第 168回国会 衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 岸田内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)所信表明

 沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました岸田文雄でございます。沖縄及び北方問題に関する特別委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 まず、沖縄政策について申し上げます。
 昭和47年の本土復帰以来、沖縄の振興開発のため諸施策を積極的に講じてきた結果、社会資本整備面を中心に、次第に本土との格差が縮小し、また観光や情報通信産業の振興等においても、成果を上げております。
 しかしながら、今日なお沖縄の社会経済は、全国に比べ低い県民所得や高い失業率に示されるように厳しい状況にあります。
 本年は、沖縄振興計画の後期5年に入る節目の年に当たります。先に取りまとめられた沖縄振興計画の後期展望を踏まえ、地方再生の取組にも配慮しつつ、仲井眞知事が進める各般の意欲的な取組とも連携協力し、「現場主義」という考え方の下、地元の皆様方の意向に十分に耳を傾けながら、自立型経済の構築に全力を尽くしてまいります。
 リーディング産業である観光業は、年間入域観光客数が5年連続で最高を更新するなど、好調に推移しております。引き続き通年型・滞在型の良質な観光・リゾート地の形成を進めることにより、さらなる振興を図ります。
 情報通信産業については、高度人材の育成や、高度ソフトウェア開発など、より付加価値の高い分野の振興、「IT津梁パーク構想」などを進め、アジア最先端の高度情報通信産業の集積を目指します。
 沖縄科学技術大学院大学設立構想については、整備法人を中心に、研究事業や施設整備等に取り組んでおります。本年度には恩納キャンパスの建設工事を本格化するなど、世界最高水準の大学院大学の設立に向け、より一層取組を進めてまいります。
 沖縄の離島については、その自然や伝統文化は大変魅力的である一方、生活環境には厳しいものもあります。医療等の島の基礎的な生活条件の整備やそれぞれの島の持つ魅力を活かした取組など、その活性化を図ります。
 さらには、重点的・戦略的な社会資本整備を着実に進めるとともに、各種産業の一層の振興や、沖縄の将来を担う人材の育成、科学技術振興などに取り組みます。
 沖縄における米軍の存在は、我が国の安全及びアジア・太平洋地域の平和と安定に貢献する一方、在日米軍施設・区域の約75パーセントが沖縄に集中しており、県民の皆様に大きな御負担をおかけしております。この基地負担を軽減すべく、その整理・統合・縮小に向けて取り組んでまいります。普天間飛行場の移設・返還についても、地元の意向をよく伺い、沖縄を担当する大臣として、沖縄との橋渡し役を務めていきたいと考えております。跡地対策、基地所在市町村の振興や、北部振興についても、地元の要望を踏まえながら着実に推進いたします。県民の皆様の御負担を軽減できるよう、引き続き、誠心誠意取り組んでいく所存です。
 先般、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が開催され、仲井眞知事をはじめ、多くの方々が参加いたしました。このことは、先の沖縄戦において悲しい、つらい経験をされた県民の皆様の深い思いを示すものであり、その思いをしっかりと受け止めながら、沖縄担当大臣の職責である沖縄の振興に精一杯取り組んでまいります。

 次に、北方領土問題について申し上げます。
 私は去る9月5日に根室管内を訪問し、納沙布岬から貝殻島、水晶島や勇留島を間近に見、北方領土は我が国固有の領土であることを改めて実感しました。
 また、現地で元島民の方々や地元関係者のお話を伺い、生まれ故郷を追われたご労苦や四島返還への切実な願いを痛感いたしました。北方領土問題の解決に向けて、最大限の努力をいたします。
 この問題が一日も早く解決されるよう、国民世論を結集し外交交渉を後押しする返還要求運動を着実に推進します。また国民世論の啓発について、より効果的な取組を検討し、特に次代を担う青少年への啓発を重点的に進め、さらに、元島民への援護措置や四島交流等の着実な実施にも努めてまいります。
 藤村委員長をはじめ理事、委員の皆様方の一層の御理解と御協力をお願いいたします。