仙谷大臣記者会見要旨 平成21年9月17日

(平成21年9月17日(木) 16:32~16:54  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 内閣府特命大臣を任ぜられました仙谷由人でございます。
 行政刷新担当という補職と、さらに公務員制度改革、規制改革、その他、内閣府が所管をしております事務もあと数本と言いましょうか、数テーマについても担当することになっております。
 そこで、まだ若干しか、事務局のほうからも、あるいは甘利大臣のほうからも引き継ぎを受けたわけですが、いわゆる行政改革というコンセプトで進められてきたすべての事項について、詳しく報告を受けたわけではありませんが、しかし、私どもが国会議員として横から見ておったといいましょうか、渦中に入ったわけではないけれども、横から見ておりました感じでは、この分権改革にせよ、公務員制度改革にせよ、規制改革にせよ、方向性の問題もありますけれども、進むようで進まないと。行ったり来たりを繰り返しているというふうに見えておりました。
 これを私が行政刷新担当という規定の仕方で担当をさせられたその理由といいましょうか、理由は、昨日の閣議の基本方針で総理から示されているとおりでございまして、いわばより我々は本格的な、あるいは本物の官僚主導依存と言いましょうか、官僚主導からの脱却、官僚依存政治・行政からの転換というものを導いていくと、そういう政治行政体制に刷新していくということが重要だというふうに、改めて考えているところでございます。
 そして、記者会見でも昨日御質問が出たので申し上げましたし、今日の職員の皆さん方に対する私の考え方も申し上げたんでありますけれども、この行政刷新というのは、一人一人の働く公務員の皆さん方にとっては、私どもは政治は政治で責任を取る範囲で責任を取るつもりでございますので、公務員のお一人一人の皆さん方も、公務員の職責の範囲で責任を自覚しつつ仕事を進めていただきたいと。そして、私どもは働きやすい環境をつくり、より充実感のある仕事を実現できるような、エンカレッジできる、我々がエンカレッジもする、そういう環境をつくるためにこの行政刷新というのがあるんだということを御理解願いたいというお話をさせていただいたところでございます。
 つまり、鳩山代表も基本方針で示されたような、私たちが目指す政治は官僚たたきの政治ではありませんというふうにはっきり明言されておりまして、我々も闇雲な官僚バッシングというものに同調して、ある種、もっと言えば悪のりをして、行政改革、行政刷新ができるとは思っておりません。官僚の皆さんとミッションを共有する中で、これは進めていかなければならないということでございまして、ある意味では皆さん方とも大いに議論しながら、我々も政治家として責任を果たすということを基本に、この行政刷新の仕事をやり遂げていきたいと改めて考えているところでございます。
 そこまでにいたしまして、御質問をいただきます。

2.質疑応答

(問)大臣、改めまして、就任おめでとうございます。
(答)ありがとうございます。
(問)基本的なところを伺いたいんですが、行政刷新会議のメンバーはどういった方々で構成されようとしているのかと、人数は何人ぐらいでお考えでしょうか。
(答)今、早急にこの行政刷新会議を設置をしていただくべく、中身も、今あなたがおっしゃられたことも検討をいたしております。そして、発表するときには、より、ああ、この人がこういうところでお仕事をされるんだったら、こういう方向で、こういう仕事をされるんだろうなということがわかるような方にも、民間人の方にもお願いをしたいと、あるいは学者の方もいらっしゃるかもわかりませんが、そういうお願いの仕方をしたいと思いますし、ちょっと政治レベルでいろんな会議が重なることはいかがなものかという気分も持っておりますが、しかし、これは重要な事柄、とりわけ金目の話につながりますので、そういう大臣等々にも仕事をしていただく、あるいは副大臣をどのように仕事をしていただくのか、これも含めて検討中です。
 早急に煮詰めて、休み明けには皆さん方にくっきりとした姿をお示しできるように、作業を進めたいと思っております。七分どおりはもうイメージができておりますので、連休明けには皆さん方にお示しできるんではないかと思います。
(問)今日、午前中、官邸に入られて、藤井大臣も入られて、補正予算のお話などされたと思うんですけれども、まず現時点で補正予算の未執行額というのは確定したのかというのが一つと、もし未執行額が確定しているとしたら、その中から実際に執行停止できるのが幾らかという作業は、例えば行政刷新会議で事業仕分けとか、どういう手順で執行停止できるというような話をしていくんでしょうか。
(答)いろんなことをごっちゃまぜにして言われても困るので、それを今国家戦略室になる前提のところの方々と財務省も含めて、どういう方向でどういう基準でそのことを計上していくのかと、その定性的な問題を今研究をしていただいているところだと思いますので、割と結論をお求めになることが多いわけでありますけれども、そうは問屋が卸さないの段階だと思います。
(問)ちょっと関連するんですが、行政刷新会議と国家戦略局との役割分担なんですが、2009年度の補正予算での執行を停止する事業の選別とか、10年度の予算をどういうふうな方針で策定していくかについて、行政刷新会議、行政刷新担当者はどのような役割を果たすのかということについて教えていただけますか。
(答)基本的には、昨日から申し上げておりますように、過去のといいましょうか、これまでの自民党一党支配下での政治構造、あるいは行政のあり方でもたらされたお金の問題、要するに無駄というふうに言われている問題、これは何種類かの大きい無駄があると思いますが、最終的にはやっぱり時代の転換といいましょうか、変容によって、つまり産業構造の転換によって、ちょっと使い方が違うんじゃないのと、これは別に違法でも不正でもなくても、プライオリティの観点から、国民的な、ある意味では生活者の視点から言えば無駄だよねという、そういう無駄もあるのではないかと思います。それから、いろんな意味で、マッサージ器がどうのこうのというような、そういうレベルの無駄もあるのではないかと。それから、そういうふうに言っていけば、霞ヶ関の仕事ぶりからして、それは無駄とは言わない、やむを得ない支出だという部分がありますけども、それが地方支分局に出たときに、例の自動車の問題というようなこともありましたよね。台数、あるいはその自動車のグレードから見て、国民の感覚からいえば、やっぱりこれは無駄というんじゃないのというような問題。従来なら、そういう些末なことはとか、切り捨てられていたような話も、やっぱりある種ここまで財政が煮詰まってきて、国民の雇用者所得も落ちてきたような時代においては、やっぱりそれもやっぱりやり玉に上げるほどの話ではないんですが、そこはきちっと正していかざるを得ないというような問題だと私は思いますけども、いろんなレベルの無駄があると思います。  過去から現在に引きずっている問題をある種取り上げて、そのようなものは財政当局に返していただくというか、財源のほうに返していただくというところまでの話が1つはこの行政刷新会議の守備範囲だと。それから、そのことを前提にしながら、国家の経済財政、あるいは社会的な安心の部分の大まかなというか、絵を描くとちょっと抽象的なレベルが高くなるとは思いますけども、予算の骨格程度のことも示しながら、あるいは財政フレームと経済のGDPとの関係等々を示しながら、絵を描いていくというのが国家戦略室の仕事だと私は考えておりますし、多分そのことで間違いがないと思います。  ただ、問題は、この現在時点の、特に補正予算の評価ということは、これはやっぱり行政刷新会議も関心の外に置くわけにいかないということで、つまりこれは選挙のときにも、私なんかも、これこそが縦割り、補助金、天下りの典型の部分が非常に多くて、箱物行政だと、古い古い箱物行政であったり、コンクリート行政であると。これは霞ヶ関の皆さん方が霞ヶ関的権益を守るためにというか、増殖するためにやっているとは私は本心では思っていません。つまりあの予算のつくり方のときに、何でも持ってこいと、あるいは具体的になっていないものでも持ってこいと、要するに金額を積み上げることが主目的であると言わんばかりの予算編成といいましょうか、そういうふうに私どもは見ておりましたので、霞ヶ関の責任とか何とかという話ではない部分のほうが多いと思いますけども、しかし、この現在時点での補正予算、あるいは今後の来年度予算、あるいはこの基金の問題というようなものについては、これは関心の外に置くわけにいかないというか、正に行政刷新のターゲットにもなり得るし、そのことを踏まえながら、今年の後半、来年の景気・経済動向をにらみながら、予算の枠組みというか、骨格を示していくというのも、これはまた国家戦略室の喫緊の大仕事だろうと思いますので、絶えず守備範囲をできるだけくっきりと分けたほうがいいと私は思っていますが、現実の世界の中では重なって出てくる部分があるんで、そこは大いに菅さん、あるいは藤井財務大臣と、従来から腹蔵なく話し合える関係であるというふうに私は思っておりますので、そこは絶えず腹を割って、縄張りがどうのこうのというようなばかばかしい話をする必要なく、話し合うということができるし、そうしなければいかんなと思っておって、今日はそういう腹蔵なく話し合いをするについての前段階の準備の準備ぐらいの話かもわかりませんが、そういうことで、できれば近々に、閣僚委員会という名前になるのか、どういう集まりになるのかわかりませんが、そういうことを随時やっていかなければいけませんねと、こういう話をしたところであります。
(問)今のお話も踏まえて、刷新会議を立ち上げるに当たって、先ほど連休明けにはクリアな姿を見せるというお話だったんですけれども、これは連休明けには発足をして、会議として活動を始めるという理解でいいかということと、さらにその場合、補正予算の取り扱いというのが、初めの仕事になるかどうか。  もう一つ、その会議を立ち上げていくに当たって、役割としては霞ヶ関改革のエンジンだという理解なんですが、立ち上げる過程で役人の力を借りていく考えがあるかどうか、その当たりのイメージをお願いします。
(答)1点目は何でしたでしょうか。
(問)連休明けに発足ということ。
(答)もう実体的に、躍動感あふれる活動が皆さん方の前にお出しできるような、そういう姿を、スタートの姿をお見せできればいいなと、そしてまたそうできるだろうと私は思っております。  それから、2番目は何でしたか。このごろ忘れっぽい。
(問)補正予算の取り扱いというが最初の仕事という理解でよろしいんですか。
(答)刷新会議というよりも、それこそ戦略会議と、それと相当具体的なところまで突っ込んでいきますから、当然のことながら財務省のお仕事という部分が色濃いと思いますし、我々は行政刷新のコンセプトの観点から、早い話がこれは凍結、これは中止、そして財源として持っていくと、さあどこへどういうふうに使うんでしょうかということを、この景気動向の予測等々も見ながらやっていかなければならんなと、こういうふうに思っているところです。
(問)刷新会議の設置根拠というのは、週明け、連休明けに立ちあがるとすると、どういうものになるのか、あるいは今後権限を強めるために何らかの法的な措置とか、2段階で考えるとそういうこともあり得るのか、その辺の考え方は大臣は。
(答)現時点では、設置根拠は総理の閣議決定ということで、総理が定義して閣議決定をするということになろうかと思います。さらに進んで、それをより使い勝手のいいものにするためには、法律で制定をしなければならないということであるならば、それは臨時国会、通常国会に向けて、そういう法律案を策定をすると、こういうことになろうかと思います。
(問)先ほど行政刷新会議のメンバーとして、民間人のことも触れられていたと思いますけれども、どういう方を想定されているんでしょうか。
(答)だから、それをこれから鋭意、頭の中にイメージある人を、果たしてそれでいいのか、あるいはそういう方がこういう激職をお受けいただけるのかということも含めて、考えなければならないと思っておるところです。
(問)これまで政府の審議会とか、そういう会議の委員だった方とか、そういうのをわざと外して考えて、これまで政府の委員ではない人から登用する考えですか。
(答)そういう排除の論理みたいな話を考えているわけではありません。今まで審議会でお仕事をされようがされまいが、その人の能力や見識を我々が評価するかどうか、あるいはその技量を我々がこの局面で必要かどうかということだと思っております。
(問)昨日の会見で、まず行政の秘密をなくすことから始めたいということをおっしゃられましたけれども、行政刷新会議というものからほかの省庁に対する権限というか、何かそういうオープンにさせるというか、オープンにしないといけなくなるような権限を持たせるのかどうか、あるいは持たせるのであれば、どういうふうな形で持たせるのか。
(答)内閣法の解釈でいきますと、現時点でも勧告権はないわけではないと私は解釈しております。これは例の消費者庁をつくるときの消費者担当大臣の権限もそうでありますし、当然のことながら、総理の権限が行使されれば、それは直接的に大変強い権限として働くということは当然でありまして、より明確にするためには法律上の規定が必要だろうと、そういうふうに考えているだけであります。  現時点でも、総理が、内閣府の大臣というのは特命担当ということで、基本的には内閣府の長たる内閣総理大臣が、内閣府の業務をいわば所掌するということになっているわけですから、その内閣総理大臣が今度は内閣全体の長たる内閣総理大臣として、そのことを号令以下、指示をすれば、それは各省大臣といえども、誰であっても従わざるを得ないと、こういう構造だと思います。
(問)総理指示によってそういう権限を持たせたいという、持たせる形になるということでしょうか。
(答)現時点ではそういうことですね。

(以上)