第169回国会 参議院内閣委員会 泉国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(食品安全)所信表明及び平成20年度の警察庁予算の概要

 国家公安委員会及び食品安全の事務を担当する大臣として、 所信の一端を申し述べます。

 最近の治安情勢は、刑法犯認知件数が、昨年、10年ぶりに2百万件を下回りましたが、市民生活に大きな不安と脅威を与える事件が相次ぐなど、依然として厳しい情勢にあります。
 また、本年は、我が国がG8サミットの開催国となっており、その安全と円滑な進行を確保しなければなりません。
 このような情勢の下、内閣の最重要課題である「世界一安全な国、日本」の復活のため、真の治安再生に向けた取組みを強力に推進します。

 第一は、北海道洞爺湖サミットの開催に伴う総合的警備対策の推進についてであります。
 主要国の首脳が一堂に会する本年7月の北海道洞爺湖サミットや関係閣僚会議に際して、我が国がテロの標的となる可能性は否定できません。国民の御理解と御協力を得ながら全国警察が一体となって警戒警備や情報収集に万全を期します。
 また、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に全力を尽くします。

 第二は、犯罪抑止のための総合対策の推進であります。
 国民が身近に不安を感じる街頭犯罪や侵入犯罪、子どもを対象とした犯罪を抑止するため、パトロール等を強化するほか、振り込め詐欺、ヤミ金融等に加え、食の安全と安心に係る犯罪への対応を一層推進します。
 長崎県佐世保市で発生した散弾銃使用殺傷事件を契機に、銃砲に係る二つの「総点検」を実施し、銃器規制の厳格化のための対策を推進します。
 犯罪被害者等に対する給付金の支給に係る制度の充実を図るため、今国会に、「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案」を提出しております。
 また、いわゆる出会い系サイトの規制強化を図るため、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律案」を提出しております。
 捜査力を強化し、重要犯罪等の検挙を徹底するため、先進的な科学技術の活用を促進するほか、警察における検視体制の強化等、捜査基盤の整備を進めます。
 「警察捜査における取調べ適正化指針」に基づき、全国警察を挙げて、取調べの適正化に向けた諸施策を迅速かつ着実に推進します。

 第三は、組織犯罪対策の強化であります。
 今国会に、指定暴力団の代表者等の損害賠償責任を拡充するなどのため、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案」を提出しているほか、犯罪による収益の追跡・はく奪に努めます。

 第四は、総合的な交通事故防止対策の推進であります。
 昨年の交通事故死者数は、半世紀ぶりに6千人を下回りましたが、依然として多くの尊い命が失われております。
 警察としては、平成15年に立てた「10年間で交通事故死者数を5千人以下とする」との政府目標の達成に向け、効果的な交通安全対策をなお一層進めます。

 次に、平成20年度警察庁予算についてその概要を申し上げます。
 警察庁の平成20年度予算における歳出予算要求額として、2千735億2千9百万円を計上しております。これは、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費であります。この中には、警察庁の体制整備のための経費を盛り込んでおります。
 今後とも、警察基盤の一層の充実強化と精強な第一線警察の構築に努めるとともに、引き続き、警察改革の推進を図ります。

 最後になりますが、食品安全を担当する内閣府特命担当大臣として、一言申し上げます。
 食品による薬物中毒事案が発生したこと等により、食品の安全性について国民の不安が高まっています。食品は、国民の生命・健康に関わるものであることから、その安全性の確保を図っていくことが、政府として一層重要な課題となっております。このため、食品安全委員会においては、科学的知見に基づき中立公正に食品健康影響評価を実施するとともに、消費者を始めとする関係者と食の安全に関して情報や意見の交換を行うリスクコミュニケーションの一層の充実に努めてまいります。
 また、新潟県中越沖地震の発生を受け、原子力発電所の耐震安全性について高い関心が寄せられています。この地震の教訓を踏まえ、原子力安全委員会が改訂した耐震設計審査指針に照らした既設の原子力発電所の耐震安全性の確認を進め、安全確保に万全を期してまいります。

 以上、所管行政について申し上げましたが、国民の皆様が、安全で安心して暮らせる社会を実現するため、全力を尽くす覚悟でありますので、岡田委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。