野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年5月15日

(平成21年5月15日(金) 10:25~10:36  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議においては、私の関係では公益通報者保護法の対象法律の一部を改正する政令を決定いたしました。本政令は国会の立法動向を踏まえ、公益通報の対象となる法律の追加を行うものです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)鴻池前官房副長官の問題について、昨日、官房長官側の事情聴取に対して、鴻池前副長官は週刊誌の記事の事実関係をおおむね認められましたが、どう思われたかお聞かせください。
(答)御本人も、また総理、官房長官も良くないということを判断されて、鴻池副長官も自らお辞めになりましたし、それに対して総理や官房長官もそのような発言をされたものと思っています。
 私の考えを申し上げるならば、まず、やはり政府高官としての自覚が足りなかったと言わざるを得ませんし、2つ目には、私的なことで国会議員の仕事のために使うべきJRパスを使ったこともやってはならないことだと思います。3つ目は、私は女性ですから、仮に私が結婚していて、夫がいて、夫が週刊誌の記事のような行動をしたら、私は許し難いし、信頼関係も壊れると思います。プライベートなことと言ってしまえばそれまでですが、現在、結婚をする人が少なくなって、少子化の原因になっているということで、若い人たちが結婚してくれるように、小渕大臣が一生懸命いろいろな手立てを考えている中、そういう努力を揺るがすような行動をされたということは非常に残念です。
(問)次世代スーパーコンピューターの開発からNECが撤退することになりましたが、これについて御意見をお聞かせください。
(答)昨日、報道もあり、また、文部科学省の担当からも説明を受けましたが、今、100年に一度の厳しい経済情勢の中で発生した、本当に痛ましいことであって、NECの方にとってみれば苦渋の選択をせざるを得なかったことは、とても残念に思います。ただ、ここまで開発に尽力していただいたことには感謝しつつも、幸いにも2つの方式を併用する形で進んでいたわけですが、もう一方の富士通の方は、別な記事で世界最速のCPUということで試作品が発表されたということもありました。今後、もう一度仕切り直しをすることになりますが、現在、富士通が取り組んでいる方式で、最速の次世代スパコンという目標達成は十分可能であるという判断がつきそうですので、それで早急に、私のところには6月までにはという話がありましたが、仕切り直しをして、製造に向かって取りかかっていただくということになります。いろいろ残念なこともありましたが、それにめげずに、今まで積み重ねてきた成果をしっかりと生かして、目標に向けて進んでいくという説明を受けました。
(問)関連して、今後、新たに予算措置等で国費が上積みされる可能性もあるように思いますが、いかがですか。
(答)今、現時点ではそういう話は出ていません。NECが製造から抜けるわけですが、富士通の方でしっかり製造できるかどうかを見極めて、まずはそこからですから。その後、どうするかという議論はいろいろ出てくると思いますが、今の段階でそういう話はありません。
(問)関連して、この例のように、民間企業が国立系、政府系の研究所よりも優れた技術を持っているにもかかわらず、現在の経済情勢が悪くて撤退するという事態は、今後いろいろな分野に波及すると思いますが、政府として何らか手当てしていく考えはありますか。
(答)私がかつて郵政大臣のときは、分野で言えばITだったのですが、ITの研究開発も、全般的に見て、どちらかというと、時の郵政省よりも、むしろNTTにおんぶに抱っこという場面が多々ありました。それでも応用的なところはよろしいわけですが、本当に基礎的なところにきちんと手が届くかといった懸念や、今回のように景気が悪くなって業績が落ちると止めざるを得なくなる、やれなくなるということもあるということを踏まえて、当時は、なるべくコアなところ、基礎のところは民間に依存せずに独自にという仕分けで取り組んできた経緯があります。この考え方は、科学技術全般に関して言えることであって、今回は本当にこういう事態に立ち至り大変に残念ですが、今、科学技術の研究のあり方についても、新しい基金を組んだりすることも含め、いろいろと見直しをしています。やはり国家戦略としてうたう以上は、それを裏打ちできるようにしっかり担保していかなければいけないと、多くの関係者が感じていることと思いますので、私としても検討していかなければならないと思っています。
(問)鴻池副長官の辞任の話に戻りますが、今回の辞任により、内閣に対する国民の信頼や来たる衆議院選への影響については、どのようにお考えになっていますか。
(答)良いか悪いかと言えば、「悪い」、それは、やってはならないことをやられた結果の辞任ですから。ただ、私たちは立ち止まるわけにはいきませんので、速やかに、後任の浅野副長官と共に、まだこれから参議院で補正予算の審議もありますし、政策ですとか仕事の面で実績を積み重ねることで、厳しい批判を頂きながらも、自分たちはしっかりやっていこうということで前に進むしかないと思っています。
(問)鴻池副長官の任命責任についての総理の発言は、最初は歯切れが少々悪かったのですが、それについてはどうお考えですか。
(答)私、実は先の発言も後の発言も、どちらも正確に聞いていないんです。ですから、歯切れが悪かったかどうかも、よくなったかのかどうかも、判断がつきません。ただ、本当に総理大臣というのは大変な仕事で、すべてが最終的には総理の責任になるということですから、そういう定めの下で、私たちも総理の足を引っ張らないように、しっかりと自分の立場をわきまえて頑張っていこうという私の思いしか申し上げることがありません。
(問)昨年の「自殺の概要」が公表され、30代で特に件数、比率が増えているということですが、どのようにお考えですか。
(答)今回、資料を頂いて、私も本当に厳しく受け止めるとともに、私自身、本当に胸を痛めています。ちょうど30代と言いますと、私たち世代が現役を卒業したころ、次の担い手として頑張ってもらいたい人たちですので、どうにか生き延びる力というものを30代の人たちに持っていただきたいんです。そのためには、一番は「生きやすい社会」をつくるという当たり前のことになるわけですが、その前提として、自殺対策の中で、これまでは必ずしも十分ではなかった、例えばうつ病が非常に多いという分析も出ておりましたから、この病気への抜本的な対策にもっともっと取り組むということですとか、社会的要因であればハローワークや、私が関係しているところでは消費生活センターですとか、直接自殺に結びつく場所ではないけれども、そういうところでしっかりセーフティネットを作っていくことにも取り組まなければなりません。また、今度の補正予算案に基金造成が盛り込まれましたので、その基金を使って、今、最前線で活躍していただいている全国のNPO、自殺をなくそうと取り組む人たちがもっともっと活動を広げて、10人助けられたのが、20人助けられる、そういう国を挙げての支援をしていくことで、自殺対策に更に取り組んでいかなければならないと思っています。
(問)民主党の代表選で、鳩山由紀夫さんと岡田克也さんが立候補を表明されたのですが、そのお二人について、昨日も会見等をされており、それを見てどう思われたか、また、極めて短期間で代表選が行われることについてどう思われるか、併せてお聞きします。
(答)まず候補者お二人は、元々自民党の先輩ですから、何か他党の選挙とは思えない妙な親近感があると言いますか、民主党と自民党の違いがわかりづらくなっている感じが自分ではしています。それと短い選挙期間ということで思い出すのが、実は、昨日でしたか、小渕元総理の御命日だったと記憶していますが、あの当時、小渕総理がお倒れになったときに、一部の有力者が密室で談合して森総理を選んだという批判が出て大変問題になりました。私たち自民党は、それを反省してじっくりと時間をかけようと、民主主義の下で、国民全員には党の代表を選ぶ権利はないにしろ、たくさんの党員がいるわけですから、そういうところにまで常に声を聞くような努力をしようと、開かれた政党にしようと、そういう強い思いに立って、かなり時間をかけて昨年も総裁選挙を行ったものと思います。それを思うと、何かかつて自民党が批判されたのと同じように、何となく内向きで急いで決めてしまうというのは、少し時代に逆行しているのではないかなという感じはしました。

(以上)