前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月6日

(平成22年4月6日(火) 9:32~9:56  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私からまず二点お話をさせていただきたいと思います。まず、訪日観光に関する海外市場向け新キャッチフレーズ、そして、ロゴを発表させていただきたいと思います。観光は成長戦略の一つとして大変重要な位置づけをしておりまして、特に海外からの訪日観光客数を飛躍的に増やしていきたいという思いを持っております。将来的には3千万人を目標にということで目標を設定しているところでございますけれども、今まではビジット・ジャパン、これは2003年から開始をされておりまして、今も私は胸に付けておりますけれども、Yokoso!Japanというものがキャッチフレーズ・ロゴでありましたけれども、これをモデルチェンジをして、新しいキャッチフレーズ・ロゴを選定いたしましたので、この場で発表させていただきたいと思います。Japan.Endless Discovery.ということで、「尽きることのない感動に出会える国、日本」といったキャッチフレーズと日本の国の花、国花を使ったマークを採用させていただきたい。そして、訪日観光プロモーションのあらゆる場面において日本観光の良さを知っていただくための道具として、これからこれを定着し、広めていきたいと考えているところでございます。それからこういった観光を広めていく上で、新たにいろいろな方にそういった日本の良さを広げていただく役割を担っていただきたいと考えております。今まで観光広報大使として女優の木村佳乃さんにお願いをしておりましたけれども、引き続き、木村佳乃さんには観光広報大使としてご尽力を賜りたいと思っております。そして、新たに二人お願いをしておりますけれども、そのうちの一人は、観光親善大使ということで茶道裏千家の千玄室大家匠にお願いをしておりまして、昨日任命状を手渡しをさせていただきました。日本の伝統文化を広めていただき、日本の良き歴史、その背景となっている伝統文化を世界に広め、そして日本に来た方に対してそういったものを味わっていただくための親善大使としてご活躍をしていただきたいと思っております。それからもう一方、これは観光立国ナビゲーターということでございまして、8日にこの方については具体的に別途発表させていただきたいと思いますけれども、特にアジア向けの発信力のある方でございまして、この方に観光立国ナビゲーターとして就任をしていただきまして、これから暫くは特にアジア市場の開拓と、中国、韓国、台湾、香港、こういったところが重点のプロモーション先になってまいりますので、この観光立国ナビゲーターを努めていただく方にしっかりと頑張っていただきたいと考えているところでございます。なお、新しいキャッチフレーズ・ロゴの選定につきましては、キャッチフレーズにつきましては、本年1月12日から2月15日までの公募に対しまして52社96案の応募をいただきました。そしてロゴにつきましては、別途公募を行いまして3月12日から26日までの間にいただいた28社51案の作品から今回のものを選定をいたしました。省内外の有識者の方々の幅広いご意見を伺い、最終的には政務三役で決めさせていただきました。ということを皆さん方にご報告をさせていただきたいと思います。もう一つはスカイマークへの業務改善勧告についてでございます。スカイマークにつきましては、機長が乗務員に対して体調が悪いということで乗務から外れるようにということを指示したにもかかわらず、会社側がむりやり乗務を強制し、機長を代えるということもございましたし、また、運航中のコックピットの中でのデジカメでの写真撮影というものもございましたし、あるいは高度の指示の違反というものがございまして、安全運航に関わる極めて大きな問題が数々生まれてきているということで、特別安全監査を実施してまいりました。これは3月15日から4月2日までの3週間にわたり行わせていただきました。この特別安全監査につきましては3つのポイントで行ってまいりました。安全管理体制、それから運航体制、そして整備体制の3つのポイントでございまして、それぞれにこの3週間の特別安全監査で様々な問題点が見つかりました。例えば安全管理体制で言いますと、一つの例を挙げますと、先任客室乗務員以外の客室乗務員の英語力が不足をしていて、外国人パイロットと意思疎通がうまく出来ていないとか、運航体制で申し上げますと、操縦室内での酸素マスクの着用ルール、これは一人になった場合には酸素マスクを着用しなければならないということになっておりますけれども、それがなされていなかったとか、あるいは整備体制につきましては、制限速度の超過に関わる機体構造点検、あるいは乱気流に遭遇した後の機体構造点検が適切に実施されていなかった、こういった問題点が発覚いたしました。したがいまして、本日航空局より同社に対しまして業務改善勧告を行うことにいたしまして、より安全な運航をしていただくために改善すべきところは改善してもらっていただきたいと考えております。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)トヨタ自動車の関係なんですけれども、アメリカのラフッド運輸長官がトヨタのアクセルペダルの不具合について、当局に報告をしていなかったいうことで、ルールの上限である15億円の制裁を科すということを今週発表されたんですけれども、それについての受け止めを教えてください。
(答)アメリカ政府からトヨタが15億円の制裁金を科されているという事実は知っておりますし、トヨタもそれに従う方向ということを報道で存じております。いずれにいたしましても、これは当事者間の問題でございますし、また、トヨタもしっかり安全性というものに留意をしていただいて、世界のトヨタの名に恥じないさらなる発展というものを期待をしたいと考えております。
(問)昨日、連合の古賀会長が鳩山首相に対して、昨年の夏の衆議院選のマニフェストを現実のものに修正するようにと、今度の参議院選のマニフェストに向けて提案されて、鳩山さんも検討したいというお答えがあったと思います。国土交通省関係ですと、高速道路の無料化というのがマニフェストにうたわれている大きなものだと思います。近く、上限料金制も発表されることになると思いますが、財源の制約などもあって、無料化は一部地域に限定されるかたちになりました。高速道路の無料化について、マニフェストの修正について、どのように考えられるかということを教えてください。
(答)そもそも高速道路の無料化というのものをマニフェストに入れさせていただいたのは、造った高速道路を有効活用していくということ、例えば、高速道路が空いていて、しかし、下の一般道、在来道が混雑しているというところもあるに聞いておりますし、またそういったところから新たなバイパス建設の要望が出ていると。こういったことを考えると、有効利用していくためにはこの高速道路の料金を下げる、あるいはただにするといった方策が必要ではないか、そして、そのことがひいては物流コストを下げて、日本の経済の発展につながっていくのではないかと、こういった原点で、原則高速道路の無料化というものを我が党のマニフェストにさせていただき、選挙戦を戦わせていただきました。 私は皆様方にも何度もお話をしておりますように、原則、しかも段階的無料化ということでございまして、原則というのは例えば、首都高速や阪神高速については、もともと対象から外しておりますし、外した理由というのはむしろ渋滞が生じてマイナスになるのではないかと。ロードプライシングの考え方からすると、より混んだり、あるいは渋滞が起きてCO2がより排出されて、環境にとってマイナスであるというところについては、料金をとり続けるということが原則というところにうたわれていたわけでありますし、また今、交通基本法というものを辻元副大臣、三日月政務官のもとで検討していただいておりますけれども、やはり環境問題と高齢化社会というものを考えた場合に、公共交通の必要性というものは、これからますます高まっていくだろうと。移動する手段として、あるいは使われる側からすると、移動の権利として公共交通というのものはしっかりと維持していかなければいけないと。そういう全体のバランスの中を考えて、我々は社会実験を行いながら、慎重にこの高速道路の無料化というものを考えていくということでございまして、その第一弾として、一部ではございますけれども、高速道路の無料化区間を設けますし、そしてまた上限制という価格設定も用意させていただいて、物流がどれだけ増えるのか、あるいは他の交通機関にどのような影響が出るのか、これを社会実験として平成22年度6月から3月末までそういったことをやらせていただく中で、次の全体的な交通体系のあり方についても、我々はまとめさせていただくということでございますので、連合のご要望もしっかりと伺いつつ、目的はあるものを有効に使う、物流コストを下げて日本の経済に資するかたちにしていく。他方、環境問題や渋滞、あるいは他の交通機関への影響というものを総合的に勘案して、最終形を決めていくということはしっかりやっていきたいと考えております。
(問)ということは、高速道路の無料化については、マニフェストから看板を外すというか、おろすべきではないというお考えをお持ちですか。
(答)今の原則高速道路無料化、段階的に社会実験をやりながらということについては、何ら変える必要はないのではないかと思っております。
(問)スカイマークの件ですが、先ほど大臣が仰った例をみても、かなり利用者にとっては不安感を抱くようなものが非常に多いのですが、スカイマーク側のほうは先日の監査が入って以降、会社側からの今回の事案に対する説明というのは何一つありません。そうした会社の姿勢、あるいは監査を終えての会社そのものの体制についての感想をお聞かせください。
(答)3週間にわたりまして特別安全監査に入らさせていただいて、本日航空局からスカイマーク社に対して業務改善勧告をさせていただくということでございますので、当然それを受けて会社側からは国民に対してしかるべき説明があるべきだと考えております。
(問)宇宙担当として、昨日山崎直子さんがスペースシャトルで飛び立たれました。それについて一言ご感想をお願いします。
(答)無事の打ち上げを心から祈念しておりましたけれども、無事に打ち上げられて、宇宙に旅立たれたということについては、大変私は嬉しく思っております。ただ、宇宙センターにドッキングするまで映像が送られてこないという細かなトラブルがあるようでございますけれども、今後の計画、宇宙での活動には支障がないということでございますので、今まで準備をされたものを思い切って、健康には十分にご留意されて活動していただきたいと思っておりますし、私もまた宇宙から山崎飛行士と交信させていただきたいと。私が宇宙からではなく、向こうが宇宙からですけれども、宇宙からの山崎飛行士と交信させていただきたいと考えております。
(問)日本航空の問題ですが、現在大体国際線で140台くらい残すみたいなことが流れているのですが、以前のインタビューで前原大臣は稲盛さんにご進言をして理解を得たと仰っていました。その時の数字は、大体これくらいの数字なのでしょうか。それとももっと少ないのでしょうか。
(答)稲盛CEOとお話をした時には、具体的な数字の話をしておりません。企業再生支援機構の再生計画というものがあって、それを着実に実行するということでスタートしたわけでありますけれども、その後のいわゆる需要の問題とか、あるいは世界全体の景気の問題、こういったものを勘案をして更なる深掘りが必要ではないかといったことをお話をさせていただきました。最終的には、管財人である企業再生支援機構と当事者である日本航空がお決めになることだと思っておりますけれども、我々としては航空行政を担当する立場、あるいは巨額の公的資金を投入して再生を果たしていくにあたって、他社との公平性の確保の観点からしっかりとものは言わせていただくということでお話をしておりますけれども、具体的な細かな数字についてはお話をしているわけではございません。
(問)現状で前原大臣がご覧になられて、大体これくらいだったら良いとかありますか。
(答)まだ最終報告は承っておりませんので、承った段階で判断をさせていただくことになるのではないかと考えております。
(問)スカイマークですが、特別安全監査の中で経営、ガバナンスに関する問題点が見つからなかったのかどうかということと、経営陣が変わらない場合に同じようなことがまた起きるのではないかという不安が利用者側にはあると思いますが、それに関してお考えをお願いします。
(答)先ほど申し上げましたように、3点にわたって特別安全監査をさせていただきました。安全管理体制、そして運航体制、整備体制、これは全て航空会社にとっては極めて大切な柱でございまして、それぞれに問題点が見つかったということでございまして、それを受けて業務改善勧告を出させていただくということでございます。航空法には、安全統括管理者、これについて関与することの出来る項目があるわけでございますけれども、現段階において、これを我々としては法律に基づいてということは考えておりませんけれども、今回の勧告というものを会社として真摯に受け止めていただいて、徹底的に問題点をご自身でも洗い直していただいて、安全運航のためにしっかりと改善すべきところは改善していただくということが大切だと考えておりますので、まずはこの勧告というものを真摯に受け止めていただくということが大事なことだと考えております。
(問)先ほどのマニフェストの関係ですが、高速に限らずトータルとして古賀さんからのリクエストはどうするべきだとお考えなのかということと、平沼、与謝野新党が間もなく立ち上がりますけれども、これが今後自民党、そして政界でどういった動きに繋がっていくとお考えなのか、新党も含めてお答えいただければと思います。
(答)まず、マニフェストのことでございますが、これは政府と党が一体となってマニフェストの検討委員会というものがこれから着実に仕事をされていくと思っております。全体としては、マニフェストで掲げてやれるべきものはしっかりやっていくということと、見直すべきものは見直していくと。そして、私は大事なことは見直していくものがあれば、そのプロセスと理由はしっかり国民にお伝えするということが大事なことではないかと思っております。なぜ変えるのか、衆議院選挙とお約束をしたことと変えるのであればなぜ変えてどう変えていくのか。それをしっかりと国民に対して説明することが大事だと思っております。それから平沼、与謝野新党についてですが、それぞれの国会議員は国に対しての思いがあって有権者から選ばれておりますので、しかも長年おられた自民党を与謝野先生を含めて飛び出して新党を作られるということはそれなりの思いがおありだと思っております。ただ、私の立場と、あるいは前原誠司という個人の政治家の思いは同じでございますけれども、政権交代というものを戦後初めて本格的な選挙によって託されてまだ半年余りであります。確かに様々な問題で支持率が下がっておりますけれども、自民党政治の延長線上で日本の明るい未来が描けないという思いで我々民主党に託されたわけでありまして、民主党の支持率は下がっているが自民党もよくないという中で、自民党の方々が何人か出られて新党だと言われても、ずっと自民党におられた中でなぜやってこられなかったのかということも含めて私は正直申し上げて期待はしておりませんし、我々民主党が政権交代で負託されたものをこれから結果を出してもう一度支持率を上げるという気持ちで頑張っていくと、それに私は尽きると考えております。
(問)今後の政界に見通しについてはいかがでしょうか。
(答)国民全体がどうお考えになられるかということでありますが、これから恐らく雨後の筍のように新党ができてくるのではないかと思いますけれども、我々はそういうものに目もくれずに、昨年8月30日に政権交代という使命をいただいた国民の負託というものをもう一度胸に刻んでしっかり頑張っていくと、それに尽きると私は思っております。
(問)国労の問題ですが、今朝平野官房長官とお話をされたようですが、その結果がどうなったのかということと、もし難航しているようでしたらどの点が問題になっているか教えてください。
(答)今朝、閣議の後に菅副総理と平野官房長官と私で話をいたしまして、3人では今まで政務官、副大臣レベルでご苦労いただいた案について合意をいたしました。その合意案を4党に今、辻元副大臣と三日月政務官が諮っていただいていて、4党がそれで了承ということになれば、私が総理にご報告に上がることになっておりまして、その報告が了承されればまた新たにぶらさがりか何かのかたちで皆さん方に中身についてご報告をさせていただきたいと考えております。

(以上)