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受賞者プロフィール

プロフィール

熊谷 洋一(くまがい・よういち)

東京大学名誉教授、兵庫県立淡路景観園芸学校名誉学長

昭和18年9月20日 東京都出身
  同43年 東京大学農学部林学科 卒業
  同48年 東京大学大学院農学系研究科博士課程 単位取得退学
  同48年 東京大学農学部 助手   同60年 東京大学農学部附属演習林 講師
  同62年 東京大学農学部附属演習林 助教授
 平成 2年 東京大学農学部 教授
  同 8年 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授
  同11年 兵庫県立淡路景観園芸学校長(非常勤)
  同11年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
  同16年 兵庫県立淡路景観園芸学校学長(非常勤)
  同18年 東京大学名誉教授
  同18年 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 嘱託教授(~26年)
  同29年 兵庫県立淡路景観園芸学校名誉学長
  現在に至る

受賞者紹介

<自然環境の保全管理の基本となる景観影響評価方法論の構築と自然環境についての国民への理解と普及への貢献>

 近年、環境基本法(1993年)や環境影響評価法(1997年)などが制定されて、国民の関心は人と自然との共生に集まり、従来の自然環境の保護・保全に加えて新たに自然環境の創造が課題となってきている。自然環境の創造の事例としては、90年ほど前に、樹木のまばらであった土地に全国から集められた献木10万本を長期的計画のもとに植栽して造られ、見事な森に育った明治神宮の森が、「人が造った森」として有名である。このように、今後は国民にとって自然と触れあえる身近な自然環境の創造が喫緊の課題である。

 熊谷氏は、国立公園などの自然環境の保全管理に関する環境影響評価について、従来の大気・水と生態系に加えて、景観や人との触れ合いの重要性を指摘し、景観という観点を取り入れることを提案した。これを踏まえて、景観は自然環境の状態あるいは人の営みと自然環境の関係を示す重要な総合指標であるとして、自然環境の持続的な保全・管理に関する実践的な研究や計画論に関する著作活動を積極的に展開した。さらに、「みどり」すなわち自然環境を分析・評価する方法として、映像機器によるシミュレーションやコンピュータを用いた予測技術を開発するとともに、自然景観への影響を分析・評価する方法やその基準について体系的な研究を進めて、景観影響評価方法論を構築した。これらの成果は、各地における評価事例を通してその有効性が立証され、「環境アセスメント技術ガイド-自然とのふれあい」としてまとめられ、現在、自然環境の保全管理において、分析・評価実務の指針として活用されている。

 また、熊谷氏は、自然環境はわが国の基本的なかたちを決めてきたものであり、極めて重要な課題であるとし、従来、環境影響評価においてその扱いが難しいとされてきた人と自然の触れ合いについて、「造園学から自然環境学へ」などの積極的な活動を通して国民の理解に大きな影響を及ぼした。

 一方、花とみどりを通して本来の自然と共生する生活環境や文化を育む景観を取り戻すことを目指して、環境の創造を担う人材の育成のための実践的な教育を進めた。

 これらの業績に対して、熊谷氏は、自然公園あるいは公園緑地に著しい業績をあげた者に与えられる国立公園協会田村賞、日本公園緑地協会北村賞を受賞するとともに、造園に関する優秀な業績に対して与えられる日本造園学会上原敬二賞などを受賞している。

 以上のように、熊谷氏は、自然環境の分析・評価や保全・管理に関し、景観という観点を組み込んだ新たな手法を構築するとともに、従来からの学問の枠組みに囚われない総合的な「自然環境学」の重要性を主張して、その理解と普及に貢献した。また、自然との共生を目指したまちづくりや環境づくり、国土づくりを担う実践的な人材の育成に尽力したほか、中央環境審議会自然環境部会長の任にあって、自然公園行政や生物多様性保全行政などに関わり、生物多様性国家戦略のとりまとめや、国立・国定公園の再評価などに尽力して、学術面とともにその成果を応用した実践的な取り組みでもわが国の自然環境保全の推進に大きく貢献した。

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