与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月2日

(平成20年8月2日(土) 14:08~14:27  於:記者会見室)

1.発言要旨

 どうも与謝野馨でございます。よろしくお願いします。
 福田内閣の経済財政政策担当の閣僚になりました。任命される際、経済財政政策の司令塔になれということを福田総理から指示をされましたので、内閣府の方々とともに日本の経済政策、財政政策に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)景気の現状認識について、昨日、総理官邸の会見でも、昨年暮れごろから後退局面に入っている可能性があるというような御認識を示されたかと思います。前任の大田大臣はこの春以降、景気は踊り場的状態にあるという見解をずっと示されていましたが、大臣は既にもう景気は踊り場的状況ではないという御認識なのでしょうか。
(答)私は在野でございましたから、在野の判断として昨日は記者会見で申し上げました。
 内閣府、政府の正式な見解としては7日の会議でお示しをいたします。内容については、その当日になるまではわかりませんので、それまで待っていただければと思っております。
(問)もう一つ、昨日の会見でも、特に物価の上昇に関する懸念を示されていて、要するに政府としても原油高に起因する物価高の対策を、党とも相談しながら早急にまとめたいということを仰っていたかと思うのですけれども、一方で、かなり財政事情が厳しいという制約がある中で、具体的にどういった対策をイメージされているのかをお伺いします。
(答)今の物価上昇は、国内的要因よりは海外の原油高、原材料高、また食料品を中心とした価格高騰によるもの、また若干世界の金融情勢が以前よりは困難に直面しているということ。いろんな要素から起こっていると私は思っておりますけれども、やはりそういう中で有効需要を創出するような、ばらまき的な対策というのはあり得ないとしても、何か有効な手段を講ずるという姿勢で、これから各省庁とも相談をしてまいりたいと思っております。
(問)ただ、これに関しては昨日、伊吹財務大臣なども補正予算の編成の可能性に言及されたりはしているんですが、やはり、財政規律は守るという前提はあるにしても、ばらまきに陥らない一定の財政出動、例えば補正予算の編成、これが必要だというようなことでしょうか。
(答)いろいろ経済対策に関しては、予算あるいは税制の政策手段を動因しなければならない訳です。国民の生活に直接かかわること、国民の経済活動に深くかかわること、また国民の将来に深くかかわることについては、正確な政策判断を私はする必要があるのではないかと思っております。
(問)内閣府の重要な一面として経済財政諮問会議がありますけれども、大田大臣のころから経済財政諮問会議は与党のほうから、言葉は悪いですけれども、医療の問題にせよ地域の格差の問題にせよ、諸悪の根源かのような扱いを受けているような側面がありました。昨日は、大臣は経済財政諮問会議の活発化に向けて取り組みたいというお話をされていましたが、活発化という側面と、与党との関係というのは、これをどういうふうに作っていこうとお考えですか。
(答)結局、国民を代表するのは誰れか、やはり私は国会議員であろうと思っております。経済財政諮問会議は、経験や知識、知恵を持っている方のいわば集合体でございまして、そこで決めたことは多分、大筋正しいことが多いと思いますけれども、それを国の意思として決定するためには、やはり国会議員が参加したものの決め方というのは重要でございまして、そういう意味ではやはり与党の意見も聞きながら、ものを決めていくということが正しいものの決め方の手順であると、私はそう思っております。
(問)もう一点、プライマリーバランスについてお伺いしたいのですけれども、前任の際につくられた2011年の黒字の達成という目標について、最新の試算では3.9兆円以上の赤字という試算が出ています。また、与党内でも「これを撤回すべきだ」という声も一部出始めていますけれども、改めて歳出・歳入一体改革については、今後どういう道筋をつけていきたいとお考えですか。
(答)2011年、プライマリーバランス達成という目標は、動かすわけにはまいりません。ただ、2006年に想定していたような経済成長が達成できない、それから昨年の税収の落ち込み、また今年予想されるであろう税収の落ち込み等を考えますと、自然体でプライマリーバランスが到達できるかどうかというのは、大田大臣の御指摘のとおり、非常に難しいと。現実に今の数字で計算すれば3.9兆円足りないと。これについては党の方でも歳出・歳入一体改革の議論がまだ続いております。
 特に、党の税制調査会では、税制の抜本改革の議論がようやく始まったところでございまして、税制抜本改革を考えるときのいろいろな要素としては、社会保障財源の確保とか、あるいは2011年のプライマリーバランスの到達目標とか、いろいろな枠の中で考えていかなければいけないということだろうと思っていまして、それを達成するためにはどういうことをしたらいいのかというのは、これからの議論として当然出てくると思っております。
(問)今日の閣議に臨まれての感想と、それから福田総理から閣議では何かお話があったんでしょうか。
(答)始終、党で一緒にやってきた方々が閣僚になられたので、そこに行って何か違和感を感じるとかなく、普通の会議に出席しているという感じで閣議に出ました。 総理からは閣議の後、立ち話で、近々打ち合わせをしようということを言われましたので、昨晩の総理の記者会見あるいは今日の閣議での福田総理のお話、こういうものを総合して内閣府として引き受けるべき仕事、考えなければならない課題、こういうものを整理して準備ができ次第、総理とも、あるいは官房長官ともお打ち合わせをしたいと思っております。
(問)その目途というのはいつぐらいをお考えになっているのでしょうか。
(答)暑い夏ですし、オリンピックもお盆休みもありますし、今そのすき間でどこにはめ込むかなと。ちょっとスケジュールを見ても、何かすぐオリンピックが来たり、お盆が来たりというので、どこかうまくはまるところがあるのか、今ちょっと検討しています。
(問)大臣は規制改革の担当もされると思うのですけれども、規制改革をめぐっては、最近タクシーの参入規制の問題であるとか、あるいは日雇い派遣の問題であるとか、規制を再強化しようという動きがいろいろと見ていると思います。また党の中には「格差拡大の元凶は規制改革である」というような見方も出ていると思います。このあたり、これまでの諮問会議は、経済成長には規制改革がなくてはならないというようなことだと思うのですが、大臣として今後どのように取り組んでいかれようと思っておられますでしょうか。
(答)「規制緩和」という言葉を聞いて「すべて善である」というような考えを、私もとるところではありません。規制緩和すべきであった規制緩和と、規制緩和すべきでなかった規制緩和と、多分両方があるのだろうと思っていまして、「規制緩和」という言葉ですべてを判断するというのは間違いであると思っております。具体的には、タクシーの場合は、タクシーを運転する方々の年収の平均というのが200万円ちょっとというのは、やはり大変問題だろうと思っております。
 それから、バブルの後の、経済の立て直しの過程で、雇用調整的に非正規雇用というものが増えた。そういう意味では、ワークシェアリング的な意味ではそれが正当化される場面もあったと思いますけれども、正規雇用と非正規雇用の賃金格差や何かがこれだけ大きくなってきているというのは、あるいはフリンジベネフィットも違うということをいつまでも放置していいのかどうかということは、深く考えなければいけないことだと思っています。
(問)お盆明けに大臣が参加されての諮問会議が始まりますが、テーマがいろいろある中で、今大臣が想定されている一番重要なテーマというのはどのようなものなのか。7月の下旬の諮問会議では、民間議員の方からいろいろペーパーも出ておりましたけれども、現時点で大臣が最重視したいテーマというのはどのようなものなのでしょうか。
(答)非常に抽象的に申し上げて恐縮なのですが、やはり一、二年の足元の経済をどうするかという問題。それから、非常に長期的に考えて、世界の人口というのはもう2050年には100億人になると。そういう中で、日本としてはどういう立場を築いていくのかと。日本の経済はどう生きる道を見つけていくのか、そういう長期的な課題もやらなきゃいけない。それから、税財政の一体改革、それから社会保障財源の確保、こういうおおむね3つぐらいのことを頭に置いております。
(問)昨日の会見で仰った原油高への総合対策ですけれども、これは早急にと仰いましたが、いつごろまでにというお考えですか。
(答)来週月曜日から検討して、そう内閣府だけでできる話ではないので、経済産業省あるいは党の関連部会等の動向もよく見ながらやってまいりたいと思います。
(問)7月の末に一度対策がまとまっていますけれども、それプラスの対策となると思いますけれども、どんなところが不十分だと考えていらっしゃいますか。
(答)7月末の対策というのは、漁業が特に話題の中心になりましたが、そういうものを含めて、今まで約束したことを具体化する、現実化するということのほかに、何かほかに対策がないかということについては、各方面のきちんとした御意見を伺いたいと思っております。
(問)諮問会議の閣僚メンバーは一新されましたけれども、民間議員についてはかえる必要があるとお考えか否かという点と、規制改革会議の方はタクシーの問題に関しては、つい先日、さらなる規制緩和を求めると、今の国交省のやり方はおかしいというようなことが出されていますけれども、このあたり、メンバーも含めて、先ほど仰った大臣のお考えとは大分違うようですけれども、どういうふうに対応していくか教えてください。
(答)諮問会議の方々の任期は、多分今年の末ぐらいまであるのではないかと思っておりまして、特段、閣僚が変わったから諮問会議のメンバーが変わるということの必然性は全く感じておりません。規制改革会議でいろいろな意見がありますけれども、規制改革会議のメンバーも政治家も、みんな同じ意見を言うということの方が異常でして、いろいろな立場にある方々が意見が違うということのほうが正しい結論が導かれることだろうと私は思っています。
(問)基礎年金国庫負担割合の引き上げについて、財源の問題から与党内に実施時期、引き上げる時期を後ろに倒してもいいのではないかという意見が出ていますが、これについての受けとめと、大臣のお考えをお願いいたします。
(答)これは国民年金法に、平成21年度から現在の国庫負担3分の1を2分の1に引き上げるということが法律に書いてあります。年度が指定されているということが一つの特徴。 それからもう一つは、安定財源を確保して3分の1を2分の1にするということが、両方書いてありますので、それを文字どおり実現するように努力することが、私は政治の責任だと思っております。

(以上)