みどりの学術賞選考経過報告

第11回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 石川 幹子

 選考委員会を代表し、第11回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、御報告申し上げます。

 選考委員会は、「みどり」に関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約400名の方々に対し、受賞に相応しい候補者の推薦を依頼いたしました。
 その結果、多様かつ大変幅広い研究分野から、約40名の候補者の推薦が得られました。  また、約半年間の期間をかけて、推薦のあった方々の業績を慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。  その結果、みどりの学術賞受賞者として、千葉大学名誉教授の丸田 頼一博士と、岡山大学教授の沈 建仁博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 はじめに、丸田博士の業績について申し上げます。
 丸田博士は、都市緑地計画の分野で、都市の公園緑地から冷涼な空気が市街地に浸透する「にじみだし現象」の存在や、市街地周辺部から都市部に向かって風が発生することを実証的に明らかにし、ヒートアイランド現象緩和のための緑地の効果的な配置手法としての「風の道」を提唱され、都市における熱環境の緩和と低炭素まちづくりに資する緑地政策の展開に大きく貢献されました。

 次に、沈博士の業績について申し上げます。
 沈博士は、光合成研究の分野で、植物の葉緑体の中で光合成を通じて酸素が発生する際に触媒の役割を果たす「光化学系Ⅱ」というタンパク質複合体について、原始的な光合成生物から高解像度で解析可能な結晶をつくり出し、これまで明らかになっていなかった原子レベルでの構造を明らかした功績により、今後の太陽光エネルギーの人工利用の実現に向けた研究の進展に大きく貢献されました。

 お二人の研究は、学術的な観点から極めて優れた業績であるとともに、いずれも我々人類と「みどり」との関わりについて深く追求され、「みどり」を活かして暮らしていく未来を示された研究として高く評価いたしました。
 両博士におかれては、みどりの学術賞受賞を契機として、「みどり」に関する学術が新たな知をもたらし、社会を動かす源泉であることを国民の方々に一層深めて頂くことを期待し、念願いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。