菅大臣記者会見要旨 平成22年4月20日

(平成22年4月20日(火) 8:57~9:13  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 閣僚懇談会で、昨日記者会見で発表しました財務省の改革の提言について簡単な報告をいたしました。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)23日からワシントンでG7とG20がありますけれども、日本としてどういった議論を期待し、またどういった点を訴えて主張していきたいという点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
(答)今の一番ホットな話題としてはやはり金融規制、更に言えば今回のゴールドマン・サックスに対するSECの告訴なのでしょうか、告発なのでしょうか、そういう問題を含めて、ホットな問題としてはその問題があると思います。これはイカルイットのG7でも若干の議題にはなりましたが、各国それぞれの立場というか、相違がありますので、必ずしも共通の対応ということではないと思いますが、少なくともそれについて、特にこれはアメリカですが、アメリカの意見は聞いてみたいと思っております。もう1つは、これは私に場合によったらリードスピーチをという話が来ておりますが、やはり財政再建問題でありまして、これは我が国の取り組みということもありますけれども、逆に言えばヨーロッパ、アメリカが割と早い段階で出口戦略に移っていく、我が国の場合にはその点でどう対応していくのか、更に私の問題意識としては、欧米は比較的ダイナミックに、激しくドーンと金を出したり、逆にドーンと財政を抑えたりということをダイナミックにやるわけですが、日本の場合には過去においてはなかなかそういうことが出来ておりません。そういった違い、欧米の対応のスピード感と日本のスピード感の違い、こういったことについても議論が出来ればと、このように思っています。
(問)閣議に先立ちまして中期的な財政運営に関する閣僚委員会が開かれました。ここでの大臣のご発言、どんなことをされたかということと、大臣から見て今後のこの閣僚委員会での議論のポイントがどういうところにあるのかというのが第1問です。
 2問目ですけれども、普天間問題ですが、先週末に徳之島で1万5,000人規模の反対集会がありました。なかなか環境的には5月末までの決着が厳しくなる中で総理の進退も含めて政局に発展する懸念をお持ちかどうか伺いたいと思います。
(答)中期財政フレームについては国家戦略室の方から先日発表された専門家の取りまとめということの説明がありまして、その説明の後、私の方から直接そのことではありませんが、法案として超党派でこういう議論をするのに法案の準備を総理と相談しながらやっていると。ただその中身は、財政再建に限らないで、成長と社会保障と財政再建の3つについての考え方を法案化して、まだ出す出さないはもちろん決まっておりませんが、超党派の場、つまり国会の場で議論することもあって良いのではないかと考えて準備をしていますという報告をいたしました。その後、特に中期財政フレーム等については色々な意見が出ましたが、私の提起した法案については、特にそれは困るという意見はありませんでした。
 政局という言葉は常に大なり小なりあるわけでありますが、いずれにしてもこの普天間の問題は5月末までにきちっとした結論を得ると、そのために全力を挙げるのだということを総理自ら言われておりますし、色々な努力を、総理を中心にやっておられますので、そういう中でこの難しい問題を何とか乗り越えていっていただけるもの、あるいは出来るものと、そのように思っております。
(問)民主党の有志議員約130人で結成された「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」が先週、CPI上昇率前年比2%程度のインフレターゲティングの導入、1ドル120円を目安に為替相場が適切な水準を保つよう最大限の努力を行うなどの目標を掲げた報告書を取りまとめました。こうした提案は参議院選挙のマニフェストにどの程度反映されるのでしょうか。また、提案に対する大臣のご見解をお聞かせください。
(答)議員連盟の色々な提言というものの取り扱いというのは必ずしも一義的なルールがあるわけではありません。私はまだ細かい内容を見ておりませんが、内容的にはCPI前年比2%というのは決して何かこう飛び離れたような目標ではありませんので、内容的にはそれは1つの傾聴に値する意見だと思います。120円というのも今初めてお聞きしましたが、為替については、財務大臣は常に市場が決めるものということが答えになっておりますので、それについてはあえて中身については申し上げません。そういった提案があれば、もちろんしっかり内容的には参考にさせてもらいたいと思いますが、それがどういう形でマニフェストに反映するかしないかというのは、先ほど申し上げたように一義的な扱いが決まっておりませんので、私の今の立場でどうこうなるということはちょっと申し上げることが出来ない状況です。
(問)G20についてお聞きします。金融規制の論議についてですが、EUの方では銀行など金融機関に特別課税を課すべきというような案も出ています。これについて大臣のお考えはどういったものをお持ちでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、この問題は国々によって、あるいはアメリカとEU、日本との間でも、他の国でも、それぞれ状況が若干違います。ですからそういう課税を検討されるのも1つの考え方だと思います。日本の場合は預金保険機構の仕組みの中である程度、課税という形ではありませんが、負担金という形で色々な対応が従来からかなり組み立てられておりますので、EUとして色々議論されることがイコール日本そのものに同じことをやる、やらないということではなくて、EUはEUとして色々なことを考えられ、アメリカはアメリカで考えられ、日本は日本という中でこれまでの経緯や今の制度のあり方を踏まえて必要なことはやらなければならないと思っております。ただ総体的には、日本は今回のリーマンショック等において金融制度そのものの問題がそう指摘をされているわけではありません。逆に実体経済の方が大変だったわけですから。そういうスタンスで冷静に眺めていきたいと、こう思っています。
(問)今日、政府税調の専門家委員会がまた開かれますけれども、これで主要税項目の検討が終わると思います。今後、税調として再びこの専門家委員会の議論を踏まえて、いつ頃をメドに議論を再開するのかという見通しと、先ほど中期財政の報告がありましたけれども、今後、この有識者の提言を受けてどのような場で政治家の皆さんで議論していくのかということについての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)税調の方は一度専門家委員会のこの間の検討過程といいましょうか、現時点における内容を改めてお聞きしたいなと。間接的にはもう聞いておりますが、私自身も直接お聞きしたいと。その後の取り扱いについては、そういう中から検討したいというか、考えたいと思っております。中期財政フレームそのものの件は先ほど申し上げたように国家戦略室が担当して、一応6月に向けて取りまとめるということで、今日の議論も踏まえて色々国家戦略室を中心にさらなる議論を、どういう形で行われるか検討されるものと思っております。私の方は先ほど申し上げたように並行的な内容ですが、法案というものが出せるのかどうか、これはやはり国会というところの問題ですので、国会の関係者、党の関係者、更には当然ながら7月の参議院選挙の中での議論にもなりますので、そういうことに対する関係者の意見を聞いていきたいというか、まだ総理との間でも検討なり作業としての準備は了解をいただいていますが、出す出さないについての結論はまだ私自身も含めて総理からも、まだそこまでは、こうしろという指示はいただいておりません。検討中ということです。
(問)先ほど、日銀との関連でCPIの前年比プラス2%の目標をそう飛び離れた目標ではないというご発言でしたけれども、来週、国際会議から戻られて30日には日銀の決定会合がございまして、その時には11年度の経済ですとか消費者物価の見通し等も含めて、今後の中期的な日銀の金融政策スタンスも含めた考え方の整理がされるかと思うんですが、その会合に政府代表としてここのところ事務方しかご出席されていないんですけれども、副大臣なり政務官なり三役の方がご出席されるご予定があるのかどうか、その辺をお伺い出来ますでしょうか。
(答)今の質問は若干違っていて、先ほどの質問は日銀との関係で聞かれたわけではなくて党内の議員連盟の意見として言われたので、その議員連盟としての意見として2%と言われるのはそれほどかけ離れた話ではないと言っているわけで、日銀はいつも言われるように、CPIそのものかどうかは別としてプラス0から2%という言い方をされていますので、そこはちょっとごっちゃにしないようにしてください。
 それから政策決定会議に政治家が、つまり三役が出る、あるいは出ないというのは、決して消極的に対応しているということではなくて、それなりの判断の中でその都度考えています。ですから副大臣なり政務官に出てもらうことも一般的に言って十分あります。何か出ないことに決めているとか、必ず出ることに決めているということではありません。
(問)次回についてはまだ決めていらっしゃらないですか。
(答)もちろんです、その少し前に決めますので。
(問)消費税に関してなんですけれども、仙谷大臣に続いて玄葉財務金融委員長も次の衆院選の争点にすべきであるというふうにおっしゃっていますが、大臣としては次の衆院選で争点として掲げるというようなことはありますか。
(答)衆議院選の話はあまりするような時期なり、するような場であるのか、まだちょっとそういう議論そのものが早いのではないかと思いますが、消費税の議論はご承知のように、政府税調で他の基幹税制と合わせて検討していただいていますし、また中期財政フレームの中でどの時期までにどういうふうな歳入・歳出を含めた目標を実現しようかということが、議論がこれから進んでいきますから、そういう中で色々と議論が進むものと、今、次の衆議院選挙で云々というのはちょっと私の立場で申し上げる段階ではないと、こう思っています。

(以上)