野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年3月10日

(平成21年3月10日(火) 9:31~9:46  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日の閣議について、特に報告することはありません。

2.質疑応答

(問)西松建設の事件に絡んで、二階経済産業大臣の政治団体がパーティー券を購入してもらう際に、ダミー団体によるものという違法性の認識があったのではないかということで検察も捜査に乗り出すという情報もありますが、現職の閣僚に疑惑が生じていることに対して、同じ閣僚としてどのように捉えていますか。
(答)その情報については、私自身が確認したわけではありませんので答えられないところですが、二階大臣は、参議院の予算委員会において、野党議員から同様の質問を受けて、きちんと法律に則って処理をしていたと答えておられました。また、違法性の認識はなかったということと併せ、たくさん購入してもらうパーティー券のうちの一部分ということで、いくら代表であるとはいえ、一つ一つパーティー券を精査するようなことはしていなかったということも仰っておられました。
 私も国会議員の一人として、ささやかながら政治資金パーティーを開かせていただくこともあります。確かに、私もパーティー券を買っていただいた方お一人お一人を把握しているかというと、把握できません。そういうことを考えたときに、私なりには二階大臣の御発言は理解できましたが、ただこれではまだ国民に対して説明が果たされていないというのであれば、なお一層、様々な機会を捉え、くどいぐらいに十分な説明をしていただければいいのではないかと、そう思っています。
(問)民主党の小沢代表に関する疑惑が、事件発生以来、いろいろと報道等で出ておりまして、小沢代表は重ねてそれらを否定しているのですが、週末のNHKの世論調査等でも、小沢代表の説明が不十分だ、納得できないという人が67%に上るなど、世論としてはまだ説明不足だという認識があるようです。大臣はこうした状況をどう捉えていますか。
(答)今まさに捜査が行われている段階で、真実はその捜査の中にしかないものですので、私も説明責任を果たすべきと言ったものの、代表が自らでこれといった回答をなかなか見出せない状況なのかなとは思っています。ただ、事実として、御自身の公設第一秘書が逮捕されたということは、やはり由々しきことでありますから、そういう立場の方が逮捕されたという事実と御説明との間の距離がまだ十分縮まってないのかなと、そんな感じもしています。ただ、これはやはり実際捜査が行われていて、捜査当局から多分いろいろな事実なり、経緯なりが明らかにされる時が来るのでしょうから、それまで私自身も知り得ないわけで、他党の代表のことですので、私がとやかくと言うのもおかしなことだと思います。とはいえ、やはり前にもお話ししたと思いますが、私たちの仕事は、疑わしきは罰せられるという立場だということを常に意識していかなければいけないと思っています。
(問)テレビ朝日が週末に実施した世論調査で、内閣支持率21.1%と、麻生内閣発足後初めて上昇したのですが、その受け止めと要因について何かお考えがあれば。
(答)いろいろなことがありましたから、何が決め手かというのは測りかねますが、私とすれば、やはり定額給付金がようやく給付されるようになって、思っていた以上に嬉しいことだなという国民の気持ちの高揚感が支持率につながれば、率直に嬉しいことだとは思っています。ただ、支持率というものは様々な要因で変動するものですから、今回、支持率が上がったからといって、一概に嬉しいという感想は申し上げられない状況です。
(問)昨日、アメリカのオバマ大統領がES細胞研究への助成禁止を撤廃する大統領令に署名しました。それに対する大臣の御感想と、あと日本の政策への影響を教えてください。
(答)残念ながら、私は招待を受けていなかったのですが、京都大学の山中伸弥教授が日本からのゲストということでお出かけになったと聞きました。御承知のように、日本は山中教授を始めとして、一生懸命、とにかく一生懸命に、この分野に取り組んでいるところで、一方、アメリカにおいては、前大統領の時には民間の活動は盛んであっても、国レベルではストップがかかっていたところ、今回、この研究に関して同じように歩めるようになったということは、非常に喜ばしいことだと思います。
 今後は、同じ土俵に立ってそれぞれ研究をする中で、彼我の優位性といったことについても容易に比較ができるようになるわけで、そういう面でも、良い意味で競争関係を保ちつつ、結果的には世界の国民の幸せのために走っていかなければならないなということを実感しました。
(問)消費者庁関連法案ですが、党の国会対策委員会や院の議院運営委員会の議論でも、そろそろ審議が始まるのではないかという見通しがついてきましたが、大臣として審議に期待することがあれば教えていただきたいのですが。
(答)伝え聞くところですが、予てから民主党内では、外局という組織の位置付けは良くないというお考えがあり、対案の御用意があるということでありました。同じ消費者の利益の擁護という目的の下で、こういう手法で行くべきというのを見つけることによって、よりよい道が指し示されるのではないかと思います。とにかく消費者行政は幅広いものですから、一日も早くしっかりと良い議論をする中で、私としては、世界各国の情勢も踏まえつつ、この日本の国にはやはり消費者庁という形が消費者行政の機能を発揮するには一番良い形だという思いがありますので、そういう答えを導けるように審議を活性化させていければと思っています。
(問)宇宙のことでお伺いします。日本人宇宙飛行士の若田さんが乗るスペースシャトルの打ち上げが12日に迫りました。今回、日本人初の長期滞在ということで注目を集めていますが、大臣としては、今回のミッションに期待することは何かありますか。
(答)実は、スケジュールが許せば、ぜひお見送りをしたかったのですが、残念ながら国会日程で行けなくなりました。今回は長期滞在ということで、今までと違う全てのことに若田さんが取り組まれますが、一つ一つの成果が私たちの蓄積、ストックになってくるわけで、具体的にどれをということではなく、とにかく頑張っていただきたいという一言に尽きます。
(問)それに関連して、先週金曜日の宇宙開発戦略専門調査会で、2025年から2030年ごろに有人の月探査という構想が事務局案として提示されましたが、その案について、大臣としてはどういう感想、考えをお持ちですか。
(答)宇宙開発と言うと、ロケットやサテライトは日本のものも存在しますが、一般の国民にとって宇宙というのは、やはりアポロ計画を始めとした諸外国の有人宇宙活動の中で、月を歩いたですとか、そういうことがすごく心に残っている方が多いと思うのですね。
 片や日本は、有人宇宙活動は諸外国が実施しているので、違う分野で力を発揮しようということで取り組んできましたが、いま一つ、国民的人気、応援が少ない中、逆に言うと日本は有人宇宙活動ができない、日本の技術は低いのではないかといった間違った過小評価をされては困るという思いがありました。
 有人宇宙活動に関してはいろいろな議論がありましたよね。例えば、国民が身近に感じるですとか、子どもたちがこの国に対して夢や希望が抱けるですとか、それとはまた別に、やはり有人宇宙活動をすることで、最先端の技術、高リスクを克服する高度な技術革新が生まれてくる、それは、ひいては、いろいろな産業にスピンオフされ付加価値を高めることになるのではないかといった様々な議論があるわけです。そうした中で、今まではなぜか有人宇宙活動については、コストがかかる、リスクがあると言われて、議論をしてこなかったのですが、せっかく新たな国家戦略として宇宙開発を考えた時に、多くの国民に関心を持ってもらうためには、今までとは違うアプローチをするべきではないかということで、有人宇宙活動の御意見が出たということだったと思っています。
 ですから、前向きに受けとめて、多分事務局からはいきなり有人宇宙活動というよりも、むしろ日本の得意分野であるロボットとの二段階方式のような形で、将来につなげていったらどうかという提案があったと思いますが、事務局のたたき台を皆さんで精査していただいて、多くの国民が将来に向けて明るさを感じられるような国家戦略としての宇宙開発、そこにあって有人宇宙活動はどういうポジションを占めればいいかということも、これから5月に基本計画を取りまとめるまでの間、詰めていきたいと思います。
(問)関連して、月探査の素案の中で、計画に1兆円規模のコストがかかるという説明が事務局からあったのですが、それだけのコスト負担を実際できるのかという問題、また、人命のリスクの問題もあります。それらに関して、大臣はどのようにお考えですか。
(答)コストについては、これまで私が就任する以前は検討がなされてこなかったので、あくまでアバウトな数字なんです。むしろ幾らかかるかということよりも、これだけ費用をかけて、天秤のこちら側での産物の側、技術開発のためにこれだけかかったが、その見返りとして、国民がどれだけメリットを得ることができるかということのほうが、実は大切なのではないかということを事務局とも議論しています。そういう感じですね。
 人命リスクの問題も、実際に有人宇宙活動を始めるとしてもかなり先ですが、国民の合意形成ができるかどうかというのも、今度の国家戦略の鍵の一つになってくると思っています。私もいろいろな担当を務めていますが、食品からロケットに至るまで、この「リスク」というものに対して、我が国はかなりシビアな国民性を有しております。リスクを認められるどうか、多分今はまだ合意ができないのだろうと思います。今、俄かにはそういうリスクは認められないという雰囲気が感じられる中、どこまでそういうリスクに関しての許容が国民の議論の中で熟成されるのかというのも、これもやはり国家戦略の鍵の一つであると思います。

(以上)