岸田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月1日

(平成20年8月1日(金) 14:00~14:22  於:中央合同庁舎4号館819号室)

1.発言要旨

 先ほど臨時閣議が開催されまして、全大臣、辞表を提出してまいりました。
 福田内閣におきまして、昨年の9月から閣僚として仕事をさせていただき、大変大きな責任を担い、光栄に感じながら大臣としての仕事を務めてまいりました。自分自身にとりましても大変貴重な経験であったと思っておりますし、また多くの分野を担当して、それぞれに自分なりに成果や結果を出すことができたのではないかと感じております。少しでも福田内閣に貢献できたとしたならば、大変嬉しく思っているところであります。
 私の担当した様々な分野における多くの課題は、これで終りではなく、これからもまだまだ道のりは続きます。ぜひ次の大臣、次の内閣においてしっかりと引き継いでいただいて、また更なる大きな成果につなげていただければと思っているところでございます。
 今日御列席のマスコミ各社の皆様方にも、長い間、大変お世話になりましたこと、この場をお借りしまして、心から厚く御礼を申し上げます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)特に消費者庁は、総理の一番思い入れのある政策だったと思うのですけれども、どのようなお気持ちで岸田さんとしては仕事に取り組んでこられたかということと、この後、留任なさるか、後任になるかわかりませんけれども、どのような点に留意してこれから政策を進めていくべきかというところを聞かせてください。
(答)消費者行政という分野、こうした切り口は、私自身、以前から大きな関心を持っておりましたし、大変重要な切り口だというふうに考えておりました。そして、私自身、大臣を拝命して、この分野に関わらせていただいたこと、大変光栄に感じたところであります。そして、加えて福田総理御自身もこの分野に大変大きな関心を持っておられて、並々ならぬ拡充に向けての意欲を示されたわけです。こうした総理の姿勢をしっかりと受け止めて、頑張らなければいけないと強く感じながら、仕事をしてまいりました。
 この分野において、消費者行政一元化の基本計画を閣議決定するところまでは来たわけですが、まだこれから法律案を国会に提出して成立させる、必要な予算を獲得する、組織を作っていく等々、まだまだ具体化に向けては道のりが続きます。ぜひ新しい内閣においても、しっかりと新しい組織実現のためへの努力を続けていただきたいということを強く願っております。
(問)一方で、中国製冷凍ギョーザ事件は、まだ原因等が未解明のままということになるのですけれども、これについては、今現在どのようなお気持ちでいらっしゃいますでしょうか。
(答)中国の冷凍加工食品の中毒事件については、発生当初から、まずは被害の拡大防止に努め、そして原因究明と再発防止に努めてきました。今、振り返りまして、まず被害の拡大防止はできたと考えておりますし、また再発防止についても各省庁の協力の下に体制をつくり上げ、対応を進めているところですが、引き続きしっかりと再発防止の努力を続けていかなければいけないと思っています。
 ただ、原因究明という部分については、これは日本と中国の警察当局が中心になってその努力をし、そして今も努力を続けているところですが、まだ国民の皆様にはっきりと結論を示すことができていないということ、この点につきましては、心残りを感じています。
 ただ、G8サミットの際に行われた日中首脳会談、また先日の日中外相会談におきましても、この問題につきましては、引き続き日中で警察当局を中心に原因解明に向けて努力をするということが確認されていますので、引き続きしっかりと努力をしていくべきだと考えています。
(問)沖縄関係ですけれども、沖縄担当大臣として、沖縄の振興と発展に御尽力されてきたと思うのですが、その辺のことを振り返られて、どのような成果、結果等を残されたかということと、沖縄の振興・発展に関する今後の課題、次の大臣が取り組まれることだと思いますが、その辺はどのようにお考えでいらっしゃるかお願いします。
(答)まず、沖縄につきましては、もちろん大臣就任前から個人的に沖縄の地にはたびたび足を運ばせていただいておりました。しかし、公務と言いますか、仕事において沖縄と関わらせていただくという機会を得て、改めて沖縄に関して様々な点において目を開かせていただいたような気がしています。
 沖縄の抱えている様々な課題につきましても、実際に多くの県民の皆様方、関係者の皆様方にお話を聞かせていただき、改めて課題の大きさ、そしてそれに対する多くの県民の皆様の要望の大きさについても痛感いたしましたし、また一方、沖縄の持つ可能性、地理的な利点ですとか、あるいは自然や文化におけるすばらしさにつきましても、いろいろと気づかせられたところです。
 そして、このような沖縄に対して、私自身、職務の中で沖縄の自立型経済確立のために、まずは社会的な基盤をしっかりと整備していかなければいけないということで、様々な政策立案、予算の獲得等に努力をさせていただきました。そして、こうした自立型経済の確立と併せて、沖縄の県民の皆様の感じている基地負担の大きさについてもしっかりと受け止め、努力をしなければいけないということで、私が就任しましてから、その当時、10カ月間中断しておりました普天間移設協議会についても再開することとさせていただき、そして今日まで引き続き協議会を継続して開催することができております。
 さらには沖縄県の未来に向けての可能性を切り開いていかなければいけないということで、沖縄大学院大学構想につきましても、前進をさせていただけたと自負をしております。
 沖縄県の自立型経済の確立と基地負担の軽減に向けて、そして将来の可能性を見据えて、それぞれ様々な仕事をさせていただいたと思っていますが、まだまだそれぞれの課題について努力をしなければいけない点も、たくさん残っていると認識をしております。次の大臣におかれましては、今申し上げました3つの大きなテーマについて、それぞれまた努力を積み上げていただきたいと感じています。
(問)科学技術政策担当大臣ということで、御自身で振り返って一番印象に残ったことと、あと今後の課題というものがあれば教えてください。
(答)科学技術政策担当大臣としては、まず基本的に日本の未来を切り開く上においても、また環境エネルギーを始めとする地球規模の課題に立ち向かうに当たっても、科学技術というのは大変重要なテーマだと感じながら努力をさせていただきました。
 そして、その中で、iPS細胞の作成成功を果たされた山中教授を始め関係者の皆様方に対して、国としてオールジャパンの支援体制を作ろうということで、関係省庁とも連携しながら努力をしたということ、未来を切り開く上で大変重要な科学技術の分野において、日本としてもオールジャパンで体制を組んでいこう、こうした雰囲気で仕事をさせていただいたこと、これは大変印象深いと思っております。
 そして、併せてG8科学技術大臣会合を始め、外交の分野で科学技術外交という概念を多くの国々に対して訴えさせていただき、そしてその協力について賛同・賛意を得た、これも大変印象深く、そして意義深いことだったと思っています。科学技術と外交をうまく連携させ、そして相乗効果を発揮する科学技術外交という概念は、我が国の外交にとっても、また科学技術政策という点においても、大変重要な概念だと思っています。この10月には京都で科学技術大臣会合が、また、同じく10月には、東京で日・アフリカ科学技術大臣会合も予定されています。これからもこうした外交の場を通じて、ぜひ我が国の訴えている科学技術外交というこの概念について、広く理解をいただき、世界の国々とともに科学技術の進歩に努力することができれば、大変嬉しく思いますし、そしてそのことによって、環境ですとか、エネルギーですとか、食糧ですとか、感染症あるいは水等々、全世界の人々が現在直面している地球規模の課題に何か大きな答えが出るようなことにつながればと期待をしております。
 ぜひ、これからもこの科学技術担当の大臣を始め、科学技術担当部局の皆さんには、御努力をいただければと、心からエールを送りたいと思っています。
(問)積み残した点というものがもしあれば。
(答)科学技術は絶えず進歩していかなければなりません。今申し上げた点についても、まだまだ積み上げていかなければいけませんし、また世界の進歩、人類の進歩に合わせて、科学技術というものは絶えず新しいテーマを求めて進んでいかなければいけないと思っています。人類が発展していくために、科学技術は絶えず進歩、発展していかなければいけない、科学技術分野においてやらなければいけないことは、これからも永遠に存在し、そして増え続けていくと思っています。
(問)先ほどの質問の続きなのですが、まず普天間移設の問題で、今後協議会が継続していくとして、今後、埋立の許可申請が大きな山場を迎えると思うのですけれども、その普天間問題を今後進めていく中で、今後引き継がれる沖縄担当大臣はどのような役割を果たしていくべきだとお考えですか。
(答)普天間の移設の問題については、前回の協議会におきまして、2つのワーキンググループを作って、議論をする新しい体制も合意をされました。今月早々にもこうしたワーキンググループが立ち上がると聞いております。
 こうした様々な場を通じまして、政府の関係者と、そして地元沖縄の皆様方がしっかりとした意思の疎通を図る、連携をしていく、これが大変重要な点だと思っています。これからまだまだこうした努力は続くわけでありますし、また、この議論がどういった方向へ向かっていくのか、今の段階ではまだ予断は許さないとは思っていますが、ただこうした関係者のしっかりとした意思の疎通は今後とも重要でありますし、そして政府としましても地元の皆様方の意向や考え方、思いをしっかりと受けとめながら、努力をしなければいけないと思っています。
 ぜひ次の大臣におかれましても、こうした地元の皆様方の様々な思いや考え方を丁寧にお伺いし、酌み取る、こうした努力を続けていただきたいと強く願っています。
(問)福田内閣は、支持率がずっと低迷したままで、なかなか浮上のきっかけをつかめないようですけれども、そうなってしまっている原因と、これから改造ということで変化があると思うのですけれども、どのようなことをやっていけば国民の支持がさらに集まると大臣はお考えですか。
(答)支持率についてどう考えるかというのは、いろいろ意見があります。支持率も決して軽んじてはならないと思います。ただ、一方、支持率がすべてだとも思いません。やはり物の考え方としては、内閣において何をするのか、どういった姿勢で政策に取り組むのか、こうした基本的なものがあって、それに対する評価が支持率につながるということだと思っています。
 ですから、福田内閣において、まずは何をするのか、そしてそれを国民の皆様方にどう説明していくのか、これが大切だと思っています。
 福田内閣が発足しましてから、現在10カ月になるのでしょうか、10カ月の間、ねじれ国会と言われるような大変難しい国会情勢の中でいろいろな出来事がありました。その中で、福田総理が、自分の思いや考え、行動を国民の皆様にしっかりと十二分にお示しする時間がなかなかとりづらかったのではなかろうかという気もいたしております。
 しかし、福田総理の姿勢や考え方、そして取り組もうとする政策、これは必ずや多くの国民の皆様に理解していただけると思っています。そして、新しい内閣において、更なる新しい発想や力も得て、総理の基本的な考え方を柱として、総理の思いを多くの国民の皆様に訴えていっていただければと存じます。そうした努力を積み重ねることによって、結果として支持率にも好影響が出てくると考えています。

(以上)