前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年11月10日

(平成21年11月10日(火) 10:30~10:51  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 まず、閣議の国土交通省に関わるところからご報告をさせて頂きます。直轄事業負担金についてでございますけれども、先般、全国知事会の場で私と総務大臣と農水省副大臣が出席しましたけれども、これらを詰めていくワーキングチームを作ろうということになりまして、政務官レベルでの関係各省のワーキングチームを作ることになりました。我が省からは長安政務官に対応して頂きたいと思っております。それから福知山線列車脱線事故の報告書についてでございますけれども、この情報漏洩の問題につきまして検証をさせて頂きたいということで、外部の有識者の方々、ご遺族、被害者の方々にも入って頂いての検証をしたいということを申し上げて参りましたけれども、ほぼその人選が固まりましたのでご報告をさせて頂きます。ご遺族、被害者及びそのご家族が7名、そして外部の有識者が5名、合わせて12名の方にご参加を頂くということになります。そして現在日程は調整中でございますけれども、12月上旬には第1回目の検証メンバーによる会合というものを開かせて頂きたいと考えております。この検証につきまして、運輸安全委員会の事故調査において徹底的に検証をして頂いて、そして納得のいくものにしていくためにご尽力を賜りたいと考えております。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今朝、公邸でJALの関連で協議をされたかと思いますが、どのようなお話しだったのでしょうか。
(答)今朝は、官房長官、菅副総理、財務大臣、古川副大臣、大塚副大臣、峰崎副大臣、辻元副大臣、松井副長官、こういった方々にお集まり頂きまして、私の方から対策本部に関わる経過報告をさせて頂きました。総理にはお話しはしておりません。総理は予算委員会の打ち合わせということでございましたので、公邸はお借りはいたしましたけれども、総理とはお話しはしておりません。今の段階で何かその会合で決まったのかということについては、今のところ決まったことではなくて、対策本部で話をしている中身について報告をさせて頂いたということであります。
(問)この後13日のJALの決算まで日にちが少なくなってますが、どういう手順で支援策を決めていく予定でしょうか。
(答)対策本部で現時点において議論のポイントとなっているところは、つなぎの融資そして年金の取扱い、これが大きなポイントになっている訳でございますけれども、このことについて更に対策本部で各省の副大臣級で中身を詰めて頂いて、何らかのタイミングでその考え方をまずは一区切りまとめたものを発表させて頂くということになろうかと思います。
(問)昨日、事業仕分けの対象事業が発表されました。国土交通省関連は非常に数多く入ったようでございますけれども、受け止めと対応についてお願いします。
(答)基本的な姿勢としては、行政刷新会議で行われる事業仕分けについては全面的に協力をさせて頂きたいという想いでおります。ただ、48の事業を見ておりますと、細かな事業から政策の根幹に関わる事業まで入っております。例えば政策の根幹でありますと、直轄河川、直轄ダムの維持管理、それから道路整備事業、港湾整備事業、空港整備事業、これは我が国土交通省の根幹に関わる政策について事業仕分けの対象になっているということで、何をやられるのかなということでございます。勿論中味について精査して頂くのは大歓迎でございますけれども、我々は政権交代で、例えば河川であると出来るだけダムに頼らない治水とか、或いは空港整備事業については基本的にこれからは新たな空港は作らない、また空港整備勘定の見直しなどをやっている訳でありまして、そういった根幹に関わるところは国土交通省が主体的にやらせて頂くということで、どういったご判断をされるかということを見ましてこちらの対応も考えて参りたいと考えております。
(問)天下りの関係で二つ程お尋ねしたいのですが、一つは先般朝日新聞にも出たんですが、空港の施設を使った事業者のところで多額の剰余金が積み上がっていて、そこがまた天下りの受け皿になっているという問題に関しての大臣の受け止めをお願いします。
(答)これについては私も調べましたけれども、国が設置管理する26の空港において38事業者を指定して約8割の32事業者が黒字ということでありますし、その黒字の剰余金を積み重ねますと2,264億円ということであります。勿論民間の株式会社なんですが、国がいわゆる貸付料を決めるということになっておりますけれども、貸付料が適正かと言われると、これだけの剰余金を生んでいるということになれば、私は貸付料は適正ではないと思っておりますので、空港の運営自体は赤字で、こういった施設が黒字で巨額の剰余金を生んでいるというのは誰がどう考えてもおかしいということで、この貸付料の見直しをしっかりやっていきたいと思っております。そして天下りでございますけれども、我々は天下りはなくすということを申し上げている訳で、空港事業に関わるたとえ株式会社であっても天下りは天下りでありますので、天下り根絶という方針に則ってこれから適正に対処していきたいと思っております。併せて羽田の駐車場などの財団についても、徹底的に我々野党の時は公益法人をゼロベースで見直していくということを申し上げていた訳でありまして、こういった財団のゼロベース見直しを仙谷大臣のところの行政刷新会議と力を合わせてしっかりやっていきたいと。公約通り天下りはなくす、公益法人はゼロベースで見直す、これはしっかり国土交通省もやっていきたいと思います。
(問)その関連で、鳩山政権で郵政とか或いは最近の人事院の人事官とかいわゆる官僚OBの登用が相次いでいて、これは大臣も野党時代に随分追求されてきた天下り問題、或いは脱官僚という理念とどうだという国民の批判がありますけれども、この問題についてのご所見をお願いします。
(答)いわゆる天下りと言われているものは、国があって、或いは国の出先機関があって、それに関わる公益法人、例えば国土交通省所管の公益法人、或いは公益法人ではなくて先程のターミナル会社のような株式会社、こういったものに早期勧奨退職を受けた人間が再就職をする。そしてその再就職を転々と繰り返す渡りをする。こういうものは国民に対する約束、そして絶対に認めてはいけない。こういった天下りは我々は絶対になくすということでこれは国民とのお約束ですから、しっかりやっていきたいと思っております。郵政の問題等を今例に挙げられましたましたけれども、郵政の社長さんというのは2人目ですよね。要は今私が申し上げたような国土交通省所管、出先機関の関連の公益法人、或いはその関連の株式会社、そういったものが慣例的に今まで早期勧奨退職の受け皿として行われてきたという観点ではないと、郵政の問題については思っておりますので、あくまでも政治的な判断による任用だという風に思っています。
(問)先週末、普天間問題に関して嘉手納町民大会と県内移設に反対する県民大会が開かれました。総理は県民の総意を尊重して決断を下したいとしていますが、沖縄担当相としてその大会をどう受け止めるかということと、もう1点ですが沖縄タイムスの世論調査で県外移設を望む声が63.3%あるということを踏まえて受け止めをお願いします。
(答)主催者が発表された数で言えば2万1千人の方が集まられたということで、そういった多くの方々がお集まりを頂きましたこと、県民の思い、また町民の方々の思い、これはしっかりと受け止めなければいけないと思っています。何れにいたしましても、この普天間の移設問題については米軍の運用の問題に関わるテーマでもありますので、防衛大臣、並びに対米交渉という意味においては外務大臣が主体的に取り組んでおられるところであって、最終的に内閣として一致した対応をしていくということが確認されておりますので、そういった対応策が決まった段階で沖縄担当大臣として沖縄との橋渡し役というものをしっかりと果たしていきたいと考えております。
(問)JALの関係ですが、月曜日からかなり忙しく対策本部が動かれているようですが、未だに決まっていないというものについて、何が今難しい状況になっているんだということをわかりやすく説明して頂けますか。
(答)決まっていないということではないです。先程申し上げたように、現時点におけるポイントというのはつなぎの融資の問題と年金をどうするかということについては副大臣を中心とした対策本部でしっかり議論して頂いておりまして、それなりの一定方向が出ていると思います。そういった議論されたものを今回は報告をさせて頂いたということと、あとは機構が今資産査定を行われている中でどういったタイムスケジュールでこの問題をうまくマネージメントしていくのかということを議論している訳で、結論が出ていない、結論が出ていないということは何か問題があるのではないかという前提ではありません。
(問)今朝の会合で、出席された方々から特にどのような意見がありましたでしょうか。
(答)基本的に、私からは対策本部でどういった議論がなされているのかという報告をさせて頂きましたし、意見というよりはむしろ主体的にやって頂いている副大臣から私の説明に対する補足説明が各大臣、官房長官等に行われたということでございます。
(問)銀行団はつなぎについてはかなり躊躇しているというか、貸し渋っているというか、そういう状況ですか。
(答)それは銀行団にちゃんと取材してください。
(問)JALの件で、然るべき時期に発表すると仰いましたが、JALの決算の発表前という認識でよろしいですか。
(答)然るべき時期にと申し上げたのはその然るべき時期にということで、額面どおり受け止めて頂ければありがたいと思います。
(問)わからないということですか。
(答)然るべき時期には皆さん方にもお話をさせて頂きたいと思います。
(問)JALですが、前回の閣議後の会見の中で突然OBに関してのメッセージと思われる説明があって、その前に日本航空側がOB側に協議したいと話し合いをオファーしたらしいですが、あの大臣の意図を一部OBの方々は汲み取りかねて、何故あそこで突然大臣からああいう発言があったのか、真意というのをもう1度ここで教えて頂きたいのと、立法化の話が出ているということでよろしいですか。
(答)まず1問目のご質問ですが、対策本部を設置する時に各副大臣から出された一番大きな視点というのは国民目線で物事を考えましょうということでありました。別にJALの年金というものを、こういった経営上の問題が起きてこなければ何もターゲットにしてやり玉に挙げるということは無かったと思いますが、言われているような高額の年金、しかし会社の状況が極めて厳しいと、そして路線の改廃の問題やリストラというものが言われている中で、OBの方だけが今までは良い時代で働いて、現状はこうなんだけどもしかし良い時代で約束されたものについてそのままでいいかということについては、私は国民目線でOBの方にもご協力をと、実際今働いている方々は給料をカットされ、或いはリストラさせられる方も出てくるという状況の中で本当の愛社精神をもっておられるということであれば、或いは日本の空を守ってきたという自負を持っておられるのであれば大所高所でもう少しご判断を頂きたいということを私はメッセージとしてお伝えをしたかったということでございます。立法化の話については、然るべき時期に発表する時にその中身についても立法化するのかしないのか、或いはその中身についてもお話が出来るかと思います。
(問)日航の公的な処理について今まで消極的なご発言があったかと思いますが、それは今も変わらないということでよろしいですか。
(答)今、機構に移っていますので、企業再生支援機構がどのような判断をされるのかということが全てだと私は思っております。若干経緯を申し上げると、私が大臣にならして頂いたのが9月16日、そして日航から再建計画が出てきたのが24日。自分自身が中身がよく分からないということで産業再生機構等で活躍をされた資産査定、事業再生のプロの方々をタスクフォースに選んで、そして資産査定とタスクフォースなりの再建計画をまとめて頂いて、どういう会社の状況でそしてどういった再建策が案としてあり得るのかといったことをまとめて頂いた訳であります。ただ、私の判断も含めて政府の判断として機構に申請をしているということでありますので、我々が予断を持って機構の決定を縛るような発言を今するということは差し控えなければいけないのではないかと思います。あくまでも独立性の高い機関だという認識でおります。
(問)JR福知山線の検証チームですが、期間を区切るようなことは考えているのでしょうか。遺族の方がどれ位の参加の希望があったのか、もしここに漏れてらっしゃる方もいらっしゃるのであれば教えてください。
(答)仰るとおり検証作業というのは徹底したものでなければいけないと思っています。特にご遺族、怪我をされた方々、こういった方々が納得をして頂くまで十分な検証をするということが重要だと思っておりますので、こちら側からあらかじめ日にちを区切ってここまでにやって下さいということを申し上げるつもりはありません。これは12名の方々にご自身が納得をして頂くまで検証して頂くと、そのための資料提供は全面的に協力させて頂くという姿勢で臨ませて頂きたいと思っております。この7名のご遺族、被害者及びそのご家族のことでありますが、「4・25ネットワーク」の方々、これは会を作っておられる、或いは「負傷者と家族等の会」といった会からも出て頂いておりますし、或いは7名のうちの1名は直接私自身にメールで、是非検証のメンバーに入れてもらいたいという直訴があって入って頂いた方も含まれておりまして、まずはこの12名で徹底した検証を行って頂きたいと考えております。

(以上)