菅大臣記者会見要旨 平成22年2月2日

(平成22年2月2日(火) 18:27~18:49  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 先程閣議がありまして、特に私に関するところでは、もうこの場でも問題になりました後年度の影響について、これは今度の予算の趣旨説明の時に併せて公表するということにしておりますが、既に一部の報道にも出ておりますけれども、それについて私の方から報告と、若干皆さんが差額というところをすぐ国債発行のような表現をするので、それは趣旨が違うということも閣僚懇で説明をしておきました。国会の方はご承知のようなところで、来年度予算が順調に審議が進んでいまして、明日の本会議で代表質問が終わるということで、しっかりと出来れば月内通過を目指して頑張っていきたいと思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1問目ですけれども、今週末、G7財務大臣会議に出席をされます。財務大臣になられて初の国際会議への出席になるかと思いますので、大臣なりのテーマというのか抱負があれば伺いたいと思います。
 2問目ですが、来年度、2011年度の子ども手当の満額支給に向けて、日曜日、昨日と野田、峰崎の財務両副大臣から相次いでなかなか難しいのではないかという発言がありました。これについての受け止めと、財務大臣としての認識を伺いたいと思います。
 3問目でありますが、これは経済財政担当相としてお伺いをしたいんでありますけれども、長崎県のハウステンボスにつきまして、企業再生支援機構への支援要請を検討するような発言が、前原国土交通大臣が長崎に行かれた時にそのような発言がありました。支援決定は機構の任意ということだとは思いますけれども、所管大臣として、ハウステンボスが機構の支援対象としてなじむかどうか、ご見解を伺いたいと思います。
(答)G7はもちろん初めてということもありますし、私もこういった本格的な国際会議そのものに初めてなものですから、寒いところでありますが、しっかりと対応していきたいと思っています。全体としてはあまり文書をまとめるといったようなことではなくて、ざっくばらんな意見交換をしようという形で進むというふうに聞いております。色々な議題が出ると思いますが、また何か私から言ったというふうな誤報が流れると困るんですが、予想すれば、やはり1つは、オバマ大統領が金融規制改革について取り組むということについての各国の受け止めなりということも議題になるでしょうし、また、世界経済全体が、一方では何とかリーマン・ブラザーズのあの大きな経済危機から脱しつつあるけれども、各国とも財政的な面ではかなり問題を抱えていると。そういった世界経済全体のことも議論になるというふうに思っております。そういった意味で、それぞれの問題についてそれぞれの国の考え方をしっかり聞くと同時に、今、日本としても政府としても取り組んでいることについてはしっかり説明というか、考え方を伝えていきたい、こう思っております。
 子ども手当について、何か副大臣の方から発言があったということを報道などを通して聞いておりますが、財務大臣なり財務副大臣という立場で言えば、マニフェストを実行するという内閣の財政の責任者の政務三役でありますので、あまり個人的な見解を述べる立場ではないのではないか。当然ながらマニフェストの実現を目指すという基本的な方向で努力すると、このように思っております。
 ハウステンボスの問題は、立ち話的には前原国交大臣からもお話がありましたが、どちらかと言えば、長崎に行った時にそういうことを地元の関係者から言われて、そういう意味では地元関係から菅大臣の方にも話が行くかもしれないという程度の話でありました。その後、地元の国会議員の方からも話がありましたが、私としてはまだ、手続きなどを少し説明しておきましたけれども、特に当事者的な人から私に話が来ているわけではありません。また、私が聞いているところというか、そんなに詳しくは聞いていませんが、支援機構の方にも、少なくとも私の耳に入っている範囲で言うと、そういう相談なり、まして正式な支援要請が来ているという話は聞いておりません。あるいは、そのうち来るのかもしれませんが、まだそのような状況です。以上です。
(問)ハウステンボスだけ更問させてください。ハウステンボスは実際今、会社の再建手続、更生手続中なわけで、それでなかなか年度末に向けて資金が厳しいというようなことで、今危機が地元で言われているわけですけれども、このような一度非常に経営が厳しくなっている企業を救うということで企業再生支援機構の対象に適するかどうかというところは、ご所見は如何でしょうか。
(答)私の理解している支援機構、特にこのJALの推移などを経験してみて、やはり当事者が、この場合はハウステンボスないしはそれを支えている金融機関ということになるかもしれませんが、当事者が支援機構への支援要請を出した上で、支援機構がデューデリというのでしょうか、どういう状況にあるのかということをしっかり調べた上で支援をする、しないということを自主的に決めるという形になっておりますので、今私はどういう状況にあるか、更生手続という言葉が出ましたが、もうそういう状況に来ている問題なのかどうかよく把握はしておりません。いずれにしても、支援機構がそういう要請を受けるにしても、まして支援要請があった時にどうするかということを含めて、まさに支援機構がまず第一義的には判断することで、私が何も実態もよく分からない中でコメントすることはしない方がいいだろうと思います。
(問)子ども手当の関連なんですが、副総理、何社かのインタビューでもお答えになっていますけど、子ども手当の満額支給の財源と年金の国庫負担の2分の1の財源と、社会保障費の自然増等で6兆円、来年度だけでも歳出増要因があると思うんですが、実際そういう中で財源的な見通しは立っているのか。立っているならどういう手法で財源を捻出するのか。それが1点と、あと参院選があるわけですけど、参院選前には子ども手当の満額支給についてのマニフェストを変更するお考えはないのか。また、参院選前に中期財政フレームを作ると思いますが、それには、そうするとそのまま満額支給の、工程表どおりの予算を落とし込んでいくのか、その3点。
(答)まず、私も頭の中でカレンダーを常に置きながらものを考えているんですが、今は言うまでもなく、来年度予算をいかに年度内に成立させるかということですけれども、並行して、ご存じのように中期財政フレームにしろ何にしろ、207兆と言われる総予算の見直しというものの、色々な特別会計とか、そういうものの制度的な見直し、あるいは色々な地方出先機関等を含めた組織的な見直し、総理が指摘されたところまで一遍に出来るかどうか分かりませんが、省庁も含めたそういうあり方の問題、公務員制度の問題等々、そういう問題を何度も言うように1月12日でしたか、閣僚懇でしっかりそれぞれの閣僚が取り組もうということをいわば申し合わせたわけですから、そういうことがこれから進んでいくというのが1つの流れにしなければならないと思っています。それともう1つは、成長戦略の肉付け、これは中期財政フレームを作る場合の成長率等、あるいは税収見通し等を出していく上で成長戦略との関連も多いものですから、そういうものが6月に向けて肉付けが進んでいくと、このように思っております。そういう幾つかの要素が収斂される中で中期財政フレーム、あるいは財政運営戦略が国家戦略室を中心に取りまとまっていくというふうに思っております。
 その中でもちろん参議院選挙が一般的に言えば7月に行われるわけですので、そういう展開と参議院選挙に向けてのマニフェストということになると思いますが、あり方はもちろん関連をしていくものだと思っています。ですから、今の段階で参議院選挙に向けて子ども手当について何か変更があるとかないとか、先程申し上げたように、私の立場から言えば、この子ども手当については昨年のマニフェストでお約束をした件ですから、そういう意味では、それを実現するという方向で今後も努力したい、こう思っています。
(問)来年度に社会保障関連、厚労省関連だけで6兆円の歳出増要因があるという現状についてはどうでしょうか。
(答)ですから、少なくとも今ないし今までのそういう、機械的という表現がよいかどうかは別として、これまでの政治的なある意味で約束とか、あるいはこれまでの経緯、3分の1を2分の1にするというのも、埋蔵金でやってしまったのは前の政権なんですが、しかしそうは言ってもこれはやってしまったんですから、そういう経緯から言えば、その両者を合わせると5兆円、それに一般的に言って自然増的な要素の強い厚生労働省ですので、さらに1兆円ぐらいの歳出増の1つの、どう言ったらいいんでしょうかね、そういう要素があるということは十分理解しています。
(問)小沢幹事長の政治資金問題について2点お伺いしたいんですが、小沢幹事長が立件された場合に、幹事長を辞任すべきとお考えか。また、立件されない場合には、幹事長の続投を容認されるのかということが1点。
 2点目なんですが、石川衆議院議員が起訴された場合に、民主党の離党ですとか議員辞職をすべきとお考えか。その2点お願いします。
(答)まさに一般的にといいましょうか、理解しているのは2月4日が石川議員の拘留の期限というふうに聞いておりますので、その時にどういう形の検察庁の判断が出るのか。それは大変気になるというか、注目をいたしております。ただ、今の質問は幾つか仮定があったものですから、いつも申し上げているように、大変重要なことだとは思いますけれども、今私が担当している役割としては、来年度予算をいかにして年度内に上げるかということに神経も含めて集中しておりますので、それらのことが重要であることは分かっておりますけれども、今私の立場で言えば、来年度予算の問題、それから今、事前に幾つか質問が出ましたけども、そういう財政・経済運営の問題で頭がいっぱいでありますので、あまりそれ以外のことをコメントするのは差し控えておきたいと思っています。
(問)今の質問に関連してなんですが、西松建設の問題が出た時に、副総理が代表代行としてのお立場で、党内からあまりあの時に辞任論が出なかったことについて、党が成長した結果だというふうに好意的にというか評価されたかと思うんですけども、今の現状もその時に非常に似ていると思うんですが、今どのようにこの状況を評価してらっしゃいますか。
(答)去年のどういう場面でどういう言い方をしたかは、全部は覚えていませんが、去年はもちろん政権交代前ですので、野党としての民主党の中で私は代表代行という立場で、党の全体のことを考えながら幾つかの仕事をやっておりました。私がもし申し上げたとすれば、私もこの党の中で、例えば年金未納、結果的には社会保険庁の間違いではあったにしても、そういう問題があっていろいろ混乱したり、いろんな場面を私自身のことを含めて経験しておりますので、そういった中で、当時この西松建設問題が起きた時に、いわゆるそういう浮足立つような混乱ではなくて、しっかり踏ん張って状況を見極めていっておりましたので、もしかしたら、そういう状況が民主党にとって、それ以前の民主党に比べて成長という表現がよいかどうか分かりませんが、ある意味でのタフさを備えてきたということは申し上げたかもしれません。今年の状況は、もちろん政権というものが1つ大きな責任を負っているわけですから、私はその時にも増してそれぞれの皆さんが政権を担当しているという立場も含めて、しっかりとこの状況に対して何か、そのことで政権、さらには党がおかしなことにならないようにということをみんな考えて行動してくれていると、このように見ております。
(問)またG7の話に戻りますが、G7の場で中国の人民元が議題の1つになることがあるのかどうなのかということと、改めて人民元とオバマ政権の金融規制に対して日本の立場を教えてください。
(答)まず人民元のことについては、場所は違うかもしれませんが、私の記者会見がやや誤報を生み出したものですから、多少注意をして皆さんに報道していただきたいと思いますが、先程申し上げたような雰囲気で話し合いか行われるとすれば、話題の1つとして取り上げられる可能性はあるのではないかなと、このように見ております。日本の立場ということで言えば、日本はアジアの成長というものを日本に取り込めというのか、それに連動するという形で進むために、中国が安定的に経済成長していくということが、私は中国にとっても望ましいし、日本にとっても望ましいと、そのように思っております。そういう観点から色々今の中国経済についても、中国自身も若干の引き締めなどを行っているということも含めて色々な状況がありますので、日本にとって中国と日本が、特に中国の安定的な成長という形が日本にとっても望ましいという、そういう見方の中で対応するということになるのではないかと思っております。オバマ政権の金融規制の問題は、まだどこまでどういう展開になるのか、アメリカ国内の動きがまだいま一つ確かな動きになるのかどうかがよく分かりません。ガイトナー長官が来られるわけですから、逆にどうなんですかと。いわゆるボルカー・ルールみたいなものが本当に法定化されていくのか、もしいくとしたらどういう時間的なスケジュールでいくのかどうか。ここは逆に、当事者が来られるわけですから、しっかり意見を含めて聞いてみたいなと、こんなふうに思っております。
(問)先程のマニフェストの関連なんですが、今日、国土交通省が高速道路の無償化の社会実験について発表したと思うんですが、もともと6,000億円の予算を1,000億円に削減したということなんですが、今後この高速道路の無償化についてもマニフェストどおり拡大していくというお考えはあるのかどうか、今の時点で教えてもらえればと思います。
(答)私の立場というか、財務省の立場ということではなくて、私の、つまり民主党の、この政権の前までは代表代行という立場でありましたし、今も副総理という立場もいただいていますが、そういう立場全体から言えば、マニフェストについては出来るだけ実現していくという方向はどの問題においても変わりありません。

(以上)