仙谷大臣記者会見要旨 平成22年1月19日

(平成22年1月19日(火) 10:55~11:15  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 どうもおはようございます。
 閣議について報告を申し上げます。
 一つは、公務員制度改革を担当する大臣を補佐する大臣政務官についてということで、内閣総理大臣から発言をしていただきました。現在まで公務員制度改革については大島敦副大臣、泉健太大臣政務官に担当してもらっていたわけでございますが、さらに加えて階猛総務大臣政務官に国会対応も含めて私の補佐をお願いするということで正式に総理大臣から発言をしていただきました。いわば公務員制度改革本部の事務局長格が大島副大臣、事務局次長格が階さんという体制のもとに、いよいよ本格始動をさせたいと思っているところでございます。
 それからもう一つは閣僚懇の中でのやはり総理の発言でございますが、第2次補正予算は「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を実現する予算として策定をされたということでございます。予算規模が7.2兆円、それから事業規模で24.4兆円だったでしょうか。この現在の雇用情勢やデフレの状況に対応して、何とか下支えをして景気持ち直しの動きを確かなものにしたいということでございまして、できるだけ早期に成立をさせていただきたいと。そして予算成立後には直ちに執行が可能となるような体制を各大臣が現時点から整えていただくようにお願いしたいと、こういう総理の発言でございます。
 閣議、閣僚懇の報告は以上でございます。
 どうぞ何かございましたら、御質問を。

2.質疑応答

(問)成長戦略についてお伺いしますが、大臣も今度担当されるということになりましたけれども、成長戦略に対して大臣の基本的なお考えを伺えますでしょうか。
(答)ここで考えなければならないのは、いつも申し上げているように、いわゆるグローバライゼーションによる売り抜く資本主義というふうな、金融が胴体を振り回すということです。いわばしっぽであるべき金融が実体経済を振り回すという行き過ぎた金融資本主義に対する反省と総括が行われなければならないわけで、さらには日本にとっては地勢的に近接した場所にある成長センター、アジアとの連携というものを十二分に考えなければならない。あるいは北米大陸もある種の製造業の空洞化の中でのサービス産業化、とどのつまりが金融に非常に偏った産業構造をつくって、それが挫折したと。この状況の中で、我々が新しい成長というものをどう描き切って、それを国家的な戦略課題として中長期的に設定できるかと、こういう問題意識であります。そのためには、大きく言えば文明史、文明論的な価値観に基づくある種の価値設定を改めて日本の場合には特に行わなければならないだろうと。当然のことながら、アジアあるいはアメリカを含む全世界との融合とか統合とか協調とか連携とか、そういうことも視野に入れながら、日本の産業構造転換と超少子高齢化社会を生き抜いていくための中長期的課題、目標設定とそれに向けて行政・政治のあり方、あるいは経済と人材育成のあり方、そしてさらには我々の生活の基本をなすコミュニティ形成をどう目的意識的にやっていくのかと。こういう設定が必要だと思っておりまして、そのために個別的課題にも中期的な目標設定をして取り組まなければならないと思いますし、非常に大きい、さっき申し上げた文明論的な価値設定を我々がどうすべきかという、そういう議論もしてみたいと思っております。
(問)年末に取りまとめられた基本方針については、どうお考えでしょうか。それから、6月の取りまとめに向けて何か改善すべき点があると考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)取り急ぎおまとめになられたものでありますから、これに肉付けをという話でありますし、我々のほうで補強というか、この時代状況の中で改めて広さと深さ、つまり広さというのは、世界的な、あるいはアジア的なコミュニティと経済活動の場としての地理的な地域的な広さの問題と、それから価値設定ということになると、ある種の歴史的な縦軸の問題、つまり時代認識の問題でありますけれども、それをこれから議論していく必要があるかなと、そんなふうに思っています。
(問)成長戦略も含めてなんですが、菅大臣と経済財政政策での役割分担についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)ちょっと質問が抽象的過ぎてよくわかりませんが、財務省的な実務的なところは当然菅大臣のほうが責任を持って仕切っていただけるんだろうと。さらに、それの中長期的な方向性を示す戦略性というようなところは、私が実態的に担って、菅副総理と協議しながら決めていくんだろうなと。それは財務大臣としての菅直人さんじゃなくて、副総理としての菅直人さん。そして、これはあくまでも総理直属の機関ですから、総理のお考えというものも当然聞かなければならないし、総理の決裁も仰がなければならないと、こういうことだと思いますが。
(問)今日の閣僚懇での鳩山総理の発言に関連して、国会についての意見交換というのは、国会審議について、何かほかに意見交換がなされたかどうかということと、あと小沢幹事長の事件の関係での発言というのはあったかどうか。
(答)後者のほうは全くありません。国会審議がどのように運ぶかという点では岡田外務大臣から、極めて重要なアフガン問題に関する国際会議がロンドンで開かれると。それからG8サミットも開かれるんで、そこはそういう節目節目の会議には日本の外務大臣そのものが国会事情によって出席できないというようなことになれば、これは日本の国際政治の上でのプレゼンスにも大きく響いてくるんで、何とかそこは国際会議に出席できるような配慮を願いたいという発言がございましたが、それ以外は今日は国会審議対応についての話はございませんでした。
(問)小沢さんの事件の関係ですけれども、先日の党大会で小沢さんは戦う姿勢を示して、その前の会談では鳩山さんが「どうぞ戦ってください」と言ったということで、政権として戦う姿勢を見せているという見方もあるようですけれども、大臣は、検察と小沢さんの今回の事件についての戦いの構図というのはどういうふうに見られているのでしょうか。
(答)もう去年からずっとそうなんですが、メディアの方々もそのほうが視聴率が上がったり、世間の関心を引けるという打算と計算なのか、あるいはそこは思い込んでいるのかわかりませんけれども、私は去年からずっと、いわば刑事事件というのは訴追側とそれを受けて立つ被疑者、被告人、弁護人の防御権の問題というのが必ず存在します。そういうふうに当事者構造の中で存在させることが今までの歴史的に行われた悲しい人間の愚行を防止する知恵だということになっておるわけですね。そういったところで私は育ってきていますから、事件の構造としては被告人の、あるいは被疑者の側に立たされた人は、防御権を最大限行使するというのは当たり前というふうに考えております。それと政治家絡みの刑事事件ということになると、現実社会の中で峻別することができないというのはわからないでもないんだけども、頭の整理の仕方としては、これは全然別問題だということを考えておりますし、申し上げてきたつもりでございます。昨年、私がいろんな人々に聞かれたり、公開の席上で発言したのもそういう趣旨です。ただ、ともすれば、それをどちらかにひっつけて解釈をしてレッテルを張って報道する向きもございましたけども、一々弁明してもしようがないんでしなかったんですけども、やっぱりこの話は、少なくとも頭の整理をちゃんとしてかからないと、だからどうのこうのという話にすぐなっていくと。これだけは控えないとぐじゃぐじゃになってしまうという、そういうふうに私自身は思っています。したがって、私が個人的に元刑事事件を相当やった、冤罪事件も担当した弁護士としてどう思うかと聞かれた場合のお答えと、一政治家としてどう思うかというふうに聞かれた場合のお答えと、今の内閣の官邸に非常に近い、あるいは内閣官房そのものを所管するポジションとして、そういう立場としてどう思うかというふうに聞かれたお答えは、おのずから違うということをわかっていただかないと、それは容易ならざることになってきます。私はそこのところはすべて皆さん方の質問にも、これはこういう趣旨なんだなというふうに自分の頭の中で整理してお答えしているつもりなんだけれども、そこは整理して報道がなかなかされにくいし、現在はこういう今申し上げたような内閣の中である種外から見ると重要なポジションに立っているということでありますから、整理された報道になる時期があればそれはそれでまた発言することもあり得るかもわかりませんが、現時点で報道を見ておりましても、その辺はなかなか渾然一体としてやられているなという観測を持っておりまして、したがってコメントは差し控えようと思っております。
(問)今のお話の関連で、今のお立場からはコメントを差し控えるということを繰り返しおっしゃっているんですけれども、一方で渡部恒三さんなんかは民主党内で今回の件に関する意見が少ないと。野党からもそういう物言わぬ民主党というような批判も出ていますけれども、民主党のその状況についてはどういうお考えでしょうか。
(答)それは私のような行政の枢要なポジションを担っていない議員の方々は政治家ですから、さっき申し上げた政治家としてちゃんとお話をする気持ちがある方は発言をされたらいいと思いますが、ただ、ある種の事実を踏まえて、つまり事件との関係の話になってくると事実を踏まえて発言をしないといけないわけでありますけども、事実が自分の目で確定した事実でもなければ、間接事実の話がいろんな形で報道されていますから。僕は事件についての報道というのは自分の目でどういう事実だというふうに責任の取れる範囲で確定した上で行われるんだろうかと。単なる感じだけで、それを自分の頭の中でこなして思い込んで発言するということは、余りよくないと。ただ、それとは別にこういう政治性を帯びた状況について、そのレベルでの政治家の発言というんであれば、それはされるのも自由、あるいはおっしゃりたいことがあれば発言をされたらどうかというふうに思いますが。
(問)先ほどの冒頭の公務員の関係なんですが、大島さんと階さんについては何か辞令交付というか、正式な発令みたいなものはあるんですか。
(答)本日の総理発言でもって、そう位置付けられたようであります。
(問)特段今後もそういう予定はないということですね。
(答)はい。

(以上)