原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月30日

(平成22年7月30日(金) 10:39~11:02  於:会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私の方から主に3点申し上げます。
今日、閣議において、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果の報告を行わせていただきました。詳細については、消費者物価指数、あるいは失業率の推移、これは事務方の方からお話をさせていただきます。
2点目は、概算要求についての指針、その閣議決定を受けて、政務三役で総務省としての予算編成に当たる方針について議論をいたしました。そのことについてお話をいたします。一割一律の削減ということ、これは最低ラインであるということを申し上げました。シーリングでも何でもない。むしろそれは昨夏の衆議院選挙マニフェストで、207兆円を組み替えると。最低10%は組み替えることができるといった、それの延長線上だというふうに私たちは考えています。これを最低ラインとして、総務省としたらプラスアルファ。例えて言うと更に10%切り込んで、そして、それを重点配賦させていただきたいというふうに考えています。これ一回、政務三役と記者懇談会をやらせていただいても結構ですが、総務省の政策的経費、それから、義務的経費。この義務的な経費と、いわゆる言われているものの中には、基地交付金であるとか、あるいは政党交付金といったものもございます。もちろんこれは法律によって決まっているものでございますので、ここに手を着けるとすると、法律の改正といったことも必要ですが、この厳しい財政状況の中で、私共としたら、すべてをゼロベースで、聖域なく議論していくことが必要ではないかというふうに考えております。すなわち、政党交付金、もちろんこれは国会がお決めになることでございますけれども、こういったものについても、私たちはどのような姿勢で臨むのか。官邸の方からは、すべてを、各省一割削減ということを言われているわけですけれども、こういったものを除外するのか、そうでないのか。このことについても議論をいたしました。総務省政務三役としては、あくまで国会の御判断、各党各会派の御判断ということを踏まえながらも、一つの政策材料をお示しすることが必要ではないかという結論に至りました。なお、この過程はオープンにして、できるだけ皆様、国民の代表として記事をお書きになり、お伝えを頂いておりますので、具体的な作業が、まず第一弾が8月の中旬ぐらいに一つの方向性が出ますが、その前にでも、記者懇談会という形で少し御説明をし、また、皆様からの御意見を頂く機会をつくりたいというふうに考えております。では、そのプラスアルファを積極的にどこに使うのか。一つは安心・安全のところでございます。昨日、秩父山中での救助に当たられていた方々の告別式、その中のお一人の告別式に出て参りました。7歳と 8歳というお子様を残して、どんなにか心残りであったか。改めてこの場を借りてお悔やみを申し上げますとともに、消防の、命の危険と隣り合わせ、背中合わせの中で頑張ってくださっている全国の皆様に、お礼を申し上げたいというふうに思います。昨日も再度指示をいたしましたけれども、こういう方々が、これ原因究明、今、精力的に進められていると認識をしていますが、二度とこのようなことが起こらないように。ちょうどこの中にも御一緒された方がいらっしゃいますが、北九州で私も、7月の中ごろに視察をした同型機でございました。埼玉県知事ともお話をさせていただきまして、埼玉県はこういう防災ヘリ、これを2機持ち、そして、オーバーホールをしながら運用をしているということでございましたけれども、どれだけ多くの方々の命を救ったか分からない。その救急救助の現場に当たる方が、自ら命を落とされるということで、有ってはならない事故でございました。引き続き万全の支援と対策ができるようにという指示をいたしました。こういう安全・安心のところへ、しっかりと傾注をしていきたい。もう一つは、私たちが緑の分権改革、ICT維新ビジョン、これでお示しをした、積極的な、国を開き、そして、国民一人一人の尊厳と、そして、成長の源泉となる教育、これを増やす。その部分に予算を重点配分させていただきたいというふうに考えています。また、具体的なところについては御質問の中で、お答えをさせていただきたいと思います。
3点目ですが、これも閣僚懇談会でお話をさせていただきましたが、レガシーシステムです。税金の無駄遣いを徹底的に無くすというのが、私たちが国民にお約束をしたことであります。今、レガシーマップというものをつくっています。レガシーというのは何かというと、各省庁が持っているコンピュータのシステムで、開発事業者独自の仕様のコンピュータを使用している、あるいは随意契約が長期にわたって、もう正に今では多くのところでは使われてもいない、そういったものが各省、古い遺産のような、いや、遺産という言葉は産になるので、むしろ遺物と言った方が的確だと思いますけれども、遺物が残っている。しかも、それがどこにどれぐらいあって、どれぐらいの更新がされているかといったことも、中央で管理をしていない。マップさえないという状況でございました。それを、マップをつくりなさい。まずは現状を把握することから税金の無駄遣いを変えるのだということで指示をしてきたわけでございまして、ようやっと全体像の、どこで何年に契約をされ、そして、それがどのような状況になっているかというのが少しずつ分かり始めました。今日、閣僚懇談会において、このようなレガシーシステムをはじめとする政府情報システム全体の改革の進め方について整理し、政府が一体となって改革を進めていく。より一層の情報システム刷新を進めるということを私の方から申し上げ、各大臣に対して、まずはこの概算要求段階において厳しくチェックをし、そして、私共が民間の方々からヒアリングをしたところによると、レガシー屋さんという方々がおられて、本来はもっと前にシステムが進んでいるにもかかわらず、そこで大きな利益を得ているのではないかと、こういう御指摘をたくさん頂いてきました。外の目も入れながら、厳しくチェックをするようにということで、御協力の要請をしたところでございます。
最後に、参議院選挙の総括について、昨日、両院議員総会で様々な御意見が出ました。衆議院選挙マニフェスト、そのマニフェストで約束をしたことを守られていないのではないか。それをほごにしたのではないか。中には、厳しい御指摘では、嘘つきとまで言われたということでございました。閣僚懇談会で、私と数人の大臣で、財源は有ると言ったその中身をつまびらかにし、そして、その検証をすべきだということで、ずっと言ってきたわけでございます。マニフェストをつくる策定段階の中で、例えば人件費1.1兆円、これをどう削減するか。これは総務省で階大臣政務官のところで、一つの方向性を出しています。また、6.1 兆円。これは事務費や様々な経費を縮減する、あるいは国と地方の関係を変える、そこで出してくる6.1兆円。この中身についても、総務省として、きっちり精査をし、それが食言ではなかったということを証明したいというふうに考えております。このような総括があって初めて、私たちは明日への国民の皆さんの信頼をつなぎ止めることができるというふうに考えますし、改革を実行できるというふうに考えています。私は菅内閣の閣僚の一人でございますので、この任期中、菅総理をしっかりと支えて、そして、内閣が一体となって国民の皆さんに対する、国民の皆様からの御付託にこたえていく、これが必要だというふうに考えています。最後に1点ですけれども、私は昨日の総括を聞いてみて、政権交代をしていて、その政権交代をしたこの内閣が抱える、これは菅内閣とだけは限りません、鳩山内閣でもそうでしたけれども、その構造的な問題について認識を一致させ、議論をすることなくして私たちの変革は前に進まないのではないかということを、昨日の多くの同志の意見を聞きながら感じたところでございます。引き続き、総理を中心に私たちは変革の姿を官僚社会主義とも言われる中央集権の体制を、地域主権改革によって変えることによって、国民の手に政治を取り戻してまいりたいと、このように考えているところでございます。
私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の時事通信の阿萬です。1点、今、かなりもうお述べいただいたのですけれども、昨日の参院選の敗北を総括する両院議員総会で、首相自ら、増税発言が敗因になったということで陳謝されて、それに対してかなり批判的な意見も出ていたようですが、今、総務省として所管されている分野の総括のお話をされたのですけれども、今後、首相をはじめですね、政府全体で続投する場合にどういうことに取り組むべきだというふうに受け止めていらっしゃるかお願いします。
(答)今申し上げたとおり、構造的な要因について、議論をすることなく前には進まないというふうに考えます。総理は、御自身が消費税発言が唐突であったということを率直にお述べになっておられます。その唐突であったこと、それは総理がそうおっしゃっているので、唐突感を国民の皆様が抱かれた、そして、税金の無駄遣いを徹底的に無くすと言いながら、それをあきらめたのかと。弱い立場の人にそれを転嫁するのかという強い怒りを国民の皆さんがお持ちになったということが、昨日の中で多くの議員から出たところでございます。ただ、それが単に唐突であっただけなのかと。総理はいろいろなことを準備深くなさる方でございますので、総理がそのような言葉を発せられた背景、あるいは私たちはここで常に申し上げています。成長なくして財政再建無し。目先の税収を取りに行って、そして、今までどれほど多くの失敗を重ねてきたか。その失敗と同じ失敗をまた民主党政権も繰り返すのかといったことについての、やはり更なる構造的な、今までの財政だけで見ても、これは私の所管ですから、税というところで地方税、あるいは政府税調といった中でも議論を詰めていかなければいけないところだというふうに考えています。
(問)朝日新聞の伊東です。よろしくお願いします。
(答)はい、よろしくお願いします。
(問)大臣、冒頭の御発言で、政党交付金も聖域ではないとおっしゃったのですが、記者懇談会などもやって、オープンに何かやりたいと。もう少し具体的に、予算削減の中で政党交付金も聖域ではないと。もちろん国会などの意思も踏まえてということなのでしょうが、例えば、これだけ減らすとか、こういうことが考えられるのではないかという総務省としての論点を出して、それを国会に提示するとか、それで何かオープンな議論をするのか、もう少し具体的に。
(答)まずは皆さんに、総務省予算といっても、地方交付税のように独自に地方財政計画で決まっているもの、これが有ります。それ以外に、先ほど申し上げました裁量的経費。いわゆる政策的経費、これが大体幾らあるのか。そこをどれぐらい深掘りするのか。それから、もう一つ申し上げた義務的経費。それに、今申し上げたような基地交付金とか、あるいは政党交付金、こういったものが入っているわけです。これも総務省の予算という形で、概算要求をするわけでございます。その全体像について、まず国民の皆さんに、しっかりと皆さんの御認識を通して伝えていただきたい。これが、まず第一点です。全体のフレームワーク。つまり、大きく分けて、今言っている三つの流れ。この三つの流れが、では、交付金については別枠で議論をするのか。政策的経費、裁量的経費だけを一割プラスアルファ、例えば二割削減するのか。それとも、義務的経費についても、法律を変えてまでも変えるのか。いや、逆に義務的経費というのは、今までどおりの水準でいいのか。ほかの政策的経費を減らす中で、義務的経費については触らないでいいのか、いや、触るのか。こういったことも私たち自身が、これはあくまで国会が御判断されることであります。国会での法律の変更なしにはできないということを前提にしても、議論のそ上として総務省が預かる予算については、聖域なくオープンにし、どこをどう変えていくのだ、いや、変えていったのだということが、概算要求の中でも分かるようにしたいというのが、私の意図でございます。ちょっと絵を持ってくれば分かり易かったと思いますので、次回、それをもう少し詰めてお話をさせていただきたいと思います。
(問)フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。ちょっとお伺いしたいのですけれども、今の地方交付税もということなのですが、例えば2000 年に、地方税法が改正されて、法定外税の拡充が行われているのですけれども、こういったことは、例えば財政再建に対して、大臣は念頭に有ったりということはございますでしょうか。
(答)そうですね。今までの税制改正の中でどういう改革が行われてきたか。そういったことも踏まえて、これは税調で議論する話ですね。外税の話は。地方交付税というのは、今回1.1兆円増やさせていただきましたが、そういう政治的な様々な意思がどれぐらい入ってくるのか。法定率の引上げのことも私たちは議論をしています。今申し上げたのは、地方交付税という、いわゆる、ある意味計算式がしっかり成り立ってやっているものと、それ以外のものと、どう切り分けるかということを議論したいということでございます。御理解を頂ければと思います。
(問)交付税のことでお聞きしたいのですけれども。日経新聞の中村です。玄葉大臣がですね、来年度予算の特別枠に関連して、地方の税収が増えれば地方交付税が減るので、その部分を特別枠の方に持って行ける部分があるのではないかとかいう発言をされていますけれども、内閣として、内閣全体として何か共有されている認識なのでしょうか。
(答)ちょっと御質問の意図と趣旨が分からないのですが、玄葉大臣のその発言の、私、認識しておりませんで、一般論として、地方の税収が増えればその分、地方交付税によって穴埋めする額というのは減るわけです。その一般論の話をされているとしたらそのとおりであります。しかし、全体的に、地方は大きな減収を抱えているわけでございまして、今回、概算要求基準の中にもございましたように、昨年と同水準のものを確保すると。これが政府の統一した考え方です。
(問)読売新聞の古川です。おはようございます。大臣が冒頭おっしゃっていた、参議院選挙の総括に絡んで、昨日菅さんは、御自分の執行部の続投と、それから、今度の代表選で、御自分の実績も含めて審判を受けたいとおっしゃっていましたが、大臣は、菅総理大臣が代表選に出るということを支持なさっているのか、それとも先ほどのお話だと、現内閣の閣僚としての任期中は総理を支えると。それ以降についてはどうなのかというふうにも聞こえるのですが、その辺はいかがでしょうか。御自分のお考えも含めてお聞かせいただければと思います。
(答)私は菅内閣の閣僚です。菅総理を支えて、そして、国民の付託にこたえる。これ以上でもありませんし、これ以下でもありません。
(問)テレビ東京の阿部です。鹿児島県の阿久根市の問題なのですけれども、あそこは、専決処分で物事を決めていると。議会が開かれていないという状態が続いているわけですが、先週も鹿児島県知事から二度目の是正勧告が出たにもかかわらず、またその二日後に専決処分で副市長を選任するということになっているわけですけれども、大臣は阿久根市の状況をどんなふうに考えていますか。
(答)これは一般論としてでございますが、地方自治法上、違法な状況が続くということは、総務大臣として看過できません。もちろんこれは法律に基づいて、例えば阿久根市については、専決処分等の事務処理が法令の規定に違反すると認められるとして、鹿児島県知事は阿久根市長に対して、地方自治法に基づく是正勧告、これを行ったところでございます。地方自治法第162条において、副知事及び副市町村長は、普通地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを選任すると規定をしているわけでございます。地方自治法に定める議会の権能、そして、議会に託された民意といったものに反して、それをすることはできないわけでございます。一般論としてですが、地方自治法が破られることについては、非常に危ぐをしています。強い関心を持っています。政務三役会議でも議論をいたしました。そして、どのような対応ができるのか。もちろん、特殊な事案をもって地域主権改革、今までは地方に様々な権限をお渡しをすると。ただ、その中でも、議会というものが有って初めて成り立つものでございまして、今、地方行財政検討会議の中でも、地方議会と執行部の在り方、そういったことについても鋭意議論を頂いているところでございます。一つの方向性、これは、法の不備でも何でもなくて、法の違反と言われる事態について、総務省としてどのように対応できるか、更に検討していきたいと思っています。
(問)9月議会も開かれないかもしれないという、そういう地元の不安なんかも聞いてきたのですけれども、具体的にいつまで、もしくはどういったことを対策として打ち出すのでしょうか。
(答)そうですね。これ地方自治なので、私たち、この短い、後1分ぐらいで言えませんので、少し時間を、改めて言わせていただけるとありがたいです。短い時間で誤解が広がるのをちょっと恐れます。
(問)もう時間がないので。よろしいですね。どうもありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)