前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年3月9日

(平成22年3月9日(火) 9:00~9:26  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)シー・シェパードのメンバーが日本の調査捕鯨船に侵入した問題で、海上保安庁は身柄が日本に移送された後に、メンバーを逮捕する方針だということですが、この件に関して大臣のご所見をお願いします。
(答)日本に向けて移送中であるということは事実であります。3月中旬頃ということでありますが、逮捕するか否かということは捜査機関の判断でございます。またどのようなスケジュール、具体的なスケジュール、移送手段や方法というものについては、これは身柄の安全のために公開は差し控えたいと考えております。
(問)昨日の委員会で、大臣は気象大学校と駐車場整備支援機構、建設弘済会等の白紙見直しについて言及されたと思いますが、色々な団体がある中でこれらの団体はどこが違うのか、その必要性についてというところをもう1度改めてお願いします。
(答)気象大学校につきましては、谷岡委員からの指摘で私も不勉強でありましたし、また気象庁、或いは気象大学校のあり方というものを根本的に見直していかなくてはいけないと思っております。それは別に無駄だとかということではなく、やはり今までの組織というものを不断に見直していくということは大事だと思います。私の問題意識として、このまま借金が増え続けるような状況になれば、何時しか限界が来るだろうと思います。その前に自ら身を切るということがどの組織にも必要だと思いますし、そういう意味では今の財政状況の危機感を持って国土交通省所管の組織を抜本的に見直すということがあって然るべきだと思っております。公益法人につきましては、国土交通省は1,100程度の公益法人を持っておりますが、これについては政務二役に指示をして、今ゼロベースでの見直しというものをやってもらっています。また今ご指摘をされました道路関係の公益法人につきましては、福田内閣の時に道路特定財源の議論がございまして、私が予算委員会での質問で、駐車場整備推進機構、或いは建設弘済会については、当時の冬柴大臣が見直しをするということを言明をされておりました。ただそれがあまりスピード感を持って見直しをされてきたかというとそうではないという思いを持っておりますので、駐車場整備推進機構、そして建設弘済会につきましては、道路保全技術センターのように少し別個に取り出して具体的なあり方というものを早急に判断をしたいと思っております。結果として旧建設省の公益法人の見直しがやられているわけですが、旧運輸省の公益法人もやっていかなくてはなりませんし、特に空港問題に関して言えば空港環境整備協会、これは空港のあり方、或いは空港整備勘定のあり方にも関わってくる問題ですので、それと併せた議論を今国土交通省の成長戦略会議で議論していただいておりますので、その方向性と合致したかたちで、この法人のあり方も見直していきたいと思っていますし、今申し上げた名前以外の公益法人も全てゼロベースで見直しをするということで行っていきたいと考えております。
(問)昨日の普天間の検討委員会が決まりましたが、その受け止めと、もし閣議若しくは閣僚懇で総理から何らかの指示があればということと、内閣支持率の下落が止まらない状況になっていますが、この要因について大臣はどのように認識を持っているかと、また民主党の執行部では、企業団体献金の禁止によって浮揚させようという思いがあるようですが、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)まず普天間でありますが、総理から閣議、或いは閣僚懇談会で具体的な言及はございませんでした。平野官房長官の下で普天間の代替地、代替施設が検討されている状況でありますので、我々としてはそれに協力をし、そして方針が示されれば沖縄担当大臣として内閣の一員としてしっかりと役割を果たしていきたいと考えております。内閣支持率の問題ですが、やはり政治と金の問題が一番大きな問題であろうと思っております。これに対してやはり厳しい姿勢を示さなければ、内閣支持率の下落には歯止めはかけられないと思っております。何らかの対応が私は必要だと思いますが、今仰った企業団体献金の禁止というような法律の改正は勿論お約束をしていることなので必要なことではありますけれども、実はこれの外の話なんですね、つまりは北教組の問題にしてもこれは裏金でありますし、小沢さんの問題はこれは嫌疑不十分でありましたけれども、これは企業団体献金とは違うかたちのものではないかと検察が捜査をしていたことでありますので、仮に企業団体献金の禁止をしても裏金というのはあくまでもやはり政治家の倫理観の話であって法律を厳しくすれば直るというものではないわけであって、そういったところと違うところで対処をすれば内閣支持率が上がるというものでは私はないと、そういう思いを持っております。
(問)ではどうすればよろしいですか。
(答)戦後初めての本格的な政権交代が起きて、今のまま行ったら日本というのは立ち行かなくなるという、そういった危機感で政権交代が起きた、その使命を民主党は果たしていかなくてはいけない、それが政治とカネの問題で支持率がどんどん下がっているということで歴史的な使命感に立ってどう当事者の方々がご判断をされるかということだと私は思います。
(問)JRの不採用問題ですが、先週与党3党と公明党の素案が出来たと聞いております。それで大臣のスケジュールに合わせて持って来るというお話なのですが、この問題に対して大臣はどう取り組まれ、どう対処されるのかお願いします。
(答)報道ベースでは、私に申し出があるというお話でありますけれども、具体的にそのようなお申し出は現時点ではございません。また、4党の合意された内容というものを報道ベースで見させていただくと、これは裁判所の和解案よりはかなり金額的には上積みをされているものであって、中々あのまま持って来られても「はい、わかりました」と言えるような内容ではないなという印象を持っておりますが、何れにしてもまだ具体的なご提案はありませんので、ご提案をいただいた時にしっかりと精査をしたいと、このように考えております。
(問)利便増進の財源を道路の拡幅なりミッシングリンクに回す法改正に関してお尋ねしたいのですが、1つは昨年の政権交代直後の補正予算の見直しで4車線化の多くを凍結をしたことと今回法律を変えても造れるようにするということの整合性、一貫性についてご説明していただきたいのと、財源をどの位割引に回してどれ位建設に回すかということの現時点での考え方はどうなのでしょうか。
(答)まず1番目のご質問ですが、これは前にも記者会見でお話をしていたように国幹会議で決まったものです。国幹会議というのは、民主党の議員も参加をして全会一致で決まったものでありますので、4車線化について行うということを覆す意味ではないと。しかし、補正予算の凍結をしたのは合併施行方式も含めてやり方に問題があるのではないかということで凍結をしたわけであって、4車線化をやらないということを政権交代でお示ししたものではありません。ですから、何れ何らかのかたちでやるということはお約束をしていたということでございます。また、財源についてはどういう割り振りをするかということについては、いまだ固まったものはございません。
(問)高速道路の整備のあり方について、大臣は以前の会見で検討会を作って検討したいと仰っています。その後、馬淵副大臣は検討会を作るのではなくて政務三役で検討すると仰いましたが、これはなぜ設置を止めたのでしょうか。
(答)まず、政務三役で今の道路政策を一通りレビューをしようということで勉強会をしております。その先に検討会を作ると、こういうことであります。
(問)何れ設置はされるということですか。
(答)はい。検討会を作って高速道路のあり方についての議論をしていきたいと考えております。
(問)宇高航路の件ですが、先週末、地元の方で関係団体が集まって協議がありましたけれでも、その時に国の方は既存の支援の枠を使って国、地方2分の1ずつの方法を提案をし、地方の方は100%国策の影響であるということで100%国費負担を言って来ました。これには、なぜこういう事態が起きたのかという原因について認識の差があるのではないかと思うのですがこの点のご所見をお願いしたいのと、以前、大臣はそもそも瀬戸大橋が出来たことが根底にあると言及されましたが、おらくその時も特措法で744億円支出されたことを仰いましたが、国としてはフェリーはあの時になくなるであろうという前提があっての支出だったと思うのですが、その点についての大臣のご所見を併せてお願いします。
(答)宇高連絡フェリーについては、皆さん方もご承知の通り、国道フェリーが住民の強い要望を受けて撤退を撤回するということを発表されましたし、第2回の協議会においては、四国フェリーさんも撤退するかどうかもう一度再検討したいというお話になっているということは皆さん方もご承知の通りだと思っております。景気の動向というのは大事な要因なんですが、これを除外して考えますと、除外は出来ないんですが、あくまでも除外して考えますと、やはり二つの大きな要因がこのフェリーの経営に対して影響があっただろうと。一つは今、ご指摘をされた本四架橋が出来たこと。もう一つは前政権が、いわゆる土日のETC1,000円とか、夜間割引などを導入されて、それが結果的にフェリーのお客を奪ったというこの二つが大きな要因だと思います。前者について言えば、特措法を作って744億円ものお金を使ったということについて言えば、撤退をする、或いは業務を縮小する、そういった判断をフェリー会社に促すために、そういった特措法、そしてその特措法に基づく財政措置がとられたんであろうと考えております。そして今ではどう考えていくのかという後者のことになるわけでありますが、我々が高速道路の料金のあり方の見直しというものを今、行っているわけであります。また、政権交代1年目として社会実験を行っていこうということで、6月から一部の区間を無料、そして料金の値下げということもまだ公表しておりませんが、させていただくと言うことになるわけでありまして、それをどのようにフェリー会社がお考えになるかと、また自治体がお考えになるかということにかかってくると思いますし、他方で、これも繰り返し申し上げておりますように、交通基本法というものを平成23年度の通常国会に出すための準備をしております。これは国民の移動権、そして特に高齢化が進んでいく中で、高齢者というのはご自身でなかなか車が運転出来ませんですから、また環境の配慮ということから考えると、公共交通機関の重要性というのは今以上に高まっていくだろうと。そういう観点から、フェリーなり、或いは鉄道なり、今、大変な経営状態に置かれている交通機関をどのように考えていくのかといったことをトータルにこれからお示しをしていくことが結果として宇高フェリーの将来予測が出来る要因になってくるんではないかと考えておりますので、様々な観点で我々も議論をさせていただきたいと考えております。
(問)先程の高速道路の料金値下げの件ですが、昨日も6月から一部区間を無料とする時に併せて複雑になっている料金体系の見直しをやりたいということをお話されておりますけれども、システムの改訂ですとか、協定の見直しですとか、パブコメですとか色々手段が必要になってくると思うのですが、6月に実施するとなると何時がタイムリミットなんでしょうか。
(答)これは事務方含めて具体的に今、検討していただいておりますので、6月実施に間に合うように万全を期したいと考えております。

(大臣)それでは私から2つ。まず、今日、ある新聞に載っていた補助ダムの件でありますけれども、載っているのは38ダム予算案見切り発車ということで、国の満額補助を前提としているということでありますが、もう一度、私共が行った仕切りについてご説明をしておきたいと思います。1つは、河川法第62条というのがありまして、これは国の国庫負担金の負担義務ということが書かれています。つまり、抽象的な負担義務が書かれているのが河川法第62条です。そして、補助金適正化法第6条というのがありまして、これは具体的な負担義務が書かれているものであります。つまりは、この2つが国が地方の行う事業のいわゆる負担を行う法的な背景になっているわけでありますけれども、例えば、こう考えていただければ結構です。私が昨年12月に伺った内海ダム、あるいは浅川ダム、それから与布土、こういった所については平成21年度に既に議会が予算を計上して取り組んでいるということであります。これについて、つまりは県が複数年に渡る契約締結をしたり、債務負担行為を行っているということになれば県は負担金交付についての期待権が大きくなっていると。そういったものに対して例えば国がお金を出さないということになれば、それは裁量権の逸脱となって負担義務違反を問われる恐れがあるということになるのではないか。しかし他方で未だに予算を計上していないとか、或いは新規事業採択が行われていないというものについては、これは県には具体的な損失は発生をしていないわけでありまして、県は負担金の交付についての期待権が小さいということが考えられるわけであります。そうなると、我々としてはこの2つの法律、例えば負担金をつけなかったことに対しても裁量権の逸脱になるかというとそうではないという見方もあるわけでありまして、この2つの法律を背景に補助ダムについては我々はしっかりと精査をしていかなければいけないということで、ここに書かれておりますように国が債権者を求めても地方が全てやるということになれば国が負担金をつけなければいけないということではないと。つまりはその期待権の大きさと小ささによって裁量の余地が変わってくるとこういうことであります。後は航空需要についての話で一部新聞に取り上げられておりましたけれども、この航空需要につきましては四段階推計法という手法が用いられているということであります。この四段階推計法というのは、1つは将来の全国での総流動量及び地域ごとの発生量の予測、二地域間の分布交通量の予測、交通機関別交通量の予測、当該空港の分担量の予測、こういったものとそして将来の人口や国内総生産といった客観的な資料を元に計算をするとこういうことになっております。国内総生産とか将来の人口が過大に見積もられれば、空港のいわゆる需要予測も過大になるということはあると思います。何れにしましても、皆さん方には国会にも提出している資料でありますので、こういった資料はお渡しします。空港ごとに当初の需要予測はどうだったか、そして今はどういうお客さんの需要になっているのかというようなことを見ていただいて、需要予測をかなり下回っている空港もありますし、需要予測を上回っている空港もあるということで客観的にご判断をいただければということで、後で幹事社の方にお渡しをして皆さん方でコピーをしていただければと思います。
(問)補助ダムの確認ですが、期待権の大きいもの小さいものというのは国土交通省の中ではその仕分けは出来ているのでしょうか。まだこれから個別に判断、保留しているものもあるのでしょうか。
(答)平成21年度までに事業採択をして、そして予算をつけて複数年契約をしているというものか、或いは我々が言っているように本体工事に着工してないということであればそのことについては契約も行われていないし、また事業採択もされていないということですから、そこで一つのミシン目というものが出来るのではないかなと思っております。
(問)そういうものが幾つで、そうでないものが幾つという数は今現時点で。
(答)37道府県、ある新聞記事では38ダムということでありましたけれども、37道府県83事業がございますけれども、検証対象外になったのが、ですからもう本体工事に着工済み、或いはもう既存施設の機能強化とかそういったものを含めたものが25、検証の対象の合計というのが58ということであって、その期待権の大きさによって我々は裁量権を持って補助ダムであってもそれは法律的に予算をつけないということは正当化されうるとこういう判断をしております。
(問)今の予算をつけないというのは、要するに全くつけないということなんですか。それとも額が減るということなのでしょうか。
(答)両方あり得ると思います。
(問)逆に今期待権が大きいものというのは、補助ダムの従来の慣行どおり5割の国費を当て込んで予算をつけていると思いますが、満額と思ってもいいのですか。
(答)いや、それは今申し上げられるものではございませんけれども、期待権の大きいつまりはもう県として事業採択をされていたり複数年度契約をされていたりというものについては、法律解釈として期待権は大きいのではないかということであります。

(以上)