玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月22日

(平成22年10月22日(金) 9:49~10:12  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、本日から、私の閣議後の定例記者会見に従来の記者クラブ所属の記者の皆様に加えまして、所属していない記者の方々にも御参加をいただいているところでございます。少しでも多くの皆様に菅内閣の動きが身近なものになるようにお伝えをしたいと思っているところでございます。
 今日の閣議については特に申し上げることはないかと思いますが、補正予算の国会提出の時期について恐らく官房長官のほうからお話があろうかと思います。
 また、「新しい公共」のことでございますけれども、「新しい公共」の推進に当たりまして、一言申し上げたいと思います。
 「新しい公共」円卓会議というものがかつて鳩山前総理のときにございましたけれども、その後継組織をつくり上げるということを以前から申し上げていたところでありますけれども、27日に初回の会合を開くことにいたしました。
 「新しい公共」というのは、ある意味、新しい民主主義をつくるという広い概念をも含む運動であると思っております。
 つまりは、私たちの国は明治維新以降急速に中央集権化が進んで、ややもすればお上依存という傾向にあったのではないかと思いますけれども、これからの日本の社会を考えたときに、いわばお上から、あるいは行政から、行政イコールお上では全くないのですけれども、どうしてもそのように言われがちだったということも含めて申し上げたいのですけれども、自ら幸せをつくり出す、人に役立つ幸せというものをしっかりつくり上げていく。そして、居場所とか、絆とか、出番とか、そういうものをいわば醸成をしていく。その過程で住民の皆さん、企業、そしてNPOなど、いわば「新しい公共」の担い手ともいうべき人たちが公共的な活動に共助の精神で参画をする。その結果、行政の下請けというのではなくて、結果として、そういった活動によってそれぞれの地域の皆さんのきめ細かなニーズに対応していくという姿が私は今の日本には必要だと思っております。
 いつも申し上げていますけれども、「滅私奉公」という言葉があります。それはそれで尊い言葉でありますけれども、これからは「活私豊公」と、これは私の造語でもありますけれども、活用する「私」、そして「公」に奉るのではなくて、「公」を豊かにするという社会をつくっていくことが必要です。
 つまりは、「私」は、自らの得意分野を生かして社会で活躍をする、あるいは社会のために貢献をしていく、そういうことを通じて社会全体が豊かになっていく。そして、冒頭の発言にも戻りますけれども、それぞれが生き甲斐を感じたり幸せを感じたり、居場所とか、出番とか、絆、そういうものが感じられる社会を築いていく必要があると思っています。
 最近、私は人生前半の社会保障ということを言い始めています。それはどういうことかといいますと、自殺者が今、毎年3万3,000人ぐらいで高止まりしています。実は平成10年の小渕内閣のときに山一ショックなどもあって1万人増えました。その後、高止まりしていたのが、実は鳩山内閣になって少し減ったんですね。多分、運動することによって減ったのでしょうが、最近はまた上がってきています。だから、もっと根本的な問題がここにはあるのだろうと思います。
 特筆すべきは、自殺者数が高止まりしている中で、年々年々高齢者の皆さんの自殺は実は順調に減少してきています。反面、若い人たち、20~40代の方々の自殺率が実はどんどん上昇しています。昔は、企業がある意味、人生前半の社会保障を見ていたというところがあると思うのですが、今はそうはいきません。なぜかといえば、企業の競争力の問題などがあるからで、やっぱり高度経済成長モデルから成熟時代の新しいモデルを築いていかなければいけません。
 そのときに、例えば、派遣労働の有り様をどうするかとか、「新しい公共」とか、そういうことが私は大事になってくるのではないかと思っています。「新しい公共」についてはなかなか皆さんに報道していただけないのですが、鳩山前総理が提唱されて、少しずつ浸透し始めております。
 「円卓会議」に代わる新しい会議体で、今まで円卓会議で提唱、提言していただいた例えばNPOの寄附税制、これに税額控除を導入し、所得控除との選択制とするとか、認めていくとか、そういった寄附税制、あるいは認定NPO、認定というのはいわゆる税制の優遇措置を受けられるという意味ですけれども、認定NPOは今179団体しかありませんので、そういった団体を増やしていく、そのためのいわゆる認証の仕方、認定の仕方の見直しなども含めてこれからやっていかなければいけないので、そういうフォローアップとか、また、「新しい公共」のあり方についての更にワンランク上の検討をするための会議体を27日に始めますので、是非、御支援をお願い申し上げたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問) 「新しい公共」推進会議についてですが、今日の閣議もしくは閣僚懇談会でテーマになったかどうか、また、菅総理から何か発言はあったかどうか教えていただけますでしょうか。
(答)今日はそのことについては特に私から発言をしたわけではありませんし、特に総理からも発言があったというわけではございません。27日の会合には総理もお出になるようですので、それについては、今後、総理からも発言があるだろうと思います。
 なお、「新しい公共」については、御存じの方も多いかもしれませんけれども、実は党のほうで「新しい公共」の調査会ができまして、今日、第1回の会合を開催する予定ですが、元々提唱されていた鳩山前総理が会長を務めていただくことになりました。何らかの形で調査会のメンバーにもこの「新しい公共」推進会議に参加をいただくような形を今、検討しているということも併せて申し上げたいと思います。
(問)TPPについてですけれども、党内で政調でも議論が進んでいるのと同時に、昨日、慎重に対応してほしいということを求める会が発足しまして、その勉強会に110名近く参加しています。こういう党での意見が大分対立している状況について、今後どのように意見の集約を図っていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)TPPの対応に関する緊急決議案は、恐らく私の手元に正式に本日届く予定で、実は今朝、これを読みましたけれども、一言で申し上げると、非常に抑制の効いた文面であるという印象であります。勉強会については否定いたしません。ただ、できるだけ党の正式な政調のプロジェクトチームに出てきていただいて御議論いただくのがよりいいなと思っています。
 日本の分水嶺選択のときということで、これは、侃々諤々議論が出るのは当然だし、出ないことのほうがおかしいと私自身は思っておりますので、大いに議論していただいて結構だと思っています。
 ありとあらゆる情報、客観的データ、そして知見、これをすべて収集し、当然、党内の議論も見極めた上で、国益、そして国民益に基づいた総合的な判断、あるいは総合調整というものをしていかなければならないと考えておりまして、とてもいい議論をそれぞれしていただいているというのが率直な私の今の思いであります。
 2020年までにFTAAPというアジア太平洋で自由貿易圏をつくるという合意をしています。民主党のマニフェストにもEPA、FTAを推進する、しかも積極的に推進することをうたっております。問題は、具体的な道筋、それに尽きるわけであります。
 今年の3月から本格的にアメリカが交渉に参加をしたところから、正に急速にこのTPPが大きな課題に浮上してきました。ですから、広く国民的な議論が起きてこないことには逆に困ってしまうと思っております。
 ですから、「国を開く」という基本方針の中で、20年後、30年後、あるいは50年後の日本の農業、農村のあり方というものをしっかりと展望して、重ねて申し上げますけれども、国益、国民益に基づいた総合調整を図っていかなければならないと思っています。
 全くの蛇足ですけど、300小選挙区ありますが、私は唯一農協から正式な推薦を2回連続受けている民主党議員でございます。日本の農業、農村のあり方に最も深く関心を持っている人間だと申し上げても過言ではないと思っています。そういうことも踏まえながら、しかし、国を開くという中で、どういう判断、そして道筋を描いていくのか。
 いずれにしても、APECが終着点ではありません。むしろ、それ以降が大変だと私自身は考えております。
(問)記者会見のことについて2つ伺いたいと思います。大臣は今年の6月に就任されて以来、今日が33回目の記者会見になるんですけれども、これまで記者会見をオープンにされてこなかったのに、今回オープンにされたのはなぜなのかということがまず一つ。
 それから、本日の会見はこの内閣府の中で開かれておりますけれども、国会会期中ですと国会内で開かれることも多くあります。その場合、国会記者記章を持たないフリーの記者や雑誌の記者、ネットの記者の大部分は参加できません。大臣の記者会見は国民のもの、公共のものであると考えるわけですけれども、参加できない記者がいる現状をそのまま放置するということは、「新しい公共」にも全員が参加できなくてもいいと、一部の限られた人だけが参加できればいいというお考えなのか、それとも多くの記者が参加できるような方策を何かお考えであるのかと、その御見解を伺えればと思います。
(答)私は政調会長を兼ねているものですから、閣議後の会見をここでやったり、あるいは党本部で、あるいは国対の会見場で開いたりということもありますが、確か党本部のときは皆さんにオープンにしていると思います。ですから、そこは私も少しでもオープンにしたいという思いで、できるだけの調整を関係者の皆さんがしていただいたと思っています。
 よくわかりませんけれども、スペースとかいろいろなことがあるのだろうと思いますので、そこは、率直に申し上げて、今、私、戦略課題と政策に集中しているので、できれば関係者の方々と御相談いただければと思っています。
(問)TPPですけれども、具体的な道筋ですが、今回のAPECまでには、交渉に参加するところはどこまで表明されるのか、また、最終的に結論を出すのはいつなのか、そこはいかがでしょうか。
(答)それも含めて今、検討しております。ありとあらゆる情報、知見が今、どんどん入ってきている状況だと私自身認識をしております。御存じだと思いますので申し上げれば、閣僚の集中討議も日曜日にもありますが、そこで結論が出されるということではありません。
 同時に、党のPTも私のほうから、これからは平野副大臣を始め、松本外務副大臣、篠原農林水産副大臣、あるいは松下経済産業副大臣、そういった関係の副大臣の方々も出席をしてほしいと指示をしました。そこでやはり地に足のついた、しかもファクト、客観的データをしっかり踏まえた上で議論することが大事だと思っています。そのことをしっかりと進めていかずに、今、私のほうから何らかの結論を申し上げるのは適切ではないと思っています。
(問)この前の会見でしたか、APECのときにTPP、EPAで何らかのメッセージを出す必要があるとお聞きしましたが、その考えはお変わりありませんか。
(答)それはもう当然だと思います。議長国だからというのは、もちろんゼロではありませんけれども、当然、それに対しての考え方を菅内閣として出さなければならないということだと思います。
(問)APECは来月開催、時間があるようでないかもしれませんが、どこかのタイミングで閣議決定という運びになるのでしょうか。
(答)そこも含めて、今、考えているところであります。最終の運びは、センシティブですから、間違いのないようにしたいと思っています。
(問) 自民党のほうで財政健全化責任法案の再提出の動きが出ていますが、改めて政調会長として、現段階であの法案についてどういう対応をされるお考えでしょうか。
(答)自民党の財政健全化責任法の目標は、実は民主党政権が掲げる10年計画である財政運営戦略と同じと申し上げても過言ではないと思います。つまりは、2020年度までに対GDP比でプライマリーバランスを黒字化するということであります。それは全く同じです。
 基本的には、しっかり受け止めて議論をしなければいけないと思いますが、その対応については政調の中でも議論をしたいと思っています。
(問)政策コンテスト、特別枠の検討について、今、ヒアリングが進んでいるのですけれども、その中で、防衛省のいわゆる思いやり予算のヒアリングが進んでいるところですが、この思いやり予算が特別枠に入っていることについて、このようななかなか削りにくい予算が特別枠に入っていることについて改めて大臣として、議長としてのお考えをお伺いします。
(答)以前も申し上げたのですけれども、一律1割削減のところが特別枠ということで、ややこしいのですが、要望ベースということになっております。残り9割が要求ベースとなっていまして、その1割の部分をどう判断するかということですが、今、おっしゃったようなこともあるものですから、いわゆる9割の要求部分も含めて、一体として検討するということにしておりますので、要望がどうしても削れない、あるいは比較の対象にならないということであれば、要求についてしっかり精査することが必要だと思っておりますし、それぞれの省庁の改革の姿勢もよく見ないといけないと思っています。

(以上)