菅大臣記者会見要旨 平成21年10月1日

(平成21年10月1日(木) 16:52~17:11  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の定例会見を始めたいと思います。

 今日は、鳩山総理と一緒に、若田宇宙飛行士にお会いいたしました。大変楽しい時間でありまして、いろいろな現状なり経験談の話を伺いました。スペースシャトルが、そう遠くない時期に退役するということで、宇宙ステーションに人を送ることができるのは、その後はロシアのロケットに頼ることになるという話がありまして、最近、何か─あれは何というのですかね、宇宙エレベーターというのですか、そうした宇宙船までエレベーターで行けるような案があるそうで、そういうことが可能になるかななどという話も聞きました。総理も、非常に興味深く話をされていまして、宇宙という分野についてもぜひ力を入れていきたいという、そういう趣旨の話を総理もされておりましたし、私も同感の意を表しておきました。

 また、午後には、基本政策専門調査会という第4次の科学技術基本計画を立てるスタートの会がありまして、冒頭、私も出席いたしました。その中で、子供たちがサッカー選手や野球選手を夢見るのと同じように、科学技術者として、例えばノーベル賞を受賞するような学者になることを夢見るような、そういう子供たちに対するインセンティブというのか、そういうことについてもぜひそうした議論の中でできれば検討していただきたい、こういうお願いも申し上げておきました。

 その後は、インフルエンザ対策会議、さらには閣議と続いたわけですが、それはもう官房長官から報告があったようですので、私からは特に申し上げることはありません。

 以上です。

2.質疑応答

(問)補正予算の執行見直しについてお伺いいたします。明日が各省からの報告期限ということになっておると思いますが、その報告内容について、先ほど官房長官は、明日の段階では公表するお考えはないということでしたけれども、やはり公表すべきではないかというふうに考えるのですが、まずこれについて、副総理の御所見を伺いたいと思います。
(答)国家戦略室という形でいえば、私のところにも報告をいただくという仕組みになっております。ただ、主には行政刷新会議のほうで、その後の取り扱いの、いわば担当するという扱いと理解いたしております。公表する、しないというのは、別に秘密であるとかないというのと趣旨が違いまして、いったん数字がひとり歩きし始めると、それ自体がまた一つの次の段階に進むときの障害になることもあり得るという趣旨で、必ずしも機械的な公表ということにはならないというふうに言われたのではないかと私は理解しておりますし、いずれにしても、最終的には明らかになることですので、そのプロセスということで御理解いただけるのではないかと思います。
(問)とはいえども、昨日の段階で、いったん各省庁というか、各省の政務三役が、一つの形で、ある種、公的な決定として出してくるものであって、それは省庁ベースでの発表というのは、私は可能ではないかと思うのですが、また、副総理がかかわっておられる予算編成のあり方検討会というところで、予算編成のいわゆる過程の透明化が重要だというような指摘もあったと思います。その指摘に反するようなことにもなるのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
(答)率直に言って、すべてが新しい原理における政権運営の中での初めての試みというか経験を、すべてやっているわけです。これまで、これほどの大型の補正が本予算直後に組まれて選挙に突入したということもありませんし、これだけ本格的な政権交代が起きたということもありませんので、その中でこの15兆円にも上る補正予算を見直しているわけですから、まずはいろいろな試行錯誤があるということで、あまり今から画一的に「これでどうだ」ということではないと私は思っています。
(問)今日の午前中なのですけれども、日銀短観が出まして、若干の持ち直しがあったようなのですけれども、一方で、今日、東京株式市場は1万円を割り込むと。さらに、消費や設備投資もまだ回復の兆しが見えていないと、そういう状況だと思うのですけれども、今の経済状況をどのように御覧になっているのかということと、あと、自律的な回復に持っていくためにどういうふうな対策を、副総理自身、お考えになっているか。この2点についてお願いします。
(答)日銀短観の理解は、今の質問とそう遠くありませんが、やはり大企業における改善の見通しが増えているという一方で、中小はまだそれほど大きくはそうした見通しが強まっていないのに加えて、いわゆる設備投資の面では、かなりまだ厳しいという、そういうふうに見ております。そういう意味では、改善の動きが続いているとはいっても、非製造業や中小企業などの改善が遅れている上に、設備投資も大きく減少しておりますので、下振れのリスクも存在している。先行きを相当注意深く、きめ細かく見る必要がある、こう思っております。
 自律的回復という、その手段はということでありますが、私から「具体的にこうすればこうなる」というところまでは申し上げられませんが、やはり政府支出というものが、こういう状況の中でありますから、景気を支える一つの柱になること、やはりそういう役割を担うことは必要だと思っておりまして、ただ、その中身について、従来の、それこそ麻生政権におけるそうした、具体的には補正予算でありますけれども、その中身については見直す必要があるけれども、政府支出という柱での景気の下支えということについては、その必要性は今までもあったし今からもある、このように認識し、その中でまさに自律的な回復につなげていきたい。その間の政府支出による下支えは必要だ、こういう認識でおります。
(問)そうしますと、第2次の補正予算案の編成というのも視野に入ってくるということになるのでしょうか。
(答)これは、いろいろな要素、つまりは次の臨時国会を、どういう時期に、どういう期間、どういう性格でやるかということとまさに一体の問題でありますので、経済財政という側面だけで物事を判断できませんけれども、選択肢として初めから一切考えないということではないだろう。だからといって、補正予算を組むということを、では決めたのかとか考えているのかといえば、今申し上げた程度の段階だろう。一切なしとは言わないけれども、やるということを決めたわけでもない、こういう状況です。
(問)昨日の政務三役の後の古川副大臣の会見で、国債発行と歳出の規模は戦略室のほうで決めるというような発言を副大臣がされているのです。これは確認なのですけれども、大臣も同じ認識でよろしいのかということと、時期的なめど、それぞれ国債発行と歳出は、いつぐらいの時期の発表をお考えになっているのか、この2点をお願いいたします。
(答)その発言について、藤井財務大臣からも、大きく言えば一緒にやることになるだろうという趣旨の話があったというのも聞いております。
 いずれにしても、国家戦略室という立場と、さらに経済財政担当というマクロ経済を預かる立場と2つが重なって、古川副大臣もその担当でありますので、そういうことを考えれば、古川副大臣の発言というのは、ある意味では当然のことだろうと。しかし、一方、当然、藤井財務大臣とのしっかりした連携の上でということもこれまた当然だと、こう思っております。
(問)今の質問に関連しますが、国債の発行枠ですとか、予算全体の規模ということになりますと、今まで財務省がかなり主体的にやっていた部分を、戦略室に権限が来るように見えますし、これも先日来の予算の枠の中で、大臣は要求だけではなくて査定大臣をやってくれというようなことで、査定という、ある意味、財務省にあった権限も、やはり各省になっているということで、かなり財務省の権限が従来と変わるというか分かれていく、そういう今後のあり方というイメージを何か副総理はお持ちなのか、どういった形で考えているのか伺いたいのですが。
(答)どうも、皆さんは権限という言葉をいろいろ言うことによって、何か内閣の中の権限争いということにつなげたいという、私の勘ぐりかもしれませんが、何となくそういう意図を非常に強く感じるのですね。ですから、私はそういう権限という御質問であれば、別に権限争いをするつもりはありません。
 ただ、一つの例ですけれども、イギリスにおける予算編成の場合には、複数年度とか、あるいは歳出ではなくて、歳入の見積もりをまず固めてから歳出を決めていくとか、そういういろいろな予算編成のやり方、あり方があるわけですから、そういう中で、今、そういう仕組みの問題としては、そういったこともまさに議論し始めていることは、皆さんも御承知のとおりです。
 ただ、それを来年度からすべて取り入れるということにはならない。取り入れられるものは取り入れるし、取り入れるには時間が不足するものは、取り入れることはまたその先になるわけですから、そういう中では、冒頭申し上げましたように、すべてが新しい原理で、新しい状況の中で動き出しているわけですから、私は従来の財務省の権限との関係というよりは、新しいこの鳩山内閣での国家戦略室と財務省を含む、そういうそれぞれの立場が連携してやっていくことだと。それ以上、言いようがないですね。
(問)来年度の予算を、当然これから考えるということでもあると思うのですけれども、今後の財政の中・長期の見通しであるとか、そういった部分に関しては、いつごろどういった形でまとめていくのか。こういった景気が悪い中で、財政再建ということはなかなか言いにくいとは思いますけれども、中・長期の見通しというのは戦略室としてどういうふうに考えていくのか、その点はどういうふうにお考えですか。
(答)マニフェストそのものが、3年ないしは4年の一つの展望の中で組まれているわけです。ですから、私たちとしては、そういう3年ないし4年という中期的な展望と、現在の状況、まさに昨年のリーマン・ブラザーズの破綻から始まって、大きく金融・経済危機が来て、それがやや回復というのか、一時的な危機からの脱却を世界的にも少しは示している中で、先ほど申し上げたように、日本についてはまだまだ下振れのリスクもあって厳しい状態だという認識を申し上げたわけですから、そういう中期的な視点と短期的な視点を、ある程度、両方持たざるを得ない。必ずしも、それが矛盾なく持てるということではなくて、短期的な視点で対応しなければいけない場合には、中・長期の視点からいえば矛盾することも、場合によってはやらざるを得ない、そういう認識に立っております。
 ですから、仕組みの問題等についてはいろいろ議論を始めておりますが、中期的・長期的なことについて、今、例えば数字とか経済見通しを含めて、まだ言える状況にはありません。
(問)補正予算の見直しについて、もう1点お願いします。副総理が管轄される最先端研究開発支援プログラム、2,700億円の基金について、明日どのような報告ができるか、現在の作業の進捗状況と、少なくともこれくらいの額は報告できるという、その辺の見通しについてお伺いしたいのですが。
(答)各大臣、それぞれいろいろ御苦労されているわけで、私には2つの立場があります。1つは科学技術担当大臣という立場であり、もう一つは国家戦略担当大臣という立場もあります。そういうことを含めて、最終的には政務三役で議論して、また関連するところとも若干の意見交換をして、何らかの方向性は打ち出していきたい、こう思っております。
 ただ、先ほどのお話のように、ほかのところの扱いもどうなるかわかりませんが、私は出す立場と受け取る立場と両方ありますので、必ずしも皆さんにすぐに見える形で申し上げる形になるのか、もう少し次の段階に至る中で最終的な公表できる形になるのか、そこは全体の動きを見ながら判断していきたい、こう思います。

(以上)