原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月13日

(平成22年7月13日(火) 10:34~11:00  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議後の記者会見を行わせていただきます。
 まず、参議院選挙でございますが、全国比例で一番の得票を頂いたものの、選挙区選挙で改選の議席で自民党に第一党の座を奪還されるという、大変厳しい結果になりました。特に一人区において、今まで築いてきた多くの状況が逆転をするということになりました。地域主権改革を進めて、そして、地域から日本を変えるということをやってきたわけですが、この方向は絶対に間違っていないというふうに思います。ただ、昨日、それから今日も、幾人かの同志と話をしましたが、厳しい総括をして、そして、この10か月間、私たちの政権運営そのものに対しても、謙虚さや、あるいは反省といったものをしっかりと踏まえながら、やはりこれまでの野党とは違って、権力を握っているのだ、国民の生命、財産、それを預かっているのだということで、しっかりと自覚を持って党を再生させていきたいと、こう考えています。特に、改革の旗を私たちは奪われたとき、例えば、これ2005年の小泉郵政選挙です。あの民営化が改革だったと思う方々はもう少なくなってきていますけれども、当時はそれが改革で、民主党は当時の小泉政権に改革の旗を奪われたわけです。今回、私たちは、自民党が分裂して、多くの、その中から自民党籍を過去持っていた人たちが代表となった政党ができました。私たちからすると、その中で、特にみんなの党ですが、変革の旗頭を一部取られているのではないか。その取られた中で、自公の固い岩盤に支えられた地方組織、これと戦うには、あまりにもまだ私たちは力が足りない。このところをきっちり反省をし、総括をしたいというふうに考えています。また、マニフェスト、私は前回の衆議院マニフェストは、今も生きているし、その約束はたがえてはならないというふうに考えています。これは前原大臣や多くの仲間とも話をしていますが、では、あの207兆円の組替えというのは一体何だったのか。そのうちの幾つかが税の組替えであります。例えば控除を無くして、そして、その分を子ども手当にする、控除から手当へという流れ。それから、税の無駄食いを正す。特措法、租税特別措置法や、あるいは地域主権改革といったこと。あるいは、公務員制度そのものを変えて、働き方そのものを変える。国のかたちそのものを変えるということで生まれてくる財源。それから、いわゆる埋蔵金と言われる特別会計への切込み。これは事業仕分けでやっているわけです。そういったものをきっちりお示しして、総括をしないままに増税というふうにとらえられることは絶対にあってはならないと考えています。地方は、この20年間、長期政権による弊害もあり、経済の停滞を招いてきました。やっと一息をついて、明るい光がほのかに見え出したところで、また厳しい増税が来るのかというような声も、私、一人区を回っていて随分聞きました。そうではないのだと。私たちは鼻血が出ないぐらいやって、歳入・歳出の構造改革を一体的に取り組むのだと言っても、なかなかそれが御理解を頂くことができませんでした。こういったことも含めて総括をしながら、政権の、更に丁寧に説明をし、野党の皆さんにも御理解をしっかりといただくと。その後ろにやはり国民がいらっしゃるのだということ。その原点を踏まえて、民主党は総括がない、あるいはけじめがないなどということが絶対に無いように、私たちは指導力を発揮してまいりたいというふうに考えています。これが1点目です。参議院選挙、記者の皆さんも、本当にいろいろなところで大変な御助力を下さいました。ありがとうございました。お疲れになったことかと思います。いやしてくださいと私が言える立場ではございませんで、各地約40か所、私、参りましたので、その間御同行された方も、大変ハードなスケジュールだったと思います。そのことも併せて御慰労申し上げて、参議院選挙についてのコメントにいたします。争点や様々なことについては、今日は申し上げませんが、まずはこの参議院選挙に多くの御支持を頂いた国民の皆さんに御礼を申し上げ、また、変革の一部御失望を与えていたということについてもお詫びを申し上げて、参議院選挙についてのコメントを閉じたいというふうに思います。
 それから、今日の閣議で、国の行政機関の法令等遵守、いわゆる裏金も含めたですね、会計経理の適正化に関する調査の結果に基づく勧告を全府省に対して実施をするということを閣議の中で申し上げました。この勧告においては、一、法令等遵守態勢に関する平成21年3月の勧告事項の改善の促進。二、年度末の予算の使い切り。これも、私たち総務省で、枝野当時行政刷新担当大臣と、総務省だけの予算で言っても1,000億円節減することができましたが、こういう予算の使い切りという慣習を是正する取組の徹底等による不適正な会計経理防止対策の推進。使い切らなければいけないから、多少無駄だと思い、あるいは無理な予算でも使い切ってしまう。これが正に今までの長期政権のうみだったわけですから、それを出し切る。それから、三、内部監査、会計監査の強化の勧告。これを各閣僚に対して、今回の勧告の趣旨を御理解いただき、会計経理の適正化に向けて、実効性のある取組の推進を要請いたしました。
 また、三番目ですが、日本郵政、今回、システム異常といったことも起きています。この分社化在りきの民営化によって、かなりいろいろなものが傷んでいます。この間は、ゆうパックでございました。今日の政務三役会議で、そのほかにも同種のことがないのか。例えば、信書便や、そういったことについてのトラブルといったことが無いのか。担当を呼んで報告を受けて、そして、総務省として厳しい、国民の信頼にこたえられる日本郵政と、そういったものについて議論をしてみたいというふうに考えています。
 これで最後です。今日発表いたします予定でございました、いわゆる公務員の天下り。これの再就職状況調査、手元にまいりました。今日の閣僚懇談会で、私の方からその結果について、各閣僚に申し上げました。今日、この結果を発表するには至りません。と申しますのは、この結果に基づき、各省に、いわゆる細部にわたる詰めを今日要請いたしました。つまり、人質型天下りと言いながら、どういう人質、どういう所管のあるところに天下っている。では、どういう所管、つまり、検査であるとか、あるいは規制の権限であるとか、そういったものの権限と天下りの関係、これの精査を要請したところでございます。また、これを無くす各省の方策。総務省については、もう事前にずっとやっていましたから、総務省としては、こういうものは、大きなものはございません。ただ、正直に申し上げると、共管の部分で幾つかあるということが報告をされましたので、この共管の部分。ただ、これだけ天下りがあるのですよということを公表するのではなくて、これをどう無くすかということも併せて各省に対策を練らせて、正式な公表にしたいと思っています。人質型天下り、それから、持参金型天下り。つまり、国からの金銭交付関係があるもの。大体、今回の対象は13兆293億円。うち一部ですね、全国健保協会に係る保険等交付金。こういったものを除くと7兆 1,981億円なのですが、この中の持参金型、つまり、天下りを受け入れて、そして国との交付関係、金銭交付関係があるもの。それはどのような関係なのか。補助金なのか、運営費交付金なのか、あるいは基金なのか。こういったことについても更に詳細を調べて、これを根絶するということをやっていきたい。また、平成18年以降、これ前政権の時代ですけれども、創業型天下り。法人を設立している。こういったことについても結果が出ました。なぜそんなことをやっているのか。こういうことをやらないために、どうすればいいのか。三代連続天下りについても、ここで記者会見で怒りをぶちまけましたけれども、出先について、そんなことすら長い時間を掛けなければ調査がまとまらないというのが現状でございました。これがやっとまとまりまして、それをどのように改善をしていくのかということも併せて、各省に要請を今日したところでございます。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の時事通信、阿萬です。
(答)おはようございます。お疲れ様です。
(問)おはようございます。お疲れ様です。参院選の結果について、2点伺わせていただきたいと思います。1点目が、こういう厳しい選挙結果に終わった一番の原因というものは何なのか、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)変革の旗だと思います。私たち民主党政権、これ連立政権ですけれども、負けるときのパターンは大体決まっていますね。変革の旗を他党に奪われ、そして、地力に勝る旧来型の政党に一人区で負ける。こういうパターンです。これは、総理の消費税発言だけにわい小化すべきではないというふうに考えています。むしろ私たちが持っている、野党時代にこの民主党政権を今見たら、私たちは一体何て言うだろうといったことを、もう一回謙虚に、原点に返って考えてみたいというふうに思います。おごりがなかったのか、あるいは政策は私は正しいと思っています。しかし、それを伝える伝え方について問題は無かったのか。あるいは国会でのお願いの仕方についても、更なる丁寧な対応があるのではないか。いろいろなことがこの10か月間、何せ総理が、執行部が変わるというぐらいのことになっているわけです。ただ、申し上げたいのは、明治維新でも、開き直る気は全く無いのですが、10か月であきらめるなんてことは絶対に無いです。国のかたちを変えて、税の使い方を変えて、そして、公務員制度も変えて、地域主権型にすると。この目標は絶対に正しいと考えていますので、変革を進めてまいりたいと思います。
(問)もう1点、衆・参ねじれ国会になるということで、総務省関係でも、郵政、地域主権など、継続審議や廃案になった法案がたくさんあるわけですが、今後こういう厳しい局面をどのように乗り越えていくべきとお考えか、御所見をお願いします。
(答)それはやはり、放送法や電波法でも、前回私たちが野党で示した建設的な議論というものが、とても大事だというふうに思っています。地域主権改革の法案については、衆議院での御審議を待つばかりになっています。是非御理解を頂きたいというふうに思います。厳しいのは、やはり参議院で廃案になったもの。放送法、それから、今おっしゃる郵政改革法案。こういったことについては、やはりねじれが起きていますから、野党の御意見も十分採り入れながら、法案の作成をしなければならないというふうに考えています。
(問)共同通信の林です。おはようございます。
(答)おはようございます。
(問)参院選に絡み、党執行部の責任だとか、あるいは、今後、党執行部がどうあるべきか、その辺を改めてお伺いしたいと思います。
(答)この参議院選挙の総括は、だれも免れられないと思います。400を超える議席を持つ民主党が、今回政権交代後の初の選挙で、全国比例については一番の御支持を頂いたにしろ、参議院、恐らく地方の重みも非常に大きかったわけです。そうしたことからすると、執行部そのものということも含めてですね、いろいろな総括の議論が速やかになされなければならないと考えています。
(問)テレビ朝日の秋山です。来年度予算の編成が本格化しますけれども、去年はシーリングを外したために予算が膨張したということがあると思うのですが、今年はそのシーリングについてどのように臨むべきとお考えでしょうか。
(答)通常の国の予算編成のやり方、つまり、政治が国民からいただいた意思をまず最優先すべき。いわゆる、これ毎回申し上げているのですが、七夕の短冊のように各省から挙がってきたものをクリップ止めして、それにシーリングを掛ける。これだと、古い政治とほとんど変わらないわけです。政務三役の中で意思をしっかりと示して、そして、ここからここまでは、いわゆるP案件、マル政案件だと、ということで予算をしっかりと確保し、そして、これにはもちろん税収の見積もり、歳入・歳出のいわゆるバランス、均衡といったことが求められるわけです。ただ、今、伝えられるところによると、税収の大幅増は見込めません。その見込めない中で、私たちは人件費を大きく変革をしてみたり、今、出先についての仕分け、これ権限仕分けというものをやらせていただきましたが、その中での予算のねん出を含めて、歳入・歳出構造の変革の中で予算編成を行うべきと、こう考えています。単なるキャップや単なるシーリングは、逆に言うと無駄遣いの温存になってしまう。この危険性も一方で踏まえながら、議論を深めていく、予算編成作業を進めていきたいと思っています。
(問)NHKの太田です。すみません、確認なのですけれども、郵政改革法案と放送法について、先ほど野党の考えも入れて法案を作成しなければならないというふうにおっしゃったのですけれども、そうしますと、総務省、政府が法案を提出する段階でもう既に野党側と何らかの協議をして出すと。郵政改革法案は、前回提出した法案とは違う法案が出るというふうなイメージでよろしいのでしょうか。
(答)いえ、そこまで申し上げておりません。放送法については修正の上、参議院に送られた、これ与党修正でございました。実際に国会審議の中で幾つかお話がございましたですね。そういった御議論も踏まえるということが大事だと、放送法について。郵政改革法案、これはそんなに大きなパスは無いのですね。五分社化をどうするかと。国営に戻すなどと、全くとんちんかんな話をされるところは別にして、私たちは、この民営化形態の中で最適な解というものを、多くの国民の皆さんの代表のお知恵を頂きながらまとめてきたわけです。公聴会も含めてですね。それを更に御理解いただけるような御議論を、国会でお願いをしていきたいと、こういう意味でございます。
(問)大臣は先ほどいろいろな、すみません、参院選に絡んでですね。いろいろな総括の議論が速やかになされないとというお話をされました。これは、具体的にはどのようなものを想定されているのでしょうか。例えば、両院議員総会のような場というようなことでしょうか。
(答)もしよろしければ、お名前は結構ですが、社名だけ。
(問)北海道新聞の中村と申します。失礼しました。
(答)ありがとうございます、中村さん。幾つかの方法、それは執行部がお考えになることだと思います。両院議員総会というものもあるでしょうし、やはり私たちは選挙をしてきた人たちというのは、一番国民に向き合って、そして、本当に断腸の思いですけれども、大事な同志をたくさん無くしたのですね。その方々の御意見を伺うということは、国民の皆さんの民主党に対する最も厳しい御意見を一番受けてこられた方々だと思いますので、やはり自分たちに最も厳しい御意見についても、しっかりと耳を澄まし、検討するということが、再生の第一歩だというふうに思います。
(問)朝日新聞の伊東です。よろしくお願いします。
(答)ありがとうございます。
(問)参院選の絡みのお話ですが、菅首相のですね、責任を、大臣自身はどうお考えなのでしょうか。それから、執行部の話では、枝野幹事長は総理から続投を、引き続きやるようにという指示を受けていらっしゃいますが、枝野幹事長が今後どうすべきなのか、お聞かせください。
(答)私は菅内閣の閣僚として、菅総理の御決断をしっかりと支え、そして、菅総理を先頭に変革を進めていく、そういう立場にあります。その立場の閣僚として申し上げられることにはおのずと制限があるわけですけれども、その御議論は党全体で総括をして、結論が出てくるものであるというふうに考えています。つまり、国民の皆さんが何を私たちに、前に変革を進めろとおっしゃったのか。それとも、何が足りないとおっしゃっているのか。そのことを見極めることがまず大事だというふうに思います。枝野幹事長については、私は、いろいろな責任論が出ているということは聞き及んでいますが、これも菅総理の決定を支持したいというふうに考えています。
(問)朝日新聞の堀口です。
(答)おはようございます。
(問)参院選の、先ほどの総括で、改革の旗印が他党に奪われてしまったというようなお話がありましたけれども、天下りについても、もともと民主党は天下り根絶と言っておいたのですけれども、若干、その今回は、みんなの党の方がむしろ目立っていたような気がしないでも無いですけれども、去年の秋に日本郵政の社長人事でですね、齋藤次郎さんが社長に就任した辺りから、国民の人の中には、あれっ、何か、天下り根絶と民主党は言っているけれども、何か違うのではないかと違和感を覚えたところもあるのではないかなという気もするのですけれども、改めて、そこら辺の判断、天下りなのかどうかというところも含めてですけれども、判断が正しかったのかということと、後、齋藤さん御自身は、東京金融取引所の退職金、9,000万円ぐらいを受け取ったという報道もありますけれども、そこら辺も含めて御所見が有ればお伺いしたいのですが。
(答)そうですね。堀口さんがおっしゃる御意見が有って、そして、民主党についての逆風の一つになったというのは、私は完全否定できるかというと、そこまで強気には言えないと思っています。連立政権で亀井大臣にその人選を一任して、そして、亀井大臣が口説かれてきた。現実の政治の中での、一番金融を知り、そして、再建できる最適な人材であると。これには私は変わりはないと思います。しかし、その影響が14年も民間におられた方を天下りというふうに言われ、そして、キャンペーンの一つに使われたということは事実だというふうに思います。私たちは、何をどう変えようとしているか、その原理原則をしっかりと踏まえて行動をするということが、これからも求められるというふうに考えています。
(問)共同通信の藤田です。幹部人事なのですけれども、これについて、官を開くという方針を掲げられていると思うのですけれども、この夏の幹部人事について、その方針と時期についてお願いします。
(答)今日、それをですね、政務三役会議で議論をいたします。これはフルオープンですから、皆さんにお聞きを頂きたい。その方針は、正に今おっしゃった、官を開くということです。それから、無駄を許さない。昨日もあるテレビ討論で「内下り」なる言葉をお使いになった政治家がいらっしゃいますが、全く違います。今のままであれば、退職金をもらって退職金の二重取りをする。それを現役出向することによって。いきなり、皆さんの会社でもそうでしょう。レイオフをするなんてことはできないわけです。法律に沿ってやっていく。その中で、最適な解をつくっていく。これ2か月前に方針を出させていただいた。その方針に沿って粛々とやっていくのですが、今、幾つか論点を政務三役で議論をしているのは、仕分けをされた団体にもそういったことをやるのかと。総務省で言うとですね、1 か所だけそういうものが入っていました。それについて、認めるか、認めないか。あるいは全体のバランスの中で、今回、新規採用、随分つらい抑制をしているわけですけれども、本来は、若い人たちが一杯入ってきて、そして、新陳代謝、安心して働ける職場づくりということがとても大事です。公務員給与の問題についても、少し議論をしていきたい。共済の問題やいろいろな問題についても、私たちが野党時代に言ってきたとおりのことを実現するためにはどうすればいいか。これも政務三役会議で議論をしていきたいというふうに思っています。
(問)すみません。今おっしゃった団体というのは具体的には。
(答)今日の政務三役会議で出します。ちょっと、記者会見で言うには、テーマとしてはあれかなと思います。
(問)よろしいですか。どうもありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)