渡辺内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年12月28日

(平成18年12月28日(木) 16:46~17:13  於:内閣府 522号室)

1.発言要旨

 このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました渡辺喜美でございます。
 私の担当は規制改革、国・地方行政改革、公務員制度改革、それに地域活性化及び道州制であります。
 きょう午前中、官邸に行きまして、総理から将来の国民負担増とならないよう、徹底した効率化や合理化を思い切って図ってほしい、こういうお話がございました。私流に解釈をいたしますと、これは愛の構造改革を目指すことではないかという気がいたしました。つまり今いろいろな日本のしがらみとなっている制度、規制、あるいは公務員制度のそういったことがこのまま放置をしておきますと、例えばおみやげつき天下りが絶えないとか、そういったことが続きますと、その分国民の税金が余計にかかって、これが将来負担となっていくわけであります。
一方、公務員という存在は公のために、国民のために奉仕をする存在であって、大変優秀な人たちがたくさんいるわけですね。こういった人材を有効に活用していく、このことが求められるわけでございます。まさしく将来展望を見据えた愛の構造改革路線をやっていかなければいけないと痛切に感じた次第でございます。
 細かい話は皆さんの方がお詳しいかと思いますので、私のあいさつはこのぐらいにさせていただきます。

2.質疑応答

(問)今回急な大臣就任ということになったわけですけれども、昨夜、就任要請の電話を受けたときのご心境といいますか、現在のお気持ちをお聞かせください。
(答)昨夜というか、けさというか、何時ごろだったかよく覚えてないんですね。私は割と早く寝るタイプなものですから、熟睡体制に入っていたころ、突然電話が鳴り響きまして、官邸ですと、まず最初井上秘書官がお出になったのでありますが、続いて総理から話がございまして、全く予期していないことだったものですから、夢の話かなと最初思ったりいたしました。そのとき、どういうやりとりをしたのかは正直よく覚えていません。ですが、朝目を覚ましてテレビをつけますと、何と私の顔がテレビに映っていたりとか、これはやっぱり夢ではないんだなと思いまして、事の重大性を改めて認識をした次第でございます。
(問)総理からは、突破力に期待をしているという話もありましたが、どういった点を買われているのでしょうか。
(答)突破力というのがどういう定義なのかよくわかりませんが、私流に解釈をいたしますと、まず腕力、気力、持続力ということかなと思ったりしております。私は国会議員歴10年であります。安倍総理は国会議員歴14年でございまして、ともに秘書時代を経験をしておりまして、裏方も結構長くやっているんですね。政治の表も裏も見てきた人間でございまして、とりわけ平成の大改革の中で小選挙区制が導入をされますと、従来の政治モデルというのが通用しなくなるんでしょうね。
 ですから、例えば従来型の政治モデルでいきますと、大体国会議員になって大臣になるのに13年から16年かかるんですね。25年ぐらいかかって派閥の親分になるわけです。そこから「ヨーイ、ドン」で総理総裁レースが始まって、総理総裁になるのに三十何年かかるというのが通り相場だったんですね。こういう政治モデルというのは、二十二、三歳で霞ヶ関に入って、三十数年かけて事務次官に上り詰めるという、霞ヶ関行政モデルと似たりよったりなんですよね。
 ですから、そういうことが多分この平成大改革の中でまず真っ先にやったのは政治改革、選挙制度を変えるということだったんですね。政党中心主義でやると。ですから、そういう中で従来の政治モデルが通用しなくなっちゃったんだなという思いは我々には共通してあることだと思うんですね。ですから、現実に政治の世界も行政の世界もかなり岩盤のような壁が立ちはだかっているわけでありますから、そういうものをいかに突破をしていくかということで思いは総理も私も一緒なんだろうと。恐らく総理がそういうあたりを評価されたのではなかろうかなと思っておるところであります。
(問)安倍政権が発足して3カ月でタウンミーティングの問題、税調会長の問題、そして今回の前任の佐田大臣の辞任と、かなり逆風の中での就任になりますけれども、安倍政権の中でどういう役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。
(答)私は安倍政権の中で与えられた仕事をまさに突破力を行使してやるだけでございますが、多分私が起用された背景の一つに、自分の言葉で話せよと、こういう思いがあるのかもしれません。したがって、せっかくきょうも役所がこんなにたくさん資料を用意してくれたのでありますけれども、これをちょっと棒読みしても、余り意味がないかなと考えまして、私流の言葉で先ほどお話しをさせていただいたわけでございます。そういう意味では、安倍内閣の官房長官を差し置いて何でございますが、スポークスマン的な役割もあるいは命じられたのかなと思います。
(問)先ほど政治の裏も表も見てきたというお話でしたが、きのうの佐田前大臣の問題とそれに対する説明の仕方についてはどう思われますか。
(答)ちょっと佐田前大臣の話は詳しく私は聞いてないので、よく事情が飲み込めておりませんけれども、私の理解ですと、事務所費というのは大体家賃とか人件費とか管理費のようなものでございまして、こういうのが実際には使われてなかったというのは、ちょっとあり得ない話だと思うんですね。そういうあり得ない話がどうして起こったのかはよくわかりません。いずれにしても、佐田前大臣が記者会見でおっしゃられたように、不適切な会計処理だったと言っておられるわけですから、そういうことだったんでしょうね。
(問)佐田前大臣の公務員制度改革とか行政の手腕についてはどのように評価されていますか。
(答)同じ内閣府の中にあって、私も内閣副大臣というのをやっていたのでありますけれども、毎日顔を合わせているわけではございませんので、時たま経済財政諮問会議などで佐田前大臣のご発言などはお聞きをしておりましたが、先ほど申し上げた押しつけ型天下りは、これは厳禁するんだということは、佐田前大臣もおっしゃっておられましたので、そういう点での思いは一緒だったのだろうと思っております。
(問)では、基本的には佐田プランというのは継承するのですか。
(答)佐田プランというのは、フィックスされたものではございませんで、来年の通常国会で法案提出できるかどうかはまだ定かではありませんけれども、総理が経済財政諮問会議でおまとめになられたのは、まさしく押しつけ型天下りのような人は根絶していこうと、そういう方向性を打ち出されたわけでありますから、今の制度の中でそういったことをより徹底した案をつくっていくことが必要ではないかと思っております。
(問)天下りに関して、2年間の時限規制の撤廃をどうするかということになっておりますけれども、どうお考えでしょうか。
(答)これはまさに官民の人事交流をどれだけ進めるかということと裏腹の関係の問題だと思うんですね。国家公務員法103条の待命期間、人事交流も徹底して進めていく場合には、むしろ天下り奨励、天上がり奨励、言葉は適切ではないかもしれませんが、こういうことになるわけでして、待命期間というのが果たして今の人事院の了解をとって例外を認めるみたいなことをやっていいのだろうかと、そういう問題点はあると思うんですね。ですから、これは総理も言っているように、ワンパッケージの国家公務員制度改革の中で論議をしていく話であろうかと思います。
(問)今の公務員制度改革に関してですが、天下り等を含めて、大臣は現時点でどういう公務員のあるべき姿がふさわしいというふうにお考えでしょうか。
(答)ですから、多くの大臣が経済財政諮問会議でも指摘したように、公務員としてまさに国民に奉仕すべき存在として誇りとやる気を持って働いてもらう必要が一方においてあるわけですね。ですから、そういうやる気を損なわないような改革というのが必要だと思います。これは何年も前から議論されていることですけれども、能力とか実績に応じた給与体系をつくっていくべきだとか、あるいはいっそのこと年功序列制をやめちゃったらいいじゃないかというご提案も経済財政諮問会議で行われております。したがって、そういうことを今まで随分議論はされてきたんだと思いますけれども、非常に高い岩盤の壁みたいなものが立ちはだかっているわけでありますから、そういうことは安倍内閣の中でまさしく愛の構造改革で将来を見据えて、これから詰めていくことだと思っております。
(問)道州制についてお尋ねしますが、今、知事の不祥事が全国でも相次いでいますけれども、道州制の意義なり必要性について、どういう認識をお持ちになっているのかというのが1つ、もう一つこれから年明けにも道州制ビジョンに向けた私的懇談会の立ち上げというのがあるというふうに思いますが、佐田前大臣のもとである程度人選等も進んできていたのではないかと思いますが、それは基本的に踏襲した形でやられるお考えか、それとも大臣ご自身のお考えで改めて一から人選も含めてやり直されるお考えなんですか。
(答)道州制は特区法案も成立しまして、これから具体的な作業に入るわけでありますから、その点は延長線の話でよかろうと思うんですね。一方、道州制という壮大な国家のあり方を論ずるビジョンは3年ぐらいかけて明確化していくことになっております。
 知事さんの不祥事の話が出ましたが、これは地方分権を進めていけばいくほど、大統領型の知事の権限というのは非常に強くなるわけでありまして、まだ具体的に固まったわけではありませんけれども、例えばそういった大統領型知事の任期制を導入するとか、あるいは公共工事に関する不祥事ばかりでございますから、独禁法は強化されたものの、入札制度の入り口の方がほとんど改革が行われていないんですね。出口の方の規制強化は先に達成しちゃったのでありますが、入り口の方が相変わらず指名競争入札という統制型の市場メカニズムが働きにくい、そういう制度になっているわけでありますから、やはりこれは一般競争入札という考えもあるでしょうが、例えば中央建設審議会で議論をしております入札ボンド制のような、入札資格審査というものを民間にアウトソースしてしまうということが行われるようになれば、これは当然発注側の権限というのが大幅に縮小されていくわけでありまして、こういうことは大いに具体化に向けて努力をしていくべきことではないかなと思っております。
(問)公務員制度改革の法案について、先ほど踏み切るかどうかはわからないというお話しでしたけれども、法案提出を通常国会で目指すということは。
(答)目指す方向で検討しております。
(問)道州制なんですけれども、道州制の区割りの問題がやはり大きな議論にはなってくると思いますけれども、この辺のお考えは。
(答)これは区割りの話では、選挙区割りと違うんだと思いますけれども、非常に難しいですよね。特に境界線に近いのところの地域は、一体どっちの州に入るんだと、こういう議論があって、電力会社の境界もありますし、衆議院のブロックの境界もありますし、今使われている地方の境界もありますし、これは非常に難しいですね。ちょっと私、ここで見解を申し上げる知見を有しておりません。
(問)行ったり来たりで申しわけないんですけれども、公務員制度改革についてなんですが、大臣のお考えの方向性としては、人事交流が盛んなアメリカ型的な人事制度に持っていくべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)アメリカ型って、ここは日本ですから、アメリカと同じ真似をする必要は全くないわけでありまして、やはり今でも民間から優秀な人材を受け入れていますし、任期付き任用などで、例えば金融庁などでは弁護士さんとか公認会計士さんとか、数は少ないんでありますが、そういう試みも既に行われています。外務省などでも、民間から非常にフットワークのいい人材を登用して、活用しているようなこともございます。
 ですから、そういう官民人事交流は、アメリカみたいにとは言いませんけれども、大いにこれから拡充、活発化していく必要はあると考えております。
(問)先ほどの天下り等の話で、佐田前大臣は公務員制度改革の中でも天下りと大臣もおっしゃいました能力実績主義を、できるものからやっていくという考えで、先に来年の通常国会に提出したいという考えを常々述べておられましたが、大臣も同じ考えでしょうか、また違う考えでしょうか。
(答)そのあたりは、これからよく勉強して発言をしなければいけませんけれども、来年の通常国会に完璧に出せるという段階ではまだないわけですね。したがって、とにかく国会に出すことを目指して今一生懸命検討しているということでございますから、何から先にということが、まだちょっと今の段階では申しかねます。
(問)もう1点ちょっと細かいんですが、公務員の労働基本権、スト権とかの労働基本権の付与の是非についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)公務員制度をワンパッケージで考えていくという立場から、この問題もいずれ議論をしていかなければいけない課題だと思っています。民間並みのリストラを公務員にもやるというのであれば、当然この議論は避けて通れないということだと思いますが、まず公務員の天下りの問題、それから給与体系の能力主義とか実績主義の導入の問題、こういったことが長年議論されているにもかかわらず、まだ大した成果が上がっていないというのが現実でありますから、こういったことにまずめどをつけて、ではその基本権の話はどうなんだ、そういう2段階方式でもいいのではないかなとは思っております。
(問)規制改革会議が来月にも新しい組織になってまた進めると思うんですが、規制改革に対してはどのように取り組んでいかれますか。
(答)規制改革というのも、これは随分長いこと時間をかけてやってきておりますが、やはり相当の岩盤みたいなものがまだ残っているという現実がございます。新しい会議のメンバーの方々は、前大臣の間にご検討されたんだと思いますけれども、非常に前向きのそれこそ突破力のある方々がたくさん入っておられると思いますので、まだ顔合わせはいたしておりませんけれども、私としても期待をしているところであります。
(問)関連なんですが、規制改革会議が先日最終答申をまとめられたんですが、それについて従来の答申にように、大臣がおっしゃったような形の突破力のある内容ではなく、やや後退したんじゃないかという指摘もあるんですが、大臣としてはどのように評価されていますでしょうか。
(答)この前出された案については、草刈議長が経済財政諮問会議でもお話になっていたのを聞いた程度でございますから、詳しい評価はできませんけれども、従来型の規制改革の取りまとめとしてはよくやっておられたのではなかろうかと思っております。
(問)今回初入閣になると思うんですが、安倍晋太郎さんを父に持つ安倍晋三さん、先生の場合は、もしかしたら渡辺美智雄先生のご子息ということで、多少境遇が似ているのかなと思うんですが、その辺、縁に感じるようなところはありますでしょうか。
(答)総理とは、実は裏方時代からおつき合いがございまして、もちろん毛並みは全然違いますよ。私の親父は行商人ですから、私は行商人のせがれでございますけれども、裏方を同じ時期にやっていたと。それぞれ仕えるボスが派閥の領袖をやっていたと。非常に不幸な話でありますけれども、外務大臣をやった後、それぞれ似たような病気で派閥の領袖のままあの世に行っちゃったと。そういうあたりは非常に共通するものがございまして、ちょっとこういう話になりますと、感慨抜きにはちょっと語れないものがありますね。
(問)何度も行ったり来たりして申しわけないんですけれども、公務員制度改革を、中川幹事長なんかは参議院選の争点にしようというふうにおっしゃっている方もいらっしゃいます。1点目は、参議院選の争点としてふわさしいかどうか。そういうことをお考えになっているどうかということと、もう一つは、この間の諮問会議の議論をお聞きになっていたと思うんですが、かなり公務員像をめぐっていろいろな人がいろいろなことを言っているという状態だと思うんですが、取りまとめの自信はおありになるかどうかということを。
(答)ですから、これは自民党の政策というのは、すなわち安倍改革の中身の具体化ということですから、例えば教育改革、社保庁改革、解体、そしてこの公務員改革、大体大きく3本柱で成り立っているわけですね。ですから、こういう改革を進めていく中で、参議院という国民の審判を仰ぐ場面があるわけでありますから、それは当然、争点になっていくのではないでしょうか。
 いずれにしても、安倍総理が諮問会議でもおっしゃったように、おみやげつきで仕事とワンセットの天下り斡旋ということがあってはいけない、それはさっきから申し上げているように、税金の余計な出費につながり、後世代の負担につながっていくことになるわけですから、当然そういうことをさせないような公務員制度の改革の方向性というものを目指すべきではないかと思っております。
(問)取りまとめについては。
(答)取りまとめは、これはもう安倍内閣の一員として総理が指示を出していることでありますから、きちんとやるしかないと思っております。

(以上)