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受賞者プロフィール 丸田 頼一

プロフィール

丸田 頼一(まるた・よりかず)

千葉大学名誉教授

昭和13年2月4日 長野県出身
  同39年 米国ルイジアナ州立大学大学院修士課程 修了
  同40年 東京大学大学院生物系研究科修士課程 修了(農学修士)
  同44年 東京大学大学院農学研究科博士課程 修了(農学博士)
  同44年 日本大学農獣医学部 専任講師
  同47年 日本大学農獣医学部 助教授
  同52年 千葉大学園芸学部 助教授
  同63年 千葉大学園芸学部 教授
平成 9年 (社)環境情報科学センター 理事長
  同12年 千葉大学 評議員
  同15年 千葉大学 名誉教授
  同28年 (一社)環境情報科学センター 名誉会員
  現在に至る

受賞者紹介

<都市緑地計画学の理論構築とヒートアイランド現象の緩和に関する政策反映>

 近年、都市におけるヒートアイランド現象が顕著となってきており、健康上の問題、エネルギー消費量の増加、生物の生息環境への影響、集中豪雨などの局所的災害の増大などが、大きな社会問題となっている。丸田氏は、ヒートアイランド研究の第一人者であり、1960年代より、都市緑地計画とヒートアイランド現象の緩和について研究を行ってきた。これを踏まえて多くの都市において、微気象緩和のほか、振動・騒音の軽減、防災など緑地の機能面から実証研究を行い、都市緑地計画の理論を構築し体系化を行った。丸田氏の功績は、「造園学」の知見と「気象学」の融合から新たな学問領域を構築すると共に、緑地の有する多面的機能を調査し、地球環境問題の解決に資する都市緑地計画学を構築したことにある。

 丸田氏が、本研究をはじめたのは、まだ、ヒートアイランド現象という概念が、日本では知られていなかった1960年代のはじめであり、東京における新宿御苑、小石川植物園、隅田公園、錦糸公園など、大小様々の公園緑地の調査を行い、公園内と外の気温・湿度の差を計測し、公園緑地から冷涼な空気が市街地に浸透していることを明らかにした。この現象は「にじみだし現象」と名付けられ、その後の日本におけるヒートアイランド現象緩和にむけた研究の最初の事例となった。また、東京における夏季の気温分布が、建物容積との関連性が高く、市街地と郊外の両地間の気温差に基づいた気圧差により、市街地周辺部から都心部に向かって風が発生すること等を実証的に解明した。これらの実証研究は、東京だけではなく、日本の様々な都市や海外でも実証的研究が行われた。

 さらに丸田氏は緑地の有する多面的な機能に着目し、市街地火災における延焼遮断帯としての緑地の機能、振動や騒音を緩和するための緑地構造、大規模公園の配置などについて研究を行い、客観的指標による緑地の配置計画論を確立した。これらの学術研究は、都市公園整備の発展期にあった日本の公園緑地政策の推進に多大な貢献をした。

 丸田氏の、これらの研究を踏まえて、2004年3月に政府の「ヒートアイランド対策大綱」が決定され、都市空間の熱環境評価・対策技術開発が本格化することとなった。ヒートアイランド現象緩和のための風の効果や影響について、現象の解明と効果の定量化を行うための大規模な観測が実施され、土地利用形態、建築物、人工排熱、土地の被覆状態などの条件をデータ化し、シミュレーションにより都市の熱環境を可視化する技術開発が実施され、丸田氏はこれらの研究を統括し、技術開発に尽力した。

 丸田氏は、このような実証研究と技術開発、海外における事例研究を踏まえて、都市における緑地配置計画にヒートアイランド現象を緩和するための効果的手法の導入を提言した。当時、ドイツでは「風の道」の形成という計画手法が開発されていたが、丸田氏は、日本各地の都市構造の相違を踏まえた日本型の「風の道」を、わかりやすい緑地構造として提唱した。すなわち、都市内の河川や斜面緑地、農地、大小の緑地を効果的に結ぶことにより、熱環境の緩和に資する都市構造をつくり出す提案であった。これらの緑地は、都市の防災機能の向上や生物多様性の確保にも寄与する多面的機能を有しており、全国の都市の「緑の基本計画」に反映された。また、丸田氏は、里山や農地を保全し、都市をコンパクトにする重要性を指摘し、「低炭素型まちづくり」の骨格となる緑地形成に資する理論構築を行った。

 これらの研究とあわせて、丸田氏は、国土総合開発審議会や都市計画中央審議会専門委員として、政策反映に貢献した。また、このような業績に対して、公園緑地や造園の発展に著しい寄与をした者に与えられる日本公園緑地協会北村賞、日本造園学会上原賞を受賞している。以上のように、丸田氏は、実証的な研究と技術の開発、さらにはそれらの政策への反映を通じて、我が国における都市計画学・造園学の発展に多大な貢献を行った。

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