甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年1月23日

(平成21年1月23日(金) 10:46~10:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 どうぞ。

2.質疑応答

(問)まず、先ほど閣議の後、総理大臣執務室で甘利大臣と鳩山大臣が総理と面会されたと聞いております。どのようなやり取りがあったんでしょうか。
(答)鳩山大臣とは別案件ですから、それぞれ別々に総理とお会いいたしました。
 公務員制度改革の工程表を詰める日程が、もうぎりぎりになってきています。いろいろ大変な思いはいたしましたが、各府省との機能移管の話合いは進んできまして、いよいよ大詰めに入っております。最後に残されているのが人事院であります。
 全体の内閣人事局の構想に関する進捗状況を報告をしまして、人事院に対してどういうことを求めていくかということも総理に報告をいたしました。総理からは、私の方針を全面支持すると、毅然たる姿勢で交渉に当たってもらいたいという御指示でありました。
(問)あと1点、行政管理局の移管をめぐって、総理から何か指示はありましたでしょうか。
(答)いやいや、今日は人事院のことを中心に御相談に上がりました。
(問)人事院との交渉に際しては、甘利大臣からどのような方針で人事院に交渉するというお話を総理にしたのでしょうか。
(答)級別定数の査定部分の機能移管を中心に、こういう交渉をしたいというお話をいたしました。それから、改革以降、内閣人事局が担う機能と人事院が果たす役割の役割分担についても御説明をしてきました。
 総理御自身は、その方針で結構と。もともと自分もそういう考え方だと。交渉はなかなか大変になると思うけれども、全面的に支持をするので、毅然たる姿勢で臨めというお話です。
 もともと一番最初に有識者会議からの報告を総理にお話ししたときに、総理は、そういう方針でいいと、全力で取り組めという指示を私にされました。その後のぶら下がりでもそうお話ししたんですが、どうしてその後の紙面で、報道で、「麻生総理は後ろ向き」と、「公務員制度改革に後ろ向き」と書かれるのか、よくわからないんですね。私は総理と会うたびに、総理は、総理御自身、民間企業の企業グループを率いる長として、人事や待遇の交渉をずっと陣頭指揮でやってきた方でありますから、理解度が物すごく早いんですね。御自身の考え方も、正に私がやろうとしていることと本当に一体で、いつもそれでいいから全力で取り組めと。中途半端なことはするなと、思い切ってやれという、そういう話をいつも言われるんですね。そのたびにそのことをお話をしているんですが、どうして後ろ向きと言われるのか、報道をしてらっしゃる方にどこの部分でそうなのかをちょっと伺いたいんですね。
 制度改革ですね。公務員制度改革、今ある公務員制度に対することじゃなくて、これからやろうとすることに対する改革について、総理がこれはちょっと手綱を緩めてくれとか言われたことは一度もないんです。一度もないんです。
(問)人事院との折衝ですけれども、いよいよ間近に迫っていると思いますけれども、仮に人事院が今の姿勢を崩さずに機能移管に応じられないという姿勢を見せた場合にどうするかという話は総理とはされましたでしょうか。
(答)これは担当大臣たる私が第一義的に解決をしなければならない問題です。何でもかんでも困ったら総理のところに持ち込むということでは、私自身の資質が問われてしまうので、ここまでは、総務省も含めてここまでは私の範囲で解決をしてきました。
 いよいよ、一番抵抗勢力であります人事院との交渉に臨むわけであります。極力、総理のお手を煩わせないで解決をしたいと思っています。総理自身は、「甘利さん、あなたと自分は全く同じ考え方だから」と、総理自身は私の考え方を全面的に支持をしていただいていますので、それを総理から今日、官房長官に指示がありまして、官房長官から総理も私と同じ考えであるということが総裁に伝わるはずです。
(問)官房長官と総裁が会われてということですか。
(答)いやいや、長官が恐らく、総理から長官に、自分も甘利大臣の考え方を全面的に支持するということを官房長官に伝えられて、官房長官が電話をされるはずです。
(問)その折衝ですけれども、今日の13時に人事院のほうの総裁と……。
(答)1時をめどに段取りをしております。
(問)この段階で、最終決着を目指されるおつもりがあるのか、それとも交渉の……。
(答)もちろん、最終決着を目指しますよ、時間がないんだから。ただ、するかどうかはわかりませんよ、まだ。昨日まではゼロ回答ですから。ゼロ回答というのはちょっとひどいんじゃないの。これだけ事務折衝をですね、私の意向だということで事務折衝をさせていてですよ、どういう点のことを考えているかということも意思表示をさせていただいてですよ、それで向こうからは「協力することにやぶさかではありません」と。「しかし、具体的には協力できません」という返答しか返ってきてないんですから。どういうことなんですかね。
(問)これから折衝をする前に仮定の話で恐縮なんですけれども、仮に人事院が今の姿勢を崩さなかった場合に、人事院の意思を反映させない形で、この人事局の設置への手続を進めていくというお考えはありますか。
(答)第一義的には、極力この公務員制度改革、これは「100年ぶりの改革」と言われているんですね。今までの微修正じゃないという認識を持っていただかないと、新しい制度、仕組みをつくって、より時代の変化に機動的に対応できるような戦略的な人事、組織、管理をしていくということを基本法でうたっているわけですから、何か微調整をするとか微修正をするということじゃないんだと。新しい制度、仕組みをつくるんだということをちゃんと理解していただきたいと思うんですねえ。
(問)現在のところは、恐らく事務折衝でもそういうお話をされていながら……。
(答)これは私は、大臣として総裁に強く迫りたいと思います。そして、これは総理の全面支持をいただいておりますから、必ず決着をつけます。
(問)つまり、政治の判断として人事院の組織を動かすという、合意のないまま動かすということも選択肢、視野としてはあると。
(答)私は基本的に理解をいただきながら今までも進めてきました。もちろん担当大臣として相当強く迫って今日まで、他の府省、他の省との交渉を続けてきましたし、事務折衝をする際にも、これは私の意思だということを必ず伝えろということを、都度都度言ってやってきました。でありますから、きちんと相手の言い分を聞く中で進めてきたつもりでありますし、それは相手の言い分は聞きますけれども、相手の言い分をそのままのむということではありません。そういう中でやっていきますが、どうしても御理解をいただけない場合には、この基本法の趣旨にのっとって決断をしなければならないというふうに思っております。
 ただ、人事院にも国家公務員制度全体の「100年ぶりの設計」の、いわば仕直しですから、その趣旨を全く新しい仕組みをつくっていくという部分があると。もちろん、その中で人事院が果たすべき役割はちゃんとあるんですから。だけれども、今までの権限を全部温存したいというようなことであったら、この改革はできません。そこをこの改革の趣旨の全体像をまだ御理解いただいていないんじゃないかと思うんですが、これは国会も通っている立法府の意思ですから。
(問)確認ですけれども、先ほど級別定数を中心にこれから折衝されるということでしたけれども、顧問会議の内容では、さらに広範囲の企画立案機能の移管を求めていて、大臣もその考えに沿ってということですか。
(答)もちろんそうです。顧問会議の報告に沿ってやらせていただきます。ですから、基本的な、今日交渉内容を全部ここで逐一報告するつもりはないんですけれども、全体的な企画立案機能それから改善機能というのは内閣人事局、名称はこれで確定しておるわけではありませんけれども、基本法にいう内閣人事局に移していくということが基本です。
(問)では、特に何か絞り込んでというふうなお考えではないと……。
(答)それは全部、全体像の中でお話をします。
(問)人事院は顧問会議の内容について、「基本法の枠を超えている」というような指摘をされているんですが、それについてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(答)何をもって「基本法の枠を超えている」とおっしゃっているのか、向こうのお話では理解ができません。
(問)今日、消費税増税を含んだ税制改正関連法案が閣議決定される見通しですが、その附則の中に行政改革を求める文言があるんですが、人事院がこのまま認めなければ、行政改革として国民になかなか理解されないというようなお考えなんでしょうか。
(答)そうです。公務員制度改革というのは、例えば今、非常に批判の一番多い天下りでも、今までは現制度を前提に対応措置をしてきたんですね。だから、不透明にもなるし、国民の理解も得づらいんです。ただ、そこには抜本的な問題があって、普通に、まじめにやっているのに定年まで勤められないという制度が根幹にあるわけですね。ちゃんと、普通に、まじめにやっていれば、ちゃんと定年まで勤め上げることができるということを前提に制度設計をしていかなきゃならないと。
 ただし、今の給与制度だと人件費がべらぼうに膨らんじゃいます。それはもうできません。総人件費改革というのがあって、役人の人数も減らしていくという中で、全体の費用が拡大していかないような、行革の精神があるわけですね。ですから、いられるけれども、ポストにつけない人は給料をうんと下げさせてもらうというふうな、全体の絵図をかかなきゃならないんですね。そうしないと、天下りの根絶ということはできないんです。
 対応策でやっているから、非常に国民にわかりにくくなっているんだと思いますが、もう制度自身の中で、無理無理に肩たたきをしてやめてもらうというような仕組みでないように、まじめに勤めていけば、給与は別として、ポストは別として勤め上げることができるという構図にしていかなきゃ天下り問題の根絶というのはできないわけですから。そういう、全体構造を変えていくんだということで、内閣としての意思を示さなきゃならないと思っています。
(問)そのためには、だから人事院の移管というのが必要だと。
(答)もう必須条件です。
 もちろん、要するに今までは、各省の人事課長が、人事院に行き、総務省に行き、そういう中で財務省主計局が査定をしという、あちこちを駆けずり回らないと人事が落ち着かないんですね。そういう駆けずり回る機能を一カ所にまとめるということというのは、極めて合理的な話だと思うんですね。その際には、人事というのは、正にポストの話でありますし、組織の話ですから、機構・定員の査定にまで連携してくる話ですから、それらを機動的にやると。
 ただし、総務大臣が心配されているように、人事の都合でポストをつくったりなくしたりするということは、確かにあってはならないことだと思います。ただ、人事とポスト・組織というのは連携しますから、片方が片方を引きずらないようにしますけれども、両方を見ながら機動的に対応するということができないと、効果が上がらないわけですね。ですから、内閣官房の局の中に、ファイヤーウォールは設けつつ両方を見て機動的に対応できるような組織にしなきゃならないと思っています。
(問)先ほど大臣の発言の中で、名称については、今検討しているという趣旨の言い方をされたと思うんですけれども、具体的に今、人事局の名称について変更する方向で検討しているのか、もしくはどういうふうな名称について、今具体的に考えているのかというところを教えていただけますでしょうか。
(答)内閣人事局だと、人事のもとにすべてが置かれてしまうという、組織、ポストの査定というのは、それである種の人事の都合ということから、少し独立性を持っていなきゃならないという総務大臣の懸念はよくわかりますので、新しくする局は人事、それから組織、両方をにらみながら機動的に対応していくということがわかるような名称にできればというふうに思っています。
 どういう名前にするというのは、まだ決めておりません。何かいい名前ってありますか。
(問)それはもう、工程表をつくる段階までに新しい名称を決めてというふうなお考えですか。
(答)ええ、できるだけ早くしたいと思います。
(問)その辺は、先ほど面会しておられたときに、鳩山大臣とはお話になっていないんでしょうか。
(答)鳩山さんとは一緒になってないんですね。

(以上)