川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月4日

(平成22年6月4日(金) 9:48~10:17  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

今朝の閣議で内閣総辞職をするという閣議決定をいたしました。総理の方からは、「国民の信託を受けて新しい政権がスタートし、世の中を変えるという大きなテーマの下に頑張ってきて、皆に頑張っていただいたことに、感謝の言葉と同時に、半ばでこういう事態になったことは、国民の皆さんにも申し訳ない」という趣旨の御発言がありました。同時に、「この思いは、引き続き新内閣においても引き継いでいってほしい」ということでした。地方主権を中心とした施策等々を含めて、4つおっしゃいました。「地域主権改革」、「新しい公共」、「東アジア共同体」、そして「地球温暖化対策」の4点を新たに取り組んできたし、そして、最後に「政治とカネ」と「普天間基地移設問題」も含めて、大きな課題としてあるということでありました。そういう趣旨の総理大臣発言がございましたが、最終的には閣議で総辞職をいたしました。今日、首班指名が行われる予定でありますが、首班指名が終わって、新総理が宮中で天皇陛下の親任を受けられる。そして、組閣をされて、各閣僚が認証を受けるということで、最終的に新内閣がスタートすることになるわけですが、総理におかれては、新総理が親任を受けられるまでは、職務の代行としての総理の仕事が責めとしてあります。そして、大臣においては、新しい大臣が宮中で認証を受けるということで、辞令交付を受けるまで、職務代行として、いわば危機管理上の職務を代行するという立場でありますので、その部分では後の日程はまだ決まっておりませんので、新内閣が任命されるまで、職務として、私はこの文部科学の担当としての職務を空白なくやる責任を負っているということでございます。皆さんにおかれては、大変お世話になったことに、改めてお礼申し上げます。お世話になりました。

2.質疑応答

(問)次期総理に菅直人さんが有力というふうに報じられております。大臣または旧民社党グループとして、菅さんへの姿勢というのでしょうか、御支持されるのかどうか、その辺りをお伺いしたいのですが。
(答)文部科学大臣を辞めたので言ってもいいのかもしれませんが、内閣の一員としては、鳩山内閣を支えて今日までやって参りました。総辞職という形になりました。民主党の議員の一人としてのお答えになるというふうに思いますが、我々、もう長い間の仲間も含めて、いろいろ昨日から議論をして参りました。総理である党代表と党幹事長が辞任をされるという大変大きな犠牲を払う事態になったということ自体に、どういうことが背景にあったか、率直に皆も反省すべきことは反省しなければいけないということと同時に、新しく世の中を変えてほしいという国民の大きな期待に沿えなかったことが厳しい御批判になっているということですから、やっぱり大きな期待は日本を変えるということだという原点に戻って、これだけの大きな犠牲を出したのだから、皆、心に決めて頑張ろうと、我々仲間としては確認をいたしました。そういう中で、だれか出る人がいれば出そうという話は当然ありましたが、いろんな議論と経過の中で、最終的には我々の仲間の中からは出る人はいないということで、その時点で、最終的にはお二人になったという中で、経験、実力を含めて、副総理として支えてこられた菅さんが適任だろうと。ただ、私たちのグループは、もともと防衛・安全保障、エネルギーの安全保障ということは政策として非常に重要視しておりますので、菅さんにこの部分の基本的な認識をグループとして確かめるということを含めて、最終的に、昨夜8時頃に、別に派閥ではありませんから決定して拘束するものではありませんが、今までもそうですので、代表である田中慶秋会長が、「自分は総合的に判断し、確認をしたので、菅直人さんを応援する」ということを宣せられまして、それを皆、仲間として重く受け止めるという集約をいたしました。今までもそういう集約の仕方で、ほとんど皆それに沿って、重く受け止めるということは、投票行動を共にするということです。経過はそういうことです。ですから、大変重い責任を負って、厳しい環境の中での代表であります。どなたになられても、先ほど申し上げた原点で一生懸命支えて参りたいと思っております。
(問)菅さんは、小沢一郎さんにはしばらく静かにしていることが国民のためにも政治のためにもいいというふうに言われましたけれども、川端大臣は小沢さんに対してはどういうふうなお気持ちですか。
(答)すごい実力のある政治家であるというふうに私は思っております。そういう中で、特に、今回の代表選挙は、小沢さんの影響力を排するのか排しないのかというふうな次元の議論では私はないというふうに思っております。先ほど申しましたように、大きな国民の期待を受けてスタートした新内閣が、国民の期待という意味の支持率で言えば、今、非常に厳しい評価を受けているということが、どこら辺にあるのかということをしっかりと検証する中で、新内閣、新総理、新代表は、党運営、内閣の運営、そして、党と内閣の在り方を含めてですね、皆が力を合わせてやっていけるように、そして、それが国民に評価を受け、結果が出せるようにということに、最大力を発揮してほしいということであって、その中の一構成である幹事長をしていただいた小沢さんがどうだこうだということを言うつもりはありません。
(問)改めて、菅さんには具体的にはどんなことを求めていきたいと。
(答)今言ったように、反省として言えば、やはり初めてやったことですから、例えば、政策決定過程の内閣一元化、党との関係とかといっても、やっぱり慣れないことを含めて府省によって実際はやり方に温度差があったり、意見集約、政策決定の部分にいろいろともう少し改善の余地はあったというふうに思います。それから、党と官邸を、ある種、独立的に機能させ責任を持たせようとしたことが、結果として言えば、少し意思疎通の点で、もっと改善を図らなければならない点もあったのかなというふうなことも、実際の運用として言えば代表であり総理であるという、両方の責任者という意味では、先ほど言ったように、いろいろやっぱり、初めてやった内閣の課題があると思うんですね。そういうことは丁寧に改善をしていってほしいし、せっかくこれだけ能力のある人が集まった部分が機動的に動けるように、正にリーダーシップを発揮してほしいと思います。同時にやはり、今までも副総理ですから、一連政策で、皆がやってきた新成長戦略を間もなくまとめようということですから、これもしっかりとまとめていく中で、厳しい財政状況の中の国民に対して、民主党政権に任せて良かったなと思ってもらえる舵取りをしてほしいと思っています。
(問)次の新しい総理が内閣を作るわけですけれども、その場合に、やはり継続性ということ、それから鳩山総理の辞任した経緯などを含めて、できるだけ小規模な人事の方がいいのか、あるいは、選挙もありますし、新しい総理が思いきって新しい内閣メンバーにがらっと入れ替えた方がいいのかとか、そういうのはどう思われますか。
(答)総理大臣が考えることです。
(問)今回の新内閣は政治主導ということが大きなキャッチフレーズになっていたんですけれども、一方で、8か月で退陣を余儀なくされた背景には、官僚機構をうまく使いきれていなかったんではないかという批判もあります。今度、菅大臣が総理になるとしたら、より一層対立色が強まる可能性もあるかなという観測もありますけれども、その辺、どんなふうにこの8か月を振り返っていらっしゃいますでしょうか。
(答)といいますか、やはり、先ほど申しましたように、党と内閣という部分の役割分担と連携の在り方、同時に政治主導でやるというときの、特に内閣における政務三役と官僚の皆さんとの役割分担の在り方というのは、やはり多少の試行錯誤はあったというふうに思います。いいこともあったし、改善の余地のあることもあったと。だから先ほど申し上げたのは、そういうことも、菅さんにしても樽床さんにしても、それぞれのお立場で肌で感じておられることですから、その部分を踏まえて、どなたがおなりになっても、正に両方のトップリーダーとして、良い方向になることを目指してほしいとは思います。
(問)新しい内閣で、新しく文部科学大臣あるいは科学技術政策担当大臣になられる方に、こういう部分はぜひ引き継いでやってほしいというふうに、特に強調したい部分はありますでしょうか。
(答)ありきたりかもしれませんが、当たり前のことなんですが、やはり「教育は国家百年の計」でありますし、文化も芸術もスポーツも、そういう部分では人が生きていく中で、過去から未来へ引き継ぐと同時に、大変国としても個人としても大事なことです。経済性うんぬんという効果が長い目でしか出ない、あるいは物差しとして計りにくいものであるけれども、国のアイデンティティにかかわる問題ですから、しっかりと思いを込めて、十分力を入れてやってほしい。もう一つの部分の科学技術で言えば、これも正に国のバックボーンの宝ですので、少なくとも国際的に見ても、公的な責任を果たしている部分で言えば、きちんと果たしている国だなと認識してもらえるように、引き続き頑張ってほしいと申し上げたいと思っています。
(問)文部科学大臣と科学技術政策担当大臣をイレギュラーな形で兼務されてきたわけですが、弊害なり利点についてお伺いしたいんですけれども。実際にやってみて、本来、別々の人がやるのが望ましいと感じたのか、それとも、トップダウンで物事を決めるのだったら、一緒にやった方がいいというような考え方もあると思うのですけれども、その辺についてどのように感じましたでしょうか。
(答)両方やっていろいろよく分かったこともあります。私は立場をしっかり使い分けたつもりですが、その中で、科学技術政策担当になったときに一番初めに申し上げたのですが、やはり科学技術を国として進めるときに、どういうテーマをどういうふうに重点を置いてやるのかという国家戦略を決めるということ、要するに政権の意思としての国家戦略を、誰がどういう組織で作るのかという機能と、それから、それに呼応してですね、いわゆる公的支出、お金をどう担保するのかという権限、そして、戦略的に決まったテーマで、国家財政の裏付けのあるお金を誰が配分するのか、その配分する機能、それから、それを受けて研究を実行する単位、という「戦略」「財源」「配分」「実行」と、この4つの機能が有機的に国の意思として動くシステムがどうしても必要だと、就任のときから申し上げてきました。そういう意味で、例えば、科学技術政策担当を兼ねて、IT戦略担当、知財担当、そして総合科学技術会議担当というのをやっていてですね、宇宙開発は前原さんで、執行部隊の中の研究開発独法とか大学は文科省、また違うところでいったら当然研究開発独法には厚生労働省もあれば経済産業省もあるといったときに、その一番大本の戦略から、どういうふうにこの国の意思が働きお金が動いているんだろうかというと、やはり、個々にそれぞれの府省の予算がありテーマがあり、調整しているとはいえ総合科学技術会議も強大な権限で調整しているというわけでもない。国家財政の部分の方向もクリアカットにはなっていないというふうなことも、もともと問題意識として持っていた部分で、両方にいることによって、やはり非常にどうしてもこれはやらなければいけないなという思いが強くなりました。それぞれの役割分担というのは明確に違いますから、利害調整をするつもりは全くありませんでしたから、それは、それぞれですからいいですが、やはり、この国の今までの長い間で、そのときにはそれなりに意味があったのかもしれないけれども、システムとしての抜本的な再構築をして、政治的な意思、専門的な見地での判断というのを、どう有機的に責任を持った体制でできるかというのが、本当に大きなテーマだと、今改めて思っています。
(問)その4つの機能を一つの意思の下でやるということではなくて、もっと役割分担をするということですか。
(答)というか、トータルで一つにしていこうとして、その中でやるべきことは4つあるんだろうというときに、どう有機的にリンクしながら動かそうかと考えると、やはり一番基は戦略ですよね。日本は、月に人が行くことを目指すのか、目指さないのかというのは、やっぱり意思だと思うんです、理屈ではなくて。ただそれは、お金がどれくらい要るのかによっても違うという側面もありますが、ケネディが、人類は月に立つんだとアポロ計画をやり出したときというのは、それは何のメリットがあるのかとかいうことではなくて、やっぱり、それはある種の夢、アメリカはそれを目指すんだという国家の意思が示されたんですよね。そういうふうなものを、どこで誰の意思として決めるのが国家戦略なのかということです。例えば総合科学技術会議はあるんですけれども、会議体ですからチェアマンがおられない、だからそういう意味での組織的な部分もいろいろあるし、いろんなテーマが決まると各省庁が持ち帰って、例えば昔で言えば、補正予算でエコといったら、何でもエコって書いたテーマが山盛り出てきてね、よく似たのが各府省でばらばらやるということがよくありました。そういう部分では、今回はアクション・プランという形で、事前にライフとグリーンに関してはテーマを出してもらって、可能な限り調整をして、優先順位を付けて、それを各省が持ち帰って概算要求するということで事前調整しているわけですけれども、ITも今、正にそれをやろうとしています。だから機能的には実はそれを徐々にやり出しているのですが、大きな柱立てとしては、もっともっとクリアにやった方がいいんだろうなと、これが正に政治主導で、このテーマを重点でやるんだという、正に政治責任でやる話だと思います。随分勉強になりました、両方やらせていただいて。こちらでこういう理屈だと、やっぱり、やる方からいうとこういう理屈があるというのもよく分かりました。
(問)今日で鳩山内閣の大臣としては終了ということになるのですけれども、とりあえす8か月を振り返っての感想というか、やり残したこと等含めて、感想を教えてください。
(答)9月16日というか、日付変更して17日の夜の12時半頃ですかね、ここへ入って来たのは。昨日のようであり、8か月前なのかという。ついこの前のようでありながら、補正のやり直し、概算要求のやり直し、そして本予算の編成、そして通常国会がスタートし、無償化法案の審議というふうに、いろいろ手掛けてきた仕事を振り返ると何か山盛りありますので、随分昔のように思いながら、昨日のように思っているという、何か複雑な気持ちであります。ここにおられる皆さん方にも、日々、いろんな形で御協力いただきお世話になったことを、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。やはり、政策的、法律的に言えば、高校実質無償化法案が成立し、4月1日、ぎりぎりでしたけれどもスタートできたということは、多分ですね、何年かたって、高井美穂政務官のお子さんが高校へ行きだして、「お母さん、昔、高校って授業料要ったの?」、「そうなのよ」っていう時代のスタートを、「へえ昔、高校って授業料要ったのか」みたいなね、世の中それが当たり前という、高井政務官のお子さんは間違いなくそう思うと思うのですが、そのスタートのときに、当事者としてかかわれたということは、大変私にとっても、多分一生の思い出になるんだというふうに思います。非常に厳しい財政状況ですので、いろんな形で仕分けの中で創意工夫をして、より効果的、効率的に税金を使って、教育、文化芸術、スポーツ、科学技術の分野で、先ほど申し上げた大変大事な部分に、いかに予算が充実できるかと。実質的には、授業料の無償化等も含めて、教育も文化もスポーツも大幅な予算を、大幅か若干かは評価がありますが、ただプラス予算は組めたので、厳しい状況の中で、ぎりぎり精一杯頑張れたかなと思っています。
(問)高校無償化の制度の現時点の仕上がりをですね、100点満点でいうと何点ですか。
(答)正に財源の問題を含めて、我々からいうと、給付型奨学金とか、低額所得者の私学の部分の支援金は500万円までというのがもともとの要求でありました。マニフェスト的には問題がないのですが、概算時点で設計した部分からいうと、やはり圧縮した部分があり、当然国会での修正もそういう議論での見直しでありました。しかし、それはある種の課題として残されているというふうに思っていますから、仕上がりとしては、そうですね、自分としては80点ぐらいは、ちょっと甘いかもしれませんが。夏までかかる宿題も残っておりますけれども。それと、もう一つ実感したのは、やっぱり政権交代したんだなと思ったのは、無償化のときに、自民党の皆さんからは、所得制限をして、その財源を低額所得者の方に回した方がいいという御提案がありました。私は政策議論としては、そういう議論はあってしかるべきだし、いい議論だったと思います。私たちは、この国は親の所得にかかわらず、高校というものは、特に公立高校においては授業料はないと、私学においては一定の額が補助されるという、国の教育インフラとして、そういう制度にしたいという理念でやりました。自民党さんはそうではなくて、親の所得で厳しいところには一定の応援をしよう、所得制限というのはそういうことですから、という制度としてやろうというふうにおっしゃいました。いろんな議論があっていいし、政策選択としては当然の議論でそれはいいんですが、そういういい修正というか、議論としての対案を、自民党の皆さんがおっしゃいましたけれども、ふと気が付いたら高校を無償化するのに4,000億円ぐらいのお金を使うという前提での議論をしておられました。去年までの、長年の自民党政権において、高校にかかわる部分に4,000億円のお金を使うという発想はゼロでした。1円も使わないという発想であったと思います、ある意味では。そういう意味では、今までの税金の配分を根本から覆すことができたというのは政権交代をしたからだというふうに思います。気が付けば、その土俵で自民党の皆さんも議論をしておられて、こんなことに使うべきではなくて、今までどおりの配分でやるべきだという議論はありませんでした。他省のことですが、子ども手当に関しても、子どもさんに巨額のお金を使うことはやめろというのではなくて、現金給付か現物給付かという議論をしておられると思うのです。それは、政策判断として議論はあっていいけれども、ふと気が付けば、実は、税金の使い方を大転換したということで、これは、政権交代をして本当によかったなというふうに、改めて思っております。
(問)総理がこの前の両院議員総会のスピーチで、「政治とカネ」も今回の退陣の一つの理由だと。大臣は、新しい代表にですね、「政治とカネ」にどのように取り組んでほしいか、どのようにクリーンにして民主党を再生させたいか、お考えをお聞かせください。
(答)今まで「政治とカネ」にまつわる話がいろいろあって、政治資金規正法を変えて対処するけれどもまた出てくるという部分の元を断つには、厳しいけれども、企業団体献金、パーティ含めた部分を禁止すべきではないかという議論があって、我々もそういうふうにやろうと、いきなりやったら資金が途絶えて倒れるかもしれないという現実がありますので、激変というか、段階的な経過措置がいるかもしれませんが、ということを言ってきたのをしっかりと実行することがまず大事ではないでしょうか。ただ、これは議員の政党の活動の根幹にかかわる問題ですから、各党の協議における合意が前提だと思いますけれども、そのリーダーシップを取るべきだというふうに思っています。お世話になりました。またどこかで出会ったら、声ぐらい掛けてください。有り難うございました。

(以上)