前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月5日

(平成22年1月5日(火) 11:27~11:46  於:会見室)

1.発言要旨

 私からは特に何もありません。

2.質疑応答

(問)日本航空の経営再建問題ですが、企業再生支援機構の方は銀行団に法的整理を活用した再建案を提示していて、一方で銀行団の方は法的整理には慎重な姿勢をとっていると。両者の間にまだ溝があって昨夜も国交省で協議をされたと思いますが、この両者の溝を埋めるために大臣としては今後どのような役割を果たされていきたいとお考えなのかお伺いしたいのですが。
(答)我々の立場としては、法的整理ありき、或いは私的整理ありきでもありません。我々のスタンスというのは、日本航空が飛び続けながら再生を果たしていくということに重きを置いて5閣僚の確認というものもしっかりと踏まえて政府一体となってバックアップしていくということに尽きると思っています。昨日も辻元副大臣中心に関係する金融機関、或いは機構含めて集まって頂きまして、意見交換をさせて頂きましたけれども、そういった意見交換すら今まで行われていなかった訳でありまして、意見交換をしていく中で時間的な問題もございますけれども関係する様々な立場の意見というものをしっかり集約をしていくということを国土交通省としても、或いは政府としても行っていきたいと、このように考えております。
(問)もう1点日航の問題ですが、企業年金の減額が焦点になっていると思いますが現社員については3分の2を越えたと。焦点はOBですが、法的整理を使った再建案というものが報道されたことも影響していると指摘されるのですが、やや同意の進捗が遅れているやとの指摘もありますが、大臣は現状をどう受け止めていらっしゃいますか。
(答)現職の方が自らの会社を思い3分の2以上の同意が得られたということについては、そういった方々に対する敬意を表したいと思いますし、また会社全体でそういった取り組みをされてきた日本航空に対してもその努力に対しては多としたいと、このように思っております。私が伺っているのは、OBの方々については郵送で返信を求めているということで、年末年始でそれがまだ来ていないのではないかということです。何れにいたしましても、会社が努力をされて、またOBや現職の方々も自らの会社というものの存続、或いは再生というものを果たすためにご努力をされているということについては、心から敬意を表すると共に、そういった結果がどういったかたちで再生計画が練られるにしても、やはり再生計画にはそれが反映されるべきだと私は考えております。
(問)今のお話で、OBの3分の2が同意を取り付けた場合は、法的整理ではなくなる可能性が高くなるという認識でよろしいでしょうか。
(答)私が申し上げたのは、機構が支援をされるということになると私のものの言い方をいたしますと公的整理ですね。公の公的整理になる訳ですね。公的整理の中身というのは、先程申し上げたように私的整理ありきでも法的整理ありきでもありません。我々が最も重視をするのは、日本航空が飛び続けながら再生が行われるということが大事だと思っています。そして、資産査定を終えて再生計画の中身がある程度固まってきて関係各方面に話をされている段階だと思っておりますけれども、どのようなかたちであれ再生計画にやはりOBの方々、或いは現役の方々の努力というものが反映をされる中身であるべきだと、私はそう考えています。
(問)今年の抱負をお願いします。
(答)去年の9月16日に国土交通大臣を拝命をいたしまして、そして初めての新年を迎えました。昨年1年間というのは、やはり補正予算の見直し、そして平成22年度の予算をどうまとめるかといったところに重きが置かれました。今年はその予算をしっかりとまとめ上げることが鳩山政権の私は初めての1歩になると思っております。平成21年度というのは、まだ自民党政権時代の予算の執行での年度になっている訳ですね。そういう意味では早く予算を通して、そして我々が政権交代後初めて予算編成をした予算案というものを実現をしていくということが初めて民主党政権の第1歩を踏み出すことになると私は考えておりますので、まずは予算をしっかりと通して、そして我々の考え方を政策のみならず予算面でも反映をさせていくということが大事なことだと思っております。その上で去年私がやってきたことは2つ大きくございます。1つは、政府全体としての予算を組み替えるという中で、日本が抱える莫大な借金、少子高齢化の進展、そして人口減少社会という日本の状況に合わせて「コンクリートから人へ」という予算の使い道を変えるということで公共事業については前年度比18%の削減にいたしました。その中で例えば道路にしても港湾にしても空港整備にしても河川にしても、今までのあり方を見直していくという作業を着手をいたしました。これを本格化させなければならないと思っております。従いまして、予算の使い道を変えるという中での公共事業のあり方を自民党政権から根本的に変えていくということを今申し上げた道路、河川、港湾整備、そして空港整備といったものにしっかりと反映をさせていくということが大事であり、ではその集中と選択、或いは新たな河川整備のあり方を含めてその基準作りを作り、具体的に1歩を踏み出すことが今年の私の抱負でございます。もう1つは、予算を削ることが国土交通省の仕事の全てではありません。予算の中で認められた社会資本整備をしっかりやっていくということも大事でありますし、それと同時に国土交通省傘下の産業分野をどうやってより元気にしていくのかという意味で、成長戦略というものをしっかりと浮揚させていく年にしていきたいと考えております。昨年は10月に国土交通省成長戦略会議というものを作って、そして5つの成長分野というものを決めて有識者の方々にご議論をいただきました。いよいよそれを私は実現に移していく年だと思っております。例えば観光にしましても、新しい観光庁長官の下、昨日の記者会見でも「自分に与えられた2年という期間で1千万人を超える、外国からの観光客を誘致をする」という目標を立てられましたし、それに向かってまず数字を残していくということが大事なことだと思います。また22年度予算案の中で休日の平準化の社会実験をやるということも盛り込んでおりますので、それもしっかりやっていく中で、観光が日本の経済を引っ張っていくのだということを国民一人一人に認識をしていただくような施策をしっかりやっていくことが必要だと思っております。観光というものをもっと国民の中にインパクトを持っていただけるような観光行政というものをしっかりやっていかなくてはいけないし、それが日本の活力というものを高めていく1つの大きな分野なんだということを、名実ともに国民にご理解を頂くような運動を展開して参りたいとこのように思っております。そのことによって、例えば空港では今関西空港などは発着出来る稼働率は半分以下でございますけれども、そういったものもより使われていくようになるということにも繋がって参りますし、様々な波及効果、或いは鉄道、我々が所管する鉄道の活性化というものに繋がっていく訳でありまして、今ある社会資本を有効活用するためにも観光というものに力をしっかり入れていかないといけないと思っております。後はやはり住宅、不動産この分野は昨年は低迷をいたしました。やはり今年はこの住宅や不動産の分野というものをいかに元気を取り戻すかということも結果が求められる年ではないかと思っております。そのために生前贈与税の非課税枠を500万円から1,500万円に拡大をいたしますし、また住宅版のエコポイントというものも導入をさせていただくということにしておりますし、またフラット35について、特に長期優良住宅というものに対する優遇引き下げというものをやって参りますし、様々な政策を導引する中で住宅、不動産というものの活性化を図っていくとことも大事なことではないかと思っております。とにかく無駄は徹底的に削り、そして今までの社会資本整備のあり方を根本的に見直す第一歩にしていく年にしていきたいし、そして同時に国土交通省の産業分野、建設業の海外展開支援も含めて、或いは高速鉄道の海外の売り込みも含めてこの国土交通省管轄の産業分野が日本の経済を引っ張っていくというような取組みをこの一年間身を粉にして行って参りたいと、このように考えております。
(問)先日の1月3日の官邸でのやり取りの中で、改めて5大臣の申し合わせは引き続き有効であるということを確認されたかと思うのですが、11月10日の時の5大臣の合意にはあくまでも日航の関係金融機関の融資について予算措置を行うことを検討するということは謳ってあったと思います。そのことは実際に今の予算では政府保証はつけないという形で確認されていないのですが、ここで確認されると仰れているけれども確認されてないようにも取れるのですがそのことについての見解を教えてください。
(答)5大臣の確認というのは、その文言を見て頂ければお分かりのように検討するということが書いてある訳でありまして、その検討が続いているのは紛れもないことでございますし法的な面での検討を関係省庁と協力しながら詰めていっているところでございます。何れにいたしましても1月中には企業再生支援機構の支援決定というものが行われる訳でございまして、それまでをどう政府として安定運航に支障がないようなバックアップを取るかということがまず必要なことだと認識をしておりますので、融資枠の拡大もさせて頂いておりますし、また仮に支援決定がされた以降のことも関係5閣僚中心に今話合いを進めているところでございまして、繰り返しになりますけれどもどのような支援決定の中身になるにせよ、5閣僚の合意に基づいて飛ばしながら再生を図っていくという視点をしっかりと連携を取りながら政府としてバックアップをしていきたいとこのように考えております。
(問)日航の問題なんですけれども、タスクフォースの結論では私的整理が望ましいということになっているのが、現在法的整理も含めた議論になっているのは、例えば年金が引き金になってということであれば理解できるのですが、年金は先程の話でも、何れにしろ努力の結果が反映されるように、法的整理でも私的整理でも反映されるという形が望ましいということは、年金が条件でもないような気がするのですが、大臣は法的整理になるということの条件、例えば国民負担の問題とか、どういったことが起きると法的整理が必要となってくるとお考えでしょうか。
(答)タスクフォースの案というのは公的整理です。つまりは最終的には企業再生支援機構という菅副総理の所管の機構に支援を委ねるというのが結論でありましたので、私的整理が結論ではありません。私的整理案と法的整理案の両者を検討されたのは事実でありますけれども、最終的な報告というのは公的整理という案だったと思っておりますし、そのタスクフォースのいわゆる報告書に基づいてJALがDBJ、日本政策投資銀行と協力して支援の申請をして、そして今、機構がその中味を詰めて、関係各方面との調整を図っておられるという認識をしております。繰り返しになって恐縮でありますが、私が大事だと思っているのは、あくまでも公的整理をやるというところをタスクフォースの報告書に基づいて機構も真剣に検討して頂いておりますので、形よりも中味だと思っております。つまりは、どうすれば飛ばしながら再生を行うことが出来るかと。自民党政治の時代のJALの問題点というのは、結局は抜本的な改革、再生を先送りにして結果的には結論を先延ばしにした結果、現在のような状況になっているというのが日本航空の現状ではないかと思っております。我々としては如何なる方針が示されるにせよ、問題の先送りはしないと。やはり今回のJALの再生というものは、抜本的な体質改善とV字型回復を日本航空という企業が行われて、国際競争力を持った会社に生まれ変わるための再生でなければならないし、そのことを我々としては最も注視しながら議論を進めているということでございます。
(問)年金の減額のお話なんですが、まだ3千人ということで、まだ一週間ありますけれども、仮にこれが3分の2に届かなかった場合に、政府として強制的に減額をするという法案を、18日とも言われてますけれども、通常国会に出されるご予定、若しくは検討でもいいのですが、そういうお考えはあるのでしょうか。
(答)仮定の話でお答えをするのは差し控えたいと思います。とにかく日本航空の皆さん方に努力を頂いて、OBの方々も3分の2以上の賛同が得られるように努力をして頂きたいと思いますし、我々としてはどのような再生計画であれ、日本航空のOB、現役の方々の努力が報われるような中味にしてもらうように機構にはしっかりと働きかけていきたいと考えております。
(問)あらゆる検討はされるのでしょうか。
(答)あらゆると言いますと。
(問)法案提出も含めて。
(答)法案は、先程の11月10日の5閣僚の確認をベースにして、法案の検討を関係各省庁と副大臣を中心にやって頂いているということでございます。
(問)暮れに5閣僚の話し合いの中で全日空とJALが国際線を統合してはどうかというようなアイデアが峰崎さんから披露されたと聞いたんですが、それに対する感想と、一方で今デルタとの話もございますけれども、デルタ、全日空、組み手としては大臣はどうお考えになっているのでしょうか。
(答)国土交通省には全日空からそういうような話は一切ございませんし、財務副大臣に仮にされているとすれば、それは筋違いの話であって、国土交通行政、航空行政を司るのは国土交通省でありますので、もし全日空が本気でそれを考えておられるのなら、堂々と国土交通省に申し入れて頂きたい。少なくとも我々には一切そういう話はございません。

(以上)