仙谷大臣記者会見要旨 平成21年12月15日

(平成21年12月15日(火) 11:44~12:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議ですが、私に関係ある分野では、菅副総理から「予算編成の基本方針」というペーパーが配られまして、御説明があって、閣議決定がされたところでございます。
 皆様方において、御興味や関心のあるであろうところといたしましては、平成22年度の国債発行額については「約44兆円以内に抑えるものとする」ということが書かれました。また、「事業仕分けの評価結果の厳格な反映によって不要不急の歳出の削減を行うとともに、特別会計について聖域なき見直しを断行した上で税外収入を確保し、これを最大限活用した予算編成を行う」とも書かれてございます。
 さらに、「国債発行額の水準についても、財政規律を重視する姿勢を明確に示すものでなければならない。長期金利の急激な上昇を招かないよう、市場の発信を受け止め、市場の信認を確保することが重要である」とあります。こういう税外収入の確保と特別会計の見直し、長期金利の急激な上昇を招かないような財政規律重視、これらの姿勢を明確にした上で、現時点での経済情勢から国債発行の水準はある程度は容認する必要があることから、前政権が編成した平成 21年度第一次補正予算後の国債発行額である約44兆円以内に抑えると、こういうものが閣議決定をされたということでございます。
 その後、平成21年度第二次補正予算についても財務大臣からも御説明がございました。これも閣議決定をされたところでございます。補正予算は、皆さん方御承知のように、税収が麻生政権時代の当初見込みから約9兆2,000億円という巨額な減額になるということでありまして、その分は公債金収入約9兆3,000億円で賄うとのことです。
 そして、雇用、環境、景気、生活の安心確保、地方支援と、特に地方支援が大きいわけでありますが、これらで合計約7兆2,000億円、その他経費を含めまして約7兆4,000億円、これが歳出のほうですが、これを既定経費の減額すなわち、例の21年度第一次補正予算の執行停止や税収減による地方交付税交付金の減少などによって約7兆3,000億円をひねり出したもので賄うという補正予算でございます。
 何よりも、昨年の第4四半期、年度で言えば昨年度の第3四半期になりますか、10月以降の急激な景気の落ち込みによって、税収がここまで急激に低下したということが大変つらいところでございますが、それへの対処としての補正予算ということでございます。
 もう一つ、皆様方に御紹介をしなければならないのは、本日の閣僚懇談会で、総理のほうから、「政治主導確立のための体制の整備等」についてということで御発言がございました。それは、国家戦略局、行政刷新会議を法的に位置付ける必要がある、また、国会議員100人以上が政府内で活動することを念頭に副大臣及び政務官を増員する、国会議員の兼職が可能な政治任用職を新たに設ける、さらに、公務員の幹部人事について、内閣一元化を実現すべく内閣人事局を設置する、官民人材交流センター及び再就職等監視委員会を廃止して、天下りあっせんの根絶及び独法の役員の公正な登用等を図るための組織を整備する、公務員の労働基本権の見直しや公務員が定年まで公務に精励できる環境の整備など、新たな公務員制度改革の議論を速やかに進める必要があるという内容です。
 こうしたことのため、官房長官及び私、すなわち行政刷新兼公務員制度改革担当大臣において、それぞれ政府の政策決定における政治主導の確立のための法案及び内閣人事局の設置を始めとする公務員制度改革のための法案を次期通常国会に提出し、来年度より新たな体制を始動させるべく、所要の準備を進めていただくようお願いをしたいという発言がございました。
 また、あわせてということで、今後の行政刷新の推進について一言申し上げたいというお話がございました。それは、来年度予算編成における事業仕分けの成果も踏まえつつ、年明け以降、独立行政法人及び公益法人について、徹底的な見直しを実施する必要があると。行政刷新担当大臣においては、見直しの視点、スケジュール等を整理していただくよう、よろしくお願いしたいとのことでした。
 さらに、各種規制及び支援措置制度についても、国民の目線で、国民参加型の改革を断行する必要があるとのお話もございました。内閣府特命担当大臣が行政刷新会議において見直すべき分野や事項を抽出した上で、事業仕分けと同様の手法も活用しつつ、国民や各種制度の利用者の立場に立って各種規制や支援措置制度のあり方を検証し、具体的かつ実効ある改革を実現できるようお願いしたいという指示が閣僚懇でなされましたので、皆様方にお伝えをいたしておきます。
 加えて、例の独法の公募の役員選考がだんだんと具体化して煮詰まってきておりますが、そのことについても、今申し上げたような趣旨を生かして、各大臣は精査をすべきで、何となくふたを開けてみたら天下り黙認みたいな話にならないように、行政刷新会議が適切な目の光らせ方をするようにと、官房長官からも指摘、指示があったところでございます。
 もう一点、今日付で内閣府の辞令がございます。皆さん方に紙が配られていると思いますが、特命顧問に佐々木毅学習院大学教授。それから参与として、飯尾潤政策研究大学院大学副学長、財団法人中部産業・労働政策研究会理事長の加藤裕治氏、株式会社ミスミグループ本社代表取締役会長の三枝匡氏、学習院大学法学部教授の櫻井敬子氏、DOWAホールディングス株式会社代表取締役会長の吉川廣和氏、専修大学法務研究科教授の渡部章氏が、本日付で任命をされたということを御報告を申し上げます。
 以上です。どうぞ。

2.質疑応答

(問) 先ほどおっしゃいました政治主導の法案なんですけれども、総理のほうから具体的なスケジュール感ですね、いつまでにこういうふうな検討をして、いつまでに法案を出すべく準備をするというような具体的な話はあったんでしょうか。
(答)2月初旬でしたか、そのときまでに政治主導確立のための法案は国会に提出されるということになろうかと思います。それから、公務員制度改革関連についても、内閣人事局を中心とする幹部人事の処遇関係は、そのころまでにこれも提出をするということになろうかと思います。
 また、労働基本権問題検討委員会の報告が私のところに明日上がってくると思いますので、それも拝見して、できるだけ早期に、前内閣がつくった工程表には余り拘泥するつもりはありませんけども、抜本的な公務員制度改革の法案をつくっていきたい。できれば、来年の臨時国会までには提出できるような作業の進め方をしたいと思ってますが。
(問)確認ですが、公務員制度改革は幹部職員の処遇関係のほうを通常国会にして……。
(答)それは先行させるということですね。
(問)基本権関係はその後でもいいということですね。
(答)はい。
(問)関連で、以前、官房長官は全体パッケージで公務員制度改革は法案を出すなり、考えるべきだという話でしたけれども、こういう形で2段階にされた理由についてもう少しお話いただけますか。
(答)以前から2段階になっているのではありませんか。
(問)以前の政権からということですか。
(答)いわゆる公務員制度改革基本法は、与野党合意で修正成立をしておるわけで、そこのところは我が党も否定も非難もできる話ではなく、ということは幹部人事の問題については、ニュアンスの違いは少々あろうかと思いますけども、これはむしろ政治主導確立の法案との関連のほうが強いと思っております。
 つまり、政治任用、もしくは政治任用的幹部人事の任用、あるいは補職、あるいは処遇の問題がまずは中心だというふうに私は考えておりますので、パッケージと言って、労働基本権問題を認めた上で公務員制度全体をどう制度設計するのかというのを待っていたら、それはもう圧倒的に遅くなると思います。だから、それはもうある種2段階論でいくしかないと私は思っています。
(問)ちょっと話題が変わるのですけれども、天皇陛下と中国の副主席の会見のお話で、1カ月前にアポイントを入れるという慣例を破って、今回会見が設定されたんですけれども、一部には天皇の政治利用じゃないかという批判が野党などから上がっているんですが、それについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
(答)総理の御判断は、御判断として私は尊重されなければならないというふうに考えております。それが1点です。
 それから、2点目は、政治利用云々かんぬんというのも、これまた政治利用的というか、政治的な話になるわけで、歴史を振り返ってみて、「政治利用だ」、「政治利用でない」という話を私どもも、できれば皆さん方も、大きくされないほうがいいし、また、していただきたくないというのが私の率直な認識でありまして、したがって、それ以上のことを現在申し上げないほうがいいし、申し上げるつもりはないと、こういうふうに理解してください。
(問)1点関連して、小沢民主党幹事長が発言をされた羽毛田宮内庁長官に対して、そういう発言をするなら辞任をしてからすべきだと、一行政官がするべき発言じゃないという話をされているんですけれども、それについても。
(答)先ほどの答えで申し上げたとおりです。
(問)事業仕分けの各府省からの反論については昨日までにということだと思うんですけれども、その後の折衝については、大臣も同席されて、3大臣対要求官庁の大臣ということで、一緒に同席なさるおつもりなのか。それと具体的にどういったものが上がっていくかというところを伺えれば。
(答)事業仕分けと横串関係は、これは財務省の査定当局、あるいは藤井財務大臣のほうから御要請があれば、菅副総理とも相談しながら、3者でいわゆる査定といいましょうか、予算全体の仕組みも考慮しながら、その所管の官庁とお話するということはあり得ると思っています。
(問)現時点の具体的な段取りは決まっているのでしょうか。
(答)現時点では、具体的にどこそことどうするという話は、テーマとしては私のところへ来ていません。
(問)今回任命された特命顧問と参与の方々について、それぞれどういった役割を期待されるんですか。
(答)全般に、私自身としては、この事業仕分けも経験してみて、一つは、行政各部局も、あるいは全体としても、できる限り公開と説明という原則を尽くすことのできる政府、行政府ということが目標だろうと思っております。そのことがいわゆる政府のガバナンス運営の基本になるべきだと思っております。さらに事前の指導、規制を中心にしたというか、そういう部分についてもやっぱり公開と説明ができるような、そういうスタイルでの行政を行われるべきだと思っております。
 もう一つは、執行に対する国民のある種の救済とか、異議とか、不服とか、いろんなことがありますけども、ここのところがほとんど整備されてないのですね。これは最終的に行政訴訟といいましょうか、裁判で公平にかつ公開の席上で是か非かをつけていくところは、日本の場合には、質・量ともに目詰まりを起こしているとよく言われていると思います。これにはいろんな原因があるわけですが、そこに、私なりの言い方をすれば、行政主導国家から司法を軸とした司法国家へとでもいいましょうか、そういう事後審判型、事後救済型社会と国家のシステムということをやっぱりやっていくべきだと考えております。そこはもちろん公務員制度改革も問題になるし、要するに公務員制度改革や司法改革も含めたガバナンス改革だという理解を持っております。そういうところについての広い見識をお持ちの方々に、また具体的なことについても、詳しい知見をお持ちの方々にお知恵を拝借して、民間の手法というか、民間の考え方を入れながらやっていくという観点から、それぞれ私なりに御評価を申し上げている、あるいは御指導いただいている方々を選んだということでございます。
 これについては、私から一人一人について申し上げるよりも、ホームページなどで経歴を見ていただければ、ああこういう御経歴、知見をこういうことで獲得されてきたんだなあと、だから選んだんだなあとお分かりいただけるものと思います。
  つまり、さっき申し上げた硬い話と、もう一つは、霞が関のV字回復というふうに僕は言っているんですけれども、質・量ともに本当にやっぱり今の体制がいいのかどうか、それから縦割り構造がいいのかどうか、すべてが問題になるわけですが、いずれにしても、最終的には、霞が関で今仕事をしていただいている人達が、充実感を持って生き生きと国民に喜んでいただけるような仕事に全体としてなってもらわないと、日本国が今の危機的な状況を乗り越えて上のほうに向いていくということにならないと思いますので、そういう壮大な夢を持ってこの行政刷新に取り組みたいと、そんな思いで参与の方々あるいは特命顧問の方々もお願いした次第です。

(以上)