高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年12月15日

(平成18年12月15日(金) 9:24~9:43  於:院内内閣記者会)

1.発言要旨

 本日の閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が19件、法律の公布が5件、政令が6件あり、私どもからの主請議はございませんでした。
 本日、閣議前に第1回キャリア教育等推進会議を開催し、閣僚懇談会において、会議設置の趣旨等について御報告をいたしました。資料はお手元にお配りしております。会議設置の趣旨ですが、経済構造の変化、雇用の流動化、多様化などを背景に、若者の就学や雇用を巡る環境が変わってきております。政府提出の教育基本法の改正案にも、職業を重視して勤労の価値が盛り込まれており、少子化対策や青少年健全育成、若者の自立を考えましても、社会のコストを広く、薄く負担していただくという意味からも、きちっとした職業観と職業に対する知識、技能を育成していく必要があると考えました。これは、安倍総理が総裁選挙の政権構想「美しい国、日本」で訴えられた内容にもある「高校等における社会のニーズにマッチした教育体制の強化」、「学校教育における社会体験活動の充実」という総理の思いにつながるものですし、総理が官房長官時代から積極的に取り組まれている「再チャレンジ支援」の中でも、キャリア教育等の推進を図ることとしております。この様な認識の下、青少年育成推進本部長である総理の御了解をいただいた上で、青少年育成推進本部の下に、「キャリア教育等推進会議」を設置しました。この会議は青少年育成を担当する立場から、私が主催をさせていただき、伊吹文部科学大臣、柳澤厚生労働大臣及び甘利経済産業大臣の御協力をいただきながら、来年5月から6月頃を目途に、職場体験やインターンシップなど、キャリア教育をより一層推進するための方策を取りまとめることとし、推進方策の案を検討するために、関係府省課長等会議をワーキングチーム的に設置いたします。また、推進方策をより実効あるものとするため、関係府省の課長級も同席して、学校や企業の関係者から直接意見を伺う場を設け、現場に即した提案をしていきたいと思います。詳細は事務局から説明させていただきます。大臣就任直後の記者会見でも申し上げましたが、これから1人でも多くの人が職に就いて、勤勉に働き、広く、薄く社会のコストを負担するとともに、生きがいをもって人生を過ごしていかれることがとても大事だと思います。少子化の観点からも、世の中全体の活力や、日本のナショナルミニマム、つまり憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を国民に保障するという意味でも、非常に大きな意味があると思い、構想を温めてまいりました。力強くキャリア教育が進む形を作り上げていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今日、閣議前に乳幼児加算の関係で大臣が集まられたと思いますが、総理に報告したかも含めてどの様な状況で決まったか教えてください。
(答)今日は、閣議前に児童手当について、塩崎官房長官、菅総務大臣、尾身財務大臣、柳澤厚生労働大臣、私で話をし、方針について了承したということで、総理に報告を申し上げました。今回は総理が非常に強いリーダーシップを発揮していただきましたので、各大臣が汗をかくことができたと思います。厚生労働大臣は経済界等の交渉等で大変汗をかいていただきましたし、私も与党の税調、政調会等への根回しをいたしました。総務大臣も地方とのやりとりなど、大変だったと思いますが、すべて総理より方針をお示しいただき、力強い御指示をいただいたことでしたので、私たちから総理のリーダーシップに対してお礼を申し上げましたし、総理からもねぎらいのお言葉を頂戴いたしました。
(問)今回の第1子、第2子に5,000円加算という意義を大臣としてどの様に考えられますか。
(答)児童手当の加算が少子化傾向を反転させる効果がすぐに出る、出ないというのは、様々な議論がありますが、総理を始め前内閣で大事に考えていたのは、乳幼児を抱える御家庭はお若い年齢層の親御さんが多く、給料も安く子育ての経費が重いものになっているため、少しでも子育ての費用負担を軽減しようということが第一の目的であったという意味では、財源の都合上、これ以上たっぷりというわけにはいきませんが、少しでも若い世代の負担を和らげることが一番大きな意味だと思います。
(問)経済界からも了承は得ているのですか。
(答)厚生労働大臣が経済界に対して了解を求めに行かれ、お話をきちっとされたということです。
(問)今朝、米軍再編に関する政府・与党会議がありましたが、大臣からは何か御発言されましたか。
(答)私からは特に発言しておりません。内容は、官房長官が本日午前中の記者会見で一括して皆様にお伝えするということでした。
(問)キャリア教育等推進会議は、大臣の発案で設置されたと考えてよろしいですか。
(答)私が就任した直後に、そういうことをやりたいと記者会見の場で申し上げたと思います。既に厚生労働省や経済産業省、文部科学省が各々キャリア教育には取り組んでいただいておりますが、実績が十分な状況ではないとか、学校での教え方がわからないとか、教材がないという問題があります。また、アメリカなどではインターンシップやキャリア教育を履歴書に書くと大学受験や就職でも評価されますが、日本ではその様な状況ではなく、授業時間の確保や、生徒、保護者、教員間の理解も得られにくいという問題もあります。受入れ先企業や地域社会の受入れ団体の手配も先生方にとっては大変なことです。確かに、キャリア教育の実施校の比率は上がってきていますが、参加した学生数はまだ少ないのです。例えば、大学の中で一つのゼミでもやっていたら、その大学を実施校としてカウントしています。参加数が少ないという問題意識があり、事務的に関係省庁と調整をし、私から各大臣に御相談を申し上げました。総理がご自分の政策構想で発表されていますし、教育基本法の改正案にも入っており、教育基本法案が成立したら来年からでも早速教育を重視する施策を始めなければならないため、総理に設置形態も含めて相談に上がりましたら、総理が本部長である本部の下で会議を設置してやってくれという話でしたので、十分に調整をした上で今日の運びとなりました。
(問)取りまとめは、現在既に各省庁がやっている施策を集め、更に肉づけする形で体系化するというイメージですか。
(答)インターンシップの問題を何年も自分で勉強してきましたので、各省庁が既にやっていただいている施策は大体わかります。1回目の会議で全部出てきたと思うのですが、なお残る課題が先程申し上げたことです。社会的にどの様に評価されるか、また、受入れ先の負担もあります。企業も見学で一回受け入れるのはいいけれども、1週間なり2週間なり勉強していただくというのは、指導する社員も含めて大変な負担です。いい人材を今育てておくことは、社会全体がいい人材を確保するためにいいことであるとか、地域の活性化になるという視点で充実したインターンシップになれば良いと思います。教育基本法が成立しました後の学習指導要領の見直しでは、キャリア教育が入ってくると想像しています。受入れ先と学校と各省が連携して、力強くキャリア教育を推進する体制へと改善するためのポイントを全部洗い出して一歩でも二歩でも前進し、10年後には素晴らしい状態になっているという絵がかける提案をきっちりしたいと思います。経済産業省では、受入れ企業において万が一事故が起きた場合に損害を補てんする保険の加入を、大学や高校と話し合ってもらうなど様々な検討点がありますし、ある程度マニュアル化されていると、どこの学校でも取り組みやすいと思います。守秘義務を課す契約書でも、定型のフォームを作り、企業と学校との間で交わすことができれば良いと思います。受験や就職の評価になると、国民全体がキャリア教育を有効だという認識に立っていただかないと進みませんが、啓発も含めてどの様にしていくかを具体的に書き込んだ報告書を作りたいと思います。
(問)普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会について、第2回の開催日時の調整が25日で進んでいるということなのですが、そのとおりなのでしょうか。
(答)まだ私の日程でも25日という形にはなっていませんし、関係者も多くいらっしゃいますので、まだ調整中だと理解をしております。
(問)今年中に開催されるのでしょうか。
(答)そうあってほしいですね。
(問)第2回の会合では、どういったお話をされるのでしょうか。
(答)内容も、何月何日にどういう議題でやるかということも含めて、今調整中ということだと思います。
(問)官房長官がおっしゃった、米軍再編の一括法の法案提出については、今日の朝、確認されたという理解でよろしいのでしょうか。
(答)官房長官が午前の記者会見で一括してお話しますので、お許しください。私から個別に報告していいとは聞いておりません。
(問)北方四島の関係ですが、麻生外務大臣の二島分割の発言について、大臣としてどの様に評価されますか。
(答)評価も何もびっくりしております。御本人がどうおっしゃったか、直接伺っておりませんが、一昨日の沖縄・北方特別委員会において、私は日本国政府としては北方四島の帰属を確認した上で、平和条約を結ぶと、北方四島は日本固有の領土であると委員会答弁した横に大臣がお座りになっていたので、報道を拝見して驚きました。外務省の方針も日本国政府の方針も変わらないものであり、麻生大臣の個人的なアイデアの発言だと理解しております。
(問)北方地域の旧漁業権者に関する特別措置法の改正案が成立になりますが、率直な評価をお聞かせいただけますか。
(答)議員立法で取り組みいただき、私も委員会で発言しましたが、その趣旨を受けながら、旧漁業権者の様々な思いを受けとめていくことについて、私も誠実に対応したいと思います。
(問)与党の税制改正大綱について、沖縄関係の話でお聞きしたいのですが、全般に渡り、酒税やIT・金融特区等の要望が認められました。大臣の率直な感想をお願いいたします。
(答)特段の御配慮をこちらから要望申し上げており、内容的に見ても与党、特に税調関係の議員の皆様に御理解いただき、本当に特段の配慮をしていただいたと思っております。心から感謝を申し上げております。

(以上)