玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月12日

(平成22年11月12日(金) 9:42~9:58  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議については、一つだけ申し上げたいと思います。行政刷新会議による事業仕分けが、特別会計について行われましたけれども、閣僚懇で総理大臣臨時代理のほうから、特別会計仕分けの結果をしっかり踏まえて歳出の見直しを行ってほしいという指示が、平成23年度予算概算要求についてございました。特別会計制度の見直しそのものについては、財務大臣を中心に具体的な制度設計を検討してほしいという話などがありました。同時に、再仕分けがこれから行われますけれども、これについて、御存じかもしれませんけど、平成23年度予算の概算要求、もっと言うと特別枠の要望については、仕分けで厳しい判定があった事業について、俗に言う看板の架け替えだったり、引っ越しだったりという中で、結構要求・要望がなされています。そういったものについては仕分けの結果をきちっと反映をしてほしいという要請がありました。
 これは言うまでもないことですが、以前、私のほうから、特別枠要望について、あるいは要求も含めて、5原則でしっかり見ていくという話を申し上げたところでありますけれども、その「「改革の姿勢」の観点からの評価」の原則4として、特別枠設定の趣旨に合うものでなくてはなりません。つまりは、組み替えるという特別枠の趣旨に合うものでなくてはならず、評価のポイントとして、「事業仕分け等で指摘された事業の出し直しではないか」という観点が実はあるわけです。これから特別会計の報告は正式に、より具体的に受けることになりますけれども、いずれにしても、今、評価会議の公開ヒアリングが行われているわけでありますけれども、そういった中であくまで一つのポイントとして、議長という立場で、評価付けを行っていかなければいけないということを改めて申し上げたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問) 公開ヒアリングですけれども、今日のヒアリングで防衛省の思いやり予算が扱われますが、これは以前から特別枠にふさわしいのかどうかという議論と、外交問題に直結するので削減しにくいという話もありますけれども、この扱いについては、いかがでしょうか。
(答)いずれにしてもこれからでございます。確か今年度予算額1,881億円の在日米軍駐留経費負担というのがあったと記憶をしております。これはホストネーションサポート(HNS)でありますけれども、基本的に重要であるという認識を持っているということだけ申し上げたいと思います。
(問)金額からいうとかなりの額ですけれども、今回これを削減できない場合は、ほかの防衛予算にも影響があるということでしょうか。
(答)以前も申し上げましたけれども、一般論で申し上げますが、特別枠の趣旨に合わない事業等が特別枠要望に出てきている場合は、要求も含めて一体とみなして、削るべきは削るということにせざるを得ないと思っております。
(問)尖閣諸島沖の漁船の衝突事件のビデオの流出問題ですが、海上保安庁の職員が捜査を受けているわけですが、それに関連して野党が仙谷官房長官と馬淵国土交通大臣の辞任を求めています。この2閣僚の辞任は必要だと思いますか。また、海上保安庁長官の辞任論もありますが、海上保安庁長官の責任についても言及をお願いします。
(答)これは捜査中であると思いますし、責任論については、私が答える立場にはないだろうと思っております。海上保安庁というのは、いわば海の警察と言っていい組織なわけでございます。組織の中の組織と言ってもよいのではないか。これは自衛隊も同じだと思いますけれども、いわゆる組織の中の組織、そういう組織がいわばこういう形で事件と申し上げていいのかわかりませんけれども、少なくとも捜査の対象になる事案を起こしてしまったということは、極めて遺憾というか、深い問題がここにはあるのではないか。改めて情報管理のあり方、インテリジェンスのあり方をよくよく考えないといけないと思います。
 私も実はかつて野党時代に、このインテリジェンスの問題を一、二度、取り上げたことがございます。情報が上がらない、回らない、漏れる。こういった問題を少なくとも強い軍隊を持たない日本にとっては、このインテリジェンス機能というのは極めて大切な問題だという意識を私自身は持っていまして、このインテリジェンス機能全般を強化するということを日本としてしっかりと考え、しかも考えるだけではなくて結論を出していかないといけません。いつまでたっても議論して終わりということではいけないと思っています。
(問)それに関連してですが、与党内からもビデオの公開を求める声が上がっているのですが、そのあたりについてどう思われますか。
(答)ビデオの公開については、基本的には官房長官に判断はお任せしたいと思っています。
(問)来年度の農業予算ですが、昨日から4大臣会合が始まりましたけれども、大臣は概算要求が出されたときとは状況が違ってきているということをおっしゃっていますが、予算規模ですとか、内容について、現時点でどのようなイメージをお持ちなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)結局、要求・要望が出されたのは8月ですよね。そのときに、TPPはもちろんでありますけれども、いつも申し上げておりますように、先般の基本方針の実は隠れた最大のポイントは二国間経済連携の加速であったわけです。しかもそれは食料輸出国とのハイレベルな二国間経済連携も含めてということでございます。したがって、当時とは二国間経済連携の加速という意味で状況が変わってきています。そういう状況変化を踏まえて、やはり要求・要望の内容について、精査をしなければならないのではないか。額よりも、むしろ中身について、どれが二国間経済連携を乗り越えるときに大事な事業なのかということを重視しながら予算を見ていかないといけないのではないかという問題意識を私自身は持っております。
(問)そうしますと、農業予算、来年度については、あまり額を積み増すというイメージはお持ちでないということですか。
(答)そうですね、額よりも中身ではないかと思っておりますし、もちろん額を今の要求・要望以上に積み増すという思いではございません。
(問) 先ほどのビデオの公開の件のところで、組織の中の組織ということを二度ほど言われましたけれども、これは聞きようによっては、政府の中の海上保安庁という一組織であるから、責任は海上保安庁にあるのであって、政府側にはないかのような、いわゆる仙谷官房長官のロジックのようにもちょっと聞こえるのですけれども、どういう意味で言われたのでしょうか。
(答)いやいや、そういう意味で申し上げているわけでは全くありません。先ほどの繰り返しになったら恐縮ですけれども、自衛隊もそうですし、いわゆる規律とかが最も求められるのが自衛隊であるとか、あるいは警察であるとか、海上保安庁だと思うのですね。その組織の乱れというのは、私はやはり非常に重大視しなければいけないという思いで申し上げているだけで、責任がどうだこうだとかいうことを申し上げたくて言ったわけではありません。そういう問題意識を強く持っているということです。
(問)今回のユーチューブに流したことが組織の乱れと言っていいのか、あるいはそもそも公開しなかったことが本質にあるのではないかという、見方が2つあるのですけれども、玄葉大臣はこれは組織の乱れにあるという理解ですか。
(答)法律に従って対応する、処分をすることがいいと思っています。
(問)先ほどの農業予算の関係ですけれども、中身が問題だということですが。
(答)問題というか、問題視しているわけではなくて、そういう視点でもう1回見てみるということから始めたいということです。
(問)品目をより絞り込んでいくということなのか、それとも土地改良とかそういうものに使う予算をなるべく削って、直接支払に回したほうがいいという考えでしょうか。
(答)結局、どこの国とどういう時間軸で経済連携を結ぶかによって違ってきます。つまりは、相手国によって、どの作物が関税措置が早い段階でなくなることになるのか、それによって違ってきます。ですから、昨日も、若干、シンポジウムでも申し上げましたけれども、今、所得補償の対象は米だけでありますけれども、米は本当に例外扱いにならないのか。私はなり得る可能性は十分あると思います。ですから、二国間の経済連携を進めるときに、どこが対象になるのか。ある国と経済連携を結ぶとすれば、一番のターゲットは、例えば小麦と畜産かもしれない、ある国は違うかもしれない。そういうことまで念頭に置きながら、どういう措置を今からとっていけばいいのかということを考えていく。それを23年度予算でどこまでわかりやすく反映するかはともかくとして、本格的に本部をつくって、来年6月までに大きな基本方針をつくり上げるということになりますので、23年度で今の時点で、この間立ち上げた時点で、具体的にどこを見直すということは、現時点では申し上げることは控えたいと思っています。
(問)来年度の子ども手当について、現在副大臣レベルで検討が進められていますが、高所得者層に一定の所得制限をするかどうかというのが一つの論点かと思いますが、改めてこの是非について、大臣のお考えをお尋ねしたいのですが。
(答)所得制限の議論というのは、国民の皆様からは一定の支持も得ていると思っています。ただ、すべての子どもの育ちを支援するというのが子ども手当の元々の趣旨であると私は理解をしているということが一つ。もう一つは、控除から手当へという大きな流れを民主党政権はつくっております。控除というものがなくなっていく姿というのは、扶養控除でもそうですけれども、実は高所得者層ほど控除がなくなればなくなるほど不利になります。ですから、そういう意味では、果たしてそういったことも含めて、総合的に考えていかなければいけなくなるのではないか。今はあまり予断を持たずに議論をしたいと思っております。

(以上)