中井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月12日

(平成22年1月12日(火) 16:47~17:21  於:警察庁18階第4会議室)

1.発言要旨

 今日は2時からという変わった時間帯の閣議でございました。この閣議で幾つかの案件が出されました。その内の一つが警察庁の人事案件でございます。警備局長が警視総監になるということを含めて、生安局長、交通局長が勇退をされて後任人事が決まると、これらの人事の承認が内閣において行われたところでございます。その後、総理から幾つかの御発言がございました。一つは、政府内部における政治主導体制の強化ということでございます。副大臣等を3人増員して27人、大臣政務官等を12人増員して38人、現行の73人より15人増として88人の国会議員を閣内に配置するということに決定をしたい。これらの法案を通常国会に提案して、できる限り速やかに成立を図りたいのでよろしくという御挨拶でございました。資料として配られているのを見ますと、内閣府は副大臣がプラス2ということになります。それから、大臣政務官がプラス7で、1名が国家公安委員長を補佐する大臣政務官という新しい名前のポストができるということになっております。御配慮に感謝を申し上げているところでございます。それから、国会提出の法案等について話がありましたが、これは議運で話されることということで、記者会見では申し上げないことになっております。それから、更に任務の見直しについてお話がございました。その中で、仙谷大臣には、菅副総理の担当されていた国家戦略担当と併せて、地球温暖化対策に関する総合調整、総合的な雇用対策の統括、新しい公共に関する事務をお願いする。また、現在、原口大臣が担当されている構造改革特区、あるいは平野官房長官が担当している公正取引委員会に関する事務、官民人材交流及び再就職等監視の組織等の見直しに関する事務及び税制調査会に関する事務を仙谷さんが行う。それから、川端文科大臣が、科学技術政策に関する事務、またこれに関してIT産業、知的財産戦略、それから遺棄化学兵器問題及び原子力政策に関する事務を併せて行う。それから、前原大臣が担当している防災及び原子力安全委員会に関する事務は、不肖、私、中井が引き受けるということに、新しい任務を見直すということになったわけでございます。したがいまして、今日から防災担当も兼務するということになりますので、役所をどういうふうにするかとか、勤務をどうするかとか、記者会見をどうするかということも、一度ゆっくり相談して、記者クラブの皆さん方にも、また御意見を聞いて調整をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。そういう決定が行われました後、各省庁が4項目にわたって省庁のやりたいこと、あるいは予算の見直し等の問題について、文書をもって提言をした問題を、5分ずつ報告をいたしました。5分ですから、みんな非常に限られた範囲で工夫をして発言をいたしておりました。私の方からも、文書は提出をいたしましたけれども、口頭で幾つかの点を申し上げました。大幅な改革や見直しが必要とされる改革については死因究明、それから犯罪情勢に即した捜査手法の在り方、この二つについては、1月、2月に研究会、勉強会を発足させる。そして、非違行為に関する内部監察の充実強化、そして市警察部の在り方、この二つを新たに提言をいたしました。市警察部の在り方といいますのは、14道府県におきまして、18の市警察部が現在存続をいたしています。ひょっとしたら数が違うかもしれませんが、この市警察というのは、正直言いまして名前だけで、予算も全部県でありますし、人事も県ということでありますから、これをこの際もう全部無くして、都道府県警察一本にして、その代わり、そういう政令都市の市警察の分を、例えば副本部長というようなポストをお作りいただいて、警察庁から行く人事と、内部から登用するという形も含めて、組織の見直しというのはどうだろうという提案をいたしたところでございます。これについて、十分、半年掛けて、警察庁内部、公安委員会、御議論をいただいて、来年の予算策定時にポストの増減、こういったことを含めて提言をしてみたいと考えております。まだ、各政令市の市長さんには、こういったことを申し上げておりませんので、こういったことを申し上げたという連絡をしながら御意見も聞いていきたいと考えています。そして、他の府省ともっと密接に連携したり、府省横断的な取組みが必要な分野及び他の府省と業務が重複する等により、無駄を整理すべき分野ということに関して、例えば銃器対策推進会議、あるいは薬物乱用対策推進会議、こういうのが設けられて、内閣府の特命大臣が御担当だけれども、これは警察庁にお任せいただいたらどうだろうと、警察庁の方で会議をやったらどうだろうという提言をいたしたところでございます。独立行政、あるいは特殊法人等の特別会計については、警察庁所管の独立行政や特殊法人はないけれども、所管の民法法人は48ある。この48の人事や経理、仕事、こういったことについて、政府関連公益法人の徹底的な見直しについて閣議決定が行われているわけですが、これに基づいてやっていくんだと申し上げたところでございます。また、22年度予算編成に際しての反省点、留意点、こういう項目がございましたが、警察においては事業仕分けはないし、また相応しくない官庁であるけれども、しかし予算の執行に当たっては一般競争入札、また競争性のある契約方法、こういったことを十分取り入れて第一次補正予算の時に削ったように頑張ってみたいということを申し上げたところでございます。各省庁、そういう提言の中で論議が行われましたが、時間がきて、最後に鳩山さんがおまとめになった中で第一回の会議を終わりました。また機会があれば次もやろうということになっていますが、省庁のやりたいこと、考えていることが鮮明になって、大変勉強になったと考えています。終わりましてから総理大臣に呼ばれて辞令を受け取って戻ってまいりました。以上です。先ほどの市警察は、やはり14道府県で18市警察部というのがあります。一つだけ、北九州市だけは200人位いて、暴力団対策をやっております。北九州の市長は北橋健治君で、元々民社党時代からの後輩ですから意見だけは聞いております。これから、各市の市長さんにも御意見を聞いていきたいと思っています。

2.質疑応答

(問) 防災担当大臣になられたということで、今回、総理の方から何か御説明とか理由みたいなことを言われているのかということと、防災担当大臣になられた大臣の御所見や今後の意気込み等をお願いします。
(答)総理からは、格別何もありません。よろしくお願いしますというお言葉だけでございました。私自身は、昨日、平野官房長官から、今日の会議でこういう方向を考えていると御連絡をいただきました。ただただ、災害が起こらないこと、そういう気持ち一杯でお引き受けいたしました。しかし、人間のできることには限度がありますが、国民の安心と安全のためにいろんな手を打っていただいていますが、私自身の目で見てチェックをできるところや注意を促せることは申し上げて、より良い防災対策ができるように務めていきたいと決意しております。
(問)今のに関連して、民主党のマニフェストの中で、防災対策の危機管理庁の設立も含めて防災対策に力を入れるという項目がありましたけれども、この新たな省庁の見通しなんかはいかが見ておられますか。
(答)今の財政状況や何かで、そういう計画があるというふうにはまだ聞いておりません。危機管理ということで、かなりいろんな提言をマニフェストがしておりますので、それらと全体で整合性がどういうふうに取られるのか、内閣府の中でどう整理されるのか、これらを含めて私自身も議論をしていきたいと思っています。それから、会議の中で、内閣府の在り方、内閣府の職員の配置の仕方、それから職務の担当範囲の在り方等々について、かなり幾つかの議論が出ました。平野官房長官からは、2,000人の職員がいるという話が出まして、さすがにみんなびっくりいたしていました。猛烈に働いている部署と働いていない部署とあるんじゃないかとか、あるいは各省庁かなり優秀な者を出向されているけれども、必ずしも専門の所で生かされていないんじゃないかとか、そういう声が出ていましたが、これらも仙石君や内閣官房長官の所で一度精査をしようということになりました。したがって、危機管理全体も、そういう中での統廃合どうするかということで考えていきたいということです。
(問)北朝鮮の女子サッカーチームの件なんですけれども、一部報道で参加を今回の大会は見送るという報道があったんですけれども、事実関係あるいは御所感をお願いします。
(答)昨日、岡田さんから3回にわたって電話をいただきました。それは、サッカー協会から外務省に入った報告のようでございました。最後、私が新幹線の中だったですから留守電でありましたし、彼はもうハワイへ飛ぶ直前に、もうサッカー協会としてはチケットが間に合わないと、したがってもう来ないものとして準備に入りたいという報告だったというのが最後の電話でございました。今朝、朝方から代わりに台北が参加するという方向らしいという報告は入っております。一番最初の北朝鮮の連絡は、何の制限もなく全員を受け入れろと、それから中井というおかしな奴に謝らせろという二つだったようであります。これは、僕らは受け入れるとしても選手、監督、コーチだけだと思ってますから、全員というのはなかなか受け入れにくい条件だったと思いますが、向こう様から断ってくれた状況なら、それはそれでサッカー協会はアジアの中でメンツが立つんじゃないかと思ってはいます。
(問)防災大臣として、日本の防災の課題についてどういうふうに考えておられるのか具体的にお聞かせいただきたいのと、今度の17日で阪神淡路大震災から15年になるんですけれども、神戸には行かれるんでしょうか。
(答)最後の方からお答えいたしますと、公安委員長として出席をさせていただく予定でしたから、当然、防災担当として併せて出席をさせていただきます。逆に公安委員長の方が脇になるかもしれませんが出席をさせていただきます。阪神淡路大震災の時に、私個人で言えば、前の日に三重県のいわゆる新進党がですね、もう大議論の末に北川正恭知事を擁立すると決めて新幹線も出たもんですから名古屋で一泊した朝方でございました。びっくりして飛び起きた。そして、どこへも動けなかったということを猛烈に覚えていますし、その時の初動の政治の対応の酷さが、ああいう悲惨な大震災につながったんだという認識は未だに強く持っています。日本ですから、どういう災害がいつ起こるか、これは全く分かりません。一生懸命予知は頑張っていただいてますが、本当に誰しもが分からない。起こった時の初動の体制、指揮命令、ここら辺の確立、これをきちっとすることが私自身の役割と考えています。
(問)確認なんですが、17日は追悼式に参加されるんでしょうか。
(答)はい。
(問)外国人参政権の問題なんですが、通常国会に法案を提出される見通しということなんですけども、大臣御自身は賛成、反対のどちらでしょうか。
(答)5日に総理から原口さんに立法化をお願いしたと、こういう閣議でのお話がありました。それに対して二人の大臣から意見がありました。その前に私はサッカーの問題で、平野官房長官に呼ばれて、「中井さん、この問題どうや。あんたやったら当然反対やろなあ」と関西弁で言われましたから、「とんでもない。賛成だ」と。僕は自由党時代に日本の政党で一番最初に参政権の法案を作って国会に提出した男です。小沢さんが韓国で約束をしてきて、私が呼ばれて、立法化をし、党内調整をして、党内猛烈な反対がありました。これを説得して私は法案として出しました。今から15年くらい前の話です。それ以来絶えず、地方参政権については賛成をしてきてまいりました。しかし、その法案の中身は民主党がかつて国会に出した、日本にいる特別永住者全部に出すということではありません。国交を有している国、そして相手も参政権を日本人に対して認めている国、こういう制限が付いていました。今回もそういう法案であってほしいと思っております。
(問)ちょっと確認させていただきたいのですが、年始から半年からかけて行うと先ほど大臣が仰いました、勉強会の件なんですが、死因究明、犯罪捜査の新しい在り方、非違事案に関する内部監察制度の在り方、それから市警察部の在り方の4点を仰いましたが。
(答)2点の勉強会が1月と2月に行われる。死因究明が1月スタートでございます。それから可視化を含めた捜査の近代化等は2月初めでございます。3番目と4番目は、部内での議論から始めていく、こういう状況です。
(問)部内と仰いますがこれは。
(答)警察内部。そして、市警察部ということに関しては、各市長さんや知事さんの御意見も聞いてみる、こういうところでございます。
(問)先ほど、防災担当大臣になられた経緯で何か理由のことについて、何か大臣が説明を受けられているんでしょうか。
(答)ここ10年くらいは、公安委員長が防災担当も兼ねてきたという経緯がありました。長野県の村井知事はみんなのいる前で、「中井さん、国家公安委員長やのにどうして防災担当しないの」と、彼は防災担当を兼務した国家公安委員長であったようでございます。多くの方が国家公安委員会委員長が担当するのが今の役所の仕組み等から適切かなと、こういうのを感じて官房長官や総理が御決断をなさったということだと思います。同時に前原さんも手一杯ということもあるんだろうと思っています。いろんな調整をしてますから。そしてこの時期ですから、国会まであと1週間あるから、少し勉強もできるだろうということだろうと思います。
(問)先ほどの御発言で一点確認と質問なんですけども、1点は、危機管理庁に関するマニフェストを読んだのは防災担当大臣になられて読んだ。それまでは特に御存知ではなかったというそういうことでしょうか。
(答)そうですね。ただ僕が防災担当になるかもしれないということは去年から言われてましたから、少しは頭に入れています。
(問)もう1点なんですが、我々が伝え聞く話ですが、災害の救助などに関する法律が、伊勢湾台風の後にできた法律が、古くなってきていて今の事情にそぐわないということがあるんじゃないかということなんですが、そういった防災に関する法体系全般をこれから見直していくようなお考えは特にないでしょうか。
(答)これは常に見直すべきだと思います。阪神淡路大震災の時にですね、かなりの部分を直したりいじったりしたんだと思っています。しかし、まだ残っているということなら御指摘を頂くことも含めて対応していきたいと思います。具体的にまたお尋ねください。また御指摘ください。伊勢湾台風の後のやつが残ってますか。
(問)被災者にとって新しいものもありつつ、古いものがずっと使われてきているものもあると思うんですけども。
(答)具体的に何か不都合なことはありますか。
(問)例えば、復興の部分でですね。
(答)救助法とはまた違うんで、それは復興でしょう。あなた伊勢湾台風の時生まれてへんでしょう。僕ぐらいでしょう、この中で生まれてたんは。僕は三重県ですから、大変な被害だったのを覚えています。
(問)先ほど大臣政務官というポストができると仰いましたけども、このポストに就く方がやる仕事の具体的な中身というのは。
(答)これは全く僕の補佐です。僕の補佐で、公安委員会の会務とはまた別。例えば国会の答弁ができる、党の政策会議を招集することができる、私の代わりに税調等へ出席することができる。いくつかの会議は、副大臣、政務官出席になっています。僕が出て行くとみんな嫌がるし、そうかといって今は官房長が代理で出ているんですよ。そうしますと官房長だけ席がちょっと別になるんですね。政治家の中に混ざりますから、可哀そうでしょ。物も言いにくいし、そういう意味で付けていただいてやっていただく。調整をやる。同時に公安委員のお仕事に、委員会のお仕事に関与するものではない。したがって、警察庁の仕事に直接口出しをしたり、入り込んだりということはないと考えています。
(問)国家公安委員会の会議に出席することもないんでしょうか。
(答)この間、そうしますと申し上げたら、公安委員会のメンバーから「そんなに中井さん、固く考えんでいいから、傍聴だけ認めてあげるよ」と仰っていただきましたから、傍聴だけさせていただこうと思っています。
(問)北朝鮮のサッカーの件なんですが、一連の受け入れ、中井大臣が問題提起されていろいろと紆余曲折あったと思うんですが、今日こういう形になって、政治とスポーツをどういう形で分けるかとかいろいろあったと思うんですが、一言何か。
(答)僕は政治とスポーツを別に考えてないんで、北朝鮮に対する制裁をやるということで超党派で決めて、国を挙げて取り組んでいますから、これはこれで守るべきだと考えています。これだけです。だからスポーツだからと言えば全部入れなければいけないし、文化的交流だったらまた全部だと言っていたら、制裁なんか何の意味もないじゃないですか。僕はそう思っております。せっかく前の総理が認められて、前の内閣で決定されているということだから、僕らもそこのところはわきまえて、どうぞお越しくださいと言ったんですから、北朝鮮も出てくればいいのにね、と思いますが仕方がありません。
(問)先ほどちょっと仰いました、非違事案に対する監察制度の検討を始めると仰いましたが、これはどういったヴィジョンで、例えば今の制度ではどんな不備があるということなのか具体的に。
(答)マスコミ報道されるような不祥事等は、各都道府県警察においても厳重に処分されて、その処分も公表される。内部で曖昧にされるということは全然なくなってきています。しかし、私個人はもう少しいろいろと、大きな組織ですからあるんではないかと。こういうのは法の執行機関、大きな権力をもっている警察ですから、外部からのチェックと内部のチェックを常に受けなければならないと考えてます。その内部の監察が、例えば公安委員会の定例会議の時に、警察の幹部として、事案がある時だけ出席しているというようなポストで本当にいいのかとか、あるいは監察システムが本部において公安委員会に直結するというのはどうだろう。地方においても県警本部長直轄よりも公安委員長直轄の方がいいんじゃないかとか、私自身はアイデアを持っています。今日内閣に提出する警察庁の基本的な方針は朝早くから議論しました時に、「僕の思いだから、これは入れてくれ」という形で、入れていただきました。こういう私の考えが公安委員会の皆さんや警察幹部の皆さんの受け入れられるかどうかはこれからですが、精一杯説明とお願いをしていきたいと考えています。
(問)国家公安委員長補佐の大臣政務官以外の内閣府副大臣というのは、拉致担当大臣のお手伝いと言いますかそういった側面が。
(答)この拉致担当というのは置くことが決まっていますが、これは事務局長というポストになっています。これをどういう地位にするかというのはまだ少し時間がかかるようでございます。今回も僕は初め公安委員長補佐官となるんだと聞いておりましたが、やはり補佐官という名前ではといろんな議論が出て、政務官と、大臣政務官という名前になったというところは工夫かなと考えています。私に取りましては大変ありがたいことでございます。そういう意味では党内との調整やら各省庁の連携やら自分自身でやっておりましたので、これを助けてもらうっていうのは非常にありがたいと考えております。よその省庁の副大臣や政務官をお呼びしても、やっぱり僕の前で緊張するからあんまりものを言われないんですね。やっぱり自由闊達な議論があった方がいいだろうと思って、そういう意味では政務官をお作りいただいたことを感謝しております。

(以上)