第166回国会 衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 高市内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)所信表明

 沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命大臣として所信の一端を申し上げます。
 まず、沖縄政策について申し上げます。
 昭和47年の本土復帰以来、沖縄の振興開発のため諸施策を積極的に講じてきた結果、社会資本整備面を中心に、次第に本土との格差が縮小し、また観光や情報通信産業の振興等においても成果を上げております。しかしながら、今日なお沖縄の社会経済は、全国に比べ低い県民所得や高い失業率に示されるように厳しい状況にあります。
 本年は、沖縄振興計画の後期5年に入る節目の年に当たります。近く取りまとめられる後期展望も踏まえ、昨年末に就任された仲井眞知事とも連携協力しながら、地元自治体と一体となって、自立型経済の構築に向け一層精力的に取り組んでいく所存です。
 リーディング産業である観光業については、年間入域観光客が5年連続で最高を更新するなど、好調に推移しております。引き続き通年型・滞在型の良質な観光・リゾート地の形成を進めることにより、さらなる振興を図ります。
 情報通信産業については、高度人材の育成や、高度ソフトウエア開発など、より付加価値の高い分野の振興、IT津梁パーク構想などを進め、アジア最先端の高度情報通信産業の集積を目指します。
 沖縄科学技術大学院大学設立構想については、整備法人を中心に研究事業や施設整備等に取り組んでいるところですが、本年は恩納キャンパスの造成工事に着手するなど、世界最高水準の大学院大学の設立に向け、より一層取り組みを進めてまいります。
 沖縄の離島については、その自然や伝統文化は大変魅力的である一方、生活環境には厳しいものもあります。医療等の島の基礎的な生活条件の整備や、各島の魅力を生かした特産品開発の支援など、その活性化を図ります。
 このほか、新たな発展に向けた社会資本整備を着実に進めるとともに、各種産業の一層の振興や、人材育成、科学技術振興などに取り組みます。
 基地負担の軽減については、沖縄における米軍の存在が、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に貢献する一方、在日米軍施設・区域の約75%が沖縄に集中しており、県民の皆様に大きな御負担をおかけしていることから、その整理、統合、縮小に向けて取り組んでまいります。普天間飛行場の移設、返還についても、沖縄を担当する大臣として、地元の意向をよく伺い、沖縄との橋渡し役を務めていきたいと考えております。跡地対策、基地所在市町村の振興や、北部振興についても、地元の要望を踏まえながら着実に推進いたします。県民の皆様の御負担を軽減できるよう、引き続き、誠心誠意取り組んでいく所存です。
 次に、北方領土問題について申し上げます。
 私は、昨年12月に根室管内を訪問し、納沙布岬から貝殻島や水晶島を間近に見、北方領土は我が国固有の領土であることを改めて実感しました。また、現地で元島民の方々や地元関係者のお話を伺い、生まれ故郷を追われた御労苦や四島返還への切実な思いの深さを痛感し、北方領土問題の解決に向けて決意を新たにしました。
 2月7日の北方領土の日には、安倍総理御出席のもと、安住委員長を初め、多くの御参加を得て北方領土返還要求全国大会が開催され、この日を中心に全国各地でさまざまな活動が展開されています。
 北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという我が国の一貫した基本方針のもと、この問題が一日も早く解決されるよう、国民世論を結集し外交交渉を後押しする返還要求運動を着実に推進します。また、国民世論の啓発について、より効果的な取り組みを検討し、特に次代を担う青少年への啓発を重点的に進めます。さらに、元島民への援護措置や北方四島交流等の着実な実施にも努めてまいります。
 委員長を初め、理事、委員の皆様方の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。