与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月5日

(平成20年8月5日(火) 11:06~11:20  於:共用220会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございません。

2.質疑応答

(問)今回の経済対策なのですけれども、大臣は、単純な需要の積み増しはしない、ばらまきはあり得ないというようにおっしゃっているのですが、これは7月末に、既に政府が決めた原油高対策と同様、要するに、省エネ対策であるとか、あるいは生産性向上であるとか、そういったことを支援の条件とするということなのでしょうか。
(答)これは、各党もそれぞれ、こういう対策をやったらよいというお考えがあるでしょう。そのことは、昨日、自民党の保利政調会長、麻生幹事長にお目にかかって、党としてこういう方向で政策を行うべきだというものをまとめていただきたいとお願いしてまいりました。それから、昨日夕方、これは保利政調会長に御了解いただいた上で、山口公明党政調会長にお目にかかり、今朝、北側公明党幹事長にお目にかかって、公明党として望ましい政策というものがおありだと思うので、そういうものを早急に、項目としてこちらに教えていただきたいということをお願いしてきました。当然、自民党と公明党の間でも、話し合いが行われます。
 それから、今日午後から、伊吹財務大臣、太田農水大臣、二階経産大臣等々、経済対策に直接関わるような閣僚にお目にかかって、同じような趣旨を申し上げたいと思っております。各党、各省で、自分たちとしてはこういうものが望ましいのだ、こういうものをやるべきなのだということを出していただいて、ただ、それを全部認めるということではなくて、そういうものの中から総理のお考えと整合的なもの、あるいは構造改革、あるいは財政規律などと整合的なものをピックアップしていくということでございます。
 当然、経済対策ですから、予算措置が必要になるということは、論理の延長線上にはあるわけですけれども、まだそこまでは実は考えていません。まずどういう政策項目があるかということを、ここ二、三日中にきっちり意見を集めていくという作業の段階です。
(問)それでは、大臣のほうから、「基本的にこういう考えで知恵を出してください」とおっしゃる前に、まずは先方から、どういったことができますかという意見を聞くということですか。
(答)昨日、総理から、これに関する指示がありました。
 物価高騰、景気悪化懸念、また、生活回りに関する国民の不安を解消するための対策のパッケージ作りの取りまとめに早急に着手してもらいたい。
 まずは、経済関係閣僚、与党の執行部等と相談し、総合対策の基本的な考え方、取りまとめのタイミングなどについて調整し、できれば今週中、遅くとも来週初めには、調整結果を報告してもらいたい。
 対策を取りまとめるに当たっては、次の点を留意すること。
 第1に、国民の不安を一日でも早く解消することが必要であり、効果が実感できる総合的な対策とすること。
 第2に、ばらまきや一時しのぎの対策ではなく、構造改革を通じた経済成長を実現し、日本経済をより強固なものとすることを基本に据えること。
 第3に、一方で、物価高騰など急激な環境変化によって大きな困難や痛みに直面している者に対しても、きちんと配慮すること。
 第4に、財政健全化路線の下で、必要なことをしっかりやるのが前提であり、関係閣僚と協力して、無駄ゼロ対策、特別会計の在り方の見直しなどを徹底的に進める方策についても検討すること。
 これが、総理の御指示でございます。こういう御指示に沿って物事を、私のほうも進めますけれども、各党にもお話ししてありますし、この間に各省庁にも、そういうことを前提に物事を考えていただくということです。
(問)その経済対策については、経済財政諮問会議でも議論するというお話のようですけれども、そういったことも含めて、具体的なステップと全体的なスケジュールを、もう一度、改めて教えていただけますでしょうか。
(答)経済財政諮問会議の運営の仕方というのは、やはり財政のマクロフレーム、社会保障制度の持続可能性を考えたマクロフレーム、それから当然、足元の経済にどう対応するか、そういうことも議論していただきますが、総理が言っておられるような経済対策のお話を、直接、諮問会議に今持ち込んでという考え方はありません。
(問)諮問会議の議題になることはないということですか。
(答)ないとは断言できませんけれども、現在、それを議題にするということは考えておりません。議題にする必要があるかもしれないけれども、現時点でそういうことは考えておりません。
(問)今日、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会が、今年度の全国最低賃金の引き上げの目安を15円にすると決めまして、この結果、全国最低賃金の平均が、初めて700円台に乗る見通しとなりました。大臣は、規制改革担当大臣のお立場で、せんだっての会見の中で、規制緩和にはやるべきものもあるけれども、やるべきでなかったものもあった。すべてが善ではなかったと。その中で、非正規雇用の増加がもたらした格差問題、これをこのまま放置してよいのかは、よく考えるべきであるというようなことをおっしゃいました。
 そういった意味では、今回の最低賃金引き上げの目安というのは、所得格差の是正に向けて大きな一歩になろうかと思いますけれども、このことについての受けとめをお願いできますでしょうか。
(答)人を安く使おうという精神は、そんなによい精神ではない。やはり働く人全てが、それぞれ自分の将来を持ち、場合によっては家族を持っているわけですから、働くことについては、正当な労働に対する分配を受けてしかるべきだと、私はそのように思っております。
 したがいまして、賃金というのは市場価値で決まると思っていませんで、やはりそこには国としての「少なくともこれだけは払わなくてはいけないよ」という考え方が、当然あってしかるべきです。これは進んだ資本主義経済のアメリカですら、そういう物の考え方があるわけで、それが少々上がるという答申を得たことは、歓迎すべきことだと私は思っています。
(問)「少々上がる」というおっしゃり方ですと、これはまだやはり道半ばという御認識なのかなと思いますけれども、規制改革担当大臣として、この賃金問題について……
(答)結局、バブルの後始末の過程で、上がったもの、下がったものを見ますと、労働分配率は下がった、配当は上がった、企業の内部留保は上がった、非正規雇用は上がった。これが正常な姿かどうか、あるいは日本の社会としてなじみやすい姿なのかどうか、これはやはり社会全体として考えてよいのではないか、私は今、そう思っています。
(問)規制改革担当大臣としての賃金問題に対する今後の取組の方針について、改めてお伺いできますでしょうか。
(答)いや、その道に深い知識と経験を持った方がやっておられるわけですから、そういうものが尊重されるべきだと思っています。
(問)各閣僚の方に、今日、伺っているのですが、8月15日の終戦の日に関連してです。靖国参拝について、大臣としては、8月15日あるいはその前後で、行かれる御予定はあるのか。また、もし行かれる、行かれないの考え方が大臣としておありであれば、教えてください。
(答)靖国神社というのは地元の神社ですから、始終、靖国神社には伺っています。 しかしながら、8月15日という日を定めて行ったことは、まだ一回もありませんし、今年もそういう予定はありません。
(問)確認ですが、では8月15日に行かれる可能性もあると考えてもよろしいのでしょうか。
(答)今、そのような予定はありません。

(以上)