玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年9月28日

(平成22年9月28日(火) 10:50~11:15  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の前に、まず第1回パッケージ型インフラ海外展開関係閣僚会合がございました。国家戦略的課題の一つでありますけれども、これは内閣官房長官を中心に内閣官房でロジを今、担っていただいているということで、これから第2回、第3回と戦略的に行っていくということでございます。これまで各省ばらばらで対応してきたので、もっと全体戦略を持って、大局観を持って、取り組むべしということだと思っております。
 その後、EPAの関係閣僚会議がございました。これについては、それぞれ関係閣僚から発言がありましたけれども、締めのあいさつの中で、仙谷官房長官から、このEPAの課題は新成長戦略実現会議のテーマでもあるけれども、これから国家戦略担当大臣を中心に取りまとめていただきたいという話がございました。
 私も、国家戦略室の役割という問題について、最終的な検討を今しているところでありますけれども、言うまでもなく、予算編成、税財政の中長期、経済の中長期、これらは国家戦略で扱うべきテーマだと思っております。ただ、予算編成と税はこれからのテーマでありますが、財政については中期財政フレームと財政運営戦略が既にできております。経済の中長期は、御案内のとおり、2020年度までの10年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長を目標とすると、GDPデフレーターは1%ということで既に目標ができているところであります。
 予算編成と税に加えて、いわゆる国家戦略的課題について、取り扱うテーマを官房長官と役割分担をしなければならないと考えております。その中で、やはり成長戦略の実現がまず一つあるのだろうと思っておりますし、その各論の一つである最重要案件のEPAについて、本日、官房長官から国家戦略担当大臣を中心に調整、特に政治的調整をしていただきたいというお話がありましたので、国家戦略室の重要案件の一つと位置付けたいと考えております。
 その他、社会保障・税に関わる番号制度の問題を始め、幾つかの早期に解決を図らなければならない戦略課題がありますので、そういった国家戦略室の中で取り扱うべきテーマについても確定を急ぎたいと考えているところでございます。
 その後、閣議がございました。閣議では、特に昨日、政調会長を中心に補正予算の与野党の話合いを進めていただきたいという御指示をいただいたわけでありますけれども、本日、海江田経済財政担当大臣を中心に、政府内の経済対策、これは短期の対策ですから、取りまとめを玄葉政調会長と密接に連携をしながら作成をしてほしいという指示が出たところでございます。
 更に申し上げることは、「元気な日本復活特別枠」の要望に係るパブリックコメントのを本日から3週間にわたって実施します。以前から申し上げておりますけども、これは決してパフォーマンスでするのではなくて、つまりは「見せる化」ではなくて、あくまで「見える化」の一環で、私としては、むしろ透明化を図る一環ということで地味にやりたいと考えております。
 さらに、政策調査会の話については、別途、政策調査会の役員会の前後に会見をしたほうがいいのかなという思いもありますけれども、事実上、政策調査会の幹部、そして政調副会長、政調会長補佐まで、内々に決定したところでございます。さらには、昔の部会長にあたる各部門会議の座長に連絡をしている最中だということでございまして、それぞれ正式決定したら皆さんにお知らせしたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問) 尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁の船の衝突事故に関して、日本側が検察庁が船長を釈放したことに対して、党内で批判が高まっておりますけれども、この点について、政調会長としてどのような考えかというのが1点。
 それから、依然、日中間の緊張が続いているわけですけれども、この点についての大臣の考えをお聞かせ下さい。
(答)尖閣諸島は、言うまでもないことでありますけれども、我が国固有の領土でありますし、また同時に、これを有効に支配しているということでございます。今回の事件のいわゆる処分保留での釈放というのは、私はあくまで那覇地検の国内法にのっとっての判断であると聞き及んでおります。
 ただ同時に、強く思うことは、今回の件で多くの日本人が離島防衛の必要性と日米安保の重要性を再認識したと考えているところであります。
 特に党内での議論については、まだ部門会議が正式に動いていないものですから、城島会長代理を主催者として昨日も夕方会合を開いたところでありますが、同時に、数十名の議員が提言を持って官房長官を訪ねたというのも聞いているところであります。
 その中にもございましたけれども、私たちの国は国土面積は61番目でありますけれども、排他的経済水域を入れると世界で6番目の面積を有する、いわば海洋国家であります。したがって、こういう状況に鑑みると、やはり離島防衛というものが必要になって、警戒監視、あるいは訓練の強化、自衛隊の新たな配置、あるいは日米の共同運用の強化など、様々な点についてよく検討していく必要があるのではないかという認識を私自身抱いているところでございます。
 いわば大国同士でございます。ある意味歴史上、日中関係は初めてと申し上げても過言ではないと思いますけれども、やや対等な関係で向き合っている、そういう状況にあると思っておりますので、それぞれがそれぞれの役割を、そして責任をしっかりと果たしていくということが必要で、やはり戦略的互恵と、こういうふうに言ってはいたわけですけれども、なかなか今回の中国の外交は、世界から荒っぽいぞと感じ取られた可能性が高いと思っているところであります。できる限り冷静に、互いがそれぞれの立場を踏まえながらも、両国関係に向き合っていくことが、世界全体にとって、また日本の国益、両国の国益にとって大切なことだと考えております。
(問)補正予算に関する野党との協議の見通しと、今国会での野党協議の重要性について改めてお願いします。
(答)昨日、まず与党のほうに御連絡をさせていただいて、本日、国民新党と社民党との政策協議を11時50分から私も出席をさせていただいて行う予定になっております。現在、野党5党から具体的な経済対策の申入れがございます。共産党も含めると6党あるわけでありますけれども、6党に対しても順次、特に5党については、具体的な金額も含めて経済対策の中身についての提言が既にございますので、その優先順位を私の方で是非伺いたいと、協議というよりは優先順位を伺う機会をつくっていただきたいというお願いを自民党から順にさせていただいている最中でございます。自民党、公明党には既に御連絡をさせていただいて、今、検討していただいていると思いますし、他の野党にもこれから御連絡をさせていただきたいと考えております。
 与野党協議、「協議」という言葉を使ってしまいましたが、これは参議院選挙の結果を踏まえれば、まずは補正予算について御意見をいただくというところから始めたいということであります。与野党がよく話し合って政治をしてほしいというのが、参議院選挙における国民の皆様のメッセージだと考えておりますので、私たちとしてはできる限り謙虚に他の党の意見に耳を傾ける責務があるだろうと思いますし、野党の皆さんにも、野党の皆さんの協力があるかないかで、法律や予算が成立する、しないということが決まるわけでありますから、やはりこれからの新しい国会のあり方を考える上では、ある意味大事なきっかけになるのではないかと考えております。
(問)EPAの閣僚会議については玄葉大臣が中心になられるということですが、今日の会議の中ではどういう形、方針でいくのかという話とか、今後のスケジュール感とか、そういった話はあったのでしょうか。
(答)もういろんなところでも出ているかと思いますけれども、EPAの議論というのは、一言で申し上げると、農業との調整がすべてだと申し上げても過言ではないと思っております。菅総理から鹿野農林水産大臣に、今までよりも一歩踏み込んでEPAと国内農業との両立を図るということ、そして攻めの農業に転じるという指示がなされたと承知をしております。10月の半ば過ぎぐらいには、そういった観点で、農林水産省としてどう考えるのかということについて、まとまると聞いております。
 まずは、やはりAPECに向けて一定の基本方針を政府・与党内で決定できるように今、作業を急いでいるところです。ただ、これは一歩踏み込み始めたのですけれども、先ほど申し上げましたように、農業との調整がすべてでありますので、与党の中のプロセス、つまり与党PTも山口壮議員を座長にこれから立ち上げます。当然、農業に対する影響を心配する議員も多いわけでありますし、農業団体などとの意見調整も必要になるということでありますので、そういった調整を経ながらやっていかないといけないと思っております。やはりこのEPAというのは、私たちの国がこれから一定の成長をしていく上で、欠かせない案件であるというのが私の認識でございます。
(問)先ほど、尖閣の関係で、離島防衛の必要性について大臣はおっしゃいましたが、現状、どういうような問題があると認識されているのか。党内には尖閣諸島に自衛隊を置けというような強硬な意見もあるのですが、そのことも含めて御意見をお願いします。
(答)先ほども申し上げましたけれども、今まで世界で6番目の海域面積を持つ海洋国家であるという認識をどれだけの日本人がしているのか、また結果として離島防衛の必要性をどれだけ感じていたかといえば、私は稀薄だったのではないかと考えております。かつては朝鮮半島の問題を主として安全保障の議論がなされていましたけれども、ここへ来て特に中国が海軍力を増強しているというのは、いわば周知の事実でございますので、そういったことに対してやはりしっかりとした対応をとらないといけないと思います。
 ただ、具体的にどうするのかということについては、様々な方法があるだろうと思います。先ほど、新たな自衛隊の配置という話もしましたけれども、あるいは緊急展開でできるような体制をとるとか、様々な選択肢はあり得ますから、そういったことを検討する段階に入ったということではないかと考えているところです。
(問)離島防衛に新しいことを考えるような段階に入ったとおっしゃいましたけれども、そういった検討は政府内ではどこか新しい機関を立ち上げてやるとか、あと政策調査会では外交・安保調査会でやることになるのでしょうか。
(答)これは民主党の中では、中川議員が会長になってこれから稼働する外交・安保調査会で議論するということになります。
 また同時に、今の議論については、防衛計画の大綱の見直しといった議論の中で、おそらく政府の中でも検討されることになるのではないかと思います。
(問)先ほどの尖閣問題に関することですけども、自衛隊の配備も検討対象にということですが、これは尖閣にということですか、それとも沖縄の与那国とか石垣とかあの辺にということでしょうか。
(答)先ほど申し上げたのは一般論として、離島防衛全体のことを申し上げたのであって、具体的にどこに何をということを現段階で確定的に申し上げるのは適当ではないと考えます。やはり深く検討した上で、最終的な対応を決めたほうが良いと思います。
(問) 補正予算の関連でお尋ねします。経済関係閣僚委員会で改めて補正予算を提出する時期などについての指示なり、発言、取りまとめがあったのかどうかということと、規模について、大臣は具体的な数字を挙げて言及されておりますけれども、国債発行なしで最大4.6兆円ということで取りまとめ作業に臨む考えは変わらないのでしょうか、そのところを教えていただきたいと思います。
(答)規模について、先日の講演で申し上げたのは、この規模が望ましいということではなくて、国債発行なしでもあのぐらい積み上がるということです。金利が思ったより低く、したがって国債の利払い費が少なくて済むため、国債費の不用分などが約1兆円ぐらい出そうだと、税収の上振れが2兆円ぐらい出そうだと、更に剰余金が1.6兆円あるので、合わせて4.6兆円だという話です。御存じのように、1.6兆円の半分は使えますけれども、残り半分は特例法がなければ使えない、すなわち野党の協力がなければそれらは使えないことになるということであります。
 国債発行なしにそれらの額は積み上がりますということが1つと、更に申し上げれば国庫債務負担行為の1兆円も、これは4月から執行できる話で、契約を事前にするという1兆円もあると言えばある。そういう事実関係を申し上げた上で、それこそ他の与党、そして野党の皆さんの御意見を伺いながら、最終的な規模を確定したいと考えております。
(問)時期についてはいかがですか。
(答)これは率直に申し上げて、与野党の話合い、あるいは意見交換がどのような形で進展するかで変わってくるということになると思いますので、今は確定的なことを申し上げないほうがよいのかなと思っております。必ず臨時国会で成立できるような、当然そういう日程を描いております。
(問)尖閣諸島の問題については、今日の閣僚懇あるいは閣議では話題になったのでしょうか。
(答)官房長官発言がありました。もういつもおっしゃっていることで、いわゆる尖閣は固有の領土であって、歴史的にも国際法上も疑いのないところだと。領有権の問題は存在をしないと。そして、この判断は地検が事件の性質を総合的に考慮した上で、国内法に基づいて粛々と判断を行った結果と承知をしていると。謝罪や賠償を中国側が要求しているけれども、何ら根拠がなく、全く受け入れることはできないと。ただ、同時に、日中双方は大局的な立場に立って、戦略的互恵関係の充実を図るべく、冷静に努力していくことが重要だというような発言がありました。
(問)閣議、閣僚懇のどちらですか。
(答)閣僚懇でありました。
(問)出席者からの意見は。
(答)それについては官房長官からお話があると思います。

(以上)