も削減をし、その上で今、申し上げたことについてきちっと成案を得ていくことが大切なのではないかと考えております。
(問)以前から、財務省の主計局を内閣のほうに持ってくるべきだという改革案がありますけれども、実際、予算編成に当たられて、主計局を財務省から切り離す必要性についてはどのように感じましたでしょうか。
(答)私としては、もちろんそれは一つの考え方だとは思いますけれども、そうしなくてもできることはいくつもあるのではないかというのが率直なところであります。
 ですから、今回、私自身も相当程度、政治主導は以前よりは進んだことは間違いないと思いますが、当然、まだまだ改善の余地はあると考えておりまして、主計局をそのまま単純に持ってくればそれで済むのか、あるいはそういう大きな作業が必要なのかといえば、そうではなくてもかなりの程度の改善はできるのではないかという思いを持っておりまして、今、内々、国家戦略室に指示して、整理をしているところでございます。
(問)マスの話というのは、大臣が繰り返しおっしゃったことでよく分かったのですが、一方、国民一人一人は、今、非常に厳しい状況の中、年の瀬を迎えているわけですけれども、来年度、どういう生活がこの予算によって待ち受けているのか、そこのアピールについてはいかがですか。
(答)まずは国民の生活実感を少しでもよくするためには、まずはやはりデフレから脱却することがどうしても必要だと私自身は思っています。ですから、敢えて今回、成長・雇用、デフレ脱却ということを申し上げましたし、それぞれ地方で自由に使えるお金を事実上増やして、そして、それぞれの実情に合った形で生活に資する事業を実施していただくということを今回は考えさせていただいたということでありまして、やはりまずは強い経済です。そして、強い社会保障というか、社会保障制度を維持するために税制の抜本改革があると。この順番を間違えてはいけないというのが、私の考え方であります。
 では、先ほどの御質問にお答えいたしますが、このつくり上げた予算、税制、予算は自然成立するとしても、どうやって関連法案を通すのかということでありますが、基本的には幹事長と国対委員長の、あるいは官房長官の役割だと考えておりますけれども、私も党三役の1人でありますので、当然、考えていかなくてはいけないと考えております。そのためにどうするかということについては、様々な選択肢があり得るのではないかと思っておりまして、今から1つ、2つに限定する必要はないと思います。
 ただ、予算が本日、閣議決定されましたので、どうしたら関連法案、特例法案、税制法案、それぞれ通すことができるのかということについて、今までこういった政局の問題については、仲間の意見、あるいは後輩の意見、十二分に予算、税制に集中していたせいで吸い上げることができなかった面もありますので、これからしっかり吸い上げて、どういう解決策があるのか、私なりに考えていきたいと考えております。
(問)その前段として、まず国会の野党の審議拒否という問題があると思うのですけれども、仙谷官房長官が辞めないと冒頭から審議しないと野党が言っているわけですが、それに関連して岡田幹事長は、野党が出てこないのだったら、出てくる人たちだけで審議に入ってもよいのではないか、そういう覚悟でやると言われています。玄葉大臣のお考えはどうでしょうか。
(答)そういった、いわゆる国会戦略、国会戦術については、あまり核心的なことは今日の段階で申し上げるのは避けたほうがよいのかなと思っておりますが、私は堂々と審議をお願いしていくべきと考えています。幹事長の発言は、基本的に私は正論ではないかと考えております。
(問)小沢元代表の政治倫理審査会と国会招致をめぐって、未だに結論が出ていないのですけれども、これに対してはどういうふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)私も今まで予算と税に集中していました。したがって、これから若い人たちの意見を吸い上げて、どうあるべきなのかということについてもしっかり考えていきたいなと考えております。
(問)党内の亀裂はかなり深まっていますが、そういう危機感というのはおありでしょうか。
(答)もう何度も申し上げてきましたが、今までは幹事長にすべてお任せしていたということであります。今回も、基本的にはやはり幹事長が中心となって考えていくべきだと思います。ただ、党の三役の1人でもありますから、そこはまだ慎重な発言にとどめますけれども、いろいろと考えていきたいと考えています。
(問)そもそも政治倫理審査会に小沢元代表は出るべきかどうかということについて、岡田幹事長は出るべきと言っているので、岡田幹事長を信頼している玄葉大臣としては、やはり出るべきとお考えなのでしょうか。
(答)党役員会でそもそも一致した見解は、自ら御説明をいただくということでありますから、そういうことだと思います。

(以上)