枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月10日

(平成22年2月10日(水) 13:31~13:54  於:中央合同庁舎4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました枝野幸男でございます。行政刷新を担当いたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
 たくさんの所掌を持つということになりました。行政刷新会議につきましては、これまでも私自身が事業仕分けの統括役を務めてまいりました。仙谷大臣の下で、一つの大きなレール、方向をつくっていただいておりますので、できるだけ早く事業仕分けの第2弾を実施して、この事業仕分けを通じて行政のあり方、税金の効率的な使い方というものを国民の目線でしっかりと見直していく、洗い直していくという仕事を進めてまいりたいというふうに思っております。
 国民の皆さんの期待も大変大きくて、正直言って、その期待が重荷に感じるところもあるんですけれども、その期待に少しでも応えられるように頑張っていきたいというふうに思っております。
 規制改革も担当いたします。規制改革につきましては、新成長戦略もございますが、日本の経済発展、経済成長のためには、規制のあり方をきちっと時代に合わせて見直していくということが求められているというふうに思っております。成長戦略の具体化と、いわば裏表のような関係になるかというふうに思っておりますので、仙谷国家戦略担当大臣とも連携をしまして、しっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、現在、仙谷大臣の下で、国民の声、職員の声の募集を始めました。もう既にそれぞれ1,000件を超える、あるいは1,000件近い声も寄せられているという報告を受けております。透明、公正かつ効率的な行政を組み立てていくということのために、内部から、そして国民の目として、行政のあり方についての声を幅広く受けとめていくよう努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 公益法人制度の改革も進んでおります。これも、鳩山政権の目指しております「新しい公共」を担う、支えていく一つの柱だというふうに思っておりますので、公益認定について迅速かつ適切に進んでいくように、体制を整えてまいりたいというふうに思っております。
 公共サービス改革法に基づく市場化テストも担当でございます。これも、事業仕分けなどとも通じる行政の国民、納税者目線からのわかりやすさということにつながっていくというふうに思っておりますので、より幅広く迅速に進めてまいりたいというふうに思っております。
 構造改革特区につきましては、これも規制改革あるいは行政改革につながっていくための一つの糸口だというふうに思っております。既に新しい政権、これは確か原口大臣の下だったと思いますが―のところから、既に、より迅速かつ広範に求められている申請を処理してきていただいていると聞いておりますので、さらに積極的にそれぞれの地域から特区の申し出が来るように、国のほうのレベルでできることを進めてまいりたいと思っております。
 公文書管理につきましては、たまたま私もこの法案をつくるときの、当時の野党で対案を出した責任者の1人でございます。議会で修正をして、大変良い法律ができ上がっていると思っておりますので、できるだけ早く施行できるように準備を進めてまいりたいと思っております。
 独禁政策も担当でございます。これは、民主党の政策に基づいて、審判制度を根本的に変えるということで法案の準備を進めていただいております。この国会での成立を目指して、法案の最終的な詰めと、そして国会審議に臨んでまいりたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、内閣府の特命担当は、大変所管の事務が多いというか、広いというか、ただ、すべてが、国民からわかりやすく透明で効率的かつ迅速な行政を進めていくということにつながっている課題だというふうに思っております。私自身、大臣というのは国民を代表して行政の皆さんに頑張って仕事していただくという役割であるということを、もう十数年前、菅厚生大臣をそばで見ておりまして、学ばせていただいたものでございます。その初心をしっかりと踏まえて、国民の皆さんの代表として、内閣府の皆さんがしっかりとその力を発揮していただけるように、頑張っていきたいというふうに思っております。
 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)大臣、御就任おめでとうございます。
 当初、枝野大臣は、首相補佐官にというお話もあったわけですけれども、それがなくなった理由と、それから大臣については、いつの段階でお話があったのかということ、それから大臣に起用されたねらいというのは、御自身ではどういうふうに分析していらっしゃいますでしょうか。
(答)補佐官については、いろいろとマスコミの報道はございましたが、総理や官邸から何か言われていたことはございませんでしたので、私からは何とも答えようがないということでございます。
 それから、大臣にということの内々のお話は、昨夜遅くにいただきました。今日の日程があいているかというような趣旨のことは官邸のほうからありましたので、もしかすると、マスコミの従来の報道からすると、「補佐官にいよいよなるのかな」というぐらいに思っておりましたが、昨夜、皆さんの一部の報道がなされるころ、官邸から、こういうことなのでよろしくというふうなお話でございました。
 それから、ねらいというのは自分でお答えをするような話かどうかわかりませんが、私自身は、この政権の一つの大きな柱が、時代に合わなくなった旧来の行政を、今の、あるいはこれからの時代に合致した行政へと変えていく、これがこの政権に期待されている大きな柱であるというふうに思っております。そして、私自身が、国会に当選して以来17年間、そのテーマが私自身の政治家としての最大のテーマとしてこれまでもやってまいりました。そうした意味では、この間の経緯を総理にお認めをいただいて、それを大臣として思い切ってやってみろと。それがしっかりとできれば、国民の皆さんの期待に応えることになるのではないかという趣旨ではないかなと、そういうふうに受け止めて頑張っていきたいと思っております。
(問)大臣、就任おめでとうございます。
 2点ありまして、1点目は第2弾の事業仕分けですけれども、具体的な時期と、どういうねらいでやっていきたいかというお考えをよろしくお願いします。
 第2点目ですけれども、大臣は先週から地元のほうの街頭演説などで、小沢幹事長の政治責任について、「国民の理解が得られなければ、一定のけじめをつけていただきたい」と発言されていましたけれども、その小沢幹事長に対するスタンスは、大臣になった今もお変わりはないのでしょうか。
(答)事業仕分けの第2弾については、今、国会で御審議をいただいている予算をできるだけ早く成立をさせるということが、まず内閣の一員として最優先課題だと思っておりますので、それが成立した以降に、できるだけ早い時期に第2弾を行いたいということで準備を進めたいというふうに思っております。
 ねらいについては、いろいろな視点はあるというふうに思いますが、特にこの間、第1弾の事業仕分けでも問題点が縷縷出てまいりましたし、国民の皆さんからも関心の高いと思われている政府系の公益法人や独立行政法人というものを、場合によっては制度のあり方まで視野に入れた形に発展できないかということも踏まえた上で取り上げていくと。もちろん、取り上げるのは事業ですが、そこでやっている事業を取り上げられないかというような視点で、これから準備を進めてまいりたいというふうに思っております。
 後半のほうのご質問でございますが、どういった問題についてであれ、立場が変わったからといって政治的なスタンスが変わるということは、あり得ないというふうに思っております。
(問)そうしますと、具体的にはどういうスタンスで、小沢幹事長の今の政治責任については思われているのでしょうか。
(答)そのスタンスの一つとして、これまでも一貫して国民、有権者の皆さんに、直接、私の認識、意見、見解についてお話しをするということでずっとやってきておりますので、大臣になってもそのスタンスを変えないでやっていきたいというふうに思っております。
(問)改めて、小沢幹事長の政治と金をめぐる問題なのですが、大臣として、政府を代表する1人として、どのように考えるかということをお聞きしたいのですが、かねて大臣は、「小沢幹事長の説明に国民が納得しなければ、一定のけじめが必要だ」というふうにおっしゃってきましたが、現在までの小沢幹事長の説明というものは、十分になされているというふうにお考えかということと、もう一つ、石川衆院議員が離党の意向だというふうにも伝えられているのですけれども、民主党のこれまでのスタンスからして、起訴された衆院議員の身の振り方については、どのようにお考えかということをお聞かせください。
(答)内閣の一員として、内閣としてのということであれば、それは私がお答えをする立場ではないということにならざるを得ないと思います。政治家としてということであれば、その説明が十分であるかどうかということを、政治家の側で決められることではない、受け止められる国民、有権者の皆さんが、納得・理解されるかということだというふうに思っております。
 石川議員の対応についても、基本的には国民の皆さんがどう判断をお受け止めになるかということだと思っております。
 と同時に、これはいろいろなところで申し上げているのですが、尊敬する李登輝先生が、「政治は時間の関数である」というふうにおっしゃっておりまして、あまりその都度その都度のところで何かを申し上げるというよりも、時間の流れの中で、それぞれの節目節目でしかるべき対応をそれぞれの皆さんがされていくというふうに期待をしておりますし、信頼をしております。
(問)ちょっと話は変わるのですけれども、事業仕分けの点で伺いたいのですが、先ほど事業仕分けで「反省点が縷縷ある」というようなことをおっしゃったと思うのですけれども、今度の事業仕分けに当たっては、どのような点を改良したいと考えていらっしゃいますか。
 あと、現場の統括役は、前回は枝野さんがやられていたと思うのですけれども、今回、どなたがやってほしいとか、考えていらっしゃる人はいらっしゃいますでしょうか。
(答)まず、第1点目について申し上げますと、本当に時間がない中で、事務局の皆さんにも頑張っていただいて、例えばあの体育館をうまく押さえられて、その中でぎりぎりのロジをやっていただいたのですが、それは報道の皆さんや、あるいはお出でいただいた、傍聴に来ていただいた皆さんを含めて、ロジの面でいろいろと御不便をかけたこともあるかと思います。それから、もっと準備期間があれば、もっとそれぞれの事業の問題点に切り込めたのになという点は、個人的に思いがあります。
 今回は、そういった意味では、例えば今日をスタートラインとしたとしても、実際に本番を行うまで2カ月以上の時間がございますので、十分な準備をして、より深く問題点を切り込めるようにしていきたいというふうに思っております。
(問)現場の統括役は、誰か考えていらっしゃいますか。
(答)基本的には、私自身が現場主義者ですので、できれば引き続き現場もやりたいと思っているのですが、これは現実的にできるのかどうかということは、これから考えたいというふうに思っております。
(問)小沢幹事長の話にちょっと戻るのですが、小沢幹事長は、やはり政権運営に大きな影響力を持っていると言われております。大臣として、円滑な政権運営のために、今、何が必要だと考えていらっしゃいますか。
(答)この政権が国民の皆さんの御期待に応えるためには、国民の皆さんの期待と信頼を維持し、高めること、これは常に変わらないというふうに思っております。国民の皆さんの高い信頼と期待があれば、期待された仕事ができる。それが失われれば、仕事も進まない、政権もなかなか円滑に進まないということだと思っていますので、こういう立場になりましたので、私の所掌している、特に事業仕分けを中心に、国民の皆さんの信頼と期待を高められるように全力を挙げたいというふうに思っております。
(問)改めて伺いますが、小沢幹事長との距離、スタンスというのは、どういう感じで臨もうと思われていますか。
(答)小沢幹事長に限らず、党内にはたくさんの力のある議員の皆さん、私にとっては先輩の皆さんがいらっしゃいます。そうした皆さん、先輩もそうだし、それから若い後輩も含めて、すべての議員の力が十分に発揮されることが、政権が実力を発揮するための大前提になっていく。そういうことの中で、どなたがということではなくて、もちろん人間関係ですから、距離の近い、遠いということはあるかもしれませんが、そういったことを踏まえながら、あるいは乗り越えながら、それぞれの力を発揮していただくということが重要なことだと思っております。
(問)改めて、今回、入閣されるに当たりまして、鳩山政権は今週で150日を迎えるのですけれども、この間の鳩山政権の運営を閣外からどのように御覧になってきたのか。支持率がだんだんと低下しているわけなのですが、どのようなところに課題があって、入閣した後、どのように課題を克服すればいいのかというふうにお考えなのかお聞かせください。
(答)現にもう閣僚になりましたので、第三者的な視点で物を言うのは、ちょっと無責任かなというふうには思っております。
 ただ、あえて申し上げる点があるとすれば、いずれにしろ、新しい政権でいろいろなことを試行錯誤しながら、あるときには失敗をしながら、時代を大きく変えていくというのが、この政権の役割だというふうに思っております。これまでも、もちろんすべてがうまくいっていたわけではないですけれども、試行錯誤しながらということの中では、私は想像以上に物事が前に進んできたというふうに思っていますので、これからもさらにそれを加速させていきたいというふうに思っています。
(問)ちょうど今、予算委員会が開かれていて、これから答弁に立たれることもあるかと思うのですが、この予算審議のちょうど真っ只中で大臣を引き継がれるということの受け止めと、事業仕分けで来年度予算にかかわってこられた立場として、この予算を成立させる思いがありましたらお願いします。
(答)財務大臣でしたら別ですけれども、自分の所掌についての質問が、今日もこの後、予算委員会であるというふうに聞いております。これは、どのタイミングであったとしてもということは、財務大臣なら予算の途中でというのはなかなか大変だと思いますが、それはあまり違和感がないというか、自然に受け止めております。
 いずれにしても、政府として決めた予算は、できるだけ早く成立をさせていただいて、それを円滑に執行していくということで、目指していく政策が実際に生活に及んでいくということは、これはどういう立場であっても一緒だというふうに思いますので、従来からも与党の一員として早期成立を願っておりましたし、今度は閣僚という立場でありますので、国会の審議などの答弁などの場を通じて、できるだけ早く予算を通していただけるように努力をしたいと思っております。
(問)小沢幹事長の問題なのですけれども、以前、「身を引くことも含めて、けじめをつけることが必要だ」と小沢幹事長についておっしゃられていますけれども、続投されている現在のその続投についての認識、支持されるかどうかということをお伺いしたいと思います。
 それと、もう1点、小沢氏の周辺からは、閣僚になることによって小沢氏の批判ができなくなると、今後、そういう言動が制約されるという意見が出ていますけれども、そういう気持ちというのは、多少おありでしょうか。
(答)私自身は、先ほど申しましたとおり、立場が変わっても、政治家としての基本的な立ち位置、考え方というのがそのことによって変わるというのはおかしいというふうに思っておりますので、どの立場にあっても考え方は一緒だというふうに思っております。
 その上で、そうした考え方は変わらないということの一つとして、これまでも党内のさまざまな問題についての私の見解、認識は、マスコミの皆さんからのお尋ねには、恐縮ですけど、お答えしませんと。ただ、国民、有権者の皆さんに対しては、私の認識はお話ししますということで、私自身も自分の地元での街頭演説や自分のタウンミーティングでは、私なりの考え方をお話をしてまいりました。私の認識は、それ以上でもそれ以下でもございません。
(問)小沢氏の続投は支持されますか。
(答)ですから、私の認識は、この間申し上げてきている、1月31日に自分のタウンミーティングで申し上げたあの考え方でございます。
(問)先ほどから、時代に合わなくなったものを変える、それが政権の役割だというふうに繰り返されていますけれども、この間の鳩山政権を見ていますと、予算編成に関しても、ある省庁の大臣が要求大臣化しているという指摘があったり、箇所付けの話にしても、党が族議員化しているとそういうふうな批判も出始めていると思うのですが、その辺に対する御所感と、第2弾の事業仕分けでは、そういった省庁に対してどういった態度で臨むかというのをお聞かせください。
(答)先ほど申しましたとおり、時代を大きく変えるというときには、いろいろな試行錯誤をしなければ、これをすれば時代にあったものができるんだというものがわかった上で時代を変えるということは、明治維新のときを見ても、戦後改革のときを見ても、実は残念ながらできていません。そうした意味では、私たちの政権が、明治維新に匹敵するような大きな政治の転換を実現する中では、さまざまな試行錯誤があるというふうに思っています。そうした試行錯誤の中には、国民の皆さんの一部からは御批判をいただくような部分があるかもしれませんが、そうしたことを乗り越えて、あるいはそうしたことに学びながらしっかりと、今、求められている時代の要求というのは、税金のより効率的な使い方をしていかなければならないというところについて、近づいていけるというふうに思っています。
 今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

(以上)