玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月16日

(平成22年11月16日(火) 9:43~10:01  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日は安全保障会議がございました。中身については、官房長官のほうで一元的に扱っていますので申し上げられませんけれども、ただ党の外交・安全保障調査会のほうで、今、インナーで防衛大綱の見直しの議論が進んでおりまして、私からは、幾つも論点がありますので、早く平場で、つまりは外交・安全保障調査会の総会でしっかりとした議論を行うようにという指示をしているところでございます。
 閣議については特に申し上げるような案件はなかったと思います。
 私からは、以上です。

2.質疑応答

(問) 環境自動車税ですけれども、軽自動車については実質的に増税となって、軽自動車の保有率の高い地方の庶民には大打撃になるかと思うのですけれども、その点について御所見を伺えればと思います。
(答)環境税全般については、今、党の税制改正PTでも議論をしておりますし、また政府税調でも議論をしていて、まだ集約する段階ではないと思っております。
(問)総務省から報告書が出て、環境自動車税については、軽自動車も税率を引き上げる方向でなっておりますが、いかがでしょうか。
(答)それは総務省の意見であり、最終的に党の意見としてまとまったわけでもございませんし、政府税調でも違う議論もそれぞれありますから、もう少し議論の推移を見守りたいと思っています。この地球温暖化対策税全般について申し上げると、固定価格買取制度と地球温暖化対策税と、そして排出権取引制度と3つありますが、その3つを総合的にとらえて、決めていかないといけないと思っております。
 つまりは地球温暖化対策税だけ部分的に取り出す、あるいはその中の更にまた部分を取り出して議論をするということよりも、むしろまず全体からきちっと議論をしていって、そしてその上で細部を詰めていくというようにしないと、間違えてしまうのではないかと思っています。
(問)年末の予算編成に向けて、一括交付金もそろそろ具体化していく時期だと思いますが、政府での検討、調整の状況、進み具合についてお聞かせください。
(答)今の質問は、政府の方のということでありますが、まず一つは党の地域主権調査会の武正会長の下で議論が進んでおります。
 元々、一括交付金については、党に蓄積がございます。私自身もライフワークで取り組んできたテーマでありますので、その蓄積の中で恐らく提言が出されるだろうと考えておりますし、そういった打合せも一定程度しております。
 同時に、政府のほうも片山大臣からしばしば相談がございます。今、政府内で調整作業を進めているところでございますが、これは革命的な話であります。つまりは一補助金一係と言われている中で、かなりの補助金を少なくともその権限をなくすということになりますので、それだけ霞ヶ関にとっては大変脅威となる改革案件だと思っているところであります。
 やはり地域主権戦略会議とか、あるいは地方との対話も含めて議論をしていくことが大切だと思っていまして、地域主権戦略会議にかけるためには、その前に一定の政府内の調整を終えているという状況でかけたいという状況でございます。
(問)雇用問題についてお伺いしたいのですが、来年春に卒業予定の大学生の就職内定率が57.6%と過去最低になったということですが、これについてどのように今後対応していくべきか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)一言で申し上げれば、若い人に希望がない、希望が持てない社会というのは、極めてよくないと思っています。補正予算を一刻も早く成立させることが非常に大切になると思っています。
 今回もいわゆるトライアル雇用とか、インターンシップ雇用とか、新しく就職する人たちに対しての支援が補正予算には盛り込んであります。したがって、それらについて一刻も早い成立を期したいと思いますし、野党の皆さんに御協力をお願いしたいと思います。それと同時に、当然来年度予算においても、そういった政策が盛り込まれていくことになるだろうと思っております。
(問)今週中にも成立の見通しと言われている給与法の改正ですけれども、人事院の勧告どおり1.5%の削減ということですが、民間の平均の給与が昨年は5.5%減という非常に厳しい、過去最高の下げ幅のようなのですけれども、しかも菅総理は代表選で人事院勧告を超えた深掘りをするともおっしゃっていますが、その実現もできない中で民間との間にかなり差があるということについて、国民の理解が得られないのではないかと思いますが、大臣の所見をお聞かせください。
(答)私もかつて給与関係の閣僚会議で、いわば厳しい姿勢でこの問題に臨むべきだということを申し上げました。ただ、他の閣僚からは、また違う意見が出されたところでございます。
 結果としてどうなったかと言えば、是非2年間で見てほしい、あるいは3年間で見てほしいということです。つまり、そういう厳しい姿勢で臨むべきだという主張がある意味通って、今年すぐというわけにはいかなかったけれども、来年の通常国会でいわゆる人件費削減に向けた法案を提出するということにしたわけであります。
 これまではいわゆる労働基本権を付与して、それを前提にした労使交渉によって、給与交渉をする、あるいは人件費を削減するということを申し上げてきましたが、仮に法案が通っても来年は無理です。制度設計の問題で再来年も恐らく無理です。
 そうなると、では来年、再来年はどうするのだという問題が起きます。ですから、今回是非複数年度で見ていただきたいと思うのは、来年の通常国会でそういった退職金も含めて、人件費に関する法案を提出するというまとめ方になったということでございまして、これもある意味これまでなかったことでありまして、初めてと申し上げても過言ではないのではないかと思います。そこは御理解をいただきたいと思います。
(問)一方の国会議員の歳費ですけれども、1割削減というのが党内では議論されているのですけれども、党内で反発の声も非常に多く挙がっておりまして、公務員の給与を削減する方針を掲げる一方で、国会議員の歳費を削れないというこの現状については、どのようにお考えでしょうか。
(答)公務員の総人件費を削減するわけですから、当然、国会議員も痛みを分かち合うべきであるし、むしろ率先垂範すべきだと私自身は思っております。1割削減で幹事長のほうから提案があったということでありますけれども、私は政治改革推進本部でそれがまとまると思っていますし、そうあるべきだと考えております。
(問) 昨日の国会で仙谷官房長官と馬淵国土交通大臣の不信任案は否決されたのですけれども、否決されたことによって、もう辞任する必要はないかと考えるかどうかというのと、そもそも辞める必要があるのかどうか。参議院へ回った場合、問責決議案が可決される可能性があるのですけれども、問責が可決されれば、これはもう辞めざるを得ないと考えるかどうか、その辺どうお考えですか。
(答)参議院のことはまだこれからでありますが、少なくとも衆議院で私は不信任決議案に反対をしましたから、そういう態度であると御理解をいただければと思います。
(問)辞任する必要はないということでしょうか。
(答)不信任決議案が出たわけで、それに対して自分は賛成をしたわけではなく、反対の意思表示をしたということでありますので、不信任には値しないという意思表示を昨日投票態度で示したと考えていただければと思います。
(問)先日のAPECでの会見で、総理が農地法の改正に言及されました。EPAの関係で農業構造改革推進本部だと思うのですけれども、具体的に農地法の改正を俎上に乗せていくのか、お考えを伺いたいです。
(答)11月中につくられる農業構造改革推進本部については、今、どうつくるか、鋭意検討をしております。メンバーもそうでありますし、今、おっしゃったような論点も含めて整理をしております。農地法改正について、どこまで手をつけるべきなのかということについては、まだ検討中ということです。
(問)いずれにしろ論点の一つには挙げているのですか。
(答)まだそこは決まっていません。
(問)話がいろいろ飛んで、恐縮ですが、子ども手当の関係ですけれども、昨日、首都圏の9都県市首脳会議が地方負担を来年度求める場合、負担拒否もあり得るという決議をしましたけれども、大臣として地方負担のあり方についてどう考えるのかと、仮に来年度も地方の負担を求める場合、どのように地方を説得するのでしょうか。
(答)これも含めて、正に大切な論点だと思っています。今、副大臣会合でその論点についても詰めており、選択肢を幾つか持って詰めているところでございますので、今の段階で5大臣会合の議長という立場で私がそのあり方について申し上げるのは適当でないと思っております。ただ少なくとも地方自治体の皆さんにできる限り理解してもらえるような形にしていくことは大切なことだと思っています。
(問)今日の未明、海上保安官が合同庁舎を出ました。要は捜査当局が逮捕は見送って、任意捜査を続けるということなのですが、これをもって政府側の閣僚、あるいは海上保安庁長官等の責任問題にどう影響するとお考えでしょうか。
(答)責任のあり方論については、私が申し上げるのは適切ではないと思っていますが、これは刑事処分と行政処分があると思います。先日も申し上げましたけれども、法と証拠に基づいて、法律によって冷静に対処していくということが必要ですし、同時に行政処分は行政処分としてどうするのかという判断があるでしょう。
 そして、組織の中の組織ということを先日も申し上げましたけれども、やはり武器を持つ組織である自衛隊、警察庁、そして海上保安庁については、規律の乱れは重大視しなければ、世の中の秩序が成り立たないと私自身は考えております。
(問)ということは、行政処分は少なくとも本人なり上司について必ずすべきだということですか。
(答)私が申し上げるのは適切かどうかわかりませんけれども、適切な行政処分は科されるのであろうと思っています。
(問)それは上司も含めてということですか。
(答)そこまで私が申し上げるのはどうかと思います。先ほど申し上げたように、組織の中の組織と言われる海上保安庁の乱れというものをどう考えるのかということではないかと私は思います。
(問)子ども手当に関して、党内など、一部から所得制限をやるべきだという声が出ているようです。一度消えた話ではあるのですけれども、改めてそういう意見が出ていることに関して、大臣としてどうお考えになっていますか。
(答)以前も申し上げましたけれども、これもせっかく副大臣の皆さんが議論していますから、あまり議長として考え方を申し上げるべきではないかと現段階では思っているのですけれども、元々、民主党が子ども手当を導入したときの理念をあまり曲げてしまうと、果たしてどうかという感じがいたします。恐らく所得制限の議論というのは、財源の捻出の問題で出てきているのではないかと思われますが、この点については、諸外国でも所得制限をしている例はあまりないと思います。
 それと同時に、「控除から手当へ」という中で、控除をなくすということ自体が高所得者に不利な状況をつくっております。ですから、必ずしも所得制限をかけないことが金持ち優遇になっているかというとそうでもないと思います。確か年収2,000万円の世帯で仮に切った場合はコストのほうがかかったと思います。つまりは、子ども手当の対象になる子どもがいる親というのはまだ若いですから、そんなにたくさんの所得を持っているわけではないということもあるのではないかと思われまして、これは議論を待ちたいと思いますけれども、やはり政策をつくるときに、元々持っていた原則とか理念というのは、一定程度は大事にしていかないといけないのではないかと考えております。

(以上)