鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年5月1日

(平成21年5月1日(金) 9:53~10:18  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。3つ、ございます。1つ、労働力調査結果、消費者物価指数、家計調査結果について、閣議に報告をいたしました。その要諦は、就業者数、6,245万人となって、91万人の減少と。この減少幅は7年ぶりぐらいですね。完全失業者数は、335万人、過去最高は380何万人でしょうが、1年前に比べて、67万人増えたというのは、何と10年ぶりぐらいの、最高のタイ記録くらいの話ではないかと思います。したがって雇用情勢はなかなか厳しいと、こういうことでございますが、政府の雇用対策によってですね、ここらで逆転していかなければならないと、つくづく思います。
 というのはですね、いつの時代にも休業者という方がいるのですね。休業者というのは、つまり調査期間中に1時間も仕事をしていない。しかし雇用契約はあると。この休業者が146万人おられてですね、これが1年前に比べて18万人くらい増えてしまっている。この休業者というのは、いずれどちらかにふれるわけです。就業者に戻る、今は就業者の中に入っているわけですけれど、いわゆる休業者が普通に仕事をするようになる、あるいは失業。ですから、ここで踏みとどまって、休業者がぜひ普通に仕事をする方に戻ってほしいと願います。
 それから、新型インフルエンザ対策についてはですね、今、閣議の後の新型インフルエンザ対策本部で私が申し上げたのは、地方公共団体に対して新型インフルエンザに係る相談窓口における対応について、全庁的な取組をしてほしいと、地方公共団体にそういう要請はしたと。あるいは放送、通信、郵便事業など、国民生活に影響が大きい事業者に対して情報提供をして、そうしたところから情報が国民に対して正しく早く流れるようにすると、こういうことでございます。
 あえて申し上げるとですね、舛添厚生労働大臣が昨晩、横浜の高校生の件で大変な努力をされたと。若干、御不満があるようでございまして、市の対応はどうなっているということで、総務大臣としてやはり地方公共団体に対して相当厳しくやってほしいと、こういう要請がありました。
 これはですね、どういうことかといいますと、消防庁から情報を全部にぱっと流すことはできます。これは危機管理ですよ。この間のミサイルが飛んでくるというテポドンみたいなときは、これは消防庁。災害も消防庁。危機管理というと、消防庁なのですけども、今度のインフルエンザは違う。消防庁も全力を尽くすわけだけれども、やはりそれぞれの自治体の衛生というのか、公衆衛生というのか、あるいは医療というか、そちらの方になるから、よほどしっかり体制を組んでいただかないと困る。市民からの相談を受けて、すぐ対応できるようにしてほしいということになりますと、あえて呼びかけたいのですが、私が命令権者ではありませんから、法律がありませんからね。インフルエンザに関しては、とにかく全国の市町村長に即、第一線に出て先頭に立ってですね、いざというときに、最適の処理や措置をしてもらいたいと、心からお願いをしたいという思いです。その点ができているかと、できていないのではないかというふうな思いを昨夜というか、今日未明、舛添大臣はお感じになったようでありました。
 それから今日から6日までカンボジアと中国を訪問いたします。カンボジアでは、フン・セン首相、ソック・アン副首相、ソー・クン郵便電気通信大臣とそれぞれ会談を予定いたしておりまして、これはICT関連、今後の電気通信や放送の面での我が国からの協力ということで話をすることになるだろうと思っております。
 なお、私は、1年前は法務大臣でしたが、カンボジアというのは、我が国がもっとも熱心に法整備支援をいたしている国です。法整備支援というのはもちろん、民法、刑法というようなところ、あるいは訴訟、民訴、刑訴、商法、いろいろあると思うのですが、当然放送や電気通信でも法整備が必要になってまいりますので、そうした事柄の法整備支援についても申し出てこようと思っております。
 中国では張徳江副総理、李毅中工業・情報化大臣ですね、それぞれ会談を予定をいたしております。このいずれの国においても、情報通信分野等に関する協力の強化について協議してくるということでございます。
 特に中国ではですね、先の日中首相会談を踏まえて、つまり一昨日、総理が温家宝首相と話をされて、あと数日たつと鳩山総務大臣が来るから、議事録署名をして立派な外交的な意味を持たせるということでございますので、要するに日中間の協力についてきちんとやるということ。それは数日たつと、鳩山が来るから、総理の方から温家宝首相に話をされて、温家宝首相もそれは歓迎をすると、こういうやりとりがあったと聞いております。その際、総理大臣から、実は自分が総務大臣のときに中国へ来てこの問題を取り上げたという、自らの総務大臣時代の経験を話しておられたようでございます。

2.質疑応答

(問)直轄公共事業の維持管理費について、来年度から地方負担を廃止するという表明をされましたけれども、現時点での関係省庁等との交渉のスケジュールについてはどういうふうになっているのかを伺います。
(答)同じ政府ではありますが、相手のあることでございますから、私の好き勝手に全部が進むわけではございません。連休後、予算委員会になりますけれども、様々な機会をとらえてこれを何とか実現できるように、来年度はそのような直轄事業における維持管理の地方負担をゼロにするように頑張っていきたいと思います。
(問)今日、午後に人事院が臨時勧告をして、公務員の夏のボーナスを引き下げるという勧告を予定しているのですけれども、その中で、閣僚や国会議員という特別職は下げ幅をもう少し、ワンランク増やして下げた方がいいのではないかという議論も与党内にはあるようですけれども、大臣としてはどのように受け止められていますか。
(答)人事院勧告は、今日の午後、出される予定でございます。人事院勧告は労働基本権の制約の代償措置でありまして、そういった意味では人事院勧告制度は尊重するというのが、総務省であり私の立場でございます。ただ、今回は上げる方の話ではないですけれども、やはり人事院勧告は尊重して、国民の理解を得たいと思っております。国会議員等、下げたらよろしいのではないでしょうか。我々が受け取っておりますのは、給料以外に立法調査費とかそういうものもありますけれども、総合的に判断をして。政党交付金も出ておりますから。やはりそれはまず「隗より始めよ」というようなところはあるのではないでしょうか。
(問)先ほどの直轄事業の話ですけれども、来年度予算に間に合わせるということはですね、夏の概算要求までには、そういう決定を政府の中できちんとしたいと、そういうお考えなのでしょうか。
(答)そういうことです。それだけ、国の負担が増える話でしょう。つまり地方負担をなくすわけだから。1,700億円とか2,000億円とか、事業規模によって違うけれども、そういうことになりますね。それまでには結論を出さなければならないと。
(問)大臣は廃止をしたいということなのですけれども、残念ながらこの制度は総務大臣が所管しているわけではなくて、やはり国土交通省や財務省、農林水産省がキーになるのでしょうけれども、廃止した際の新しい制度設計をどうするかということを考えないと、どこも話ができないと思うのですけれども、その辺り大臣はどういう形が望ましいとお考えですか。
(答)これもホップ、ステップ、ジャンプの話だと思うわけで、ホップに当たるわけですよね。維持管理というのは、県管理のものについては国が負担しないのだから。だから、国管理のものについては、県が負担しないということで、まず実現をしたい。本当はステップというのか、3分の1負担している中に、本当に地方が負担をしていいのかという、退職金や庁舎の修繕費という、そういうものまで負担をしていることがありますね、人件費。これらについては、もちろんきちんとやらなくてはいけない。3番目のジャンプは直轄事業を減らして、都道府県に移す。これは、半年、1年でできる話ではない。これは本当の地方分権をやらなければできないと、こういうことだろうと思っております。私の権限でありませんから、頭を下げるときは下げて頑張るということだと思います。これができない場合は、地方分権はできませんから。
(問)大臣、直轄範囲の限定とかは、先の話になるのですけれども、維持管理の負担金を廃止することによって、国には財源不足が生じますけれども、そこをどういう形で補てんしていくかという制度設計は、どうするかということなのですけれども。
(答)こういう言い方はよくないかもしれませんけれども、今、経済対策をやります。真水で15兆4,000億円。そういう数字に比べればかなり小さい数字ですよ。仮に1,700億円とか1,800億円くらいであれば。これはそれほど大きな問題ではないと思っているのですけれども。いわゆる予算編成の枠の中で吸収できる数字と。財務大臣でもない私が言ってはいけないのかもしれないけれども、常識的にそうではないですか。2兆円とか3兆円を吸収するといったら大変なことで、制度全体を変えなくてはならないけれども。
(問)大臣、新型インフルエンザ関係なのですけれども、仮に日本で発生が拡大した場合にですね、来るべき総選挙への影響を懸念する声がありまして、昨日の官房長官の会見でもそういうような話が出たのですけれども、選挙を所管される大臣としてどのようにお考えですか。
(答)まだ、すぐ解散総選挙という時ではないことは、これから補正予算をやるわけですから、そういった意味では、それは総理の胸の内、腹の中ということですから。あまり解散権ということでは何も語る資格はありませんけれども、今のところは新型インフルエンザに全力を挙げていくわけで。選挙で集会ができるとかできないとかという、話を考えるのは早過ぎるのではないでしょうか。
(問)大臣、郵便法違反事件で、今朝、一部報道にあるのですが、郵便事業会社の社員についても、故意にそれを見逃していたということで、立件する方針を固めたということなのですが、これについての受け止めをお願いします。
(答)要するに郵便事業会社の人たちが、不正であることを承知していたとするならば、もしそういうことであれば、これは大変な問題です。ただ、これは捜査でしょうか、そういう情報に基づくことでございますから、私がコメントする立場にないし、事実確認ができませんので。それはもし、そういう形で立件されたということになれば、郵便あるいは郵政の信頼にかかわる重大な問題になってしまいますから、そうならないように願っております。
(問)名古屋市の河村たかし市長がですね、公約に掲げた市民税の10%減税に強い意欲を示していらっしゃいます。しかし、この減税で市民税が標準税率を下回ることから、地方財政上は、起債について大臣か知事の許可が必要となります。河村市長は、「起債の許可は出るので、特に問題はないのではないか。」というお立場なのですけれども、この件について、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)市町村民税というものは、地方税法により標準税率が定められておりまして、標準税率は、通常よるべき税率で、その財政上、その他必要がある場合には、これによることを要しないとうふうに書いてあるわけです。普通は標準税率でやってくださいと、何らかの支障があったり、あるいは財政上の事情があれば、標準税率でなくてもいいと、こう書いてあるわけで、地方団体が条例によって標準税率を上下させる、下回る税率を設定することは、法的には可能であります。私は中身はよく分かっておりませんが、財政上その他必要性で税率を下げるということが書いてあるわけですから、その法律に適合された状況で、適切に判断されればいいことではないかと思います。
 建設地方債を発行したいということで、許可を求めてこられれば、十分に話し合って、減税の内容とか、今後の市財政の見通し等を十分に踏まえて、私が適切に判断しなくてはならないと思いまして、今、いいとか悪いとか言うことではないですね。
(問)大臣、閣議の後でですね、インフルエンザの閣僚会議があったかと思いますけれども、総務大臣としてどういう発言をされたのでしょうか。
(答)先ほども言ったかと思いますが、地方公共団体に対して、相談窓口を設けて、全庁的な取組で頑張ってくれという要請をしたと。それを徹底していると。もう1 つは放送、通信、郵便等の事業者に頑張れと。こちらからも情報提供するし、頑張れということでございます。ただ、ですから、その時に申し上げたのは、地方公共団体が本気でやってくれなくては困るわけで、1人も出ないことが望ましいけれども、どこで新型インフルエンザが出るか分からない、出るか出ないかも分からない。舛添大臣によると検査は3段階だそうです。つまり、成田の女性は、最初に黒と出て、段々細かく調べられるから、2つめの検査で違うということになって白になった。高校生は、1段階で黒で、2段階でもということなのでしょう。だから、今3段階目の検体を国立感染症研究所に送っているということでしょう。1段階か2段階か3段階か分からないけれども、「少し、この方はどうだろう。」という方が出てきて、1段階で慌てることはないけれども、弱毒性らしいというものの、2段階、3段階と進んでくると、対応をしていてもし3段階で黒ということになると、これは新型インフルエンザですから、そうなると、接触した人はどういう人だと、いうことになってくるわけです。だから、高校生は修学旅行でしょう、飛行機に乗って帰ってこられたわけで、飛行機の乗客の名前は簡単に言わないそうです、航空会社は。ということで舛添大臣はかなり厳しく言っていましたね、「国土交通大臣お願いですよ、乗客名簿は出してくださいよ。」と。それはプライバシーとの関係があるのかもしれませんが、私はその辺は分かりませんが、いざ、新型インフルエンザの感染者が出た場合に、どういう接触をしたのかという、どういう日常生活で、2メーター以内で話した人がどれくらいいるのかというようなことも必要になるから、それは、市町村長が、そういうときには先頭に立って、陣頭指揮をしてもらわないと困ると、こういうことを申し上げているつもりなのです。
(問)ほか、よろしいですか。
(答)どうもありがとうございました。

(以上)