中井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月22日

(平成22年1月22日(金) 17:24~17:46  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 こんばんは。
 火曜日は多用がありまして、木曜日は公安委員会のところの予算委員会でございましたので、記者会見を御無礼をいたしました。
 今日は、予算委員会終了後という変わった時間の閣議でありました。本予算案ができてまいりまして、正式に提案するということが決まりました。
 その他、大した案件はありませんでしたが、予算案が決まったことに関して、財務大臣からご発言がございました。また、総務大臣から、雇用保険2事業に関する行政評価監視の結果についてというのを発表され、これを受けて厚労大臣が見直し等を行う、こういう発言をいたしたところでございます。
 それから、終わりまして、閣僚懇で、仙谷さんから、独立行政法人の役員の公募、第2弾、話がありました。30法人51ポスト、理事長も4ポストだということでございました。
 その他の意見の中で、前原さんから、環境税の議論、閣僚の議論の中へ自分のところも入れてほしいという要請があり、税調と閣僚懇とどういう調整をするかというようなことは内閣官房長官のところで調整して、前原さんにも入ってもらうと、そんなことは大体了事項となったところでございます。
  以上でございます。

2.質疑応答

(問) 民主党の中に、一部取り調べの可視化法案を今国会に提出したほうがいいんではないかという考えがある人がいるんですが、それについて何かコメントがあればお願いします。
(答)報道等を通じて承知をいたしておりますが、私自身が考えてきた研究会がほぼメンバーも決まりまして、来週の公安委員会でこの研究会のスタートが報告され、2月早々には第1回の会合ができるところまでまいりました。これについては、各役所の副大臣、関係役所の副大臣、あるいはまた民主党の内閣法務の勉強会等で既に報告をいたしてありますので、何ら変わることなくやっていきたいと思っています。
 そういう流れにあるということを参議院の方々で御存じない方、あるいは法務、内閣部会にお入りじゃなくて、御存じじゃない方を含めて中心に簡単なことのように言われておりますが、いろいろな事件が起こったからといって急遽やるとか、拙速は一番まずい。落ちついて、きちんと法体系の中で、捜査手法の近代化という大きな枠組みの中で手法等を勉強してやっていただくというのが一番いいだろうと、千葉法務大臣とも予算委員会の合間合間でも話をいたしておりますし、内閣官房長官等も私どもの方針が伝わっておりますので、まあまあおさまってくるんだろうと思っています。
 どうぞ。
(問)昨日、鳩山首相が石川議員の起訴を望まないというような発言をされて、一夜で撤回されたことについては、閣僚としてどのように受けとめていらっしゃいますか。
(答)鳩山さんらしいなということだけです。
(問)明日にも小沢幹事長の聴取だというふうに言われているんですが、それについて、大臣、火曜日の閣議後会見では、特捜にも説明責任があるし、小沢さんのほうも発信したほうがいいんじゃないかという話をされていたと思うんですけれども、明日の聴取について、大臣としての受けとめをお聞かせください。
(答)明日の聴取というのが本当かどうか僕ははよくわかりません。報道で承知しているだけですが、それによると、小沢さん側の弁護士サイドから大体そういうところだということが情報として出ているという記事がありましたから、小沢幹事長側もいろいろな事情説明や考えを発信され始めているんだなという思いで見ています。結構なことじゃないですか。だけど、これだけ取り囲まれた中でできるのかどうかわかりませんがね。
(問)先ほど、可視化のもう一度、研究会が2月から始まりまして、大臣、これまでも何度もおっしゃっていると思うんですけれども、改めてこの法案の趣旨というのを教えてください。お考えをお願いします。
(答)可視化ということが冤罪を極端に減らしていくということについて、極めて有力な手法であるということは間違いありません。しかし、冤罪をなくすということのためだけで犯罪の取り調べが身動きできなくなる状況というのは、私は起こってはならないと考えています。
 現実に、今も幾つもの事件を捜査していますが、自供自白が得られないために、なかなか起訴に持っていけない事件が幾つもあります。これからも自供自白というのは、弁護士さんもおつきになって、御当人などの知識もふえて、昔以上に少なくなる中で、捜査手法を近代化・現代化をしていかないと、治安の維持ということに関して、また犯罪の摘発・検挙ということに関して、到底警察は役割を果たしていけない、可視化だけやったんでは果たしていけないというのが率直な思いです。
 したがって、捜査能力を落とすことなくこの可視化を実行するには、今私が申し上げているような他の手法等も含めた捜査のあり方をつくっていくことが大事だと思います。しかし、私一人で決めるわけにいきませんから、有識者の皆さん、お集まりいただいて御議論いただく、そして方向を打ち出していただくことが大事だと考えています。
 法務省は法務省で専門家、また警察庁は警察庁で専門家が寄って、可視化をやる場合にはどういうことが起こるか、どういうことが必要か、議論をいたします。それは、専門家だけの議論ですから、私どもは有識者による議論、これをやっていきたいということです。
 なお、国家公安委員長のもとの勉強会、研究会というのは多分初めてだろうと思っています。
(問)今のに関連して、昨日、今日、菅谷さんの事件でテープが開示されまして、これをどう受けとめておられるか、お聞かせください。
(答)僕びっくりしました。テープがあったのも知りませんでした。ああいうことがもう一度検証され直して、裁判で無罪という言い渡しになるまで時間がかかるんだなと改めて思っています。
 同時に、日本人はまじめで、お上にはばかる気持ちが強いですから、今の自供自白中心の捜査、そして、捜査当局から一方的にリークされる記事しか書かないマスコミ、そういう中では、冤罪の人たちの被害というのはこれからも出る。僕は思っています。
 そういう意味で、推定無罪ですから、人権問題含めて十分配慮された中でやっていかなきゃならない。あの事件に関して改めて思います。また、私どもの知らない時期のことですけれども、警察全体、また国家公安委員長としても、彼がこうむった被害、深く思いをいたしたいと考えています。
(問)国連の北朝鮮の人権状況特別報告者のムンタボーンさんが今日記者会見されたんですが、大臣との意見交換ではどのようなやりとりといいますか……
(答)そうですか、記者会見の模様を見ていないのでわかりませんが……
(問)今日は1人でなさったんですけれども。
(答)特に日本の北朝鮮人権法についての質問が多く聞かれました。私から、つくられた与野党折衝の状況、そして、2回にわたって修正したこと等を申し上げました。
 彼からは、重ねて、あの法案でもって、北朝鮮国籍や無国籍の脱北者を日本が受け入れる解釈はできるんではないか、こういう問いかけがありました。それは、私どもはそれをしようと主張したんだけれども、当時の与党が反対でできなかったと。私どもは、政策インデックスの中に政治亡命を受け入れる、難民を受け入れる手続を簡単にする、こういったことを言っていますから、その一端として、北朝鮮人権法の中でムンタボーンさんのおっしゃる方向というのは実行できるように考えていきたいと、こういう話をいたしました。
 そして、昨日、今日にかけまして、衆議院の拉致特の城島委員長と、それから、この北朝鮮人権法で格別努力された中川正春君にこの話をいたしまして、2人で法案の修正ということを含めて党内的な論議を進めてほしいと、こういうことをお願いいたしたところであります。
(問)先ほどの鳩山首相発言の確認ですが、鳩山さんらしいというのは、撤回した点がらしいという。
(答)いやいや、無実を願っていると言って、あくる日あっさり撤回するのは鳩山さんらしい、すべてが。やさしいんですよ、あの人は。
(問)先ほどの菅谷さんの関連の発言で、自己中心の捜査、リークされる記事しか書かないマスコミという発言があったんですが…。
(答)リークされたことばかり書くマスコミと言ったんだよ。捜査当局のリーク情報しか書かないマスコミと言ったの。
(問)これは今リーク……
(答)ずっとそうじゃない、一度被疑者になったら徹底的に被疑者になるじゃないですか。後から冤罪になったら、また徹底的に違うと言うじゃないですか。それは1週間や2週間の差でそうなるなら我慢もできるだろうけども、10年、15年たってから名誉を回復しても大変つらいところだな。だから、そういうことが起こらないようにお互い気をつけてほしいものだと申し上げているわけです。
(問)先ほどの取り調べ可視化の法案についてなんですが、大臣はこの研究会を開いて、いつごろの国会に提出を目指すというか、時期的なものの何かお考えをお願いしたいんですが。
(答)僕らは、あの法案全体をどういうふうにするかということや各省庁との調整、捜査の現場におられる検事さん、警察官等々の気持ち等を考えると、やはり2年はかかるかと思っていましたが、党がバックアップをしてくれるということであるならば、少し早めることもできるんかと思いますが、しかし、それらも含めて研究会での先生方の御判断にお任せをしたいと思います。
 こういう問題が起こったのは、この間、委員会の委員長をおやりいただく方にお目にかかって打ち合わせをしたんですよ。その後こういう発言が続いていますから、委員会の方々もあまり愉快でないかもしれません。そこら辺も含めてうまくスタートをさせていきたいと考えています。
(問)今おっしゃった中で、委員会の先生方にお任せするとおっしゃいましたけれども、一たん、可視化というのはそちらの方向へ行くことを前提に、それを補う措置として新手法をどうあるべきかと……
(答)可視化へ行くというのは、僕らのほうではマニフェストに書いてありますから、これはもう間違いなくやらなきゃならない。しかし、その可視化だけではいかんから、可視化と一緒に捜査の近代化、こういう意味です。委員の中の、何人かお願いした、特に弁護士会の方々なんかは、可視化と書いていないのはだめだとか、あるいは可視化だけの委員会にしたらそれに出るけれども、だめだとか、あるいは、お願いした幾つかのマスコミの方々は、可視化だけなら勉強会に出てもいいけれども、ほかの捜査手法とくっついているとどうしても出にくくなりますとか言って、研究会に御参加いただけないマスコミもおられました。弁護士会の方は了解いただいて御参加いただきます。
(問)では、その可視化に関する議論というのは、例えば終点は、大体この方向というのは、今おっしゃったようなマニフェストに書かれていて、そこへ向けてどういう形で実現していくかというのも議論の対象になるんですか。
(答)可視化だけなら何ていうことはないですよ。それでは捜査能力ゼロになる、ゼロに等しいようになるじゃないですか、今の現状なら。それでいいとおっしゃるなら。
(問)北朝鮮人権法の関係ですけれども、では現行法では、解釈だけではムンタボーンさんが求められるような受け入れというのはやはり難しいので……
(答)いやいや、そうじゃない。あれは、日本人とか、それから永住者として日本にお住まいで北朝鮮へ行った人の息子さんやら、そういう人が脱北してきたときは受け入れると、こういう仕組みになっているんです。だけど、ムンタボーンさんから言えば、あの文言を見ればいけるんじゃないのと、こういう御質問でしたから、それは僕らはそうありたいと思ったけれども、当時の自民党と公明党はノーだったから仕方がありませんと。かなり脱北者が出ていますしね。日本へ行きたいという方もおられますから。
 これは、僕らが言うというよりか、超党派でつくってきた法案ですから、委員会サイドで、議会のほうでお願いできたらとは思いますが、役所が賛成とか反対とかあるなら、また僕らも働いてみたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)