菅大臣記者会見要旨 平成22年5月18日

(平成22年5月18日(火) 8:57~9:11  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 マーケットの方はヨーロッパの状況を踏まえて、まだ必ずしも安定的というところまでは行っておりませんが、少しずつ色々な国際的な協調した取り組みが理解されて安定していくのかなと、またいってほしいなと思っております。我が国の状況も、足下の色々な数字は景気回復の方向で進んでいると認識しております。ただこのヨーロッパ情勢の影響で株が下がり、一時期はちょっと円高に振れましたが、こちらも少しずつ落ち着いてきてほしいと、また来るのではないかと、このように思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)口蹄疫対策について財政出動が必要になるかと思うのですが、予備費の活用という話もありますけれども、その予備費の活用も含めて財政出動の規模の見通しについて、併せてこの口蹄疫の対応については政府の対応、立ち上がりが遅かったのではないかという批判もありますが、それについてのご所見をまず伺いたいと思います。
(答)まず予備費という仕組みの問題ですけれども、予備費については予め閣議決定がしてあるものについては、財務大臣が指定する経費や災害その他緊急に処理をする必要がある場合は使用出来るというふうになっております。既に、家畜伝染病予防費というものも含んだ形で、そういう場合に備えての決定がしてありますので、手続的には私が指定することで支出が出来るという仕組みになっております。
 今回の宮崎県で発生している口蹄疫についての費用の問題ですが、まだ必ずしも具体的にどの程度の費用がかかりそうだということを農水省なりから具体的に話は伺っておりません。色々報道では流れておりますが、今の状況がこの程度で収まるのか、さらに拡大するのかによって当然費用的なことも変わりますので、今の程度で収まるのであれば、皆さんが報道されているような規模にはならないだろうと思っております。ただ、これはこれからの展開によりますので、権限としては先ほど申し上げたように財務省にあるにしても、実際的には農水省なり関係機関の積算を踏まえての最終的な判断になろうと、このように思っております。
 対応云々については色々な指摘があることは承知しております。財務省も現地の財務局の担当者が昨日出来た本部の現地スタッフとして参加することになっております。財務省という立場ですので、口蹄疫そのものを直接所管しているわけではありませんので、皆さんからそういう指摘があるということは承知しておりますが、それをどうであったというところまで細かい経緯は私自身必ずしも承知をしておりません。
(問)昨日、税調の専門家委員会の神野委員長から大臣含め3大臣が説明を受けられました。税調の企画委員会をいつ頃お開きになられるつもりかということが1点と、もう1つ、昨日民主党の小沢幹事長の定例会見の中で消費増税も含む税制の抜本改革について、まず第一に取り組むことは無駄を省く決断であって、地域主権や補助金の一括交付金化を断行すれば約束した政策は当面十分実行出来るというような言い方で、消費増税を含む増税路線に否定的な考えを示されました。政権与党第1党の幹事長がこのような考え方を示されている中で、税制の抜本改革をされる場合に、幹事長をどのように説得されるお考えがあるのか、それを伺いたいと思います。
(答)税調の企画委員会等については、手元に日程の案を持っておりませんが、そう間を置かないで、今週にも開きたいということで、基本的には峰崎副大臣の方で調整をしてもらっております。
 それから幹事長の発言は報道では聞きましたが、私は必ずしもその発言を今のご質問のようには受け止めておりません。まさに207兆の総予算の見直しというのがもともとのマニフェストに入っているわけですから、私もいつも申し上げているように、予算の規模と、それから国債と、それから税収と、そして当然ながら予算の規模の中には積極的な意味での財政出動と同時に、まさに無駄を削減して、207兆の中から無駄なものを大きく省いていくという作業が必要でありますから、そういうことを指摘されたということはある意味では当然ではないかと。まさにそういうものを今、枝野大臣のところが直接には担当していただいていますが、党の方でも色々な勉強会等が出来て、昨日も決算委員会の分科会などでは、特別会計などについても色々検討しているということをベースに質問も出ておりましたので、党としてもしっかりとそういう分野でも努力していただくというのは大変ありがたいことだと、このように思っております。
(問)内閣支持率ですが、つるべ落としの様相で下落していますが、政権交代8カ月でここまで国民の失望を呼んだというのは、民主党政権に足りないものは今何なんでしょうか、副総理の見解を問います。
(答)いつもお答えしておりますが、もちろん今の民主党に対して幾つかの点で色々ご批判や色々な問題点があるということは承知しております。ただ私が今担当している財務大臣あるいは経済財政担当大臣という職責からすれば、景気・経済の問題あるいは財政の問題をしっかりして、持続可能な形の日本経済あるいは財政をある意味でそういう軌道に乗せていくことが重要であり、またそれを進めることが国民の皆さんのこの内閣に対する、少なくともそういった面での信認を得ることになると、こう思っております。そういった意味で、その点については色々な面はありますけれども、少なくとも政権を担当した時点から比べればかなり景気の状況も改善されておりますし、一歩一歩前進をしていると。必ず国民の皆さんには、皆さんの報道がしっかりしていれば理解をいただけるのではないかと思っております。特にあなたのように時々変なことを書かないで、ちゃんとした報道をしていただければ良いのではないかと思っています。
(問)参院選公約の議論で、政府と党の議論で税制の抜本改革を次期衆院選後に実施するというような方向の議論をされていますが、こういった時期の問題について、今副総理はどのようにお考えでしょうか。
(答)税制とか財政とか国債とか、先ほども言っていますように、あるいは無駄の削除とか、全部連動というか、ある意味では全部リンクをしているわけです。そういう意味で今、税制についても税調の専門家委員会で積極的な議論をかなり踏み込んだ形でしていただいていますし、そういうことと、またそういうものが来年度の予算にどう生かされるかと、税制の抜本改革ということになればそれをどの時点でやっていくかということ、更にはこれまでのマニフェストといいますか、3党の合意で言えば、消費税については昨年の衆議院の選挙で、政権を担当している間、つまりは次の衆議院選挙までは上げないということも3党合意にありますので、そういう色々な事柄をどのような形で段取りをつけていくのか、これからのさらなる議論が必要だと、こう思っています。
(問)税調の関係で2点確認したいんですけれども、1点目は、先ほどの小沢さんの発言については、無駄の削減からするということでは認識は一致しているというお話でしたけれども、その無駄の削減をある程度進めた上で必要であれば税制の抜本改革をしなければいけないという点では小沢幹事長と大臣のご認識という方向性は同じところを向いているのかというところをお伺いします。
 2点目は、基幹税の中の法人税についてはかなり実効税率を引き下げてほしいという声があると思うんですけれども、この必要性と税収不足が指摘されている中での実現性についてお願いします。
(答)1問目は、無駄の削減が重要であるという認識では共通しています。と同時に、それを進める中でどこまで無駄が削減でき、その中で国債をどの程度までは発行してもマーケットとの関係で大丈夫なのかというような、色々なことが関連するということは先ほども申し上げたとおりで、質問のように税について一致しているのかと言われれば、まだそこまで小沢幹事長と直接に詰めた話をしておりませんし、必ずしも幹事長からも直接的な話は聞いておりません。ですから先ほど申し上げましたように無駄の削減が大変重要であるという認識では一致しているということかと思っております。
 法人税については、いわゆる国際的な比較の問題と、場合によっては引き下げ競争という形が良いのか、国際的にある種のルール作りといったものが必要なのか、こういった観点も含めて、あるいはもちろん課税ベースを拡げるということも、もともとの税調の考え方にはありますので、そういうことも含めて国際競争の観点も念頭に十分置きながら更に議論を詰めていくと、こういうことになろうかと思っております。

(以上)