玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月26日

(平成22年10月26日(火) 9:30~9:51  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議の前に知的財産戦略本部会合がございましたけれども、これも新成長戦略の21のプロジェクトの一つでございまして、国際標準を取る、ディファクトを取るという戦略は今後の日本のためには極めて大切な課題でありますので、これはこれとしてしっかり取組をしたいと思います。
 特に総理からもそれぞれの対応について加速させてほしいという話がありましたので、改めて我々もしっかり国家戦略室としてやるべきことは何かということを考えながら、対応したいと思っております。
 また、平成22年度の一般会計補正予算の概算の閣議決定が本日なされたところでございます。国庫債務負担行為を入れると総額で約5.1兆円の経済対策でありまして、速やかに成立を図ることが現在の円高・デフレ脱却のためには極めて大切なことだと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問) 今日、自民党が財政健全化責任法案を提出するわけですけれども、これへの対応についてお伺いします。
(答)自民党の財政健全化責任法案は、これまで提出されてきた法案と全く同じものなのか、若干変わるところがあるのか、そこをまず見極めないといけないと思っています。全く変わらないということであれば、基本的に政府・与党の財政運営戦略と目標は変わらないということであります。つまりはプライマリーバランスを対GDP比で一つの指標にしていて、10年後に黒字化を目指すということです。まずは毎年度の政策的経費は毎年度の税収で賄うということを目指すという意味では、同じ趣旨だと理解をしています。
 ただ、あえて申し上げれば、違いが何かと言われれば、財政運営戦略は10年計画でありますけれども、我々は中期財政フレームとして3年計画の中期目標をつくっていますけれども、自民党の場合は確か5年で書いていたように思いますし、もう一つは法で縛るか縛らないかという問題ではないかと思います。
 特に所得税法附則の関連が自民党の場合はございまして、平成23年度までに税による措置をとるということが書かれておりますので、その点についてどうかという議論はあり得るかもしれません。ただ、答弁で一度したことがありますけれども、民主党の財政運営戦略も率直に申し上げて、税による措置も慎重シナリオでいけば、当然予定をしているところでありますので、その時期が区切られるということの問題をどう考えるかということだと思っています。
 基本的には、しっかりと受け止める必要があると思いますが、やはり民主党内で議論をしなければいけないと思っています。つまりは政調幹部が独自で判断するということではなくて、税と社会保障について、現在考えているのは、財務・金融部門、それに例えば内閣部門、まだ決めていませんが、場合によっては厚労部門といった合同部門会議でしっかり議論していただくことが必要だと考えております。
(問)今の質問に関連するのですけれども、自民党内ではこの財政健全化責任法の成立を引き替えに、補正予算に賛成するという意見も一部であるようですけれども、こうした動きについてどのようにお考えでしょうか。
(答)補正予算は補正予算と考えていただかないといけないのではないかと思います。駆け引きの材料に使わずに、補正予算は補正予算で是非成立をさせていただきたいと考えておりますし、一方で財政健全化責任法は、それはそれとしてしっかり受け止めるということが大切なことではないかと思います。
(問)財政健全化責任法の関連で恐縮ですけれども、自民党は民主党のマニフェストの一部はやめてもらわないと、財政健全化責任法は実際にはできないと言っているわけですけれども、部門会議などでマニフェストの扱いなども議論の対象になってくるのでしょうか。
(答)財政運営戦略と自民党の財政健全化責任法は、もし全く同じものが出てくるのであれば、つまりは自民党のほうで、前回提出された法案と全く同じものを提出するということであれば、それによってマニフェストの撤回とか修正とかを迫られるものではなくて、元々財政運営戦略と目標は一緒でありますから、そういう意味では今までの民主党のマニフェストに対するスタンスというのは変わるわけではないと思います。つまり、できる限りその実現を目指すけれども、実現が困難な場合、特に財源等で実現が困難な場合はしっかり説明をしていくという基本的なスタンスは変わりはありません。
 ただ、いつも申し上げておりますけれども、参議院選挙のマニフェストは、衆議院選挙のマニフェストの中で強調すべき点を強調し、かつ修正すべき点を載せたというマニフェストでありまして、消費税以外は基本的に私は国民の皆様から理解されていると考えておりますし、民主党代表選挙である意味オーソライズされたと考えております。
(問)鳩山前総理が総理を経験した後はその次の選挙には出ないということを言っていましたけれども、その引退宣言を事実上撤回したわけですけれども、こうした前総理の軽い発言について、玄葉大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これはノーコメントです。
(問)小沢議員の政治倫理審査会出席に向けて、岡田幹事長が小沢議員と会談するらしいのですけれども、まず小沢議員は政治倫理審査会に出席して弁明すべきかどうか、この点についてはいかがですか。
(答)その点は以前から申し上げておりますけれども、いずれにしても岡田幹事長が私の意見も含め、すべての役員の皆さん、あるいは党内全体の状況を見極めながら、当然、世論も踏まえながら、すべてを斟酌して総合的に判断されて対応されると思います。私は岡田幹事長を信頼していますので、そういう対応を見守りたいと思っています。
(問)今度、新設される政府・与党社会保障改革検討本部について、この本部はいわゆる年金や医療、介護といった各制度の具体的な改革を決めていく機関になるのかどうか、大臣のお考えをお伺いします。
(答)実は社会保障全体の制度設計について、基本的に決定の場がないというところに一つの問題点がありました。党のほうで税と社会保障を連動させながら検討する場を藤井調査会という形で設けたわけでありますけれども、税は政府税調で議論できるけれども、社会保障は政府税調では議論できません。したがって、やはり政府・与党で決定する場が必要だということで設けた会でありますので、そういう意味では、正に一つの決定の場であると考えていただいてよいかと思います。
(問) 今日の閣議で補正予算の概算が決定されましたけれども、その中身の評価と今後野党にどのような協力を求めていかれるかということをお伺いします。
(答)現在の円高、デフレの問題に対しては、いつも申し上げていますけれども、3本の矢で対応する必要があります。
 この間、G20もありましたけれども、米国やヨーロッパと連携した為替対応ということが一つありますし、せんだって一歩踏み込んだ金融ですけれども、これも更に踏み込めるのではないかという思いもあります。そして、3つ目は政府による経済対策です。これもできる限り速やかに対応していくことが必要で、昨日国会でも御質問いただいたのですけれども、政策コンテストで国民の皆様の声を聞いておいて、新成長戦略を前倒ししてしまってという話でありましたけれども、やはり雇用創出効果とか需要創出効果というのはとても大事な観点であります。そういったことも含めて、しかも地域の疲弊といった視点も入れ込んで、また、生活という視点も入れ込んで、今回の経済対策はつくられていますので、これをできるだけ早く成立させるということがすなわち円高・デフレ脱却に向けた大事なステップになると思います。さらに、本予算の編成でしっかりとメリハリつけた予算編成をし、特に雇用、そして需要の創出効果をしっかり見極めながら特別枠要望に対応して、本予算を必ず年内に編成するということが我々に課せられた喫緊の大事な課題だと考えております。
(問)今回の案を受けて、改めて野党の協力を求めるということはされるのですか。
(答)これは政府案になりましたので、政府からそれぞれに説明に上がるという形があるかもしれません。今はちょっとはっきり言えません。
(問)アメリカのキャンベル氏が日本のTPPへの参加に期待感を示しているのですが、これについての受け止めをお願いします。
(答)これについては、今はとにかく党内調整を急いでおります。今週2回、もしくは3回、今日も多分平野副大臣が出席をされて、党内のEPA、FTA、そしてTPP対応プロジェクトチームが会議をすると聞いております。
 これについては、APECというのは一つの起点というか、分水嶺だろうと思っています。アジア・太平洋のボリュームというのは大変大きいです。このアジア・太平洋のボリュームをどう活かしていくのか。日本が新しく通商国家として、どういう歩みをしていかねばならないのか。
 一方、日本の国内の特に農業、農村のあり方について、どう持続可能な農業、農村をつくり上げていくか、そのために何を行えばよいのか、そういったこともすべて勘案して、総合的に判断をしなければならないと思っておりまして、今はある意味、慎重に党内の調整、もっと言えば党外、あるいは与野党を超えてしっかりと議論していく大事なテーマだと思っています。
 やっとTPPについての理解も正確になってきたというところがあります。なればなるほど議論になるということで、いつも申し上げていますけど、大いに結構だと思います。この国の国益、国民益を大きく左右する大事な話でありますから、しっかり議論した上で結論を出していくということが大事だと思っています。
 バイかマルチか、あるいはその組合せかはともかくとして、あるいは時間軸はともかくとして、一歩前に出ないといけないと思っています。
(問)関連ですが、政府はAPECまでにTPPに関して基本方針を提示するという考えを既に総理がお示しになっていますけれども、TPPについては国内農業への懸念が強いわけで、そういった慎重論に対応した具体策、農業振興策みたいなものも出されていくお考えなのかどうかということについてお尋ねいたします。
(答)どういう基本方針の取りまとめ方をするかによると思っています。基本方針の取りまとめは私の手元でいたしますけれども、いわばAPEC時点での各経済連携に対する対応をどうとるかによって、その対応も違ってくると思います。ただ、先ほど私が申し上げたように、経済連携、バイかマルチかその組合せかは別として、仮に一歩前に出るということになれば、農業の強化策は当然必要になるのではないかと私自身は少なくとも考えております。
 そのときに大事なことは、かつてガット・ウルグアイ・ラウンドのときの対策費が約6兆円ありましたが、あのときは確かほとんどが農業土木に費やされたということでございます。8,000億円ぐらいしか有効な使われ方がなかったのではないかという説もあるわけで、そういうこともしっかりと見定めて参考にしながら、考えていかなければならないと考えております。
(問)先ほどから一歩前に出ないといけないと強調されていますが。
(答)それは、だからバイかマルチか、あるいは組合せか、わかりませんが、全体として経済連携についてはという意味です。
(問)明日から事業仕分け第3弾が始まるのですけれども、それに対して大臣から期待することなどありましたら、少しお伺いできればと思います。
(答)これは蓮舫大臣のところでやっていただいているわけでありますけれども、所期の目的がしっかり達成できるように、私としても期待をしたいと思います。特に事業において効率的な税金の使われ方がされているかどうか、しっかりこの機会を通じてチェックされていくということがとても大事なことではないでしょうか。同時に、それによって様々な制度の見直しなどにつながっていくということが必要なのではないかと思います。

(以上)