渡辺内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年7月10日

(平成19年7月10日(火) 9:33~9:51  於:内閣府本府 522号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議についての報告事項はございませんが、本日付の人事異動で、行政改革推進本部国会連絡室長の谷家茂を内閣参事官に昇任させる発令を行いました。
 彼は、いわゆるノンキャリでございますが、長年にわたり国会連絡室に勤務し、今回の国家公務員法を始め、数多くの重要法案にかかわってまいりました。これらの法案の成立に際して、彼の調整能力や長年の実績によるところが非常に大であります。
 いわゆるノンキャリ職員が内閣参事官に発令をされるのは初めてであります。今回の発令は、まさに前国会における能力実績主義の先取りであります。
 詳細については、行政改革推進本部事務局の方にお尋ねをいただきたいと思います。
 また、先週、塩崎官房長官の方から2つの有識者懇談会についての人選の発表を行っております。いずれも事務局は行政改革推進事務局であります。担当大臣は、私、公務員制度改革担当でございます。
 2つの懇談会、双方とも日程は調整中でありますが、できるだけ早く開催をしたいと思っております。それぞれ月内に第1回目の会合を開きたいと考えております。
 総理の下に置く公務員制度の全体パッケージについては、次期通常国会への法案の提出、また、官房長官の下に置く官民人材交流センターについては、来年中に立ち上げます、そのための予算要求が必要でございまして、いずれも秋までには結論を出す予定でございます。
 人選の基準でございますが、産業界、学会、その他の幅広い分野からふさわしい方にお願いをいたしました。特に、全体パッケージ、総理の下に置かれる懇談会では、国家のあり方にも及ぶ大きな課題を論ずるにふさわしい方を選んでおります。
 官民人材交流センターの懇談会では、役所の抵抗にひるむことのない人、新たな仕組みへ大転換ができる、そういう取組のできる方という点を重視いたしております。いわゆる公務員OBの方も入っておられますが、当然のことでありますが、役所の立場に立って発言される方ではございません。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)赤城農林水産大臣の事務所費の関係で、大臣の所感と、新たな法改正の必要性について、どのようにお考えなのかお聞かせください。
(答)今日、赤城大臣の方で詳しい御説明をされると聞いております。詳細については、承知いたしておりませんが、今日の説明によって明らかになることを希望しております。
 かねて私が申し上げているように、事務所費の会計処理について、やはりもうちょっと現代的な処理の仕方があるんだと思うんですね。ちょっと政治家の事務所を見ておりますと、ダンボール会計的なところが多いのではないでしょうか。
 ちなみに、私どものところでは、政治資金の会計ソフトを導入しておりまして、これによって極めて簡単に会計処理が可能となっております。法定帳簿なども瞬く間にプリントアウトすることが可能なんですね。
 事務所費というのは、御案内のように、家賃それから通信費が非常に大きな項目になっています。家賃のかからないところでも、通信費、電話代とかそれから地元の方でばかにならないのは電報代なんですね。これは結構高くつきます。それから、地元の方だと結構高いのが車両保険ですね。車の保険、これなども大きい項目に入ってきます。それから、事務機器のリース料などもございます。あとは、ダスキンとかそれからお茶代とか、最近ペットボトルが多いので、これは結構高いんですね。ですから、そういうのをパソコン会計で処理しますと、そんな手間暇かかりません。
 したがって、そういうデファクトスタンダードを多くの事務所で導入していけば、恐らく次のあり方というのは見えてくるんだろうと思います。
 きちんとパソコン会計をおやりになることをおすすめいたします。
(問)デファクトスタンダードを導入していったとしても、政治団体の領収書、これを明らかにするかというところでは、会計処理をきちんとしていっても、それを明らかにする必要があるかというのがまた一つ別の問題として出てくるものではないかと思うんですけれども、その点について、透明性という観点から今回の件でも領収書を明らかにすればいいじゃないかというような意見もあるんですけれども、それについては大臣はどのようにお考えですか。
(答)ですから、アナログ的発想でいけば、領収書添付が必要だということになるんだと思いますが、例えば、電子申告とかがこれからどんどん出ていくようになりますと、アナログの証票書類の添付というのが非常にネックになるんですね。
 ですから、どういう証明の仕方が次の時代にふさわしいかという議論はしていいと思います。どうしてもアナログにこだわるんだというお立場からは領収書の添付が必要だということになるでしょうね。
 一方、電子化を進めていく場合には、そういったアナログ証票書類に代わるものが恐らく出てくるんだろうと思います。いずれにしても、過渡期なのでまだ混乱が続いているんだと思いますが、ダンボール会計からパッケージソフトを導入して会計処理をしていくことが一般的になれば、解決方法は、もっと簡単、便利かつもっと今よりも精緻なものができるのではないかと思っています。
(問)簡便に透明性も向上できるということですよね。
(答)はい。
 それから、私の方から茶飲み話ですみませんが、ここのところずっと地方の方を回っておりました。安倍内閣の支持率が芳しくないという報道に接するたびに、これだけ一生懸命やっているのになぜ理解してもらえないのだろうかと、閣内の一員として残念に思っています。
 民主党のマニフェストも発表されたようでございますが、その財源をどういう具合にひねり出すのかという点においては非常に不確かですよね。例えば、基礎年金の部分をお一人様月額6.5万円ぐらいですか、全員に税でお支払いをするとすれば、これだけで16兆円かかるわけですよ。消費税5%で13兆 3,000億円ですからね。一体こういうのをどうやってひねり出すのかという説明は全くないわけであります。
 一方、政府の方は、財源の手当からすべて責任を持って説明をしなければいけません。したがって、そういう点で、こういう選挙になりますと一般受けする説明の方に傾きがちであるという傾向は否めないと思います。政府の方としては、これは責任ある立場でそういった問題について選挙戦を通じて真摯に説明をしていくしか方法はないわけでありまして、地道にやっていくしかないなという思いを強くいたしております。
 私の担当いたします公務員制度改革についても、説明を聞いていただくとすとんと腑に落ちていただくんですね。しかし、説明を聞くまでは、やはり政府案って大したことないよねと、官民人材交流センターなんていうのは天下りバンクでしょうと、こういう認識の方は多いんですね。
 しかし、私の話を聞いていただけば、官民人材交流センターというのは、まさしく透明なガラス張りのろ過装置を通して、予算とか権限とかきれいにろ過して市場価格で再就職をしてもらうわけでありますから、まさしく今までの天下りとは全く別物であるということがわかってもらえるんですね。
 ですから、そういう説明をこの3週間の間にどれだけしていくかということが勝負だと思っています。安倍改革というのは結構すごいことをやっているんだということがわかってもらえれば、これは我々としても非常にうれしいと思いますね。
 今回の公務員制度改革というのは、もうまさにあれだけの大反対を押し切って会期延長をして成立をさせたものであります。半年前にこの改革が実現すると思っていた人はほとんどいなかったわけでありますから、その点でもこれは大いにPRしていくべきであると思っています。
 能力実績主義の導入というのは、国家公務員の世界にとどまらずに、大学とか地方自治体とかあるいはマスコミとか、そういうところにも波及をしていく可能性は大でございますから、そういう点でも、これは日本の今までのカルチャーの大転換という側面は持つと思います。
 また、年功序列のなれの果てから生まれる肩たたきと天下りネットワーク、これも今回は全面禁止をするわけでありますから、まさしくこれは総理がおっしゃるように天領の召し上げ、こういう側面を持っているわけです。ですから、この特権を享受しようという人たちが人材センターなんて天下りバンクだよという願望を述べられるということはあると思います。しかし、それはメッセージとしては明らかに間違っているわけでありますから、その点も官民人材交流センターの有識者懇談会において具体的な議論を早々に開始をしていきたいと思っております。
(問)一点だけ伺いたいんですけれども、公務員制度改革についてなんですけれども、総理が最近、その闘争がいかに難しかったかという説明をされるときに、押しつけ的天下りの定義として、事務次官会議で通らなかったけれども閣議で通したというふうにおっしゃっているんですね。この事務次官会議について大臣はどのように思っていらっしゃいますか。
(答)これは総理がおっしゃるように、事務次官会議で4つの省庁のトップ、事務方のトップが反対をしたのは厳然たる事実です。ですから、それに対して、総理は事務次官会議にかけられて、そこを通らないと閣議にかけられないと、こんなものは憲法上の規定でも、法律上の規定でも何でもないわけです。単なる慣行ですよ。ですから、そんな慣行にとらわれることはないと決断をして、次の日の閣議に国民の目から見て押しつけ的なものも押しつけ的天下りには入るんだと、こういう閣議決定文書をかけることを決めたわけです。
 ですから、慌てたのは事務次官会議の方であって、あの日はたしかスウェーデン国王陛下の宮中晩餐会があって、そっちの方に出ておられた方も多かったようでございますが、私のところに事務次官会議を持ち回りでやって何とかオーケーを取りましたという報告が入ったのが夜中の12時半ぐらいでございました。
 したがって、体面上は持ち回りで通しましたということだったんでしょうけれども、実質的には事務次官会議が反対したということは厳然たる事実であって、それをはねつけたという点において、これは極めて画期的なことだったと思います。
 安倍内閣は役人主導体制は排除いたします。
 ありがとうございました。

(以上)