原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年12月22日

(平成21年12月22日(火) 11:09~11:35  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議後の記者会見を行わせていただきます。
 本日の閣議において、国家公務員の再就職状況について、これは平成21年7月から9月までですから、前政権下ですが、国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づいて、各府省の元管理職職員から、今申し上げた間に再就職の届出があった455件について報告をいたしました。詳細な内容につきましては、本日お手元に配付をさせていただいている資料を御覧ください。いわゆる再就職あっせん、各府省によるあっせんですね。天下りというものの根絶に向けて、一層心を砕いていきたいというふうに思っています。
 また、新たな成長戦略としての原口ビジョンを発表させていただくということで、今日ここで発表させていただきたいと思います。これは例えて言えば、降り注ぐ日の光のように、各地域が様々な自然やあるいは文化、そういったものの恩恵を利用して、緑の分権改革ということで、新しいクリーンエネルギーを基に、地域を回るお金。私たちは創富力ということを言っています。富を創る力。地域が富を創る力。これを推進していこうと。
 それから、この間、青山小学校へ参りましたけれども、ICTを使って協働教育、共に学びあう、共に教えあう。そういう教育を行うことによって生産性を拡大していきたい。ICT維新ビジョンの二つの戦略から構成されているものでございます。鳩山内閣の一丁目一番地の改革である、地域主権改革を確実に進めて、そして地域の自給力と創富力を高めるための成長戦略を策定することが大切でございます。私は地域の活性化担当としても、先日、成長戦略会議にもこの二つのことを申し上げて、皆さんからその核となる考え方について、政府全体でも広げていきたいというお話を頂いたところでございます。
 このような観点から、緑の分権改革推進プランで、地方公共団体、市民、NPO等の協働、連携の下、クリーンエネルギー、あるいは食料、歴史文化資産等の地域資源を最大限活用する緑の分権改革の推進。この基本は、資料を後ほどお配りいたしますが、FIT、フィードイン・タリフ、固定価格の買取制度、つまり、自らが生産するエネルギー、自らが食する食料に責任を持つ仕組みを作っていこうということでございます。例えば20年間、クリーンエネルギーの買取価格を固定して、そして、いち早く化石エネルギーから太陽エネルギーあるいは風力エネルギー、自然エネルギーに変えていこうと。そして、そのお金を例えば地域通貨で回すことによって、地域の様々なポテンシャルを上げていこうと。ドイツのアーヘンで行われているモデルは、ドイツのソーラーエネルギー利用、そのモデルが広がって、かなりの部分を占めていると聞いておりますし、日本でも横浜や、あるいは佐賀といったところで行われ、今回、中央政府、新政権が固定価格買取制度に踏み出すわけでございますけれども、経済産業省や、あるいは文部科学省、各省と連携しながら進めてまいりたいと思います。日本では特に東近江モデルということを皆さんに申し上げてきたところでございます。また、定住自立圏構想の推進、過疎地域などの条件不利地域の自立活性化の支援、今、過疎法の改正ということを議員立法で行っていただこうとしていますけれども、大体5年程度の延長をめどに考えることができるのではないかというふうに思っています。
 一方、先ほど申し上げました、未来の成長のインフラとしてのポテンシャルを最大限引き出す、ICT維新ビジョンでございますけれども、2020年には、すべての世帯のブロードバンドサービスを利用できるようにすること。先ほど申し上げました、フューチャースクールによる協働型教育改革、ICT関連投資を倍増して国民の生産性を3倍にするということ。あるシンクタンクの試算、随分前の会見でも申し上げましたけれども、日本のGDPは、このままのような成長を続ければ、2050年には世界の8位まで順位を落としてしまう。GDPが単に落ちるというだけではなくて、社会の活力や、あるいは、この膨大な財政赤字が破綻する危険性までございますので、未来の子供たちのために、正に明治5年に私たちの先輩方が一気に教育を広げて、国民の学ぶ権利、それから生産性をぐんと上げてこられたような、平成の改革ビジョンというものを作っていく、実際に現実化していきたいと思います。2020年時点でCO2排出量の10%以上を ICTパワーにより削減することなどを柱としています。このことによって、地域の絆の再生や、我が国経済の、あるいは社会の持続性、あるいは持続的成長を実現していきたいと思います。
 今後はこのビジョンを実現するための施策を、省を挙げて推進していきたいと、このように考えています。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)よろしくお願いします。質問2点なのですけれども、まず一つが税制改正大綱なのですが、ほぼ固まりましたけれども、大臣の受け止め方、評価をまずお伺いします。
(答)三大臣では随分早くに結論というか一つの方向性を示していましたけれども、総理がリーダーシップを振るっていただいて、そして着地点が見えてきたというふうに思います。大変な経済情勢の中で、幾つかは私たちが当初考えていたものと違う環境もあります。しかし、その環境に柔軟に反応する中でも、何としてでもマニフェスト、それをこの4年間で完全実行するための道筋、これをきっちり描いていきたいと、税制の中でも、そのように考えているところでございます。
(問)もう1点質問なのですけれども、各種世論調査で鳩山内閣の支持率が下がっているという調査結果がありますけれども、大臣のそれについての感想を。
(答)真しに受け止めて、そして、国民の支持があってこそ改革ができます。私が特に行わせていただいている言論の砦の改革もそうですし、それから地域主権改革、これは霞が関の解体をしないとできません。権限や財源を手放そうとしない、今までの古い政治との戦いでありますから、国民の支持、これまで以上に丁寧に御説明申し上げ、あるいは協働をやっていきたい。その一環として、これはまた記者クラブの皆さんとも御相談をしたいと思いますが、政務三役会議、いろいろなものをオープンにしてきました。政務三役会議をインターネット中継も含めてオープンにして、そして私たちが今、何をどのような目標でやっているかということも、国民の皆さんに御判断を頂けるように検討していきたいと、こう考えています。
(問)大臣、よろしいですか。原口ビジョンについてですが、これは政府がまとめる成長戦略に盛り込まれるというものなのですか。そこの関係性を、ちょっと。
(答)そうですね。これは私単独でも、地域の再生、地域活力、それをつかさどる担当大臣でもございます。ですから、もちろん政府、関連各省との連携は大事でございますが、全体としての成長戦略ビジョンの中にも盛り込んでいただきたいと。特に緑の分権改革、ICT協働教育といったところは、世界各国を見ても、パラダイムチェンジの大きな枠組みを変える中での柱となるものでございますので、この間も成長戦略会議でプレゼンテーションをさせていただきましたけれども、柱としていただければありがたいと、いや、していきたいというふうに考えています。
(問)大臣、ビジョンの中に、ICT関連の規制を見直した一括法を2010年にというものがあるのですけれども、これは具体的にどんなイメージなのかということと、今作業を進めている、放送・通信の融合法制との絡みはどうなるのか。
(答)正におっしゃるとおりで、より競争を公正に公平に。特に多くの皆さんのアクセスする権利、様々なブロードバンドに等しくアクセスする権利を保障していきたいと思いますし、前回も申し上げましたけれども、光の道路をつくっていきたい。それを敷設していきたい。光の道路で言うと、約80%以上が基幹についてはいっていると言われていますけれども、では、その先はどうなっているのか。皆さんが光のブロードバンドサービスを受けるときに、どれくらいの時間が掛かり、どれくらいの工事が行われているのか。例えば、ここにいらっしゃる100人近い皆さんの一人が手を挙げられたとすると、一個一個工事をしながら、なかなか自分のところにサービスがこないということでは、これは教育環境を整備する上でも、あるいは安心・安全のネット環境の上でも問題になります。ですから、集中的にこの光の道路を整備し、そしてそれをすべての人たちに開放し、そして様々なアプリケーションも含めた進化を遂げていくということでございまして、今私たちが融合法制を進めていますが、その中の一つの柱となるものと考えています。国内の公正な競争条件、それから、国際的に様々な企業や様々な環境に対応して、競争に打ち勝てるということを目指していきたいと思います。そのやはり基礎が、今日も皆さんコンピューターとメモでやっていただいていますけれども、僕らだけでも、今日だけでこんな紙ですよ。これだけの資源のロスはないと思います。もしこれが電子化できて、皆さんに、「はい、今このページを開いてください」と私がここで言えれば、もっと情報が共有できますし、一緒の共通認識を高めることができると思います。そういったものを作っていきたい。電子政府も射程に入れながら、頑張っていきたいと思っています。
(問)税制関係で1問お聞きしたいのですが、総理が暫定税率維持を決断されるまでに、政策は政府一元化と言いながら、党の要望に左右されたり、総理御自身の発言も二転三転されて、あと、必ずしも税調で決めたことが尊重されなかったわけですが、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私の認識は少し違っています。政府を支える政党が、政策の中身を更に強化し、国民の皆さんから、いろいろなブランチを持っていますよね、県連や、あるいは様々な所属議員や、あるいはオープンフォーラムをやっていて、その意見を集めてこられて、私たちのベクトルと融合させるというのは、これはとても大事なことで、政府の一元化ということ、政策の責任の一元化ということは全く矛盾しないと思っています。私たちが選択肢を、幾つか昨日三大臣で示しました。その中の範囲の中で結論を頂いていますし、もっと言うと、暫定税率について言うと、これをなくすと。八つある暫定税率のうちに、そのうち税率を残すもの、これは大変残念ですけれども、昨日の総理の言葉を借りれば、ガソリン税については税率が低くならないということですけれども、高騰したときにそれを下げる仕組みを入れるということでもございますし、また、車体税については、今私たちはエコ減税ということをやっていますけれども、全体的に多くの税金を減らす、そういう方向の第一歩はできたと思います。
 ただ、正直に申し上げれば、当初この1年でやろうとしていた、暫定税率の撤廃といったところにまでは、正直踏み込めていないですね。それは税収が大きく落ち込んでいるということ、あるいは代替の措置をやっている、グリーン税制をやっているということもありますけれども、更なる反省点として次へつなげていかなければいけない、このように考えています。
(問)今、反省という言葉があったところなので恐縮なのですけれども、暫定税率維持によって、地方税収への影響というのは回避されたということになると思うのですが、それについての受け止めと、大臣の側から強力に、廃止はするべきではないということを働き掛けたという部分はあるのでしょうか。
(答)地方税収への影響がなくなったというのは、地方財政、今厳しいですから、それは地方財政に心配りをする総務大臣としては、一段落だなという印象を持っています。ただ、直轄事業負担金を廃止し、あるいは様々な埋蔵金や、様々な政府の資産を圧縮することで暫定税率を減らそう、いや、なくそうと言ってきたわけでございますので、その点は課題を残していると思います。
 私は正直に申し上げて、歳入構造そのものの改革をしなければいけないと、これは多分税調の文章の中に入れてくれと強く主張したわけです。それは、歳入構造というのはストックとフローの部分で、税金を増税したり減税したりするフローのところだけでなくて、集めたものを、いわゆる埋蔵金、特殊法人や特別会計という中で膨らませてきてはいないかと。そういったものについては本当に切り込んでいるのかということは、私は強く主張してきたところでございます。
(問)大臣、すみません。世論調査の件なのですけれども、支持率の下がり具合というのは、ここ最近で急にというか、かなり大きく下がったと思うのですが、その原因についてはどのように御覧になりますでしょうか。
(答)そうですね。それは世論調査を詳しく見てみないと分からないです。ただ、私たちが一つの壁に、第1回目の壁にぶつかっているということを敏感に国民の方が判断されているのではないかというふうに思います。官僚機構の、官僚任せの政治をやめて、そして政治主導にする。正に政治が中心となって予算も組み替えるのだ、あるいは作るのだということを言ってきました。しかし、現下の厳しい経済情勢の中で、それが幾つかかなわなくなっている。そのことについてのおしかりがあるのだというふうに思います。私は一貫して申し上げていますけれども、マニフェストでお約束したこと、財源はあると言ってきたわけですから、そのことについて更なる努力をする必要があると思います。昨年、不用額をいくら出しているのか、昨年、特別会計にまた積み増した役所はないのか、あるいは埋蔵金があると言いながら、それを漫然と見過ごしてきたところはないのか、更なる自己規制をして、そして国民の皆さんの御期待にこたえる、そう考えています。
(問)今のお話ですと、一つの壁というのは、今回の税調の大綱が決まるまでの過程というふうにも考えられてですね、そうなると、官僚機構という話になってくると、よく大臣が批判する財務省なりの、そこら辺の抵抗というか、いろいろなあれがあったのかというふうに推察もできるのですが。
(答)私も政府の人間ですから、どこかのところを表立って批判する立場にありません。ただ皆さんにあえて申し上げておきたいのは、査定という言葉自体がもう古い言葉だということであります。現に三重県北川元知事ともお話をしましたけれども、それぞれの各省がしがらんだ予算を上げてきて、それを査定という言葉で削ってみても、それは政治主導と言わないのです。まずマニフェストでつくったものを、これをやるのだという意思を示して、残りを逆にそれに合わせて削減していきなさいというのが、普通の政治であります。 今回の予算でいうと五つパラメーターがあったのですね。一つは税収、一つは国債、もう一つは行政刷新による歳出縮減、そして成長による税収増、そして、先ほどから私が申し上げているようなストックの改革、この五つのパラメーターを全体として編成するというのが、私たち三大臣での申合わせでもございましたが、その中でまだまだ未熟な部分があって、それを解決していかなければいけないと、私は率直にそう考えています。
(問)大臣、過疎法の延長なのですが、5年程度延長する方向で自民党を含む与野党で協議に入っているという認識でいいのですか。
(答)昨日ですね、総務省の政策会議で担当である黄川田代議士から幾つか判断を求められました。もちろん、これは議員立法ですから国会が御判断されることですけれども、大臣として延長幅についてどう考えるかというお尋ねがございまして、これはいろいろな地域からもお話があるのですけれども。やはりある一定期間ないと、1年とか2年で変えられると事業計画が立てられませんね。だから、まあ10年というのはいかにも長い。けれども、5年、国勢調査の時間、そして見直しの時間を考えてみると5年程度なのかなと。3年から5年と。私たちは3年で一括交付金に、23年度から一括交付金にしますから、それに合わせて5年程度の延長幅がいいのではないかと、御意見を求められましたから、私はそのように考えますということを申し上げております。
(問)大臣、すみません。高校の無償化についてですね、また地方負担という声が出ているようですけれども、それについてどう思うかということと、いろいろな地方が絡む事業についてですね、必ず地方負担という声が出てくるこの現状について、どう見ていらっしゃるかお願いします。
(答)憂えています。地方はパートナーなのですね。今までのように、何かこれをやれと言ったらそれに従うというのが地方ではないということを地域主権改革の中で何回も申し上げてきました。国がやるので、あなたのところも恩恵を受けるのだからこれくらい負担してくださいよと、それは全部の負担をなくせなんて私は言っていません。しかし、よく相談をして、そして予算の過程からこうこうこういうものをやるから、中央はここまでやるけれども、その先は地方で埋めてくださいねと。これをやらないとですね、自分が社長になったら分かりますよね。いきなりこの部分の金をくれを言われても、事業計画が立ちません。その予見可能性のなさというものが地方の財政を硬直化させ、そして逆に言うと、中央の無責任体質を生んでくるわけです。私はそのことを変えることが、この政権の大きな課題だと思いますが、まだ、その問題については旧政権と同じような発想を持っている人は私はいないと考えますが、あってはならないと思いますが、なおかつそういう議論が出てくるということはですね、厳しくいさめなくてはいけない、そう思います。
(問)大臣、地方議員年金の在り方について、昨日総務省の検討会が報告をまとめたのですけれども、存続か廃止かについて結論がまとまらず3案出されたのですが。これは来年の通常国会に法案を出すために、結論を出す必要があると思うのですが御認識を。
(答)これは昨日、いくつかの選択肢を出されたというふうに考えています。私の方からも議長会、地方議員の皆さんの会、それぞれございますが、そこに、いくつかの選択肢をお示しをしています。国民主権者の御理解を頂きながら、民主主義の学校と言われる地方の議会、これをどう活性化し、そして議員年金という形で支えていくか、ということの基本的な考え方をここにお示ししたわけです。これは今の段階での私の考え方ですけれども、やはり、富める方も、いやそうではない、決して豊かではないけれども、自分の地域を自分で支えていこう、あるいは議会を更に活性化していこうというかたがたも出ていただける、そういう環境を作ることが私、総務大臣としてのミッションだと思っています。その観点からすると、議員年金をそんなに簡単にあきらめていいとは思っていません。ただ、現下の厳しい財政状況、そして国民負担がこれ以上上がるということは、私はそれは理解を得られないだろうと思います。一部の地方議会からは廃止をしてくれ、という要請も来ておりますが、もっと更に大きいマスからは、やはり何とかして存続してくれという意見を強く頂いていますので。いずれにせよ、これは私で勝手に決められる話ではありません。それぞれの協議の場において、建設的な議論を進めていきたい。それは多い方がいいですよね。だけどそれがかなわない条件というものも率直に話し合っていきたいと思います。
(問)すみません、あと一つ。政務3役会議の公開は、いつからどのような形で行われますか。
(答)そうですね。今日、政務3役会議で検討をして、そしてまとまればすぐにでもやりたいと思います。主催は私ですから、今までこの記者クラブでも大変活発に御議論を頂いて、一定の公開を決めていただいてありがとうございます。政務3役会議のそのあり方についてどのようにするか、また皆さんの御意見も伺いながら、それから、かなり機微に渡る現在進行中のものもたくさんありますので、その辺もどうするか少し今日考えて、できるだけ早急にオープン化を目指したいと思っています。年明けくらいでやれたらと思うので。全部の会議をオープンにできるかというのは、多分、副大臣、大臣政務官から少しやり過ぎではないかという声も出るかも分かりませんけれども、できるだけオープンにしていきたいと思います。
(問)大臣、今日の閣議、閣僚懇で、昨日の夜の段階で暫定税率の制度の廃止などが総理から話があったのですが、その関連で2兆円の地方への新たな措置についての話があったのですが、その点についての説明というか。
(答)今日は何もなかったのです。今日、犯罪防止の会議があったり、原子力の防災訓練があって非常にタイトでございました。皆さんをお待たせして申し訳ありませんでした。そういう意味では、今日は閣僚懇談会での議論はございませんでした。これまでもずっとやってきて、この後もまた税調等でやる話なので。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

(以上)