菅大臣記者会見要旨 平成22年1月5日

(平成22年1月5日(火) 11:46~12:05  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 年のはじめですので、明けましておめでとうございます。

 今年の初閣議が行われまして、マーケットも全体としてはいい方向に推移をしているのかなと思っております。昨年の暮れ、そして4日、5日と、全体としては日経平均も順次上がってきておりまして、今日も1万700円台ということで、この年初の鳩山内閣のスタートを祝ってくれていると、そんなふうにも思っております。

 閣議後の閣僚懇の中で、年末以来申し上げていたことですが、少し内閣として今年全体を見通した意見交換、あるいはそういった会をやろうではないかということを申し上げました。官房長官のほうで取りまとめをしていただいていますが、その予定では、12日の閣議を、時間の変更も含めて、その後の閣僚懇を少し長い時間とって、全体の議論をしようかという話になっております。できればそれに加えて、官房と仙谷さんの行政刷新会議と戦略室とが、それぞれの省庁について、特に関係する特別会計とか独立行政法人とか公益法人の問題もありますので、全体が集まるというよりも、各省庁の政務三役をお招きして意見交換をすることも、その後の数日間を使ってやりたいと思っておりまして、それは今から少し具体化の準備をしたいと思っております。

 特に、改めて、お正月にこのマニフェストを見ておりましたけれども、この中でも第一の項目にあります国の総予算207兆円を全面的に組み替えると、この部分が、昨年の予算編成の中では十分にそこまで進めることができなかったというのが、私なりの反省であります。そういった意味で、この点を中心に、マニフェストをそれぞれの省庁を含めて全体としても総点検をする必要があるだろうと、このように思っております。そういうものを点検をする中から、参議院選挙のマニフェスト、さらには来年度というか23年度の予算に向かってのいろいろな作業も行う、まずベースにしなければならない、このように思っているところであります。

 それと、これから戦略室としてのいろいろな課題を、明日政務三役会議をスタートとして動き出すところですけれども、このマニフェストの総点検は、主に行政刷新会議が中心になっていただけると思っておりますけれども、戦略室としては、成長戦略の基本方針を昨年12月30日に総理のほうから発表いただいておりますので、これの具体化を取り組みたいと思っております。これまでも環境とか雇用とか、それぞれいろいろな場で議論をしてきましたし、また私の担当ということで言えば経済財政担当、科学技術担当ということで、これもそれぞれいろいろな場で取り組んできておりますけれども、ある意味では、すべて成長戦略に深く関わった問題でありますので、成長戦略の具体化の中に、例えば環境でいえば結果としてそれを推し進めることで、いわゆるチャレンジ25と言われる目標がどのような形で達成されていくのか。雇用についても、どういう形をやることで将来失業率を3%台に押し下げながら、きちんとしたセーフティネットを張ることができるか。さらに科学技術においても、若い人のこういった分野への積極的な参加をどのような形なら見出すことができるか等々、成長戦略との関連で、一つは全体を推し進めていくことが必要かなと、このようにも思っております。

 と同時に、戦略室としては国会対応という問題がありますので、これも現在の戦略室のスタッフ約20名だけでは、今申し上げたようなことと国会対応の両方をやり切るのはなかなか難しいところもありますので、この間も、内閣府の皆さんにもかなりフォローをしていただいたり、あるいは参加をしていただいておりますが、場合によっては、さらに官房の中のいろいろな部局の皆さんにも協力をいただくような、そういう体制もつくっていきたいと、このように考えております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日航問題に関連して、2点お伺いをいたします。
 まず1点目ですけれども、日航の西松社長が、報道機関の取材、インタビューに対して、いわゆる再建のスキームに関して、法的整理については反対する姿勢を明確にされておられますけれども、それについての受けとめを伺いたいというのが1点目です。
 2点目ですけれども、年末年始と、この日航問題で副総理も関係する閣僚、副大臣と会議を持たれましたが、副総理のお立場で、今回のこの日航の再建問題において留意している点というのか、気をつけて、この再建においてポイントとする点、気をつけなくちゃいけないと思っていらっしゃる点がどういうところにあるのか、それを伺いたいと思います。以上、2点です。
(答)私の立場は、一つは再生支援機構を所管する経済財政担当という立場と、ある意味で、この問題は国交省、財務省そしてこの支援機構を所管する私のところの、省庁を超えた課題でもあると。そういう中で、総理からも副総理としての私に少し汗をかいてくれという趣旨の話もいただいております。そういう両面で、この問題にかかわっているところです。
 ただ、私としては、どういうふうな形でJALの再建の道筋をつくっていくのかというのは、第一義的には、支援決定がなされればもちろんですけれども、基本的には支援機構を軸にして、メインバンクを含めたJALに対して債権を持たれている銀行等との連携の中で、そして所管官庁である国交省と十分意見交換をする中で方向性を見いだされるものだと、またそうあるべきだと思っております。ですから、私が直接、今のJALの社長がこう言っているからどうだとか、ああ言っているからどうだということは差し控えておきたいと思っております。
 ポイントも結果的には同じようなことでありますが、私が何か、こういう方向がいいんだとかああいう方向じゃだめなんだということを言うのではなくて、いろんな立場の人たちがその立場の中で、しっかり責任を持って、JALの再建を実現する上で、私が全体のことを見ながらやらなければいけないことがあればやっていくと。そういう視点を持って対応することが重要かなと、そんなふうに思っております。
(問)先ほど、内閣官房と行政刷新会議と戦略室で、実質207兆円の総見直しに取り組む、総点検というのですか、具体的に特にこういう論点があるんじゃないかというのをお示しいただきたいのと、その中で例えばマニフェストは特会の整理、廃止ですとか、あと公務員の人件費削減構想もうたっていますが、あと契約の適正化、その辺は論点としていくお考えはありますか。
(答)ちょっと私の表現が悪かったのか、あるいは理解が若干あれなのかは別として、それらに全部戦略室が、あるいは私が関わって取り組むということとは、ちょっと趣旨が違います。つまりは、まず国会が始まるまでに、すべての閣僚を含めて内閣全体として、今年中にはこういうことが大きな課題だなということの共通認識を持とうではないかと。それで全体会議もやりますけれども、その中で大きな課題が、先ほど言った207兆円の国の総予算を全面的に組み替えて、かなりの無駄を省くというマニフェストをいかにして実現していくか。そういう認識を共有化するために、全体会議と同時に、場合によっては官房長官なり副長官と仙谷大臣と私を含めて、各省庁の政務三役と意見交換をしたらどうだろうかと。主にそれぞれの省庁の三役に、その問題を取り組んでもらうことと同時に、全体としては行政刷新会議が中心となって、それを推し進めると、そういう役割分担になるのではないかなと。私のところは、ある意味では国会が始まるまでのスタートをそういう形でお手伝いをしようかということです。
(問)年頭の会見なので、この1年間、戦略室としてどういう仕事をしていくかというお話を聞きたいんですが、予算編成のあり方検討委員会の論点整理では、平成23年から25年度に3年間の中期財政フレームをつくることとか、あるいはその前提として財政規律を定めた財政運営戦略を定めることなどが出ていますが、これらをどの時期に、どのようにやっていくか。それから今後、12月の予算編成に向けて、どんなスケジュール感で物事を進めていくかというあたりをお聞かせください。
(答)今も申し上げているように、国家戦略室自身が中心になってやるべきことと、ある意味で国家戦略室ないしは私、副総理という立場で、内閣全体が取り組むべきことについて、ある意味でタイムリーに物事が進むように、全体を見ながらプッシュしたり、必要な打ち合わせをしたりすることと、二つ大きく言えば分野があると思っています。
 今質問いただいたのは、どちらかというと戦略室自身がやるという課題について質問いただいたわけですが、戦略室は税財政の基本方針を検討するというか、そういう役目もいただいておりまして、例えば納税番号の問題とか、あるいは中期財政フレームをつくるとか、あるいは既に閣議決定もしてありますけれども、予算の執行状況をオープンにして、それを国民の目から見て、あの100億円がどう使われているのかということがわかるようにしていくとか、そういった課題については、国家戦略室自身が先導していかなければならない課題だと思っています。時期的にはというのも、できればその1年間の工程表を少し、明日から三役会議をやりますけれども、そう遅れない段階で工程表をつくって、いつごろまでにこれはめどをつけるとか、そういうこともつくっていきたいと思っています。
 そんな中で、先ほど申し上げたように、まず大きいほうの意味では最初に申し上げたように、マニフェストについて、この3カ月半のいろんな反省も含めて、この段階での総点検をする中で、さらにこれからどのように推し進めていくかと、それに着手することがまず必要かなと。それを今日、明日以降着手しておけば、全体としてはスケジュールに、何ていいましょうか、押せ押せになるのではなくて、先手先手で踏み出せるだろうというふうに思っております。
(問)先ほどの日航の問題で関連なんですが、副総理は法的整理のほうは容認しているのではないかというような報道もございますが、改めて法的整理について容認されるつもりなのかということと、あと全然別件ですけれども、先ほど国家ビジョン研究会というのが、総理といろいろな識者の方でお集まりになってやられていたんですが、これは国家戦略室とは関係ないという理解でよろしいのか、その2点をお願いします。
(答)その2点目は、ちょっと私、承知しておりませんので、現時点では私のレベルでは関係していません。
 それから1点目の質問は、これは先ほど申し上げたように、いろいろな議論があることは私なりに承知をしております。しかし、私がこういう形がいいだろう、ああいう形が悪いだろうというふうな形で申し上げないほうがいいのではないかと。また、必ずしもそういうことを決めつけて、何か考えているわけでもありません。私の立場からすれば、先ほど申し上げたように、支援機構が中心になって、そして関係する金融機関、さらにはJAL自身についてももちろん御意見があるでしょうし、そして国土交通省という所管官庁としっかり話し合いをする中で、しかしやはり、ある段階では、きちっとリーダーシップを持って物事を進めると。それは支援決定があった段階ではありますけれども、決定があった段階では支援機構がその中心になるというのが、いろいろな意味での仕組みから来る責任体制だと思っておりますので、そこを中心に議論をしていただきたいと思っております。

(以上)