玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月18日

(平成22年6月18日(金) 11:14~11:35  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議では、新成長戦略が閣議決定されました。これは極めて大事なメッセージであり、かつ民主党が最も重要視する強い経済をつくるための極めて大切な道具、政策であると思っております。
 また、規制改革の対処方針も今日ございました。規制改革もこれまた強い経済をつくるために必要なことでございます。大変大事な案件が今日は閣議にかかっておりました。
 それともう一つ、総理のほうから幹部人事の話がございました。残念ながら、今国会で幹部人事の内閣一元化を図る法案が廃案になってしまったわけですけれども、今年の人事をどうするかということについて4点ございました。
 1つは、廃案になったものの、やはりこれから内閣の一体性というものが大切なので、能力実績主義で是非人事をしてもらいたいということ、2つ目は、局長以上は官房長官に相談するようにということ、3つ目は、府省を超えた人材登用、特に審議官交流を進めてほしいということ、4つ目は、女性の登用ということを考えて、それぞれ人事権を持っている大臣は事に対処してほしいということで、参議院選後、予算編成に支障が生じないような形で人事をしてほしいと、こういうお話がありました。
 公務員制度改革を担当する立場としましては、適切な御指示があったと思っておりまして、各人事権を持たれた大臣におかれましては、是非この総理の指示、方針どおり人事を行っていただきたいと、そう考えております。
 私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問) 昨日、総理が消費税の増税に関して年度内に方針をまとめるということと、10%を参考にしたいとおっしゃいましたが、そのことに対して党内からも異論が出ておりますが、政調会長として今後党内をどのようにまとめていくか。
(答)まず、ベースは変わっていないと思っております。その意味するところは、これまでマニフェストの見直し作業の中で、民主党の全国会議員が参加できる形で3つの研究会が生まれ、特に国民生活研究会の中で消費税の議論も、あるいは財政健全化の議論もしてきたところでございます。
 それを踏まえて企画委員会ができ、その企画委員会の中で中期財政フレームや財政運営戦略についても議論をしてきたところであります。企画委員会の原案では、次の総選挙後に消費税を含めた税制の抜本改革を行うということを書くということになっていたわけでございまして、それは今日の新聞にも何かトップダウンとか、ボトムアップという話がありましたけど、基本的にはむしろボトムアップで決まっているものだと認識をしています。
 基本的に、昨日の総理の発言は、総選挙後であるということでありますので、ベースは変わっていないと。ただ、さはさりながら、数字なども出てきましたので、そういう意味ではしっかりと党内の検討チームなどをつくって議論を成熟させなければいけないと思っておりますし、さらには、昨日も申し上げましたけれども、党内で税制の抜本改革を、場合によっては社会保障も含めた税制の抜本改革を検討するチームを参議院選後に立ち上げて、来年3月までの取りまとめ作業を行う必要があると考えております。
(問)消費税の絡みなんですけれども、まず1点、閣議、閣僚懇で総理から関連の発言があったかというのを伺いたいのと、あと、昨日大臣は最速の場合、12年秋ということをおっしゃっていましたが、これは総理も認識を共有されているのか。一部の新聞で、前日16日に大臣と総理が会った際に総理が総選挙前の引き上げにも意欲を示したという報道があるんですけれども、その辺の事実関係をお伺いします。
(答)今日の閣議での発言はございませんでした。
(問)12年秋というのは総理も認識を共有されているのでしょうか。
(答)これは正にすべて上手に迅速に対応できて12年秋であるというのは総理も認識をされておられると思います。
 3点目はちょっと……。私と議論したことは事実でございまして、私はやはり実施時期についてはこだわりを持っているということであります。
 ただ、先ほどもお話がありましたけれども、重ねて申し上げることになるかもしれませんが、最速で、最短で2012年秋ということは、あと2年以上あるわけです。2年以上の間に一番大切なことは名目成長率を3%にすることです。そのために成長戦略をめりはりの効いた形で展開をするということが大事で、予算、税、金融、規制改革、あらゆる政策を総動員してデフレから脱却をさせるということに集中しなければいけない。
 同時に、議員定数の削減も含めた歳出削減、無駄の削減、これも徹底しなければいけないということだと思っています。我々にとって、無駄の削減というのは一丁目一番地で約束した姿勢でありまして、この目標は高くこれからも掲げ続けます。
 昨日、目標額には残念ながら1年目は届いていないと、こういうお話をいたしましたけれども、しかし、ぎりぎりこれはやりたいと思っています。2012年秋までに最低でも2年あるわけですし、ちょっとうまくいかなければ3年あるいは4年とかかっていくわけですから、まずこの2年をデフレ脱却のための清算期間というか、集中期間と位置付けることが私は大事なのではないかと思いますし、ぎりぎりまでの歳出削減をする、そのための期間であると考えております。
(問)続いて消費税の関係ですが、まず10%という数字についてなんですけれども、大臣御自身は、今後の税収の見通しや社会保障に必要な財源を考えると10%という数字が妥当と考えるかどうかというのがまず1点。
 それから、今後の検討作業ですが、これまで民主党は消費税の引き上げに当たって軽減税率の導入には否定的だったかと思うのですが、この軽減税率の導入というのも検討していくのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
(答)いずれも検討チームで、参議院選後に立ち上げる税制の抜本改革検討チームでしっかり議論をしていただきたいと思っております。私だけの考えで申し上げてしまうと、必ずしも適切ではないと思っています。
 ただ、ベースは、昨日も申し上げましたが、今、所得税法等の一部改正法の附則で、消費税は社会保障財源に充てると、このようになっているわけですが、こうした社会保障費は今、16.6兆円になっていまして、消費税の国税分で賄えているのは6.8兆円なのですね。そう考えると、ベースは社会保障財源と個人的には現時点では思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたけれども、2年間で名目成長率を3%にする、これは大変なことです。そう考えると、仮に抜本的な税制改革を実施する、そのときに名目成長率3%に達していないという状況であれば、むしろその財源を使って、いつも申し上げているような需要を創出する、雇用を創出する、そういった分野に経済を安定軌道に乗せるためにむしろ集中して使っていくということもあってもよいのではないかと個人的には考えているところです。
 でも、これは検討チームで、正に社会保障の制度設計も含めて、よく考えていただかないといけないのではないかと思っています。
(問)先ほどの最速の2012年秋というシナリオだと、単純に考えると、恐らく社会保障、年金の制度設計とかはちょっと間に合わない状況になるのかなと思うのですが、民主党は従来、基礎年金の財源として消費税を充てると言ってきたわけで、菅内閣としては、年金等の社会保障の制度設計と消費税の議論は切り離して進めてもいいという認識ですか。
(答)それはとても鋭い質問だと思いますけれども、おっしゃるように、新しい年金制度の原則というのはこれから発表されるわけですね。新しい年金制度の原則が発表されて、いわば議論の土俵ができると私自身は認識をしています。ですから、確かに、これから土俵をつくって議論するということになれば、仮に2012年秋に消費税引き上げの実施ということになれば、タイムラグが起きるということにもなるわけですね。
 ですから、これは個人的な考えですけども、例えば先ほど申し上げたような使い道というのも考えられなくはないのではないかと、余計にそう思っているというところがあります。年金のほうが遅いケースはですね。
 ただし、一方で、事実関係だけ申し上げれば、今の年金制度の仕組みを前提にしても足らないというのは事実としてはやはり押さえておく必要があるのではないか。つまり、今は16.6兆円分の6.8兆円しか賄えていないわけです。それが実態だということです。
(問)連立を組む国民新党との関係で伺います。国民新党の森田政調会長が今は議論する段階ではないということで反発しています。連立を組む身内からそういった異論が出ていることで、超党派の議論を呼びかける前に既に身内の説得が難しいという点、それを政調会長としてどのように今後意思疎通を図っていくのかということが1点と、あと、3党合意についてはいかがお考えか教えてください。
(答)国民新党の皆さんとは、当然ながらこれから意思疎通を図っていかなければいけないと考えております。
 ただ同時に、選挙で信を問うということになると、基本的にはそれぞれの政党がきちっとそれぞれの考え方を掲げて選挙をしなければいけないと思うのです。全く同じだったら同じ政党になってしまえばいいということでありますので、そういう意味では、私は必ずしも100%連立のパートナーと一緒じゃなくてもよいのではないか、終わった後、その選挙結果を見てしっかりと両党間で調整が行われればよいのではないかと、そう思います。
(問) 10%の数字を玄葉さんが聞かれたのはいつごろかというのと、あと、先ほどから反発の話が出ていますけれども、要は参院選の影響を懸念する声が出てきているということだと思うんですけれども、消費税10%というのを総理が言ったことで、参院選への影響というのはあると思いますか。
(答)10%という数字をいつ聞いたかというのは、申し上げるのが適切かどうかというこことがあるものですから、ちょっと控えたいと思いますけれども、選挙への影響、誰もが不人気なことは言いたくないのですよ。消費税というのは本来言いたくない話ですよ。でも、総理が御自分の言葉でおっしゃったというのは、それだけ現状の日本に対する危機感が非常に強いということだと思います。
 ですから、自民党だ、民主党だ、あるいは自分の党が勝つためとか、そういうことをもう超えて、この国の現状、そして将来を見据えておっしゃったと思います。それを国民の皆様が、有権者の皆様がどう受け止めるかと、受け止めていただいているかということではないかと、このように思います。
(問)その消費税ですが、そもそもマニフェストに10%というか、数字をなぜ書かなかったかというのを伺いたいんですけれども、それでちょっと予想するに、10%というのは社会保障に充てはめるのもやっとで、2020年のプライマリーバランスの黒字化などを考えるとより必要かもしれないと、その辺のことで幅を持たせるために書かなかったのかななんていう想像が成り立つんですけれども、なぜその辺の数値を盛り込まなかったのかというところをお願いします。
(答)10%という数字については、少なくともマニフェストの発表と原案ができるその間があるわけですよ。つまり、印刷とか様々なタイムラグというか、タイムスパンがあるわけですよね、3日とか、4日とか、5日とか、1週間とか。少なくともマニフェストの文章を確定する段階では数字の話はなかったと申し上げてもいいと思います。
(問)10%の話ですけれども、言うまでもないことですが、総理の発言というのは極めて重みがあります。加えて、選挙前というのは殊更意味を持つものだと思いますけれども、それであえて確認しますが、党内でいろいろ反発はあるかもしれませんけれども、この10%という数字を掲げて、公約として今回の参院選に挑むという理解でよろしいのでしょうか。
(答)総理がマニフェストの発表の場で御自身の言葉でおっしゃったわけですから、当然そういうことになると思います。10%は参考ということでありますけれども、正に10%というのは一つの目安として当然堂々と申し上げていくと。
 ただ、本当に誤解のないようにしていただきたいのは、その前にやるべきことというのは本当にあって、国民の皆様に理解を求めるためにもそうなのですが、もうまずはデフレ脱却、これを強い経済、成長戦略でつくることがもう一番大事。そして、定数削減も含めた歳出のぎりぎりの削減、これはもう2年で、あるいは場合によっては3年かけてぎりぎりやると。まずこのことが最初にあるということは是非御理解をいただきたいと思っています。
 その上で、やはり強い社会保障をつくるためには強い財政が必要であるということもございます。あるいは、強い財政は金利の高騰を回避するということもあります。ですから、強い経済と、強い社会保障と、強い財政というものを一体的にとらえるという総理の考え方でございますので、そこを踏まえたメッセージを参議院選挙では当然我々は発していくし、訴えていくということになります。
(問)消費税引き上げと地方財源との関係で伺いたいのですが、消費税を引き上げるとなると、地方消費税の拡充を求める声が地方からも多くなると思うのですが、その関係についてどのようにお考えでしょうか。
(答)そのことも含めて、検討チームで当然議論することになると思っています。地域主権は私もライフワークでありますので、様々な思いがございます。
 簡単に言えば、権限見合だと思うのですね。結局どのくらいの仕事量をこれから国から、あるいは市であれば都道府県から移譲を受けて行うのか、その権限見合、仕事量見合で財源を決めていくということになりますので、そのときの地域主権の進捗状況にも当然関連をいたします。
  ですから、そういうことも含めて当然検討がなされるものと理解をしています。

(以上)