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受賞者プロフィール 三井 昭二

プロフィール

三井 昭二(みつい・しょうじ)

三重大学名誉教授

昭和23年2月21日、山口県生まれ
昭和47年、東京大学農学部卒業
昭和49年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了
昭和54年、東京大学大学院農学系研究科博士課程単位取得退学
昭和56年、日本学術振興会奨励研究員
昭和57年、社団法人大日本山林会嘱託
昭和58年、財団法人林業経済研究所研究員
昭和60年、社団法人大日本山林会嘱託
昭和61年、農学博士(東京大学)
昭和62年、財団法人林業経済研究所主任研究員
平成 6年、三重大学生物資源学部助教授
平成10年、三重大学生物資源学部教授
平成18年、三重大学大学院生物資源学研究科教授
平成23年、三重大学名誉教授
平成23年、三重大学大学院生物資源学研究科特任教授(平成24年まで)
現在に至る

受賞者紹介

<森林と社会の共生に関わる新たな道筋の提示とその政策等への反映>

森林は我が国の国土の約7割を占め、国民生活に密接に関わり、さまざまな恩恵をもたらしてきた。このため、近代における林学等の森林に関する学術は、造林等の実地の林業技術や治山・砂防、森林計画、山村振興をはじめとする政策との密接な関わりの中で発展してきた。

三井氏は、森林と社会との関わりについて、経済活動の対象としての森林の利用と自然環境の保全が調和し両立する「森林と社会との共生」を理念とする新たな道筋を提起した。その集大成が「森林社会学への道」という著書であり、具体的な事例や森林・林業政策の歴史的経緯を丹念に分析し、今後の森林・林業政策、地域社会と森林との関わりのあり方に関して、可能性と展望を示した。

同氏の業績は、森林・林業に関わる経済学的・政策学的・社会学的研究と、それらの研究成果の社会に向けての発信等の社会活動に大別される。主な研究業績としては、(1)森林・林業政策の近現代史に関し、近代化・高度経済成長の過程で山村生活の独自性が失われたことの実証等を通じて近代林政の問題点を浮き彫りにしたこと、(2)社会的共通資本としての森林の歴史と可能性に関し、解体の危機にある入会林野に代わる、都市住民との連携による新しいタイプの「コモンズ」の提起等を通じて社会的協働による森林管理の道筋を示したこと、(3)林業労働の変容と可能性に関し、I・Uターンやボランティア活動、山村・都市交流の視点からの分析等を通じて脱近代的な労働のスタイルの可能性を明らかにしたこと、等が挙げられる。

これらに一貫する研究者としての姿勢は、森林・林業に関連する政策等の歴史的経緯を丹念に辿り、それらとその時々の社会・経済・政治的背景等との関係について検証・分析するとともに、現場での具体的事例と照らし合わせることで森林・林業政策や森林と社会との関わり方について新たな方向性を提示することにあり、その研究方法及び内容は実証的かつ実践的である。また、戦前の木材統制の研究や入会林野解体政策の研究を行った一方で、戦後における林業労働の研究を進めたことに象徴されるように、公・共・私の領域の研究が歴史的研究を介して一体となっているところに氏の研究の大きな特徴がある。

また、これらの学術的成果を踏まえ、多くの著作や行政との対話・助言を通じて政策の提言や市民への森林づくり活動への参加の呼びかけに努めたことも氏の特筆すべき功績である。特に、上下流の連携や森林ボランティアの参加等社会的協働により人工林や里山林の整備を進めることを提唱し、多様な主体の参加・連携・協働による森林整備の推進に貢献した。さらに、三井氏は、国の検討会等の委員を歴任し、平成13年の「森林・林業基本法」の制定等現在の林政の基礎をなす重要政策の構築に貢献した。また、林業の担い手としての都市住民の参画の可能性、都市住民の新たなライフスタイル実現の場や教育の場等としての森林の重要性等についても提言し、現代の社会状況や新たな森林の価値を踏まえた政策の展開にも寄与した。

以上の成果は、「森林と社会との共生」を理念とする新しい地域社会のパラダイムを提起したものであり、みどりに関わる学術の世界に社会科学的観点から一石を投じた。特に、従来の森林政策学や林業経済学ではとらえきれなかった森林と人・社会の共生というテーマを取り込んだ新しい社会科学に大胆に踏み出し、その可能性を示したものであり、森林・林業にとどまらず、これからの地域社会、市民社会のあり方を考える上で新しい羅針盤を示している。

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