第5章 「イノベーション立国」に向けた政策ロードマップ
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世界のイノベーション競争は、イノベーションの種(その多くは科学技術の成果であるが)を如何に早く効率的に育て社会に適用していくか、あるいは如何にそうした種が結実し易い社会の仕組みを構築していくか、という競争であると言っても過言ではない。
特に、我が国においては新しいビジネス、サービス等が起こりやすい環境づくりが不可欠であり、過度な規制や旧来の慣習が新たなイノベーションの芽を摘み取ることのないよう、社会システムの変更が極めて重要である。
こうした状況を踏まえれば、科学技術の成果を社会に還元していく上での制度的隘路の解消、社会還元を加速する新たな仕組みの整備、等に早急に着手せねばならない。
また、イノベーション創出の根幹は「人」であり、今後20年間、さらにはそれ以降も我が国がイノベーション立国として繁栄していくためには、将来を見据えた人材育成・活用策を整備していくことが急務である。
さらに、今後の科学技術の進展に応じ、新たな技術を社会に適用していくに際して既存の諸制度の見直し、新たな仕組みの設定等が必要となると見込まれるケースや、現時点では国民的合意形成に至っていないもののイノベーション創出という観点からも議論を深めていくべき社会制度上の根幹的課題、といったものについても現時点で整理しておくことが、今後の戦略的な政策対応上必要不可欠である。
このようなイノベーションを次々と生み出す社会環境づくりに対しては、政府は目指すべき日本の未来像を国民と共有し、一丸となって取り組むことが必要である。イノベーションの起こりやすい環境を作るためには、従来の制度や慣習にとらわれることなく、新しい発想に基づく制度づくり、機動的な政策の見直しと変更等「政策イノベーション」を起こしていくことが重要となっている。このため、ここでは「イノベーション立国」に向けた社会環境づくりのための社会システムの改革戦略をとりまとめることとする。
なお、本戦略を実施するに際しては、特に以下の点を基本とすることが必要である。
- 府省横断的な政策の推進
- 多様な政策の選択肢提供の仕組み
- 国内外の生活者の視点への立脚
- 地域の自立と活力を活かす仕組み
- 官主導ではなく民の活力を最大限活かす仕組み
- 国際市場と国際貢献を意識した戦略
- 起業家の育成を推進する社会制度構築
- 公共利益を目指すNPO活動や社会起業家の育成と支援
- モノから人への流れの確立
- 国民の意識改革
また、科学技術の面では、政策的に取り組んでいくべき事項について、短期的な計画のみならず中長期的な視点からもロードマップとして科学技術コミュニティや国民全般に示していく必要がある。科学技術上の大きな発見・技術革新は必ずしも予定調和的・計画的に生じるものではないが、こうしたロードマップを示すことで技術の社会適用という出口までを含めて関係者の戦略的対応を促進することにより、イノベーション創出を加速化していくことが期待される。ただし、イノベーションは不確実性を伴うものであることから、すべての者が同じ方向で取り組むのではなく、多様性を重視していくべきであることを忘れてはならない。
これらの考え方に加えて、「バイオマス・ニッポン総合戦略」(平成18年3月31日閣議決定)、「科学技術の振興及び成果の社会への還元に向けた制度改革について」(平成18年12月25日総合科学技術会議決定)、「新健康フロンティア戦略」(平成19年4月18日新健康フロンティア戦略賢人会議)、「成長力加速プログラム」(平成19年4月25日経済財政諮問会議)、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(平成19年4月26日文部科学省・厚生労働省・経済産業省)、「アジア・ゲートウェイ構想」(平成19年5月16日アジア・ゲートウェイ戦略会議)及び「規制改革推進に関する第1次答申」(規制改革会議)、「キャリア教育等推進プラン」(キャリア教育等推進会議)、「経済成長戦略大綱」(平成18年7月6日決定、改定予定)、「21世紀環境立国戦略」(中央環境審議会21世紀環境立国戦略特別部会)、「教育再生会議第2次報告」、「知的財産推進計画2007」(知的財産戦略本部)、「重点計画−2007」(IT戦略本部)等の検討状況を踏まえて策定した社会システムの改革戦略と技術革新戦略ロードマップからなる政策ロードマップに基づき政策を推進することとする。
なお、本政策ロードマップに基づく政策の進捗状況等については、国内外の諸情勢等を踏まえ、毎年継続してフォローアップを行い、必要に応じロードマップを見直していくこととする。
| 1. | 社会システムの改革戦略
| (1) | 早急に取り組むべき課題
イノベーションを創出しやすい環境整備のために、概ね今後3年間に取り組むべき課題は以下の通りである。
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| (2) | 中長期的に取り組むべき課題
イノベーションを起こすような新技術・サービスは従来の制度・ルールの下では、社会に広く普及し難い場合も多い。
今後の研究開発の進展等によって、その成果を社会に適用していく上で、以下に掲げるような取組が必要となる。ただし、ここで掲げる課題への対応の手法、タイムスケジュール等については、随時、見直し、その取組を加速・拡充していくことが必要である。
| 1) | 生涯健康な社会形成 |
| 2) | 安全・安心な社会形成 |
| 3) | 多様な人生を送れる社会形成 |
| 4) | 世界的課題解決に貢献する社会形成 |
| 5) | 世界に開かれた社会形成 |
| 6) | 共通的課題 |
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| 2. | 技術革新戦略ロードマップ
| (1) | 社会還元を加速するプロジェクトの推進 |
| (2) | 分野別の戦略的な研究開発の推進 |
| (3) | イノベーションの種となる多様な基礎研究の推進 |
| (4) | イノベーションを担う研究開発体制の強化 |
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