川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月6日

(平成22年7月6日(火) 11:55~12:32  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

 文部科学省は、東宝株式会社と協力して、文部科学省の宇宙施策への理解・関心を高めていただくために、今年12月公開予定の映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』という、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の実写版とのタイアップポスターを作りました。ヤマトが応援する「宇宙の未来、つくるのは君たち。」というポスターであります。過去にも、映画『ごくせんTHE MOVIE』で薬物乱用防止をテーマにしたポスターを制作して全国の学校に配布し、あるいは、『ダーリンは外国人』とタイアップして、小学校英語活動をテーマに公開連携授業を行う等々があり、映画と連携して、これは宇宙施策への理解ということで作りました、というのが私のほうからの発表であります。

2.質疑応答

(問)本日、日本相撲協会からどのように具体的な説明があったのかということと、それから、理事、理事会の役員メンバーの総取っ替かえをすべきだというふうに、この前の会見でおっしゃっていたと思うんですけれども、代行は置かれましたけれども、その総取っ替えに対する思いは、相撲協会の方へこれからも求めていくのかどうかというのを教えてください。
(答)今日、新たに理事長代行に就任された村山さん以下、関係者の皆さん、改革委員会の伊藤委員長を含めて、おいでになりました。そして、私のほうからは、調査の結果、こういう賭博にかかわる人を多数出し、相撲の信頼が失われたということは極めて遺憾であると同時に、振り返れば、力士の暴行死亡事件、あるいは大麻所持事件、横綱の騒動による引退事件等々、不祥事が度重なっているという状況で言えば、相撲協会の運営の責任、統治能力というものに疑問を持たざるを得ない事態であるということで、極めて遺憾であるということを申し上げました。その中で、調査委員会を設置し、4日の理事会で調査委員会の答申をすべて受け入れ、理事長代行に村山氏を置かれ、再スタートを切られるということは一定の評価をするが、世間から見れば、なお大相撲は開催すべきではないという多くの意見がある中での開催であるという状況をしっかりと踏まえて、これが相撲の改革の新たなスタートとなるように、早急に改革委員会も立ち上げて、あらゆる諸課題についての改革が、強いリーダーシップの下で進められるよう要望する旨を申し上げました。理事長代行からは、そういう趣旨を自分たちもしっかり踏まえて、これを原点に再スタートできるように改革委員会のメンバーはできるだけ早く、場合によれば場所中にも決めて、しっかりと頑張っていく決意が述べられました。文部科学省としても、これまで再三いろいろな形で指導を行って参りました。結果として、こういう事態を招いたことを重く受け止めて、これからも日本の国技とも言われる相撲が、健全に国民に愛される形で進められるように対応して参りたい。加えて、村山理事長代行からは、相撲が皆に貢献するという、公益法人としての役割をもっと積極的にやるという意味では、今までもやっているけれども、ボランティア活動などを、もっと積極的に自ら動いてやるということも含めて、社会に貢献することによって、力士がより自覚をし、責任を感じるということにも、取り組んでいきたいというふうなこともお話をされました。理事総取っ替えというのは、皆代わらなければいけないという趣旨で申し上げたのではないと記憶しておりますが、全部代わるぐらいの決意で臨んでくれということで申し上げたんだと思います。これからのスタートを、正に切ったんだと思いますし、私がその席で申し上げたのは、大変な状況であるからということで、協会側から見れば、ここまでというふうに思われるかもしれないけども、それは世間から見ればそうではないということが、当たり前なんだということをしっかり肝に銘ずるとともに、不幸なこと、残念なことではあったけれども、これが、与えられた最初で最後で最大の、相撲再生の唯一のチャンスであると。ここで踏ん張って、本当に真摯な姿勢で改革に取り組み、相撲を行うということしか再生の道はないということを肝に銘じてほしいと、改めてお願いをしておきました。以上です。
(問)代行人事も含めて、名古屋場所を開催するためには調査委員会を設けて、その勧告を飲むようにという指導をしてきたと思います。今回、協会がそれをすべて飲んで報告に上がったということで、文科省としては名古屋場所の開催に異を唱えるという姿勢はないという受け止めでよろしいでしょうか。
(答)はい。それで結構です。ただ、名古屋場所が開催できたら話が終わったというわけではなく、名古屋場所は改革のスタートであると。だから、理事会としても、名古屋場所中であっても、改革はもう動き出したということを含めて、人選を決めて改革委員会をスタートさせたいという意向を、今日、表明されました。
(問)理事の間からは、理事長代行に対する反発もかなり強いと、一部報道では、違う理事を理事長代行にしようという動きも報じられましたが、そういったことについて受け止めをお願いします。
(答)一部の報道は見ましたけれど、どういう事実に基づいて報道されたのかは承知しておりませんのでコメントのしようがありません。そして、理事会も、担当部局からの報告では、開かれた理事会冒頭で村山さんを理事長代行にしたいと、理事長からのご提案があったということが満場一致で了承されたと聞いておりますので、その中で、そういう議論があったというふうには聞いておりません。そして、今回は、自らが再スタートを切るという意味でも今までの問題を解決して、生まれ変わる姿勢を示すというために第三者だけによる外部委員会を自らが設置して、そこの答申を基本的には受け入れるという前提で理事会がお決めになったわけですから、その答申は当然ながらすべて受け入れられるのが前提で我々としては臨んで参りましたから、当然の結果だと思っています。
(問)NHKが中継するのかしないのかに注目が集まっていますが、その点については川端大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)これは、NHKがお決めになることですので、中継がどうこうということに直接的に私がコメントすることはできません。NHKはNHKの立場と御判断でお決めになることだというふうに思います。相撲協会を所管する文科省としては、一連の調査委員会等の結果をすべて受け入れて、人事も刷新をして、処分もして臨むということで、7月場所開催とこれからの進め方については了といたしましたが、それを踏まえてNHKがどう判断されるかは、NHKでお考えいただくことだというふうに思います。
(問)改革委員会で、いろんな議論がこれから進むと思いますけれど、どの点を最も改善を望むと、今お考えなんですか。
(答)いろんな課題があるんだと思います。今までもいろんなことが言われてきて、なかなか進まなかった点もあります。そういう意味では、相撲協会が本当に生まれ変わって、反社会的勢力との関係を完全に断ち切れるというのが、一番大きな課題だというふうに思います。今日も、維持員席問題が未着手の状況なので、これはすぐにでもやるということでお願いをいたしました。これも含めて、これからの協会の体質がどうあるべきかということで、一番の課題は、反社会的勢力と完全に縁を切ること、それにつながるような要因も、根っこから断ち切るということで、議論をしていただきたいと思っております。
(問)今回の相撲協会の処分などの過程を見てますと、外部委員がイニシアチブを取って決めたという印象があります。元々、外部委員というのも、文科省が提唱をして入れたという経緯がありますが、川端さんは先ほど、理事のメンバーについてはまだという話がありましたが、相撲協会の理事会の中で外部委員を増やしてきて、今、理事長代行に村山さんが就いてますけれども、抜本的な改革を行うために、例えば理事長を外部から招くといった今後の対応については、どのようにお考えでしょうか。
(答)基本的には、文科省は指導の立場であって、人事権を持っているわけではないという立場ですから、今回の事態を踏まえても相撲協会が本当に深刻に受け止めて、どうしたらもう一度相撲が国民に愛され、誇りをもってやれる競技団体として発展できるのかということを、自らがその危機感の中で考えていただかないと、ああしろこうしろということを言っても、その本人たちにその気がなければ何もできません。これは、子どもたちに100回勉強しろと言ったほうが、1回勉強しろというより、よく勉強するものではないというのと一緒だと、私はいつもよく言うんです。そういう意味で今回、自らが理事会で第三者機関という外部委員だけの委員会を作って、場所の開催も処分も、全部言われたとおりにしますということを理事会で決定し、それを受け入れたということで言うと、やはり事態の深刻さと危機感はお持ちいただいているんだというふうに思います。そういう中で、これからの自分たちの体制がどうあるべきか、これも外部委員会を作って、そこでやろうというわけですから、そこでの議論が、本当に相撲協会がどうあるべきかという中で、今までのように自分たちだけでやってきたのではよくないのではないかという、いろんな議論の中で外部理事ができてまたこういう事態になってという経緯も踏まえて、自分たちでしっかり議論をしてほしい、そして外部委員会もそこを議論してほしいと私は思っています。あまり予断的な話を今するべきではないと思っています。
(問)ある意味、協会を信じようという立場からだと思うんですけれども、今後の協会の方針であるとか、例えば自浄作用ができているのか、いないのかを見極めて、また、新たな対策というのを講じる可能性はありますか。
(答)もちろんです。やはり自律的に真剣に改革をしてほしいと、今日もお願いをしました。その流れを見ていきたいし、そうしていただけるということを期待しております。
(問)公益法人としての在り方、イメージがおありだからこそですね、相撲協会に対しての思い入れがあったと思います。改めて公益法人としての相撲協会に一言お願いします。それともう一点、今回19名もの力士が休場しますが、名古屋場所には何を期待いたしますか。
(答)公益法人というのは収益を目的としているものではなく、江戸時代からの長い歴史の中で培われてきた相撲というものが、国民に正に愛され、応援してもらっているということと同時に、相撲を通じて、相撲というスポーツとしての部分、精神的なものと同時に、見る人も含めて、社会に大きな影響・効果を与えているというので、公益法人だという位置づけだと思います。だからこそ、今、非常に批判が多い、苦情も多いというのは、逆にその期待の高さ、相撲が好きだからこそ、おっしゃっているということだと思います。だから、そのことを改めて自覚してほしい。こんなに皆さんが相撲のことを気にして、いい大相撲になってほしいということを、本当に受け止めてほしいと今日もお願いをしました。それから、名古屋場所については、生まれ変わる大相撲のスタートという意味では、番付の中にも一杯休む人もいれば、チケットの払い戻しもあったりということで、環境は非常に厳しいと思います。しかし、その中で、当たり前のように場所が開かれるのではなく、当たり前のように土俵に上がれるものではないと。それは、単にそこで勝った負けたということではなくて、そこの土俵で行う、そこの土俵に至るすべてのことが、国民注視の下、大きな影響を与えているものだということを、改めて力士一人一人が自覚をし、関係者も自覚をして、命がけの土俵、場所を努めてほしい。そして、中継はどうなるかわかりませんけれども、そういう原点に戻った努力を積み重ねていって、できれば近い将来、今一度信頼が取り戻せたなと、そのスタートは名古屋場所であったなという場所にしてほしいと思っています。
(問)相撲と直接関係ない質問で申し訳ないんですけれども、大臣の個人的な所得の関係で一つ質問させてください。所得報告書に経営相談という項目があることを御承知だと思うんですが、先般地元に質問したんですけれども、どういう内容で、どういう業者から、どういう契約で、どういう給与体系で収入が発生しているのかというのを答えていただけなくて、一応問題はないという説明を受けておるんですが、問題がないんであればその辺を詳しく説明していただかないと、我々もどう問題がないのかというのを検証できなくて。大変申し訳ないんですが、その点を、ちょっと答えていただければ有り難いんですが。
(答)どういう問題があるのかが、逆によく分からないのですが、私も長いこと、こういう世界というか、人生も生きてますから、いろんな経験知識は持っています。そういう部分で、某民間企業と契約を結びまして、いろんな意味での経営相談、経営首脳とするということでの契約書を結びました。月々契約で一定額の契約料を毎月支払っていただいて、振り込んでいただいて、仕事をしておりました。このたび、閣僚になるというときには、そういうことは規範でやめるという申し合わせですので、9月をもって、契約を解除しました。
(問)企業名は公表はできないのですか。
(答)できません。そういう中身ですので。契約書もちゃんとありますし、契約も解除をいたしました。私の個人通帳ですので、お見せするのはちょっとはばかりますけれども、私もそういうふうに御指摘いただいて確認しましたけど、間違いなく毎月々に9月まで振り込まれていて、それ以降はありませんので、来年の国会議員個人の資産報告等々においては、ゼロになるということは間違いございません。すみません、御心配おかけしました。
(問)名古屋場所が改革のスタートだと大臣はおっしゃいましたけれども、相撲協会の理事長代行は、謹慎が名古屋場所の千秋楽までという形になっているのですが、千秋楽以降の相撲協会の人事については、文科省のほうから希望ですとか、指導というものは具体的になさるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、それも含めて名古屋場所中には改革委員会をスタートさせるということですから、そこの議論から始まるんだというふうに思っています。
(問)そこで何かの決定があるということですか。
(答)方向性は出されるのではないかと思いますけれど、先ほど言いましたように、基本的には、自らが自律的に事態の深刻さと責任の重さを受け止めて、どう改革していくのかというのを示していくべきであって、ただ形式的に外部の人が理事長になったとか、ならないとかいう話ではないわけですから、その部分を見守っていきたいというふうに思います。
(問)内輪の理事長であっても、中身の問題だということですか。
(答)内輪の理事長であるとか、外の理事長であるとかいうことが大きな問題であるという判断なのか、そうでないのかも分かりません。
(問)大臣は、名古屋場所を御自身で見に行かれるような予定はありませんか。
(答)日程によるんですけれども、やはり、私はこの場所は相撲、大相撲の歴史にとって、後世非常に大きなターニングポイントになるというのは間違いないと思っていますので、可能であれば行きたいと思っています。
(問)場所中にスタートされるであろう改革委員会ですけれども、先ほど大臣が、現在の調査特別委員会のことにつきまして、すべて受け入れるのが前提であろうとおっしゃっていましたけれども、今度新しくできる改革委員会のほうの提言というのも、相当量受け入れるのは当然であるというようなお考えなんですか。
(答)何度も言いますように、そのことは相撲協会が決めてほしい。文科省がそうあるべきだということを言ったからやるという話ではなくて、その調査委員会の答えをどう受け止めるかというのは、調査委員会を作った自分たちで決めるべきではないかと言っているんです。
(問)今回、賭博をしていた人たちへ下された処分はどう思われますか。
(答)いろいろな評価があると思うのですが、調査委員会のメンバーのご経歴を含めて、いわゆる反社会的勢力とのかかわり、賭博というものの、ある種の法的な問題等々を含めて、検察、警察、弁護士という、いわゆる司法界の専門家がトータルで判断された勧告ですので、私はそれは重く受け止めるべきだというふうに思っています。
(問)毎週のように文科省に報告に来なければならない今の相撲協会の現状を何度も御覧になっていて、いったいどこに一番の問題があるというふうにお感じになっておられますか。
(答)やはり、善し悪しとか、悪意があるなしではなくて、長い間ある種の閉鎖社会というものが進んできたことは間違いないわけですから、そこに、世の中的な感覚・目線とのギャップが顕在化してきたということだと思っています。それは、前からもあったんだけれども、そこへの対応が十分ではなかったということではないでしょうか。
(問)改革委員会のメンツ、人選ですけれども、それについて文科省のほうから注文というか、指導というのはお伝えになるんでしょうか。
(答)相談があれば相談には乗りますし、ご希望でこういう分野の人と言われればしますけれども、こちらが何か、今の段階で、ああしろこうしろということはありません。
(問)基本的には、改革委員会のほうも、全員外部の方でというようなことでしょうか。
(答)それも、どういう形がいいのか真剣に議論して決めてほしい。
(問)参議院選挙ですが、参議院選挙も中盤にかかっていますが、内閣支持率が下落傾向ですけれど、その受け止めをお願いします。
(答)内閣支持率と政党支持率と比例の投票先と各選挙区情勢と、いろんな情報がありますので、一喜一憂せずに、一生懸命に民主党政権のやりたいこと、やってきたこと、そして支援を訴えるしかないと思っています。
(問)先ほど、公益法人の話が出ましたけれども、今後の相撲協会の公益法人の適格については、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
(答)今まで、そういう立場でしっかりと役割を果たすようにと願ってきておりましたし、いろんな部分で国民からの批判があることも事実です。そういう事を踏まえて、引き続き公益法人としての責任をしっかり自覚して果たすようにと指導しているわけです。

(以上)