○ 背景として、グローバリゼーションやIT 技術の進展により、「マウスをクリックするだけで届くところに住む競争者と競争しなければならない『距離の死』」(「Rising Above the Gathering Storm」より引用)と呼ばれる状況が生まれ、優秀な人材獲得に向けた競争等が世界中で激化している現状がある。
「イノベート・アメリカ(Innovate America)」国家イノベーション戦略報告 (2004年12月)
○ 産業界、学界、政府、労働界を代表する400名以上のリーダーが15ヶ月かけて作成した報告書。2004年12月15日にワシントンで競争力協議会(Council onCompetitiveness)主催で開催された国家イノベーション・イニシアティブで報告された。報告書をとりまとめた者の名前から「パルミザーノ・レポート」(Samuel J.Palmisano, IBM 会長兼CEOが会議の共同議長を務めた)と呼ばれている。
「強まる嵐を超えて(Rising Above the Gathering Storm)」全米アカデミーズ (2005年10月)
○ 米国上院エネルギー・天然資源委員会議員及び下院科学委員会議員より、「21世紀の国際社会における米国の繁栄のため、連邦政府が取るべき科学技術施策についてのアクション及びその具体的戦術」について、全米アカデミーズ(全米科学アカデミー(NAS)、全米工学アカデミー(NAE)、医学機構(IOM)の連合組織)に対して依頼。
○ 委員会は、産業界の現職・前職の最高経営責任者、大学学長、研究者(3名のノーベル賞受賞を含む)、元大統領任用者といった産学官の指導者で構成され、約10週間程度で報告書が作成された。
「米国競争力イニシアティブ(American Competitiveness Initiative)」大統領府 (2006年2月)
○ 2006年1月の大統領一般教書演説、2007年の予算教書において示された米国競争力イニシアティブを裏付けする文書として、科学技術政策室(Office of Scienceand Technology Policy)国内政策委員会 (Domestic Policy Council)により作成された。
○ 2007年予算案において、教育・人材関連プログラム予算の2.5%増額するなど、その多くを予算の中で反映。
2-1 EU
EU新リスボン戦略(2005年)
○ 2000年にEUサミットで決定されたリスボン戦略(2010年までの経済・社会政策を包括的に方向付ける)を見直し、より具体的なアクション・プランとともに発表。
○ EUレベル、加盟国別に実施プログラムを策定、年1回EUサミットで進捗確認。
○ 大きなテーマとして、[1]投資及びビジネスにとって魅力ある欧州、[2]成長に向けた知識とイノベーション、[3]雇用の質と量の向上
第7次フレームワークプログラム(FP) (2007−2013) 予算額:7兆円(7年間)
○ 産官学共同プロジェクトに対する研究助成
- 3カ国以上のプロジェクト参加が必須
- プロジェクト予算の最大50 %をEUが助成
○ 「欧州研究圏」構築を目指す
競争力イノベーションイニシアティブ (CIP) (2007-2013) 予算額:0.5兆円(7年間)
○ 新リスボン戦略の目標(「競争と雇用」) 達成を目指し、従来のプログラムを統合。フレームワークプログラムや教育政策を補完。
○ 研究・イノベーションプロセスの下流側に特化(FP の次のステージ)
| ○ 3つの柱: |
イノベーション支援プログラム(特に中小企業) 情報通信政策支援プログラム インテリジェント・エネルギー・ヨーロッパプログラム(再生エネルギー等) |
「Creating Innovative Europe」(EU独立専門グループ報告書) 2006年1月
(通称「Aho Report」議長:Ahoフィンランド前首相)
○ 2005年EUハンプトンサミットにおいて、2006年春の首脳会議までに、新リスボン戦略に基づき、EU各国がイノベーションに関する新事業の実施を加速する方法についての提言するよう指示。
○ 報告書の中で「欧州指導者による研究・イノベーションへの抜本的な対応策が必要」と指摘。
○ 「イノベーティブな製品・サービスのための市場創出」「研究開発・イノベーションへの投資増加」「構造的な流動性の向上」を提言。
2-2ドイツ
「ハイテク戦略 (High-Tech Strategy)」 (2006年) 2009年までに約2兆円
○ 連邦政府による省庁横断的研究・イノベーション政策。複数のイニシアティブを含む。
○ 重点領域(17領域):健康、安全、エネルギー、情報通信、ナノテク、材料など。
○ 具体的なイニシアティブ:応用指向基礎研究への助成、中小企業等への公的支援、特許システム効率化などによる新技術普及促進、EUイノベーション政策との連携、職業教育・生涯学習などの発展など。
2-3英国
「科学・イノベーションフレームワーク 2004-2014」(2004年)
○ 今後10年間の英国における科学技術投資の基調計画。
○ R&D投資の対GDP比目標(2014年) 2.5% (2004年:1.4%)
○ 目標:大学研究の財政的持続性の確保、ワールドクラス研究の維持、技術・知識移転の促進など。
「技術戦略委員会」(Technology Strategy Board)の設置 (2004年)
○ 「Innovation Policy」レポート(2003年)で設置を提言、上記枠組で正式発足。
○ 政府から独立した、産業界主導の組織。(産業界、地域代表者、大学関係者、省庁がメンバー)
○ 市場志向の優先分野の設定、およびこれに基づく助成制度(技術プログラム)の監督。
○ 重要技術領域(2006年)6領域選定:1)先端材料、2)バイオサイエンス・ヘルスケア、3)設計工学・先端製造技術、4)エレクトロニクス・フォトニクス、5)情報通信技術、6)持続可能な生産・消費。上記領域において168 億円の助成公募を実施(2006年4月)
「Stern Review on the Economics of Climate Change」(2006年10 月)
○ 世界経済が気候の変化・地球温暖化に与える影響について、経済学者であるSirNicholas Stern(元世界銀行副総裁)及びイギリス政府がまとめた700ページにわたるレポート。科学者ではなく、経済学者が中心となって経済活動の地球温暖化に対する影響をまとめた初めての報告。温暖化対策が経済成長を阻害するものではないことや、対策が送れれば将来の経済的損失が膨らむ可能性があることを指摘。
2-4 フランス
「イノベーション支援政策」 (2002年政府案、2003年修正案)
○ 企業、研究機関、大学等の関係者を実施し、研究省と産業省が作成。 具体的施策は以下の7項目。
○ 1)「エンジェル」向けの新しい法的形態、2)「イノベーション新鋭企業」のR&Dへの支援、3)R&D に対する減税措置などによるイノベーション支援、4)イノベーション支援手続きの簡略化、5)企業の研究成果の実用化促進、6)教育システムなどによるイノベーション振興、7)企業による戦略的R&D 活動に対する支援。
ANR(国立研究庁)の設立 (2005年) 予算規模:約1,000億円 (2005年)
○ 政府の決めた戦略に沿い、基礎及び応用研究開発、イノベーション及び官民提携支援
2-5 スウェーデン
「Innovative Sweden」 (2004年)
○ 産業・雇用・通信省、教育・科学省が作成。具体的施策は各省庁・エージェンシーレベルで実施。
○ 目標: 1)イノベーションに向けた知識基盤の形成, 2)イノベーティブな貿易・産業の発展, 3)イノベーティブな公共投資の活用, 4)イノベーティブな人材の活用
2-6 オランダ
「Innovation Platform」 (2003年-2007年)
○ 首相が議長となり、産業界・大学関係者が参加する諮問機関。イノベーション促進のためのプロジェクトを実施。
イノベーション政策目標(2005 年経済省予算書による)
○ 1)技術知識を活用した新興企業の増加、2) 中小企業による知識応用の促進、3) 産業界による技術開発・応用の促進、4) 産官連携による知識基盤の強化、5) イノベーション政策による知識保護への対処
2-7 フィンランド
「Science, technology and innovations」フィンランド科学技術政策委員会(2006年6月)
○ 「エネルギー・環境、金属・製造業、森林業、健康・福祉産業、IT、サービス業などクラスター毎に産・学・官共同による戦略作成」「分野毎の研究の再構築」等「FINNSIGHT 2015」フィンランドアカデミー、技術イノベーション庁(2006年6月)
○120 人の科学・技術、社会科学、ビジネスの専門家を含む委員会が環境・エネルギー、サービス・イノベーションなどの10領域2015年の科学・技術・社会の概観について予測。
3-1 中国
「国家中長期科学技術発展計画(2006-2020年)」(2006年2月)
○ 2020年にはR&D投資の対GDP比率を2.5%とする、中国人による発明特許及び科学論文引用数を世界5位以内等の具体的目標を掲げ、自主創新(独自のイノベーション)を重視。
○ 将来の持続可能なイノベーションと経済社会発展のために先端技術8分野([1]バイオ、[2]情報技術、[3]新材料技術、[4]先端製造技術、[5]先進エネルギー技術、[6]海洋技術、[7]レーザー技術、[8]航空宇宙技術)、4件の重大科学基礎研究([1]タンパク質、[2]量子制御、[3]ナノ技術、[4]発育と生殖)の実施等を提起。
「第十一次五ヵ年計画」(2006年3月)
○ 全国人民代表大会(日本の国会に相当)で承認された本計画は、全体を通じて「科学的発展観の貫徹」を重視した内容となっており、[1]科学技術イノベーションを通じた飛躍的発展:重大科学技術特別プロジェクトの開始や重大科学技術基礎施設の建設を通じた自己イノベーションの強化、推進等、[2]教育の優先的発展:義務教育の普及強化、教育費のGDP比4%の達成等、[3]人材強国戦略の推進:イノベーションの意識と能力に富んだ人材等の養成等が掲げられている。
3-2韓国
「科学技術基本計画 2002年−2006年」(2001年12月)
○ 「国民一人あたり所得15,000ドル水準の経済成長と福祉社会を実現」するため、2006年までに世界第10位の科学技術競争力を確保
○ 6T分野への重点化(IT、BT、NT、ST(航空宇宙)、ET(環境エネルギー)、CT(文化、コンテンツ))
盧武鉉政権・12の国政課題の1 つに「科学技術中心社会の構築」を掲げる(2003年)
科学技術部傘下に「科学技術革新本部(STI)」を設立 (2004 年)
3-3シンガポール
「インダストリー21 計画」発表(2010 年までの産業基本政策)(1999年)
○ 製造業とサービス業を軸とする知識集約型産業の世界的ハブを目指す
○ 2000年には個別分野の産業政策として「インフォコム21(情報通信・ネットビジネス)」、「シンガポール・ゲノム計画」、「科学技術2005年計画」等を発表