野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月9日

(平成20年9月9日(火) 10:37~10:49  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

おはようございます。
 本日の閣議においては、お手元の資料のとおり、私から2件の発言をいたしました。
 初めに、公益法人白書が配付されましたので、公益法人制度改革を担当する私から、各閣僚に対して、改革の推進についての連携を要請いたしました。詳細については、公益認定等委員会事務局までお問い合わせください。
 次に、平成20年度自殺予防週間の実施について、9月10日から1週間を自殺予防週間と定めており、全国各地でシンポジウムなどを開催する旨発言いたしました。詳細については、共生社会政策担当までお問い合わせください。
 また、閣僚懇談会におきましては、先週土曜日に私が参加し、兵庫県神戸市で「消費者行政の推進について」をテーマとした国民対話を開催いたしましたので、その報告をいたしました。詳細につきましては、消費者行政一元化準備室までお問い合わせをしてください。
 加えて、明日10日、従来の食品危害情報総括官制度の対象を製品・施設にまで拡大した「消費者安全情報総括官会議」を立ち上げますので、関係閣僚に特段の御協力をお願いいたしました。詳細については、国民生活局までお問い合わせください。
 自殺予防週間につきましては、増田総務大臣から御発言がありまして、東北3県、秋田・青森・岩手が常に自殺者率が高いということで、当時知事をしておられた際に、その3県の知事が協力して、徹底的に自殺の予防に努めようということで御努力をされたそうです。一番効果的だったのが、自殺率が高いと言われる地域にお医者さんを張り付けたりすることであったということを御披露されました。増田大臣からは、自殺というと、国もなかなか前向きに取り組んでこなかったように思えるので、国策として、正面から堂々とこの問題に取り組んでもらいたいという御要望がございました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)大阪の事故米の転売の件で、農水省の立入調査は事前に相手に調査日を伝えるなど、調査のあり方が甘かったのではないかという指摘が出ていますが、どう受け止めていますか。
(答)大変甘かったと思います。やはり、通常ではない「事故米」ということで流通するものですから、普通以上に神経を尖らせて検査を行わなければならなかったと思いますし、これはぜひ反省していただいて、速やかに本来あるべき検査、それこそ消費者の立場、国民の立場に立って、安心を提供できるレベルの高い検査体制というものを速やかに整えて進めていただきたいと要求します。
(問)現場レベルでは、例えば焼酎の回収とか、非常に影響が広がっていますが、消費者行政の担当としてどのように思いますか。
(答)まずは風評被害を最小限に食い止めなければなりません。大変感謝すべきことと申し上げたいのですが、自発的に焼酎メーカーの方が名乗り出られて、そして自主回収を早速していただいている、そういう良識ある業者の方がおられます。この人たちは、被害者であるにもかかわらず、そういう取組をしていただいておりますので、その努力が報われるよう、私たちとしても支援をしていきたいと思います。
(問)消費者庁の設置に向けても、今回の件については反省材料になる部分があるのではないかと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)いろいろ調べさせていただきましたが、ここ一、二年で起きた話ではなく、むしろ、かなり昔からこういうことが行われていたということが明らかになり、やはり公益通報者保護制度といったものの定着によって、最近、ようやく明るみに出てきた事例の一つだと思っています。
 であるからこそ、相談や情報を一元管理し、そして公益通報が速やかに受け止められて、更に情報収集し、分析した上で、迅速にアクションをとれる、そういう役所「消費者庁」というものの必要性を一段と感じておりますので、しっかり取り組んでいきたいなと思っています。
(問)今日、公益法人の見直しについて改めてお話されたとのことですが、公益法人の一つである日本相撲協会については、例えば公益法人の見直しの中で、今回のような薬物騒動を受けても体質の見直しができないといったことであれば、新公益法人に移行するときに何か支障が出てくる可能性はあるのでしょうか。
(答)現在、ちょうど移行期間にあるわけでして、それまでの間、それぞれの公益法人が作業を進める中で、所管は差し当たりは各省庁のままになっています。
 ですから、その間に、所管の省庁がどのように指導されるかについては、それぞれの対応に任せたいと思います。
(問)地方の消費者相談窓口について、消費者団体が全国調査したところ、専門の窓口を置いていない自治体がおよそ4割、それから特に町や村では63%が専門の窓口を持っていないという結果がわかり、改めて地方の格差といったものが浮き彫りになったのですが、それについてどのように受け止めますか。
(答)残念なことに、ここ数年、地方における消費者行政に対する関心が高まらず、そのための予算や人員がどんどん減らされてきていたというのが実態で、それに引きかえ、様々な消費者被害はむしろ増大している、このギャップを直すということが福田総理の熱い思いでありました。これにつきましては、現在準備中の消費者庁設置関連法案の中にも書き込んであるのですが、各都道府県は中核的なセンターを「必置」、必ず設けていただくと、そして、そこが司令塔になって、各市区町村に対して消費生活センターという、消費者にとって一番身近な窓口の設置に向けて取り組んでいただく、そのために、国としては数年かけて立上げ費用と言いますか、そういうものを支援していくということにしています。今の状況を憂いているだけでは仕方がありませんので、それを変えていく努力をしていきたい、しっかりと努力していくということだと思います。
(問)先日、森元首相が懇話会のあいさつの中で、野田大臣に総裁選への出馬を求めたが断られたということをご紹介になっていましたが、その事実関係と、どういう理由で断られたのかについてお伺いします。
(答)福田総理が辞任された翌日だったと思いますが、お電話をいただきまして、そういう話がありました。
 私がお断りした理由は、総裁候補になるということは、日本の総理大臣になるという前提で引き受けなければならないということにあります。私は、小渕元総理大臣にお仕えした一人として、まさに小渕元総理の生き様、命を懸けて国のために働いていた姿をつぶさに見ておりましたので、総裁候補とはいえ、軽々な気持ちでお引き受けをするようなことはあってはならないと思います。また、自ら振り返る中で、まだまだ未熟だと思いますし、勉強不足のところもたくさんございます。そういうわけで、お申出を頂いたときは大変うれしかったのですが、うれしいだけでなれるものではありませんので、そういう責任感、本当に国を背負うんだ、命を懸けてやるんだという、そういう重みと対峙したときに、まだまだ修行不足だと私自身判断いたしまして、お断りをいたしました。
(問)自民党総裁選に、現在、5人の候補者の方が出ていて、政策的な部分も見えつつあるのかなと思うのですが、消費者行政などは次の内閣にもかかわってくると思いますので、政策的な面でどなたに共感を覚えておられるかを含め、総裁選をどのようにご覧になっているかお聞かせください。
(答)立候補を表明されている全ての皆さんの言っていること、それぞれが正しいと思います。やはり、無駄遣いをしてはいけないということも大事ですし、そうは言っても、税収が少ない中で、やはり言わば「輸血」を必要としている人たちがたくさんいる、当座の輸血を提供しなければいけないということもそうですし、当然、「上げ潮」と言いますか、これは今だけのことではなくて、ずっと上げ潮姿勢でなければいけないわけです、国会議員たるものは、ですね。私は消費者庁も一つの上げ潮だと思っています。これが出来ることで、安心して消費が行われるということは、まさに景気の上げ潮の一端を担うわけで、つまりこの3つがどれもこれも大事なわけで、この中でどれかを選ぶということは容易ではありません。
 私の考える総理大臣たるものの原点は、側でお仕えした小渕元総理の生き様でありますし、またある意味、総理大臣の凄みというものを学んだのは小泉元総理でありますから、そういう過去の先輩たちと同じような志と言いますか、生き様を持っておられる方が、やはり本当の意味で身命を賭して国を守ってくれるのではないかと思います。そういう観点から、じっくり検討していきたいと思っています。
(問)今、じっくり検討するということなのですが、明日総裁選の告示がありまして、例えば、しばらく各候補者の主張を聞いた上でどなたを推すかということを判断するという解釈でよろしいでしょうか。
(答)一つの目安としては、やはり福田内閣の下、担当大臣としてここまで本当に必死で取り組んできた「消費者庁」、これはただ単に新しい役所を作るだけではなく、これまで多くの有能な総理大臣でも打破できなかった縦割り行政を根本から変えるという、福田総理に言わせると「静かなる革命」でありまして、これが成し遂げられるかどうかということは、次の日本の政治の節目に、転換点になってくると思うのです。
 ですから、消費者庁を単なる消費者を守るための場所という位置付けをしておられる方は、私にとっては相容れないわけでして、これを真の行政改革として、国民に立脚した政治を作り直すんだという意識が持てる人、そういう人が私にとっては一番近い存在だと思います。

(以上)