玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月20日

(平成22年7月20日(火) 12:05~12:22  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日は、予算の概算要求、平成23年度予算の概算要求組替え基準の骨子についての決定が、閣議の後の予算編成閣僚委員会でございましたので、御報告をさせていただきたいと思います。
 この骨子については、仙谷官房長官を中心に、私と野田財務大臣の3人に菅総理から指示があって、まず組替え基準の骨子をまとめるようにということでありました。
 内容は、官房長官からおそらく今ごろ発表されているのではないかと思いますけれども、従来のシーリングとは根本的に異なる仕組みとすると。中期財政フレームにおいて、既に歳出の大枠が約71兆円と定められているため、その範囲内で組替えを行うこととし、そのためのルールを設定するものであるということであります。
 これには大きく3つございまして、1つは、概算要求のためのルールについては、新成長戦略、マニフェスト施策等に重点化できる、更には国務大臣として、かつ所管大臣として優先順位を考え得る仕組みとすること。
 2つ目は、従来のような細かい経費区分にとらわれず、無駄を徹底的に見直し、聖域なく大胆な予算の組替えが可能な仕組みとすること。
 3つ目は、予算の組替えにおいては、各閣僚が自主的に予算の組替えを行った上で、総理のリーダーシップにより各府省をまたがる大胆な組替えを可能とする仕組みとすること。
 これはいわば、組替え基準の基本的考え方と申し上げてもよいかと思いますけれども、この骨子について本日決定をしたところでございます。
 今後、この骨子をもとにしながら、更に閣僚間で議論を行い、また、同時に民主党の政策調査会でも議論を行って、いわゆる組替え基準というものを決めていくということになろうかというふうに思いますので、御報告をさせていただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問) 今の概算要求のことですが、今のお話を聞いていますと、71兆円以外は、その数値的な目標、例えば、一律何パーセントとかそういったものは全く入っていないということですか。
(答)ありません。
(問)そうしますと、概念としてはわかるんですけれども、基準の骨子と言えるのかなという疑問があるんですけれども、具体的な数字がなくて、どのように削減を進めていくのかというのをもう少し教えていただけますか。
(答)今の質問について申し上げると、正に先ほど私自身が申し上げたように基本的な考え方を示したと。できるだけ定性的にということでありまして、おっしゃるとおり歳出の大枠の71兆円しか数字はありません。組替え基準をこれからつくるわけで、当然、その組替え基準については数字が入ってくるということとなります。ですから、その組替え基準の数字をつくるに当たっては、やはり、今日も閣僚間でフリーディスカッションをしたのですが、そういった閣僚間の議論、そして政調の中での議論というものをしっかり踏まえながらつくろうではないかということであえて入れていません。別にまとまっていないから入れていないということではなくて、むしろそういう議論を踏まえてつくるのが本来のあり方ではないかということで、あえて入れていないと理解をしていただいて間違いないと思います。
(問)その組替え基準というのは月内に。
(答)これは月内を目指しています。
(問)そうすると、成長戦略のところは、いわゆる特別枠的なものを設けるという考え方でよろしいでしょうか。
(答)まだ、これからでありますけれども、ただここに文言で書いてございますけれども、新しい成長戦略、そしてマニフェスト施策等に重点化できる仕組みというものを考えておりますので、やはり何らかの形で新しい成長戦略を全面展開できるような基準づくりを考えなきゃいけないのではないかと、私自身は現時点で考えております。
(問)それと絡む質問になるんですけれども、社会保障の自然増は、厚労省のみで吸収するのか、全省庁にまたがって吸収するのか、そういったようなお話を……。
(答)もちろん、我々の3人の中では盛んに議論が行われておりますし、閣僚間の中でも様々な議論があろうかと思いますけど、そういうことも含めて、これから議論をして、党でも議論をして、これは基本的考え方である骨子なので、これから組替え基準というものを、正にそういうことを含めた基準をつくるということです。
 つまり、今、おっしゃったような、いわゆる厚労省の中で吸収するのか、全体で吸収するのか、あるいはそこにコストと言われるものが存在するのかしないのかとか、様々な論点がその自然増の1.3兆円の中にもあり得るんだろうと思っておりますので、そこもきちっと議論の対象にしたいと思っております。
(問)週末に報道で出ていましたけれども、国家戦略室を縮小する代わりに新しい司令塔を官邸につくるということで、官房長官と政調会長が中心だということだと思いますが、今のところはどういう検討状況か教えていただけますでしょうか。
(答)これは私自身も正直、十分わかりません。「わからない」という意味は、無責任に申し上げているわけではなくて、責任ある発言を現時点でできないという意味であります。確かこの場でも聞かれたときに申し上げた記憶がありますけれども、国家戦略室あるいは国家戦略局の位置付けについては、元々大きく分けると2つの考え方があり得るんだろうと私自身も思っていました。
 それは、1つは、イメージとして申し上げると、かつての、良し悪しは別として、経済財政諮問会議のような、いわゆる会議体で様々な骨太的な方針をつくり上げるようなものとして、国家戦略局というものを活用するという方法があり得るだろうと思います。
 もう1つは、イギリスのポリシーユニットのような形で、総理を直接補佐する政策室、この2つの考え方が、元々おそらく存在していたのだろうと思います。菅総理と仙谷官房長官のお2人がそれぞれ国家戦略担当の責任者をお務めになられた中で、菅政権の下で国家戦略室の位置付けをどうするのかということが一つの焦点だったのかなと、私自身は考えております。
 そこで、一緒に考えていただきたいのですが、「政治主導」というのは一体何なんだということだと思うのです。政治主導というのは、結局突き詰めると、官邸主導であり、最終的にはおそらく総理主導ですね。そう考えると、私の解釈では、総理主導ということは、例えば国家戦略室が総理の意向もあって、イギリスのポリシーユニット方式として菅政権の下では、より重要な役割を担ってもらうような形として活用し、機能させ、総理のリーダーシップを補佐すると。総理主導を補佐するという意味では、1つの考え方としては、これはやはり十分あり得る考え方なのだろうと思っております。さらに、それ以上の、官邸中心に骨太的な中長期の、あるいは予算とか税の骨格部分の調整をする役割を担うところが必要なのかどうか、必要ならどのようにすればいいのかということについての議論が、内々検討としてなされているのかなと推測をしているという感じです。
(問) 概算要求の話に戻るんですが、今回、骨子ということですが、政策経費の1割削減というのが検討されたというふうにお聞きしています。今週の段階でそういう話は、数字は入らなかったということで、今後、その1割削減等についてどうするのか。また、玄葉大臣自身がその各省庁の1割削減、一律削減について、どうお考えになっているかというのをお聞かせください。
(答)そこについては、正にこれから閣僚の議論、政調の議論を踏まえて、私としても判断をさせていただきたいと思っていますし、政調会長としての意見を正式に申し上げたいと思います。
 私自身としては、現時点で思っていることは正直ありますけれども、様々な意見を踏まえたいという思いでいるところであります。ただ、大事なのは、先ほども申し上げましたが、やはり総理が自民党政権のときよりもリーダーシップを発揮して、府省の枠を超えて、その予算の組替えをできる限りできるようにしていくというのは、すごく大事なことではないかと。それが結果として新しい成長戦略の全面展開とか、あるいはマニフェストの、特に参議院選挙後の修正されたマニフェストの重点化などにつながっていけばよいのではないかと思っています。
(問)1割削減について、閣僚懇などで意見等があったか……。
(答)今日の閣僚懇の意見は、表に出さないことにルールとしているものですから、勘弁していただければと思います。
(問)先ほどのルールの部分で、マニフェスト施策に重点化できるという項目がありました。政調では、衆院選マニフェストから移行した参院選マニフェストの有権者からの信任についても議論がされたと思いますが、この場合のこのマニフェストというのは、衆院選マニフェストを基本とした参院選マニフェストのことを変更点も含んで指しているのかと、そのマニフェスト自体の信任について、例えば閣僚懇なりで、いろいろ皆さんでお話になったのかどうか教えてください。
(答)正に今日、拡大政調役員会で、参議院選挙の、いわゆる政策的総括のまとめをしたいと思っておりまして、ある意味、そこをきちっとしたいなと思っています。
 もちろんその衆議院選挙マニフェストというのは生きているんですけれども、いつも申し上げていますが、参議院選挙マニフェストは、衆議院選挙マニフェストの修正した部分、あるいは強調したい部分というものを書いたものであると思います。今のところ、政調の議論の中では、例えば子ども手当が減額されたことなど、おおむね有権者の皆様、国民の皆様の反応は良好であったと、基本的には議論が展開されているものと承知しています。ですから、そういったところも整理をして、やはり修正されたマニフェストで基本的に予算をつくるというのが、私は基本ではないかと思っています。
(問)閣議、閣僚懇、予算関係閣僚委員会で、総理からの何か御指示、発言等があったら教えていただけますか。
(答)そこでの発言は出さないようにと言われたので、ルール違反をするわけにいかないかなと思っています。
 ただ、実は国家戦略局の位置付けの議論はありました。そこで総理の思いは吐露されたということだけは、一言申し上げておこうかなと思います。
(問)その国家戦略局の関連ですが、国家戦略室がいわゆる格下げという言われ方していますけれども、そうなったことで、予算編成自体が財務省主導になるんじゃないかという意見が出ていると思うのですが、それについてまず伺います。
 あと一方で、政調も加わることで、かつての自民党のような予算編成になってしまうのではないかと。地方の意見も吸収することで、ばらまきなり無駄削減につながらないのではないかというような指摘もあると思うんですが、それぞれどうお考えでしょうか。
(答)あくまで民主党マニフェストでは、衆議院選挙も参議院選挙も行政刷新、あるいは無駄遣いの根絶というのは第一に挙げていましたので、これは当然政調の中でも、逆に、ばらまきどころか、むしろどうやって無駄を削るかという議論が展開されるのではないかと思っているところでありまして、私は、そんなにばらまき懸念というか、族議員的な発言が横行するとは想像しておりません。
 また、財務省主導になるのではないかという点については、一言で言うと官邸主導で予算をつくらなければならないと私自身は思っています。ただ、予算編成権は元々財務省が持っているわけですから、細かな査定がどうだこうだということではないと思います。ですから、あくまで仙谷官房長官を中心に私自身は考えていかないといけないのではないかと思っております。
(問)仙谷官房長官については、普天間とかいろいろ外交案件とか抱えている中で、なかなか財政とかにタッチしていくのは難しいのではないかという指摘もあると思うのですが。
(答)今回も仙谷官房長官、野田財務大臣、私ということで御指名いただいていましたので、必要であれば私自身がやらなければならない部分も当然あるのかなと思っておりますが、そこは若干整理が必要かもしれません。

(以上)