みどりの学術賞選考経過報告

第12回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 石川 幹子

 選考委員会を代表し、第12回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、御報告申し上げます。

 選考委員会は、「みどり」に関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約400名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、約30名の候補者の推薦が得られましたので、推薦のあった方々の業績を、約半年間の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、みどりの学術賞受賞者として、東京大学名誉教授の熊谷洋一博士と、東京大学大学院教授の篠崎和子博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 熊谷博士は、景観計画の分野で、自然環境の保全に関する環境影響評価において、映像機器等を用いた景観の予測技術を開発し、景観や触れ合いの場としての自然環境への影響を予測・評価する手法を確立するとともに、国立・国定公園の再評価などにも関わり、わが国の自然環境保全の推進に大きく貢献されました。

 篠崎博士は、植物分子生理学の分野で、植物の乾燥や低温などの環境ストレスの耐性に関わる多くの遺伝子の発見により環境ストレス耐性の仕組みの全貌を明らかにするととともに、鍵となるマスター遺伝子を活用した環境ストレスに強い品種の開発を進め、将来にわたる食料の安定生産や、地球環境の保全に向けて大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であり、人類と「みどり」との関わりについて深く追求され、「みどり」を活かして暮らしていく未来を示された研究として高く評価いたしました。
 両博士におかれては、みどりの学術賞受賞を契機として、「みどり」に関する学術が新たな知をもたらし、社会を動かす源泉であることを国民の方々に一層深めて頂くことを期待し、念願いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。